「東京ドラマアウォード2022」連続ドラマ部門・作品賞グランプリは「最愛」! 受賞者たちが喜びと感謝を語る2022/10/26
“世界に見せたい日本のドラマ”および、その出演者やスタッフを表彰する「東京ドラマアウォード2022」受賞式が10月25日に行われ、菅田将暉、吉高由里子、オダギリジョーら受賞者が登壇。司会進行を石坂浩二とフジテレビ・生野陽子アナウンサーが務めた。
「東京ドラマアウォード」は、作品の質の高さだけではなく、海外発信も見据え“市場性”“商業性”を重視し、“世界に見せたい日本のドラマ”というコンセプトの下、2008年に創設。従来のアウォードで重視されてきた芸術性や番組の質の高さといった基準とは異なる、“日本人として海外に見せたい”と思う魅力あるドラマを表彰しており、世界の優秀なドラマ作品についても「Special Award」として表彰。番組交流を通じた諸外国との相互理解を深める取り組みも行っている。15回目の開催となる今回は、2021年7月~22年6月までに放送されたドラマの中から、新聞、テレビ誌各社のドラマ担当、テレビ各局のプロデューサーによって選考された。
初めに、作品賞(連続ドラマ部門)が発表され、21年10〜12月に放送された「最愛」(TBS系)が選ばれた。本作の新井順子プロデューサー、演出を担当した塚原あゆ子氏、脚本を手掛けた奥寺佐渡子氏、清水友佳子氏が登壇し、新井プロデューサーは「このチームで2013年の『夜行観覧車』という作品からずっとやっておりまして、今回このチームでオリジナルのサスペンスに挑戦したいと思って相談したら、ぜひやってみようとなったんです。今まで培ってきた経験と脚本家さんの力、監督の熱量があってこそ、10話まで楽しんでいただけたと思っています」と制作について回顧。
また、塚原氏は同作で演出賞を受賞。「ミステリーとラブストーリーのバランスを大切にしていて、どちらに興味を持っていただいても、最後まで愛されるようにいいあんばいを探っていました。展開が何度か大きく動くところがあったので、時間配分は脚本家、プロデューサーとも最初から何度も相談したところもあって。キャストもみんなで支え合って、お互い切磋琢磨(せっさたくま)して芝居をぶつけ合っていたので、主演の吉高さん含めみんな伸び伸びやってくれたと思います」と、演出する上でのこだわりを明かした。
そして、同作で主演を務めた吉高は、主演女優賞を受賞した。吉高は「これまでにこんなに反響の大きかったドラマはなかったです。たくさんの賞もいただけて、授賞式でスタッフの皆さまと再会できることがすごくうれしくて。受賞するたびに『最愛』というドラマが生きて、いろんな人に出会っているような気がしています。オールロケでの撮影で、いろんな場所へ行って、まるで旅のようなドラマでした。大変だった分、自分の中で残っているものが大きいです。放送が終わって約1年経ちますが、今もなお『最愛』が広まっていることに感謝しています」と思いを明かした。
また、連続テレビ小説「カムカムエヴリバディ」(NHK)が作品賞(連続ドラマ部門)で優秀賞、脚本賞、主題歌賞、そして、個人賞でオダギリジョーが助演男優賞を受賞し、4冠を達成。脚本を手掛けた藤本有紀氏は「すてきな3人のヒロインが決まってから、いくらでもイメージが湧いてくるというか、キャストの皆さんのおかげで、物語もどんどん展開していけた気がします。時代ごとの世界観を、スタッフの方々が全力で作ってくださったおかげで、脚本の価値というものも高まったと思います」とコメント。
本作で2代目ヒロイン・るい(深津絵里)の運命を動かしていく男・ジョーこと大月錠一郎を演じたオダギリは「最終的に83歳くらいまでの役だったので、そういう意味ではいろいろな経験ができて面白かったです。トランペットはめちゃめちゃ練習させられました(笑)。本当に大変だったんですけど『朝ドラってそういうもんだ』って聞かされて、頑張れるだけ頑張ろうと思っていました」と明かした。
また、本作の主題歌「アルデバラン」で主題歌賞を受賞したAIも登壇し、フルサイズで楽曲を披露。森山直太朗の作詞・作曲でも注目されたこの「アルデバラン」。実はかなり緊張していたようで、「今年一番緊張しました!」と本音を吐露。それでも、石坂から「よかったですよ!」と言葉を受けると、「作詞・作曲を森山直太朗さんがやってくださったんですけど、最初聴いた時からこの曲はなんて感動的な歌なんだろうと思って。ラジオで英会話をやっていることもあって、ドラマを見てその後の感想を言い合えるのがすごく楽しかったです!」と喜びを伝えた。
また、オダギリと同じく個人賞では、「やんごとなき一族」(フジテレビ系)での怪演が話題となった松本若菜が助演女優賞を受賞。松本は「すごく個性豊かな出演者の中で、私が演じた(深山)美保子もなかなかのキャラクターだったので、皆さまに負けないように頑張りました(笑)。でも、周りのスタッフの方たち、監督も含めてなんですけど、キャストの方たちが大きな心で許してくださったおかげで、私も助かりましたし、楽しみながら演じることができました」と感謝の言葉を述べた。
ほかにも、作品賞(連続ドラマ部門)の優秀賞には、「恋です!〜ヤンキー君と白杖ガール〜」(日本テレビ系)、「緊急取調室 第4シーズン」(テレビ朝日系)、「シェフは名探偵」(テレビ東京系)、「ミステリと言う勿れ」(フジテレビ系)、「おいハンサム!!」(フジテレビ系=東海テレビ制作)が選出された。
「ミステリと言う勿れ」では、主演の菅田が主演男優賞も受賞。次の作品のために、オレンジ色に染まった髪色で登壇した菅田は、原作「ミステリと言う勿れ」(小学館)や原作者・田村由美氏へのリスペクトの思いを紡ぎながら、「原作が本当に素晴らしいので、原作を正しく伝えることでそう思っていただけたのかなと思います」と作品を振り返った。続けて、「このドラマが会話劇なので、ワンシチュエーションでただただしゃべりまくるだけというのをまず成立をさせる」ということを意識していたことも明かすと、石坂からも絶賛の声が。それを受けた菅田も「今日はぐっすり寝れそうです」と満足そうな様子を見せた。
作品賞(単発ドラマ部門)では、満島真之介主演の「ふたりのウルトラマン」(NHK)、出入国管理及び難民認定法について描いた、嵐莉菜、奥平大兼出演の「マイスモールランド」(NHK)、広瀬すず主演「津田梅子〜お札になった留学生〜」(テレビ朝日系)、連ドラでも多くの反響を集めた松重豊主演の「孤独のグルメ2021大晦日スペシャル〜激走!絶景絶品・年忘れロードムービー〜」(テレビ東京系)が優秀賞を受賞。グランプリには、オダギリジョーが脚本・演出・主演を務めた「オリバーな犬、(Gosh!!)このヤロウ」(NHK)が選ばれた。
助演男優賞に続く受賞に、オダギリは戸惑いを見せながらも「本当に好き勝手に書かせてもらって。それをプロデューサーチームがいろいろなところと戦うことになったと思うんですけど、現実にしていただいた」と製作陣に感謝しつつ、「いろいろな役を演じて、もうイヌぐらいしか(残って)ないかなと思って(笑)。イヌを利用して人間を描くと面白くなるのではと思ったんです」と約10年温め続けた作品への思いを述べた。
ほかにも、鹿児島・桜島とともに生きる人々の姿を描いた小芝風花主演作「この花咲くや」(NHK鹿児島放送局)、“ふるさと”と“家族の絆”をテーマに描いた平祐奈の主演作「我が家の夏〜リバー・サイド・ファミリー〜」(東海テレビ)はローカル・ドラマ賞を受賞。海外作品特別賞にはインドネシアの「糸が切れてしまった凧」、台湾の「縁起良き時」、タイの「1000の星の物語」が選ばれた。
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