「チェリまほ」「リーガルビート」本間かなみPのモノづくり(後編)「あかりサーチ、一本!」第18回2026/08/21 12:00

TVガイドWeb特派記者の佐藤あかりです。今回はテレ東系で毎週金曜午後9時から放送中のドラマ「リーガルビート ―逆転の法廷―」(金曜午後9:00)の本間かなみプロデューサーへのロングインタビューの後編をお届けします。

鈴鹿央士さん、稲垣吾郎さん、小雪さんの演じる弁護士チームが、依頼者の小さな声に耳を傾け、真実を導き出すリーガルエンターテインメントには毎回とっても感動させていただいています。作品に込めた思いと撮影の舞台裏についてお聞きしました。どうぞお楽しみください。
それではいきましょう!
「あかりサーチ、一本!」
「リーガルビート –逆転の法廷–」誕生の舞台裏

――放送中の作品「リーガルビート」はオリジナル作品ですが、原作ものとの違いや苦労はありますか?
「オリジナル作品は、全話を走り切るエンジンをゼロから作る難しさがあります。企画書時点で、ある程度全体構成を作っておくんですが、1作目のオリジナル作『SHUT UP』(テレ東系)は、自分の中にあった強い衝動を起点にして、最後までその熱量で走り切った作品でした。でも『リーガルビート』は、テレ東のGP帯ドラマとしてマスに開いた作品を目指しました。今までの作品とは目指す方向が違ったからこそ、今回は特にチームで作っていく面白さを感じました。もちろん、今までもずっとチームで作っているんですけどね(笑)。でも『頼ってもいいんだ』っていう感覚をこの作品でなんとなく理解できた気がしています」
――「頼ってもいい感覚」っていうのは具体的には?
「テレビドラマのプロデューサーは、クリエーティブをかじ取りする立場なので、常に答えを持っていなきゃいけない、と思っていたんです。プロデューサーが迷ったら、みんな迷ってしまう。困らせてしまう。でも例えば事件のトリックなんて、当然自分一人じゃ考えつかないので、プロデュースチームのみんなや脚本家さん(光益義幸氏など)、みんなで一緒に悩んで答えを探して、時には想定していたものから形を変えていった。いろんな人のアイデアを受け取りながら、迷いも含めてみんなで考える。迷ったり頼るからこそ生まれる面白さみたいなものを、この作品を通して実感できた気がしています」
――作品作りにおいて、企画のどの段階でスタッフを巻き込んでいくのですか?
「スタッフィングは、企画が通ってから動き出します。最初に声を掛けるのは脚本家さん。『リーガルビート』の場合、弁護士モノというジャンル作品である側面と、吃音がある青年のヒューマンドラマという側面がある。その両面を豊かに紡げたらいいなという視点から、オファーする脚本家さんを考えました」
――脚本家さんとはどんなキックオフをしたんですか?
「弁護士ドラマとしてもヒューマンとしても、キャラクターショーとして楽しめるものにしたい、というのが大きくありました。重ねて『“声なき声”に対して、声を上げよう!』の前に、声を上げにくいハードルがある。そこに視点を置きたいということ。全体のテーマ、各話描きたいテーマについて話したと思います。あとは、企画書で1話イメージ的なプロットを作っていたので、どんなテイスト、世界観を目指すかを感受してもらいました」
――確かにここまで丁寧に現代のマイノリティーをすくい上げていますよね。かなりの工程を重ねているんじゃないですか?
「プロットを練って、シナリオに入ってまたディスカッションをして稿数を重ねてフィックスしていく感じですね。一番多い回で言うと10稿を超えているかもしれません」
声を上げづらいマイノリティーを一つ一つ丁寧に描く

――そんなに! 作品への情熱ですね。「吃音」と「ラップ」という題材に着目したきっかけを教えてください。
「2〜3年前から、弁が立つ人やキャッチーな言葉を使う人、声の大きな人がもてはやされる時代だなと感じていました。誰かに何かを伝えるためというより、自分に注目を集めるためのパフォーマンスや武器として、言葉が使われているような印象があった。そんな時に吃音当事者の方のドキュメンタリーを見て、伝えることに苦労があっても、自分の気持ちをちゃんと自分の言葉で伝えようとする真摯(しんし)な姿に心が動かされました。大きな声ばかりが届きやすく、マイノリティーの声は簡単に『ないもの』にされてしまう、と感じていた中で、吃音当事者の方々が言葉を届けようとする姿から、『自分はここにいる』という意志を思いました。それで、声の大きさにかかわらず、『ちゃんとここにいる』ということを描く作品を作りたいと思って、企画を考えました」
――吃音当事者の方で歌うときは言葉に詰まらずに歌える方がいるというのは聞いたことがあります。
「現役で活躍されている吃音当事者のラッパーの方を知り、『リズムに乗ると詰まらずに話せるケースがある』ということを知って企画に落とし込んでいきました」
――難しいテーマに新しいメッセージで伝えようとする姿勢が素晴らしいです。
プロデューサーから見るキャストのお芝居と舞台裏

――キャストの鈴鹿央士さん、稲垣吾郎さん、小雪さんの配役意図を教えてください。
「主人公の泰地は、依頼人のために一途に奔走する姿を、思わず応援したくなる人がいいなと思ってました。鈴鹿さんは繊細なお芝居をされる一方で、時に瞬発力の高さみたいなものを感じることがあって。鈴鹿さんが演じてくださったら、泰地がみずみずしく輝くんじゃないかと思い、オファーしました。稲垣吾郎さん演じる星は、あまのじゃくだけれど、年下の泰地から素直に刺激を受け、変化していく役。少しひねくれたところも含めて愛嬌(あいきょう)のある人物として見せられるのは、稲垣さんしかいないと思いました。小雪さん演じる雪村は、弁護士として酸いも甘いも知っていて、ある経験から法廷に立つことを避けています。でも、かといって、法律に絶望していない。泰地にも期待している。そういう人としての豊かさ、愛情を忘れずにいられる強さが、小雪さんに演じていただけたら、チャーミングに映るのではないかと思って、オファーさせていただきました」
――撮影現場の空気感や裏話はありますか?
「稲垣さんと鈴鹿さんが仲良しです。泰地は、ひまわりや太陽みたいなイメージなので、衣装のイメージカラーを黄色にしたんですが、黄色いシャツの丈が少し長くて、スーツから裾がちょこっと出ていることが度々あって。稲垣さんがそれを見つけるたびに『出てるよ、出てるよ』と突っ込んだりしていて。とてもほほ笑ましい現場です」
――確かに。イメージしたらクスッと笑っちゃいますね。プロデューサーとして役に求めるものや、共演したいと思う役者の共通点はありますか?
「『うそがない人』ですかね。もちろん実際のところは分かりませんが、接していてその人自身を偽っている感じがしない人。役者さんは誰かを演じるお仕事ですが『自分が自分であることに正直でいられる人』って、役を通して画面に映った時に、その人ならではの強さが出る気がします」
――とても深い言葉ですね。勉強になります!
定番企画「一問一本」

――ここからは定番コーナーの「5秒で答えて!一問一本」です!
「はい、よろしくお願いします」
――10日間お休みがあったら何をしますか?
「10日も!? ヨーロッパなどの海外に行きたいです。10日あったら行けちゃいますよね」
――これがないと生きていけない必需品は?
「生きていけないもの……ラムネです!」
――ラムネ? ラムネはなくても生きていけますよ(笑)。
「いやラムネは長時間の撮影や編集の時、いい気分転換になるんです」
――あー! 私、剣道やっているんですけど確かにそうかも。日本代表の選手とかも試合の前にラムネを食べていたかもしれない!
「やっぱり! ラムネは大事でしょ!」
――じゃあ、1週間生まれ変われるなら「リーガルビート」のどの役になりたいですか?
「そうですねえ。MCチキンの店長ですね。おいしいごはんが作れるようになりたいです」
――どれくらい爪が伸びたら切りたくなる性格ですか?
「え(笑)。パソコンが打ちづらくなったら切ります(笑)」
――最後に「TVガイドWeb」をご覧の皆様へメッセージをお願いします。
「『リーガルビート』、最終話まで悩み抜きながら丁寧に作り上げました。ぜひ最後まで楽しんでご覧ください!」
――今日はありがとうございました!
あかりサーチ後記
吃音当事者の方のドキュメンタリーを見たことから生まれた「リーガルビート」。10稿を超えることもある脚本家さんとのキャッチボールや、「頼ってもいいんだ」と思えるようになったという言葉からも、チームの皆と一緒に作品を育てていく、本間さんの作品作りへの向き合い方が伝わってきました。
取材後、「終始、柔らかい雰囲気に癒やされました」とお伝えすると、「心にライオンを飼っているかもしれませんよ」と笑って答えてくださった本間さん。穏やかな表情の奥には、作品への譲れない思いと強い芯がある方なのだと感じました。誰かの心に寄り添おうとする本間プロデューサーが届けてくれる「リーガルビート』。その一つ一つの思いを感じながら、最後までしっかり見届けたいと思います。
それでは最後にもう一度♪
「あかりサーチ、一本!」
【番組情報】

「リーガルビート ―逆転の法廷―」
テレ東系
8月21日 午後9:00~9:54
第5話あらすじ
LGBTQ支援活動団体を運営する北里(森永悠希)と守谷(樋口幸平)から依頼が舞い込む。1か月前、動画配信者の尾口(松澤匠)らが「東京都から委託金を不正受給している」という告発動画を公開し、誹謗中傷が殺到。北里は事実無根だとして名誉毀損(きそん)で訴えたいというが、乗り気ではない守谷の様子が、泰地(鈴鹿央士)は気にかかる。しかも星(稲垣吾郎)の兄・信隆(田辺誠一)が被告代理人を担当することが分かり……。
【プロフィール】

本間かなみ(ほんま かなみ)
1990年9月22日生まれ。ドラマプロデューサー。群馬県出身。派遣社員としての勤務を経て2022年にテレビ東京に入社。これまで「30歳まで童貞だと魔法使いになれるらしい」「うきわ―友達以上、不倫未満―」「今夜すきやきだよ」「SHUT UP」「晩餐ブルース」をプロデュース。現在、「リーガルビート ―逆転の法廷―」が毎週金曜夜9時より放送中。

佐藤あかり(さとうあかり)
1996年2月23日生まれ。大分県出身。特技は剣道(3段)。インターハイ3位、全国大会優秀選手賞受賞。渡辺正行さん率いる剣道普及番組「剣道まっしぐら!」(YouTube/2020年~配信中)にレギュラー出演中。雑誌「B.L.T.」に「日本一かわいい剣道女子」としてグラビアに登場以来、剣道タレントとして注目を浴びる。B.L.T.Webにて「あかりくらぶ」連載中。
【Information】
「あかりサーチ、一本!」のスペシャル動画が公開中! インタビュートークに加えて、即興質問に5秒で答える「一問一本!」など見どころいっぱいです。YouTube「東京ニュース通信社チャンネル」でお楽しみください。
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