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オカルト・スピリチュアル・悪徳商法研究家の雨宮純が提案する「陰謀論者」にならないためのニュースの拾い方とは?2022/08/31

 私たちが正しく判断するために、今、何をどう知るべきか。その極意を学ぶ連載「私のNEWSの拾い方」。月刊誌「スカパー!TVガイドBS+CS」で掲載中の人気連載が、TVガイドwebにも登場。第2回は、オカルト・スピリチュアル・悪徳商法研究家として活躍する雨宮純氏にお話を伺いました。

POINT◆「情報を受け止める」と「情報拡散する」は別。
不確かな情報を受け止めたとしても、それを拡散しない「節度」を持つ

――今、私たちはどんなニュースの拾い方をするべきですか?

「『そのニュースはどこ発信か』というのがまず大事なのですが、たとえば英語圏だと、おのおののニュースサイトが右寄りか左寄りか、情報の精度が高いか低いかがはっきり分かれています。でも日本だと、東スポ(東京スポーツ)の記事をそのまま受け止める人はいなくても、ニュースサイトの立ち位置が欧米よりはぼんやりしていて、その読み方を教えてくれる人もいないわけです。僕は陰謀論の勉強をしているから、それについてはある程度判断がつきますが、それ以外のジャンルは門外漢だから、そのニュースの真偽は自分だけでは確かめようがない。特に今の時代、不確かな情報を摂取してしまう可能性は誰にだってあると思います。そこで大事になるのが『どう受け止めるか』と『どう振る舞うか』を分けて考えること。仮に不確かな情報や陰謀論を見て、それを信じたとしても、その情報を拡散しなければ社会的には影響はないわけです。『飲み会で酔った時についそういう話をしてしまう』くらいなら問題はないし、昔からそういう人は普通にいた。今問題になっているのは、怪しい情報や不確かな情報を『拡散』してしまうことです。私たちはすべての情報を正確に判断できるわけではない。むしろ『自分は素人である』という自覚を持って、自分の中の常識に照らし合わせ、よく分からないものについては性急に拡散せず、そのままにしておく。情報の判断以上に、そういう『節度』こそが大事です」

――「マスコミの情報を鵜呑みにしない」のは大事ですが、陰謀論にハマる人はそこから一足飛びに「マスコミが伝えない真実」に飛びつく傾向があります。これはどうしてですか?

「既存の体制にあらがうことで、自分のアイデンティティーを確保しているのだと思います。たとえば『NHKは信じられない』という人が持ち出してくるのが、個人のブログだったりするのですが、おそらくそういう『価値の逆転』をすることで、『自分たちは知ってる側だ』『自分は偉いんだ』と思いたいのでしょう。陰謀論インフルエンサーはそこをうまく操って商売をしているので、陰謀論にハマる人は被害者としての側面もあるのですが、でも『人から認められたい』という虚栄心は誰でも持っている。その意味では誰でも陰謀論者になりうるわけです。だからこそ『自分は知ってる側だ』とおごらずに『自分は素人だ』という自覚を持って、情報に接することが必要なのです」

――「人々がまだ知らない情報を広めて認められたい」という動機が陰謀論者の心理なのだとしたら、陰謀論にハマらないためには何が考えられますか?

「まずは先ほど言った『節度』が大事なのですが、それでも情報を広める側でありたいのなら、『情報の速さ』ではなく『時間をかけてもいいから価値のある情報を広める』方で勝負するべきだと思います。たとえばある話題についてニュースをまとめるとか、まだ日本で広まっていない外国のニュースを読んで分かりやすく伝えるとか。今はある情報を知りたくて検索しても、広告費目当ての情報サイトばかりが上がってきやすいので、ちゃんと調べようと思ったら図書館で調べるという方向に戻っていくように思います。ちゃんと調べるのは手間がかかりますが、結局は『脳に汗をかく』というプロセスを経ないと、価値のある情報は生み出せない。でもそれで得たものがやがて自分の自信やアイデンティティーにもなって、陰謀論に左右されにくい人間になることにもつながるのではないでしょうか」

取材・文/前田隆弘

【プロフィール】

雨宮純(あまみや じゅん) 
オカルト・スピリチュアル・悪徳商法研究家。反ワクチン団体「神真都Q」の解説記事で注目を浴びる。陰謀論への造詣の深さから、雑誌「サイゾー」などで陰謀論関係の解説記事を多数執筆。著書に「あなたを陰謀論者にする言葉」。

【書籍情報】

あなたを陰謀論者にする言葉」 
フォレスト出版 1,320円(税込)

「自然派」「ジョブズ」「ボードゲーム」など、ちまたにあふれる一見普通のワードから、陰謀論の長い長い系譜をひもといていく1冊。

【「見つけよう!私のNEWSの拾い方」とは?】

「情報があふれる今、私たちは日々どのようにニュースと接していけばいいのか?」を各分野の識者に聞く、「スカパー!TVガイドBS+CS」掲載の連載。コロナ禍の2020年4月号からスタートし、これまでに、武田砂鉄、上出遼平、モーリー・ロバートソン、富永京子、久保田智子、鴻上尚史、プチ鹿島、町山智浩(敬称略)など、さまざまなジャンルで活躍する面々に「ニュースの拾い方」の方法や心構えをインタビュー。当記事に関しては月刊誌「スカパー!TVガイドBS+CS 2022年9月号」に掲載。



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