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「マイ・セカンド・アオハル」塩村香里プロデューサーインタビュー「すんなり終わりではなく、2人らしいゴールを用意できた」2023/12/18

「マイ・セカンド・アオハル」塩村香里プロデューサーインタビュー「すんなり終わりではなく、2人らしいゴールを用意できた」

 TBS系では広瀬アリス主演の火曜ドラマ「マイ・セカンド・アオハル」が放送中。本作は、広瀬演じるやっかいな問題を抱えた30歳の主人公・白玉佐弥子が、道枝駿佑演じる謎の大学生・小笠原拓の一言をきっかけに学び直しを決意して大学生となり、令和の大学生たちにもまれながら、恋に、勉強に、夢に奮闘するセカンド・アオハル・ラブコメディー。脚本は北川亜矢子が務め、主人公ががむしゃらに突き進む人生の第2章の幕開けを、笑いあり、涙あり、胸キュンありのオリジナルストーリーで紡ぐ。

 本作でプロデューサーを務めるのは、正月時代劇「いちげき」(NHK総合)、連続ドラマ「キワドい2人-K2-池袋署刑事課神崎・黒木」(TBS系)、「夢中さ、きみに。」(MBSほか)、「にぶんのいち夫婦」(テレ東系)など数々の話題作を放ってきた塩村香里さん。ここでは、本作を手掛ける上で心掛けていることや、演出の裏側などを語っていただきました。

「マイ・セカンド・アオハル」塩村香里プロデューサーインタビュー「すんなり終わりではなく、2人らしいゴールを用意できた」

――制作にあたり、スタッフの皆さんとどんなことを話し合いましたか?

「本作を作るにあたって、当初から『青春ラブコメディーではあるけど、普通の年上女子と年下男子のよくあるラブストーリーには見られたくないよね』と話していました。大前提として、恋愛だけではなく将来の考え方においても、一方的ではなく相互作用で成長する様子を描きたいと考えていたので。精神年齢が若めで大人になりきれていない一面がある佐弥子と、実年齢よりもちょっと大人びた拓という男の子だからこそ、両方の世代の人たちから共感してもらえる内容になったと思います」

――2人の関係性はどういう思いで作られましたか?

「今までの火曜ドラマを含め他の恋愛ドラマとは少し違って、大人の女性が若い男の子と結ばれる時に抱くであろうリアルな感情を意識しました。実際に年下の男の子と恋愛したらこんなことに悩むだろうなと考えながら作っているので、より視聴者の皆さんに刺さる展開になっていると思います」

――ラブコメディーを作る上で意識したのはどんなことですか?

「ラブのシーンを書く時は、普通とは違うオチをつけたいと思っていました。キスシーンの後も、そのまますてきなシーンを書いてしまいそうになりますが、佐弥子はそれでは終われないだろうなと。例えば、第5話で、朝シラスを買ってきた沢島真凛(飯沼愛)に一緒にベッドにいるところを見られたり、第6話のキスシーンを浅田香澄(箭内夢菜)が双眼鏡でのぞいていて『チューした!』と言ってしまうところなど、ラブとコメディーのバランスを大事にしました」

――本作で特にこだわったシーンを教えてください。

「第4話のプールのキスシーンは、確実に話題になってほしい!と思い、美しさにこだわって撮りました。また、第5話のキスシーンは、佐弥子の思いがあふれ涙する瞬間と、それに応える拓のバックハグ&キスという、不器用な2人の思いのぶつけあいが絶対必要だなと思い、今までの『マイハル』とは全くテイストが違うシーンではありますが、覚悟を持って取り入れました。監督も非常にこだわって演出しており、佐弥子の気持ちを乗せるターン、拓の気持ちで見てほしいターンなど、音楽の付け方なども双方の目線を意識していろいろ計算して編集していました」

――オリジナルストーリーならではだと感じたことはありますか?

「キャラクターの設定に関しては、実際のお芝居を見て膨らんだシーンもあります。撮影現場でのコミュニケーションを見て、この人とこういうシーンを作ってみたら面白いかもとアイデアが浮かぶことも多くありました。それがオリジナルドラマの醍醐味(だいごみ)ですね」

――具体的にはどのようなシーンですか?

「第8話の拓と峯川龍之介(水沢林太郎)が話し合うシーンは、当初は作る予定がありませんでした。2人の取材に立ち会わせていただいた時に、お芝居に対する感覚や本作に対する熱い思いなどを聞いていて思いついた展開です」

「マイ・セカンド・アオハル」塩村香里プロデューサーインタビュー「すんなり終わりではなく、2人らしいゴールを用意できた」

このドラマは、広瀬さんじゃなかったら成立しなかった

――現場の雰囲気などはいかがですか?

「キャスト同士の仲がよく、スタッフとのコミュニケーションも密に取れている現場です。自分が手掛けた作品の中でも1位2位を争うぐらいいい空気の現場で、安藤政信さんを広瀬さんがいじり倒すこともあるくらいです(笑)」

――ムードメーカーはズバリどなたですか?

「もちろん広瀬さんです。座長としてみんなを愛してくださっています。広瀬さん自身も、最初は周りのキャストとの年齢差もあってすごく緊張していたというお話を聞いたのですが、自分が周りに気を使わせてしまうことで遠慮がある空気になってしまうと、いい作品を作れないだろうと気にしてくださって。自分から壁を壊して、皆さんとの親しい距離感を作り上げてくださいました」

「マイ・セカンド・アオハル」塩村香里プロデューサーインタビュー「すんなり終わりではなく、2人らしいゴールを用意できた」

――そんな広瀬さんをキャスティングしたきっかけをあらためてお聞かせください。

「私が初めて広瀬さんとお仕事をしたのは11年ぐらい前。広瀬さんは当時まだ10代で、おとなしい子だなという印象がありました。そんな彼女が現在に至るまでいろいろなお仕事を経験され、コメディーから青春群像モノまで幅広く演じられているここ数年の『広瀬アリス』が、すごく輝いているなと感じています。そんな彼女の10年間を知りたいなと強く思い、キャスティングさせていただきました。佐弥子のいろいろなくすぶりが詰まった10年間を広瀬さんがぴったりと演じてくださったと思います」

――主演が広瀬さんだからこそできたことはありますか?

「お芝居や表情、セリフのトーンなど、細かいお芝居が本当にお上手な方で、ラブシーンや1人で将来について悩むシリアスなシーンもしっかり演じていただけたことで、青春ラブコメディーのバランスが取れているなと思っています。特に第1話で広瀬さんが全力のサービス精神で体を張ってくれたことで、ものすごい化学反応が起き、この先も恐れずやっていこうという覚悟が固まりました。これは広瀬さんじゃなかったら成立しなかったドラマです」

――では、道枝さんにお芝居でリクエストしたことはありますか?

「拓に関しては、道枝さんから得られる印象を取り入れることが多かったです。私たちは若い男の子の時代を経験していないので。こういう感覚であってほしいという希望はありますが、それが強すぎて少女漫画のファンタジーの世界になってしまわないように、ご本人のご提案や男性スタッフの意見や経験を織り交ぜながら、リアルさも落とし込んでいます」

「マイ・セカンド・アオハル」塩村香里プロデューサーインタビュー「すんなり終わりではなく、2人らしいゴールを用意できた」

――2人の不器用な大胆なキスシーンは、SNSでも大きな反響がありましたね!

「佐弥子の押さえきれない思いがあふれる感じと、拓が感情をコントロールできない不器用さを表現するには、あのキスシーンは必要だったと思います。美しい2人のキスシーンとしては上手なキスの方がよかったかもしれないですが、佐弥子と拓に関してはあのお芝居がベストだったと思います」

――では、最後に最終回の見どころを教えてください。

「佐弥子が学び直しを決意して、再び社会に出ていく時にどういう選択をするのかは、私たちが最後にしっかりと届けたいところです。そして、そこに拓がどう関わっていくのか楽しみに見ていただけたらうれしいです。コメディー要素は常に頭の中にあるので、すんなりハッピーエンドでおしまいではなく、2人らしいゴールを用意できたと思っています。ぜひお楽しみに!」

「マイ・セカンド・アオハル」塩村香里プロデューサーインタビュー「すんなり終わりではなく、2人らしいゴールを用意できた」

【プロフィール】

塩村香里(しおむら かおり)
恋愛、サスペンス、時代劇など幅広いジャンルの作品を手掛けるプロデューサー。主な担当作に、正月時代劇「いちげき」(NHK総合)、連続ドラマ「キワドい2人-K2-池袋署刑事課神崎・黒木」(TBS系)、「夢中さ、きみに。」(MBSほか)、「にぶんのいち夫婦」(テレ東系)などがある。

【番組情報】

「マイ・セカンド・アオハル」
TBS系
火曜 午後10:00〜10:57

文/TBS担当 N・E



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