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自分と向き合うのが怖い人へ。応援しなくてもいい「集団左遷!!」の“ダメ社員”たち2019/04/07

自分と向き合うのが怖い人へ。応援しなくてもいい「集団左遷!!」の“ダメ社員”たち

 4月21日にスタートする福山雅治さん主演の連続ドラマ「集団左遷!!」(TBS系)。「頑張らなくていい」という会社からの圧力、しかし支店長を任されたからには「頑張りたい」── 。そんな自分の立場に葛藤を抱えながらも、勤め人としてのプライドや部下を守ろうと奮闘するサラリーマンの姿が人情的な一方、「働き方改革」などに象徴される平成という時代の締めくくりを描いた、熱くもどこか現実的な冷たさも抱えた作品です。

自分と向き合うのが怖い人へ。応援しなくてもいい「集団左遷!!」の“ダメ社員”たち

 福山さんが演じる主人公・片岡洋は、廃店が決定している支店の支店長として迎えられる銀行マン。50歳を目前に“支店長”という役目を任されて張り切る片岡ですが、いざ支店で待ち受けていたのはリストラ候補の“ダメ社員”たち。着任のあいさつの最中に悪びれる様子もなく電話に出たり、上司の電話番号を携帯電話に登録していなかったり、「死にたい」が口癖の若手社員がいたり、さらには融資していた会社の社長が逃げたとの知らせに「あがいても無駄だと思いますよ」と淡々と告げるのは、副支店長…。

 理不尽で納得のいかないことが満載のオープニングは、期待に胸を膨らませた新入社員の皆さんには「見てほしくないかも…」と思ってしまうほど。だからといって、「働くって、実際はこんなもんだよ」と半ば“諦めること”を薦めているのではありません。分かったように、「これが現実だよ」と言いたいわけでもないのです。さまざまな立場、考え方、環境で働く人がいる中で、「自分だったらどうしたいか?」を考えることができる人になるということ。このドラマで片岡や“ダメ社員”たちが放つ言葉に対して、どれが正しいとか正しくないかというのも、受け取り方は見る人によって十人十色だと思います。

自分と向き合うのが怖い人へ。応援しなくてもいい「集団左遷!!」の“ダメ社員”たち

“ダメ社員”の一人、神木隆之介さん演じる滝川晃司は、かつては幹部候補だったのですがある事件をきっかけにドロップアウト。片岡にも冷めた態度で接しますが、先日行われた会見で、神木さんは「滝川は“ダメ社員”と言われているけど、根本的には熱い気持ちを持っている。ただ一癖あるので、扱いづらいというか…。『頑張る』とずっと言い続けている片岡支店長に、『頑張るって、じゃあどういうふうに頑張るの?』『何を頑張るの?』『そんな根拠のないことを言ってどうするの?』と反発心を持った、プライドの高い役です」とご自身の役について話をされていました。

自分と向き合うのが怖い人へ。応援しなくてもいい「集団左遷!!」の“ダメ社員”たち

 自分が抱えている「頑張りたい気持ち」に正面から向き合えず、人が頑張っている姿を見てあれこれ言う滝川。成功している人を素直に認められなかったり、自虐に走ってしまったりする時…「自分だったらどうしたいか?」。自分自身と向き合うのはまだ怖いけれど、「集団左遷!!」にはいろんなタイプの“ダメ社員”がいて、いろいろな社会の理不尽が描かれています。どの登場人物を好きになってもいい、嫌いになってもいい。応援してもいいし、冷めた目で見てもいい。まだ見て見ぬふりをしたい自分自身について、ひそかに考えるきっかけと勇気をくれるのが、このドラマだと思います。

【番組情報】 

「集団左遷!!」 
4月21日スタート 
TBS系 
日曜 午後9:00~9:54(初回は、午後9:00~10:19)

取材・文/宮下毬菜



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