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物語は終盤へ――。「おかえりモネ」脚本・安達奈緒子が作品に込めた思いを語る2021/10/17

 いよいよ終盤に差し掛かった連続テレビ小説「おかえりモネ」(NHK総合ほか)。第22週(10月11日~15日放送)では、気仙沼の海が大しけに見舞われました。及川亮(永瀬廉)が乗っている船だけ戻れなくなる事態に、ハラハラドキドキした方も多いのではないでしょうか。亮の無事に安堵(あんど)しつつ、「幸せになっていいんだよ…」と祈るばかりです。最終週(10月25日~29日放送)まで2週間ですが、永浦百音(清原果耶)や未知(蒔田彩珠)との関係から目が離せません。

 今回は、脚本家の安達奈緒子さんが「おかえりモネ」に込めた思いを語ってくださいました。

――物語は終盤に差し掛かりました。全話を書き終えた心境をお聞かせください。

「2年以上『おかえりモネ』という作品と向き合ってきたので、多少は解放感のようなものを味わえるのではと想像していましたが、書き終えた今の方が、時間ができた分、四六時中このドラマのことばかり考えてしまって、“終わった”という感覚は今のところまだありません。そんな中で、この作品に携わってくださった方々への敬服のような気持ちがよりいっそう募ってきています。書いている最中は無我夢中ということもあり、物語に没入していましたが、これまでの過程を振り返るようになると、取材でお話を伺ったり、協力をお願いしたりした宮城の方々のお力はもちろんのこと、現場のスタッフや俳優の皆さまをはじめ、たくさんの人がこの作品に関わり、力を貸してくださったことで、なんとかかんとか作り上げることができたのだと、あらためて強く感じています。皆が限界まで何ができるかを考え、表現してくださった跡が画面にありありと現れていて、本当にみんなすごいと、私が今一番、この作品のすごみに気圧されているような状態です。自分も考え得る限り考え、現時点で提示できるものはこれだ、というものを書いてきたつもりですが、それが携わってくださった方々の“思い”や“力”に見合うものだったのかどうか、冷静に考えられるようになるのは、放送が終わってしばらくたってからだろうと思います」

――“朝ドラ”は、半年近くにわたって放送されるドラマです。脚本を書かれてみていかがでしたか?

「“ゆっくり”“時間をかけて”表現してよい場は、今あまり残されていないように思います。一見して魅力的だと感じてもらえないと切られてしまうし、長いと最後まで付き合ってもいただけない。でもこの“朝ドラ”というものは、半年近く、なんとなくでもたくさんの方の目の端に入る可能性が高い。学校のクラスにはいるけど、あまり話したこともないし、なんか変な人っぽい、みたいな感じでずっとそばにいられたらいいなと思っていました。“ゆっくり”“時間をかけて”接してみたら案外味があるところもあって、一緒にいる時間が今は楽しい、そんなふうに最後は思ってもらえたらうれしいですし、やっぱり変なヤツだったし好きにはなれないけど、まあ、あの人の人生だし、それはそれでいいや、みたいに思ってもらえても、それもありがたいと思います。視聴者の方々とドラマの中で生きる人たちが、“ゆっくり”“時間をかけて”関係性を構築することを許してくれるのが“朝ドラ”であり、やはりとても貴重な場だったと思っています」

――ヒロインを演じた清原さんの印象を教えてください。

「ヒロインの百音は、清原さんを信じ切って書いていました。そしてやはり演じていただけて本当に良かったと思っています。百音は10代にして“当事者でありながら、当事者ではない”という難しい立場に立たされた女性です。たった15歳で強烈に抱いてしまった罪悪感を胸に刻みつつ生きねばならない若者の、しかも19歳から24歳という短い期間を演じることは容易ではなかったと思います。大人として成長していく、一番瑞々(みずみず)しく眩(まぶ)しいくらいに輝いている年頃を“痛み”を伴いながら生きる。しかもその“痛み”は他者から見て分かりやすいものではないので、自分の中に抑え込んでしまったりする。それでも出会った人たちと自身を照らし合わせていくことで、“痛み”と向き合い昇華させていくさまを、清原さんが緻密に、繊細に表現してくださいました。物語の中で、まるで実際に5年間を経たかのように、百音の顔が19歳と24歳で全く違います。どうしたらこんなふうに顔が変わるように演じられるのだろうと思わず画面を見つめてしまいます。私はもちろんですが、視聴者の皆さまにとっても、これからもずっと目が離せない存在になっていくだろうと思います。『おかえりモネ』は清原さんがいてくれたからこそ表現できた物語です」

――東日本大震災を背景にしたドラマを描く上で、どのようなことを考えられたのでしょうか?

「東日本大震災を背景にドラマを描く、ということについては、おそらくこれから先もずっと考え続けると思います。正解は見つけられないと思いますし、正解を見つけようとすること自体が違うのではないかとの考えもあります。ですが“その人の苦しみは、その人でなければ絶対に理解できない”という大前提から始めて、話を聞き、考えて得た震災に対する“伝えたい思い”は提示すべきだろうと。チームにそれをお話しして、それぞれのお考えも聞きました。現場は最後の最後まで力を尽くしてくださいました。当然のことながら提示したものが、すべての人に受け入れられるとは考えていません。ご協力いただいている宮城の皆さまの思いも伺いました。その上で、自然との共生や、“痛み”について描いてきたこの物語の帰結をどのように表現するかを決めました。百音と未知が出した答え、耕治さん(内野聖陽)と新次さん(浅野忠信)が出した答えに、それを託しています」

――では最後に、視聴者の方へメッセージをお願いします。

「ここまで見てくださって本当にありがとうございました。心から感謝しています。受け止めてくれる方がいなければ物語は成立しません。どんな受け止め方もあってよいと思います。ですが、やはりほんの少しでも、優しい気持ちや胸が熱くなるような感覚を抱いてもらえていますように、と願ってしまう自分がいます。誰もが以前よりも苦しい日々を過ごされている中で、最後は希望を感じていただけるように書いたつもりです。そしてチームの皆さまが、それをより力強く表現してくださっています。あと少しとなり、私はとにかく寂しくてたまりませんが、最後までお付き合いいただけるとうれしいです」

――ありがとうございました。

第23週あらすじ(10月18日~22日放送)

 百音(清原)の後押しもあり、新次(浅野)は耕治(内野)に、船を買おうとしている亮(永瀬)のことを相談。震災で行方不明になった妻・美波(坂井真紀)のことに区切りを付けようとしていたのです。そんな新次の話を聞いた耕治は、龍己(藤竜也)に永浦水産の将来について自分の考えを打ち明け…。

【番組情報】

連続テレビ小説「おかえりモネ」
NHK総合 月曜~土曜 午前8:00~8:15ほか
NHK BSプレミアム・BS4K 月曜~土曜 午前7:30~7:45ほか
※土曜は一週間の振り返り。

NHK担当 M・I

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