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個展開催中の村上隆に密着した番組が本日放送!「日本は今、世界一の美しい国なんです」2024/04/23

個展開催中の村上隆に密着した番組が本日放送!「日本は今、世界一の美しい国なんです」

 NHK BSで本日4月23日に放送される「フロンティア 夢見る“怪物”村上隆」では、8年ぶりに京都で大規模個展を開催する村上隆に密着。試写会&会見に登壇した村上は「昔、ドキュメンタリーを撮っていただいた時にパワハラめいたことを映されてしまい、国民的な僕の印象はヒールになってしまいました(笑)。今回はそれを払拭してくださって、大変ありがたい作品になっています。関係者の皆さんの努力に大変感動いたしました」と感謝を述べた。

 現代アートの最前線を走り続ける村上は、8年ぶりに京都で「もののけ京都」をテーマに大規模個展を開催。風神雷神図や洛中洛外図屏風など、1000年の都が生んだ日本美術の至宝に村上流の再解釈で挑んだ。今回、特別に制作現場への密着が許され、独自の工房システムやAIを取り入れた技法など創作の舞台裏が明らかに。また、欧米での展覧会の様子のほか、村上にMV(ミュージックビデオ)のアニメ制作を依頼したビリー・アイリッシュの独自インタビューも交え、海外での活躍ぶりも紹介。村上アートの人気の秘密に迫る。

 村上といえば、若い世代や外国人を中心に大人気。今回はNHKで放送されることから普段のファンより上の世代にどのように見てほしいか問われ「僕ももうおじいちゃんなんですけどね」と前置きしつつ、「僕と同じ世代がもうおじいちゃんおばあちゃんなので、彼らとはたぶん分かり合えないかも」と率直な思いを語り「ドキュメンタリーはいい感じに作っていただいたので『努力してんだな』と分かってもらえたら」と期待を口にした。一方で、「しょうがないから若い人がファンをやってくれて。ビリーさんは、僕が出会った時は16歳だったんです。日本のフェスで歌っていて、バックで流れていたビデオのアニメーションが素晴らしかったので、マネジャーに聞いたら『ビリーが来る飛行機の中で編集していた。ソースはYouTubeで拾ってきたみたいだ』と言われて、ジェネレーションギャップを感じて。すごいですよね、今もまだ23歳なのに、僕のことをソウルメートと言っていましたからね」とビリー・アイリッシュとの思い出を振り返った。

 今回の作品については「庭に10m金箔を貼った彫刻があって、その下にルイ・ヴィトンのトランクがあるんです。僕の芸術家としての特殊性は、コミュニケーションの力だと思っていて。ルイ・ヴィトン、ビリーさんやカニエ・ウェストさんなど、世界を変えていく人々やプロジェクトと偶然出会っているんです。そんな中、ルイ・ヴィトンとのコラボが大きな箱になって、京都の街の中にドカンとあって。異質ですが、これを見ていただけると、僕の活動の歴史そのものが一目瞭然で分かるんじゃないかな」と見どころを解説。

 また、ドキュメンタリーの中では、ものすごい速さで物事が決定していく様子も。アイデアが出た時の行動力がすごいと記者から称えられると「昔からずっとアイデアが出てすぐ行動していますが、僕の社会的な信頼度が上がったことで、アイデアが出てから成立するまで時間がすごく短くなった」と分析。「ただ、自分の人生も終わりが近づいているので、急がないといけないプロジェクトがいくつもあって焦っています」と心情を吐露。

個展開催中の村上隆に密着した番組が本日放送!「日本は今、世界一の美しい国なんです」

 さらに、個展の資金繰りに奔走している場面も収められ、“外国と比べると日本では芸術にかけられているお金が潤沢ではない”という課題が浮き彫りになるが、「答えはずばり1個で、税制ですね。特に相続税。例えば、最近お亡くなりになった鳥山明さんの原稿は極端な話、ゴミなんです。原稿は漫画に使った産業廃棄物として扱わないと税務的にいけなかったんです。かつて『ポケモン』(ポケットモンスター)などのアニメのセルガは全部東京湾に埋められていたんです。今はなぜかうやむやになって『まんだらけ』に直行していますけど(笑)。そういう税務的な問題が解決すればとずっと思っていたので、税に関して調べていたところ、逆転ホームランの方法を見つけて。それがふるさと納税だったんですね」と展覧会に向けて京都市のふるさと納税として入場券とトレーディングカードを販売したことを明かした。

 その上で今後の日本美術に関して「僕的には問題は全くなく、希望的な状況が日本に整ってきていると思っている」と断言。その一方で「イタリアみたいに日本を芸術大国にするには、相続税の芸術への在り方は変えなければいけないと思います。日本人は『円安だからみんな来てる』と思っているでしょうが、違いますよ。日本は今、世界一の美しい国なんです。それを日本人自身が理解していないんです。ポテンシャルを十分備蓄しているんです。今後は、国を挙げての税制をちょこっとだけいじってくれれば、この国はあっという間に復活するんじゃないかな。僕はもう十分すぎるほど日本は光り輝いている国だと思っているんですけど」と太鼓判を押した。

 さらに、作品を生み出す原動力について問われると「今の大谷翔平さんは原動力満載。無心になっていると思うんです。エンゼルスでの稼ぎが全部消えて、過去が清算されたんだから、未来しかないですよね。素晴らしいじゃないですか」と切り込み、「同じような質問をする若いアーティストがいるんですけど、僕の答えは『ドラゴンボール見て』なんです。悟空たちが修行している“精神と時の部屋”を自分で作ればいいんだよって。要するに、短時間で自分に負荷をかけて、かつ外とは違う時間軸をおく。どう脳を覚醒して、フリーな状態にしていくかが一番大事」と力説。

 続けて「追い詰められている状況を作れるのはわれわれの努力ポイントです。私は会社を作って、350人の従業員を抱えていて。最近も経理から『来月つぶれそうです』と言われて大きなプレッシャーを感じているんですけど。そういう状態にすると、もう何も考えないんです。やりたくないけれど、会社がつぶれないようになんとか注文をこなさなきゃいけないんで。それが後押しになることによって、自分のコンディションを無心にしていく環境を作るのが大きな仕事だと思っています。本当のスーパーアスリートやスーパー芸術家は、自分でコンディションを整え、ルーティンやプレッシャーを自分の隣に置くことで、“自分が真っ白になれるか”ということに集中しているんです」と語った。

 そして、今後のテレビ出演予定を問われると「いい質問ですね」と笑みを浮かべ、「今回はNHKさんが展覧会の実行委員会だったから、断れなかった(笑)。そういう理由でもないとなかなかできないなと思って。それに、庵野秀明さんのドキュメンタリーを見たら、最初から最後までめっちゃ不機嫌だったんですね。これで成立するんだったら僕も大丈夫だと思ってお願いすることにしたんです。正直、もう日本で展覧会をやる気もないですし、日本で大きなメディアにドキュメンタリーを撮っていただくつもりもありません。父がアルツハイマーを発症した70歳まであと8年で、その間にやらなきゃいけないことはたくさんあるので、無駄なことをせずに心穏やかに過ごしたいんです。ただ、次の取材はロバート・秋山(竜次)さんとの共演があるんですけど、そういう面白ネタは出ていきたいと思っております」と今後の展望を明らかにした。

個展開催中の村上隆に密着した番組が本日放送!「日本は今、世界一の美しい国なんです」

 最後に「地上波のNHKで鳴り物入りの番組の制作チームに撮っていただいたので、YouTubeなどとの違いが見えて面白いと思います。お金もかかっていましたし、空撮も多かったですよね。最近のドラマのトレンドをちゃんと入れていてすごいなと。大事なシーンも全部撮っていましたし、プロのドキュメンタリー制作の人たちのいい仕事が僕にとってもありがたくて、すごくクオリティーの高いものになっていたので、番組そのものとしてのクオリティーを堪能してもらえると面白いんじゃないかな」とアピールして締めくくった。

【番組情報】

「フロンティア」
NHK BS
火曜 午後9:00~10:00

NHK担当/kizuka



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