【FIFAワールドカップカタール2022】優勝候補・ブラジル、台風の目となったモロッコ、連覇を目指すフランス…ベスト8が激突する準々決勝2022/12/09
日本時間12月6日深夜（7日早朝）に、「FIFAワールドカップカタール2022」決勝トーナメント1回戦が終了。9日深夜からベスト8が激突する準々決勝が行われる。ベスト8はほぼ順当な顔ぶれになった。波乱は、モロッコが2010年大会優勝のスペインをPK戦の末に破ったことぐらいだ。今大会の数字だけを見れば、グループリーグ2勝1分け1位のモロッコが、1勝1敗1分け2位のスペインに勝ったのは順当と言えるが、やはり驚きだった。ちなみにグループ1位で敗退したのは日本だけだった。
準々決勝・第1試合は、日本を敗退に追い込んだクロアチアと、優勝候補・ブラジルが対戦する。クロアチアは、ここまで37歳MFのルカ・モドリッチ（レアル・マドリード／スペイン）ら主力のほとんどが全試合に先発している上、日本戦が延長にもつれ込んだ。チーム全体が消耗しているのは間違いなく、ブラジルの攻撃陣に押し込まれる時間が長くなりそう。もっともそれは想定内だろう。前回大会で3試合連続で延長戦を制して決勝までたどり着いたチームは、劣勢が続いてもしぶとく守り、FWの高さを生かした攻撃で得点を狙ってくるはず。一方のブラジルは、韓国と対戦した1回戦で、前半だけで4ゴールを決めて圧勝。負傷欠場していたFWのネイマール（パリ・サンジェルマン／フランス）が復帰して大会初ゴールを決め、守備でも力の差を見せつけた。死角はほとんど見当たらない。勝負強い前回準優勝チームを破り、20年ぶりの優勝に向けて勢いに乗ることができるか。
第2試合は、オランダとアルゼンチンが激突する。オランダは1回戦でアメリカのプレスをうまくかわして先制した後、ほとんどの時間帯で主導権を握り、3-1で快勝。DFのデンゼル・ダンフリース（インテル／イタリア）が1ゴール2アシストと大活躍し、FWのメンフィス・デパイ（バルセロナ／スペイン）も先制ゴールを決めたほか、得点にからむ動きで存在感を放った。攻守の歯車がかみ合い、チーム全体が波に乗っている。対するアルゼンチンは1回戦でオーストラリアと対戦し、ブロックを作って中央を固める守備を崩せず、重苦しい展開に。FWのリオネル・メッシ（パリ・サンジェルマン）の見事なシュートでゴールをこじ開けて先制し、相手GKのミスから2点目を奪って勝ったものの、終盤はオーストラリアの猛攻を許し、やや不安が残る試合内容だった。メッシがどんな局面でも打開する力をあらためて証明したのは心強いが、攻守の安定感と戦術の幅広さではオランダが上か。
翌10日の準々決勝・第3試合は、今大会の台風の目となったモロッコと、初優勝を狙うポルトガルが対戦する。1回戦でスペインをPK戦の末に退けたモロッコは、4試合で失点がオウンゴールの1点のみと、堅固な守備が持ち味。相手のパスに対する読みの鋭さ、1対1の球際の強さは際立っている。一方のポルトガルは、1回戦のスイス戦で攻撃力が爆発した。チームの象徴であるFWのクリスティアーノ・ロナウド（無所属）を先発から外し、21歳FWのゴンサロ・ラモス（ベンフィカ／ポルトガル）を起用。これが当たり、ラモスが3ゴールを決めて今大会初のハットトリックを達成したほか、6ゴールを奪って大勝した。図式はモロッコの守備 VS ポルトガルの攻撃。モロッコがDFのアクラフ・ハキミ（パリ・サンジェルマン）の攻め上がりなどでチャンスを作り出せるか、ポルトガルがC・ロナウドをどう使うかも見どころになる。
準々決勝最後の試合は、イングランド対フランス。大会連覇を目指すフランスは、1回戦でポーランドを圧倒し、3-1で勝利。FWのキリアン・エムバペ（パリ・サンジェルマン）が2得点1アシストと全得点に絡み、今大会計5ゴールで得点ランクトップに立った。一方、イングランドも1回戦でセネガルに3-0と完勝。期待の若手MFのジュード・ベリンガム（ドルトムント／ドイツ）が先制ゴールをアシストし、前回大会得点王のエースFWであるハリー・ケイン（トッテナム／イングランド）も今大会初ゴールが決めるなど、56年ぶりの優勝へ弾みをつける白星だった。両チームは過去31回対戦（イングランドの17勝9敗5分け）しているが、W杯での対戦は40年ぶりで決勝トーナメントに限れば初めて。注目度はひと際高く、勝ったチームは優勝に向けて加速しそうだ。
文／佐藤新
▶FIFAワールドカップ カタール2022 放送スケジュール
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