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この冬一番見られたドラマはどれだ?~25万台超の録画視聴データから見た冬ドラマ分析~2018/04/19

 インターネットTVガイドでは、関東約25万台の視聴データを集計した東芝レグザの視聴データを基に毎週録画視聴ランキングを発表しているが、今回はその特別編。1~3月の冬ドラマにスポットを当てて、視聴者たちはどのドラマをどんなふうに楽しんだのか、深く探っていこうと思う。併せて2017年4月から今年3月まで、1年間のドラマ録画視聴ベスト20も大発表。世帯視聴率のランキングとは一味違う結果を味わってほしい。

 まずは1~3月に放送された冬ドラマを各放送回単位で集計したのが以下のランキングである(ポイントは1位を100とした場合の割合を表す。以下同)。

 トップに立ったのはTBSの石原さとみ主演「アンナチュラル」(金曜午後10:00)の最終回・第10話。2位も「アンナチュラル」の第8話が取って、3~7位には、同じくTBSの松本潤主演「99.9-刑事専門弁護士-SEASONⅡ」(日曜午後9:00)がランクインしている。「アンナチュラル」全10話と「99.9」全9話がベスト19を占めた。片や法廷もの、片や法医学ものと、どちらもミステリー要素の強いドラマで、終盤に向けて視聴者の興味を集めていったことが分かる。ちなみに20位にはテレビ朝日の木村拓哉主演「BG~身辺警護人~」(木曜午後9:00)の最終話が入っている。

 続いてほかのドラマも併せた総合的な視聴傾向を見てみよう。各ドラマの録画視聴ポイントの全話平均を算出して、数値の高い順に並べたのが以下のランキングである(1~3月放送のドラマに限定したので、クールをまたいで放送されているドラマは含んでいない)。

 全話平均では「99.9」がトップに立ち、僅差で「アンナチュラル」が2位と、やはりTBSの2作がダントツのツートップ。少々差が開いて3位には「BG」がランクインしている。実は世帯視聴率でも今クールで平均10%を超えたのは「99.9」「BG」「アンナチュラル」の3本のみであり、同時視聴と録画視聴でベスト3が共通するという結果になった。特に「99.9」は9話すべてが視聴率15%を超えて、最終回は20%を突破、世帯視聴率と録画視聴との2冠ということで、文句なしの今期ナンバーワンドラマであった。一方の「アンナチュラル」は、ストーリーの面白さが次第に浸透して視聴者を増やしていった感がある。真裏にピョンチャン・オリンピック中継が放送されるなど視聴率では苦戦をしたが、それが逆に録画視聴を促進する要素ともなった。

 4位以下に目を移すと、特筆すべきは深田恭子主演のフジテレビ「隣の家族は青く見える」(木曜午後10:00)だろう。平均6%台と視聴率的には決して成功したとはいえないが、録画視聴の全話平均ポイントでは他のドラマ群を抑えて堂々4位にランクインした。夫婦の妊活や同性カップルの苦悩、戸惑いなど、コーポラティブハウスという集合住宅を舞台にさまざまな家族の形を通してパートナーとの絆の大切さをじっくりと描き、回を追うごとに視聴者の共感を集めた。SNSなどでの反応も非常に高く、今期最もタイムシフト視聴の恩恵をこうむった作品と言えるだろう。

 続いて、もう一つ別の指標で分析を試みたい。最終回のポイントを初回のポイントで割った割合(ここでは「最終回継続率」と呼ぶ)のランキング。極めて大雑把ではあるが、一般に初回のポイントが放送前の期待度を示しているのに比べ、最終回のポイントは作品内容に対する満足度を反映していると考えられる。実際の視聴傾向の変化には多くの要素が関わっているので一概には言えないが、この継続率の高低で各作品の見られ方の傾向の一端を知ることができるだろうと思う。

 上位11番組が100%を超え、初回より最終回の方が、録画視聴者が増えたドラマということになる。トップに立ったテレビ朝日「ホリデイラブ」(金曜午後11:15)は、仲里依紗の主演で、夫を寝取られる妻の視点から不倫を描いたコミック原作&サスペンス仕立てのラブストーリー。泥沼の様相を呈する展開と夫の浮気相手に扮した松本まりかの怪演が大きな話題を呼んだが、そうした注目度がこの150%超という驚異の最終回継続率に現れている。また継続率126.3%で3位に入ったテレビ東京の「バイプレイヤーズ~もしも名脇役がテレ東朝ドラで無人島生活したら~」(水曜午後9:54)は、番組放送中に大杉漣氏が急逝したことが反映されているだろう。そして、2位の「アンナチュラル」の141.6%というのも非常に高い数字で、内容に対する満足度の高さを改めて示していると言える。

 続いて冬ドラマ期間中の単発・特番ドラマのベストテンである。

 放送時期が1月初旬と3月下旬に集中していて、改めて単発ドラマの低調傾向を感じざるを得ないが、そんな中ベストテン中6作を占めるテレビ朝日の積極性は評価されるべきだろう。特に3月末の「アガサ・クリスティ 二夜連続ドラマスペシャル」は、改編期らしい華やかさもたたえていて、テレ朝の攻めの姿勢が感じられた。

 最後に年度末ということで、2017年4月から今年3月までの1年間に放送された連続ドラマの録画ポイント全話平均ランキングを出してみた。ベスト20は以下の通り。

 TBSのドラマがベスト20中に9作をランクイン、しかもベストテンに6作を送り込むという圧倒的な強さを見せた。特に、日曜午後9時の日曜劇場枠は「99.9」「陸王」「小さな巨人」「ごめん、愛してる」と年間4作すべてがベスト20入りしており、もはやブランドとして認定されているといえる。もちろんそのブランド力を支えているのは個々の作品の満足度であることは間違いないが、世帯視聴率でも好調を続けていることを考え合わせると年齢層を問わずこの時間枠に対する強い信頼感があることが分かる。また、作品の充実度でいうと、同じくTBSの金曜午後10時の金曜ドラマ枠も見逃せない。さまざまな理由で視聴率的には苦戦するケースも多いが、録画視聴では「アンナチュラル」「コウノドリ」「リバース」の3作がベストテン入りするという好成績で、品質保証枠としてドラマファンの評価が高いことを感じさせる。

 個々に見ていこう。「99.9」と「アンナチュラル」が年間でもワンツーフィニッシュを決め、1月クールのレベルの高さを証明した形。3位には7月クールにトップを独走したフジテレビの「コード・ブルー -ドクターヘリ緊急救命-」、4~7位には10月クールの日本テレビ「奥様は、取り扱い注意」、テレビ朝日「ドクターX~外科医・大門未知子~」、TBS「陸王」「コウノドリ」が並んだ。全般に世帯視聴率が好調なテレビ朝日木曜午後9時枠が録画視聴ランキングでは苦戦しており、視聴者層の違いがうかがえる。

 最後に年間ランキングのおまけとして、帯ドラマの全話平均録画視聴ポイントのランキングを出してみた。

 単純にポイントで比べると、民放の連続ドラマに対して、NHK連続テレビ小説をはじめ帯ドラマの録画視聴ポイントは低い(番組の性格上リアルタイムで見る人が多いため。何度も再放送があることも大きい)のだが、それなりに作品によって差がついているのは面白い。朝ドラでも、トップの有村架純主演「ひよっこ」に比べると、「わろてんか」は4分の3程度のポイントにとどまっている。興味深いのは「トットちゃん!」ほかテレビ朝日の昼ドラ3作。視聴率では朝ドラに遠く及ばないが、録画視聴ポイントではなかなかの健闘を見せている(今年度は一時休止になってしまったのは残念だけれど)。

 いかがだっただろうか。こうしたデータを使った多面的な分析によって、単に視聴率の高い低いだけでは分からない番組たちの視聴傾向が分かってきたのではないだろうか。今後もこのコラムでは、さまざまな角度からテレビ番組の楽しみ方を紹介していくのでお楽しみに。

【ご注意】

・ランキングデータは、関東1都6県の東芝製テレビから、許諾を頂いた視聴情報を集計し、ランキング形式でまとめたものです。

・ランキング集計期間には、集計日当日の翌日AM5:00までの番組を含みます。

・ポイント数は1位を100とした場合の比率となります。

文/武内朗
提供/東芝映像ソリューション株式会社

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