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坂東龍汰が青春時代を振り返る “役者になりたいことを家族にも周りの人にもずっと言えなくて…”――「この初恋はフィクションです」インタビュー後編2021/11/12

坂東龍汰が青春時代を振り返る “役者になりたいことを家族にも周りの人にもずっと言えなくて…”――「この初恋はフィクションです」インタビュー後編

 TBSでは、よるおびドラマ「この初恋はフィクションです」が月~木曜の深夜0:40から15分枠で放送中。今作の企画・原案は多くの話題作を放つ秋元康さん、脚本は「おっさんずラブ」シリーズ(テレビ朝日系)、「私の家政夫ナギサさん」(TBS系)などを手掛けた徳尾浩司さんが務める、オリジナルの青春群像ラブストーリーです。さらに今作は、民放初の試みとして、YouTubeで放送後に全話が配信されています。

坂東龍汰が青春時代を振り返る “役者になりたいことを家族にも周りの人にもずっと言えなくて…”――「この初恋はフィクションです」インタビュー後編

 今作の主人公の倉科泉を演じるのは、毎週土曜深夜に同局で放送中の「私が女優になる日_」で全国9000人の中から選ばれた10人による演技バトルで1位に輝いた飯沼愛さん。ドラマ初出演にして、初主演を務めています。さらに、泉が通う桜彩館高校の爽やかな好青年のクラスメートで、クラスのムードメーカーであり、泉にひそかに恋をする野島啓介役を、「ドライフラワー」(Hulu配信)や、昨年King & Prince・永瀬廉さん主演で実写化された映画「弱虫ペダル」で鳴子章吉役を好演した、坂東龍汰さんが演じています。

 今回は、そんな今大注目の若手俳優である坂東さんのインタビュー後編です。共演者との話や、青春時代の驚きエピソードを明かしてくれました!

撮影が進むにつれて感じること――「飯沼さんの成長度合いは尋常じゃないです」

坂東龍汰が青春時代を振り返る “役者になりたいことを家族にも周りの人にもずっと言えなくて…”――「この初恋はフィクションです」インタビュー後編

――インタビューの前編https://www.tvguide.or.jp/feature/feature-1154431/では、お芝居の楽しさを皆さんに伝えているとおっしゃっていましたが、飯沼さんとも撮影シーンに関してお話されていますか?

「最初は特によく話していました! 感情的にどうなのか分からないと相談された時は、『こうしたらもっとやりやすいんじゃない?』とか、『このセリフは別に言わなくてもいいんじゃない?』とか。『泉ちゃんの気持ち的に言いづらいセリフはある?』っていう話もしていました。この作品はリアルを目指していますし、高校生の日常会話がベースなので、言いづらいセリフは変えるっていう手段もあるのかなと。感情が乗りやすい言い方や、普段飯沼さんが使っている言葉の方が、真の気持ちが出ると思ってアドバイスをすることもありました」

――先輩であることに戸惑いがあるということでしたが、しっかりと先輩の立場をまっとうされてるじゃないですか!(笑)

「いや、最初だけなんです!(笑)。裏で先輩で居続けていたら、ノジくん(演じる野島)がどっか行ってしまったので、取り戻すためにちょっと控えることにしました…。もちろん飯沼さんから相談を受けた時や、シーン的に事前に話すことが必要だと感じた時は話すようにしています。でも、そんなこと必要ないくらい皆さんがたくましく自分の中でキャラクターを作り上げてきているので、もう僕が何かを言う必要ないんですよ」

――撮影が進むにつれて、皆さんの成長も感じていらっしゃるんですね。

「そうなんです。本当に成長スピードが早いんですよ。お芝居の中でちゃんと会話ができるようになってきて、それが“初めてのお芝居”というピュアさと重なって起きている化学反応が素晴らしくて感動しています」

――目に見えて成長されていると…。

「はい。ちなみに、飯沼さんの成長度合いは尋常じゃないです。最初は初お芝居の様子が見て取れましたけど、もうすっかり大女優! 貫禄すらあります。僕がバクバク食われています(笑)」

坂東龍汰が青春時代を振り返る “役者になりたいことを家族にも周りの人にもずっと言えなくて…”――「この初恋はフィクションです」インタビュー後編

――(笑)。田野来玖役の窪塚愛流さんとは親友役ということで、一緒のシーンが多いかと思います。坂東さんから見て窪塚さんはどんな方ですか?

「愛流は、天然記念物ですね。何をしでかすか分からない面白さがあります!」

――現場で一体何が…(笑)

「会話のテンポがものすごく独特なのと、愛流の中で煮詰めて作り上げてきた来玖を披露してくれるので、そのアプローチを毎回新鮮な気持ちで楽しませてもらっています。僕にはもうできない遊び心を持っているんですよね」

――なるほど。引き出しが多いんでしょうか?

「そうかもしれません。しかも無意識でやっていることが多くて、それを目の当たりにするとちょっと嫉妬します…。今まで出会ったことのない不思議ちゃんです」

坂東龍汰が青春時代を振り返る “役者になりたいことを家族にも周りの人にもずっと言えなくて…”――「この初恋はフィクションです」インタビュー後編

――祖父江くんのキャスト予想合戦が白熱していますが、坂東さんからヒントを出すとしたらどんな方ですか?

「動物に例えると子犬っぽい…? いや、年を取ったナマケモノかな! おじいちゃんぽいんです」

――ナマケモノ! ではそれをもとに、皆さんに予想してもらいましょう…(笑)。祖父江くんというキャラクター自体も不思議ですよね

「そうですね。祖父江くんは一見頑固そうに見えるけど、熱いものを秘めている役柄だなっと思っています。何かの理由があって学校に来ていなくて会えていないけど、もしリアルにそういう友達がいたら手助けしたいとうか、仲間に入れてあげたくなるような子だと思います。理由はそれぞれだと思いますが、祖父江くんと同じような状況な子はたくさんいると思うので」

――“仲間に入れてあげたい”という言葉が人懐っこさいっぱいで、とても坂東さんらしいですね。

「僕は『一緒に遊ぼうぜ!』って自分から声を掛けられるタイプの子だったので、学校でも苦労しなかったのですが、祖父江くんの気持ちもよく分かるんです。17歳っていろいろな物が怖く見えたり、社会に対する不安も芽生えてくる年齢だと思います。そういう10代ならではの葛藤もリアルも描かれているので、同世代の方にも、10代を経験した皆さんにも見てほしいです」

青春時代は父への反発心がエネルギーに――「みんなの前で泣きながら夢を主張したのを覚えています」

坂東龍汰が青春時代を振り返る “役者になりたいことを家族にも周りの人にもずっと言えなくて…”――「この初恋はフィクションです」インタビュー後編

――作中では、泉が進路に葛藤するシーンもありましたが、坂東さんも同じような経験をされたことはありますか?

「めちゃめちゃあります! 実は高校時代ずっと“役者になりたい!”って思っていたのですが、そのことを家族にも周りの人にもずっと言えなくて…。高校3年生の頃にやっと『俺テレビ出る! おら東京さ行く!』って宣言したんです(笑)」

――満を持しての宣言だったんですね。周囲の反応はいかがでしたか?

「学校の友達には『絶対無理だよ〜(笑)』って言われて、両親にも笑われてしまいました。でも、昔から音楽でも絵でも写真でも、何事にもエンターテインメントを求める子どもだったので、『表に立つ仕事はある意味向いてるかもね』とは言ってくれていました」

――戸惑いつつも、前向きに応援してくれていたんですね!

「そう思っていたんですが、高校の卒業式の感動的な場面であらためて将来の夢を発表したら、みんなの前で父に『お前は大きい壁にぶち当たって北海道に戻ってくることになるぞ!』って言われてしまったんです…。恥ずかしかったし、みんなの前で泣きながら夢を主張したのを覚えています。その一件もあって余計に反発心が生まれて、卒業後すぐに東京行きを決めました」

――ものすごい行動力ですね…。

「役者で生計を立てるのって正直狭き門ですし、周りの人に理解してもらいにくいと思うんです。だから、それなりの覚悟がないとダメだと思っていました」

――なるほど。当時のお父さんからの言葉は、ある意味原動力になっていたのでしょうか?

「そうですね。しばらくは、反発心がエネルギーになっていました。でも、今では父が僕の活躍を一番喜んでくれているんです! 出演作は全部見てくれていて…。それが本当にうれしいです。今考えると、僕の性格を知っているからわざと負けん気を起こすような言い方をしてくれたのかなと思っています」

――両親の言葉だからこそ、強く自分に影響する部分もありますよね。

「父の掛けてくれた言葉ももちろんありがたいですが、一方で泉の背中を押したノジくんのように、優しく声を掛けてくれる人も必要だと思います。『本当にやりたいことなら、何も恥ずかしいことじゃないと思うよ』って真っすぐに言われると安心しますし、前に進めるよう背中を押してもらえているというか…」

坂東龍汰が青春時代を振り返る “役者になりたいことを家族にも周りの人にもずっと言えなくて…”――「この初恋はフィクションです」インタビュー後編

――坂東さんにもそのように声を掛けてくれた方がいたのでしょうか?

「僕にとっては(村上)虹郎がそうでした! 東京に出てきて心が折れそうだった時に『ちょっと会おうよ』って声を掛けてくれて、『お前は絶対役者やった方がいいよ!』って力強く背中を押してくれたんです。きっと皆さんの周りにも背中を押してくれる存在がいると思うので、迷っている人は一度勇気を出して頼ってみるといいかもしれません」

――夢をかなえるための葛藤を乗り越えて、今では多くの話題作に出演されていますが、今後目標としていることはありますか?

「ありがたいことに僕の周りには尊敬する先輩がたくさんいて、日々手が届かないなって感じて悔しい気持ちを抱くことが多いんです。だからこそ、今はいただいている目の前のお仕事に全力で取り組んで、誰かの心を動かす作品が作れたらなと思っています。まだまだ勉強中ですし、飯沼さんたちと同じく成長途中なので…」

――客観的にご自身を見つめられているんですね。

「今までは気持ちで押し切ってお芝居することが多かったのですが、最近は少しロジカルなアプローチをしなくてはと思っている時期なんです。今は若手俳優としての出演が多いですが、そこから一つ上の段階にステップアップしたいなと思っています。それが今の目標かもしれません! コロナ禍でもこうやってお仕事をいただいていることが本当に奇跡なので、もっといい作品をどんどん作っていきたいです!」

――前・後編を通し、貴重なお話をお聞かせいただきありがとうございました!

「ありがとうございました!」

 終始楽しそうに作品のことやご自身の経験を語ってくれた坂東さん。気さくな人柄とあふれ出るエピソードにのせられて、思いもよらずロングインタビューになったため申し訳ないな…と思っていると、インタビュー後に「たくさんしゃべってしまってすみません!(笑)」と気遣いの一言を。ドラマやバラエティーで見る少年のような印象に加え、客観的に自分を見つめている、新たな一面も垣間見ることができました。

坂東龍汰が青春時代を振り返る “役者になりたいことを家族にも周りの人にもずっと言えなくて…”――「この初恋はフィクションです」インタビュー後編
坂東龍汰が青春時代を振り返る “役者になりたいことを家族にも周りの人にもずっと言えなくて…”――「この初恋はフィクションです」インタビュー後編
坂東龍汰が青春時代を振り返る “役者になりたいことを家族にも周りの人にもずっと言えなくて…”――「この初恋はフィクションです」インタビュー後編
坂東龍汰が青春時代を振り返る “役者になりたいことを家族にも周りの人にもずっと言えなくて…”――「この初恋はフィクションです」インタビュー後編

【プロフィール】

坂東 龍汰(ばんどう りょうた) 
2017年に俳優デビュー。18年放送のNHKスペシャルドラマ「花へんろ特別編『春子の人形』〜脚本家・早坂暁がうつくしむ人〜」で初主演を務め、その後「ストロベリーナイト・サーガ」「パーフェクトワールド」(フジテレビ系)、「緊急取調室 3rd SEASON」(テレビ朝日系)、「シロでもクロでもない世界でパンダは笑う。」(日本テレビ系)、「夢中さ、きみに。」(MBSほか)、「ドライフラワー」(Huluで配信中)などに出演。さらに、「十二人の死にたい子どもたち」、「閉鎖病棟 ―それぞれの朝―」、「弱虫ペダル」、「スパイの妻 劇場版」、「峠 最後のサムライ」、「ハニーレモンソーダ」など数多くの話題の映画に出演している。今秋は「この初恋はフィクションです」(TBSほか)のほか、「真犯人フラグ」(日本テレビ系)、連続ドラマW 宮部みゆき「ソロモンの偽証」(WOWOW)でも活躍。22年1月には映画「フタリノセカイ」への出演が控えている。

【番組情報】

「この初恋はフィクションです」 
TBSほか  
月曜〜木曜 深夜0:40〜0:55 

TBS担当 A・M



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