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単独ライブが反響を呼ぶ実力派コンビ・空気階段のコントは「全部リアル」!?2021/05/26

 「キングオブコント」で2年連続ファイナリストとなり、コントへの評価はもちろんのこと、深夜ラジオのトークやさまざまなテレビ番組への出演で人気急上昇中のお笑いコンビ・空気階段(水川かたまり、鈴木もぐら)。彼らが活動の“軸”としている単独ライブが待望の初DVD化となり、先日リリースされると、オリコンDVDデイリーランキング1位を獲得! 大きな反響を呼んでいる。

 「最終的には全人類に単独ライブを見てほしい」と語るほど熱い思いで作り上げている単独ライブについて、さらに結成10年目を迎えての変化や相方に直してほしいところ、多忙な毎日での息抜きについてまで、今、空気階段について知りたいことをじっくり聞いてみた。

──2月に開催された単独ライブ「anna」を収録した、空気階段として初のDVDが完成しました。今回の単独ライブの内容に関しては、どんな反響がありましたか?

鈴木 「ファンの方からの反響ももちろんありましたけど、今回は芸人仲間から『面白かった』と言われることが多かったですね。先輩も後輩も、同期も見てくれた方が多かったです」

水川 「かもめんたるの(岩崎)う大さんが見てくださって、ある雑誌に感想まで書いていただいたんです。もともと単独ライブをやっていきたいと思ったのは、かもめんたるさんのライブがきっかけなので、感慨深いしうれしかったですね」

鈴木 「(東京03の)飯塚(悟志)さんや(テレビプロデューサーの)佐久間(宣行)さんもTwitterでつぶやいてくれてね。ありがとうございます!」

──今回ライブを行った会場について、お二人らしいエピソードがあると聞きました。

鈴木 「建物の中で、タバコが吸えなかったんですよ…。昔は吸えたらしいんですけどね」

水川 「吸えないから近くの公園の喫煙所に行くんですけど、準備が立て込んで寝ていないから、途中の階段で転んで、足がパンパンに腫れたりしました。僕らにとって、タバコが吸えないのは試練でしたね」

鈴木 「順番にタバコを吸いに行くから、ネタ合わせもなかなかできないんですよ。今までは、2人で吸いながらでもできたんですけど。2人で公園に行ってやるわけにもいかないですからね。その公園には、これから僕らのライブを見るっていう人たちがいるから、ネタバレになっちゃう(笑)」

──そんな苦労があってもタバコは…。

鈴木 「やめるわけないじゃないですか!(笑)」


──ライブ前日のリハーサルでは100カ所以上も修正したと聞きました。

鈴木 「そうなんです(笑)。大小合わせて、100カ所ですけどね」

水川 「同じ長いライブでも、見られる長さと見られない長さがあるんですよ。今回は、リハをしてみたら見られない長さ、良くない長さでした。だから、時間を削って削ってという修正でしたね」

鈴木 「ネタの中身を削るというよりも、着替えとかそういう部分を削ることが多かったです。実際にやってみて、これは無理だって」

水川 「Tシャツ短パンから制服に着替えるシーンで、当初想定していた時間が10秒。でも、リハでやってみたら、どう考えても1分はかかる。無計画だったなと思います。毎回そうなんですけど、リハの前に確認しておかなければいけないことをリハで確認するから、大変なことになる。リハではそういう部分が発覚して、それを翌日までに修正しなければいけなくなり、僕らと作家さんは目が血走ってましたね…」

鈴木 「僕らはそういうダメなところばっかりですよ、本当に(笑)」 

──今回のライブで展開されたネタはもちろんですけど、空気階段のコントには2人の人生観や人間の見方といったものが、いつもにじみ出ていると思います。人生はそんなにうまくいくことばかりじゃないけど、どこかが面白ければいいじゃないかというか。

水川 「それはありますね。むしろ、以前よりも強くなっているかもしれない。それは、“自分は自分で思っているよりもちゃんとした人間じゃない”と気付いてからなんですけど、そう考えると自己肯定のためという気もします。やっぱり、いろんなことを経験すると、自分がちゃんとしていないということがどんどん分かってくるので(笑)。僕はちゃんとしていないですけど、それは許してくださいというか、『いいじゃないですか。これ、面白いでしょ? だから、いいことなんです』という」

── 見終わった後に気持ちが軽くなって、どこか救われた感覚になるんですよね。

鈴木 「僕にとっては、空気階段のコントは全部リアルなだけなんです。物事が全部うまくいく人なんて、宝くじが当たるレベルでしかいないですから。1年365日、1分1秒が積み重なっていく中で、なんで私だけがこんな目に遭わなきゃいけないんだ…みたいなことが、みんなあると思うんですよ。でも、実はそれが普通でリアルというか。そんな毎日の中で、棚からぼた餅みたいな感じでたまにうまいもんが食えたりする(笑)」

──今回の単独ライブで表現したかったことを、あらためて教えてください。

水川 「今回はラジオがテーマで、全体を通してラジオがストーリーをつないでいる部分があるんですけど、ラジオ以外でも本だったり映画だったり、音楽だったり、何かを通して人間関係ができることって誰しもあることだと思います。そこを身近に感じて、楽しんでもらえたらうれしいですね」  

鈴木 「人間、何か一つでも好きなものがあるだけで、それはもう孤独じゃないっていうことですからね。例えば、すしがめっちゃ好きだけど友達が1人もいないとしても、すしが好きな人は世の中にたくさんいるし、その時点で孤独じゃない。だから、まだ出会っていないだけで、分かり合える人はどこかにいるよっていう」 

──結成10年目ですが、ネタの作り方は変化してきましたか?

水川 「3年目ぐらいの時に、キャラクターを掘り下げた方が面白いなと気付いたんですが、それ以降は本質的に変わった部分はない気がします。これから先も、年齢を重ねていけば学生役とかもできなくなるでしょうし、自分たちにフィットする役柄も変わってくると思うんですけど、面白いと思うポイントはたぶん変わらないと思うんですよね」

──なるほど。学生の役はどこかのタイミングで、皆さん封印されるものなんでしょうか?

鈴木 「どうなんでしょうねぇ…。1回、学生服を脱いだけど、また着ることにしたっていう方もいらっしゃいますしね。だから、分からないですけど…僕はもともとヒゲが生えているので(笑)。今回の単独ライブで学生服を着ているんですけど、たぶん初めてなんじゃないかなって」

水川 「初めてだね。もぐらがコントで学生服を着たのは」

──そうだったんですね! ちなみに、10年もコンビを組んでいると、お互いへの理解はどんどん深まっていくものですか?

鈴木 「うーん。いろいろダメなところが直んねーな、とかは思いますけどね」

水川 「誰が言ってんだよ」

鈴木 「ゴミを捨てないとか、マザコンとか、収録を止めて帰ろうとするとか」

水川 「俺だってもぐらに対してめちゃくちゃあるよ! 遅刻が直らない。金を返さない。足を洗わない。2度寝したら課金されるアプリがあるのに、導入しようとしない。何も改善しようとしてない!」

鈴木 「じゃあ、でかい目覚まし時計を買いますよ。はい、私は改心しました。あなたも改心してください」

水川 「僕はゴミを捨てることもあるから」

鈴木 「いや、捨てないです!」

──(笑)。今は本当に忙しい毎日が続いていると思うんですが、息抜きの時間は?

鈴木 「子どもと遊んでいる時間ですかね。あとは、ボーッとタバコを吸っている時とか。でも、そんなに仕事のことを忘れたいとは思わないです。苦しかったら、とっくに逃げていたと思います(笑)」

水川 「僕も、仕事に関しては好きなことをやれているので、そんなに息抜きは必要ないかなぁ。一つあるとしたら、最近はお酒ですかね。前は弱かったんですけど、だんだん飲めるようになって、今はようやくお酒が好きな人の気持ちが分かってきました。飲むのはハイボールが多いんですけど、気持ちが楽になったりするので、こういうことなんだなって」

──最後に、今後の目標を教えていただけますか?

水川 「全国ツアーをしたり、単独ライブの規模を大きくしていって、最終的には全人類に単独ライブを見てほしいです。今、いろいろテレビとかに出させていただいたりして、皆さんの目に触れる機会をいただけている状態なので、なんとか僕たちのことを知ってください、という期間かなと思っています。もちろん、いろいろ失敗したりもしますけど、今、めっちゃ楽しいです」

鈴木 「僕は、太ってしまって最近座りのコントが多いので、85kgぐらいに痩せて、立ちのコントも増やせるようにしていけたらいいですね(笑)。あとは、今やっているラジオを2時間番組にしたい、というのが目標です」

【プロフィール】

空気階段(くうきかいだん)
2012年にコンビを結成。「キングオブコント2019」「~2020」ファイナリスト。「有吉の壁」(日本テレビ系)などをはじめ、多くのバラエティー番組に出演中。レギュラー番組に「空気階段の踊り場」(TBSラジオ)など。

【リリース情報】

DVD 「空気階段単独ライブ『anna』」
発売中 ¥3,850

2月に東京・草月ホールで行われた第4回単独ライブ「anna」の模様を収めた空気階段の初DVD。独特の発想力と高い演技力で見るものをコントの世界へ引き込む新作ネタ8本に加え、特典映像としてTBSラジオ「空気階段の踊り場」の過去記録映像集を収録。

取材・文/大久保和則 撮影/大槻志穂

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