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森田剛が天才アナウンサーを熱演!「とても幸せな時間でした」――実話に基づく衝撃の史実「NHKスペシャル アナウンサーたちの戦争」2023/08/11

森田剛が天才アナウンサーを熱演!「とても幸せな時間でした」――実話に基づく衝撃の史実「NHKスペシャル アナウンサーたちの戦争」

 NHKスぺシャル「アナウンサーたちの戦争」が8月14日にNHK総合で放送されます。今から80年前、太平洋戦争に翻弄(ほんろう)されたアナウンサーたち。彼らはラジオ放送を使って、“電波戦”で日本軍を水面下で支えていました。ナチス・ドイツのプロバガンダ戦に倣い、「声の力」で戦意を高揚させ、国民をあおり、そして時には偽情報で敵を混乱させました。それを行ったのは日本放送協会のアナウンサーたち。

 今回、放送に先立ち、日本放送協会のエースアナウンサー・和田信賢を演じた森田剛さん、女性アナウンサーの草分け的存在である和田実枝子を演じた橋本愛さん、新進気鋭の若手アナウンサー・館野守男役を務めた高良健吾さん、和田の先輩アナウンサー・米良忠麿役の安田顕さんが取材会に登壇。演出した一木正恵監督と共にインタビューに答えてくださいました。

――まずは、完成試写を見た感想をお願いします!

森田 「信賢役を演じました。よろしくお願いします。感想は後ほど…」

橋本 「実枝子役を演じた橋本愛です。幼い頃にご一緒させていただいた一木監督と成長した自分が、今回現場を共にできたことがすごくうれしかったです。また、尊敬する皆さんとお芝居ができた時間が、本当に私にとって宝物になりました」

高良 「館野役を演じた高良健吾です。戦争を題材にした作品は必要だと思っていて、そのような戦争作品に参加できたことは、自分にとってとても意味があることでした。本当にいろんな思いがあるので、この作品に携われたことがありがたいです」

安田 「試写を拝見して、スタッフさん、キャストの皆さんの熱、真剣さがすごく伝わってくる力作だなと思いました。普段『Nスぺ』が好きでよく見ているんですけど、『Nスぺ』枠でこれをやられることは、この作品が実話に基づくものであることをはっきりと表明していて、意味があることだと感じました」

――それぞれ役を演じての感想をお願いします。

森田 「和田信賢さんは、とにかく調べ、自分の言葉で表現する人だったので、そこにすごく魅力を感じたし、僕がやっている俳優という仕事に通じるのかなという思いがありました。戦争に左右されて影響される中で、お互いの信念がぶつかっていく日々はとてもつらかったんですけど、同時にすごく誇らしくて、最後は自分の言葉でちゃんと責任をもって戦争の終幕を収めることができたので幸せな時間でした」

森田剛が天才アナウンサーを熱演!「とても幸せな時間でした」――実話に基づく衝撃の史実「NHKスペシャル アナウンサーたちの戦争」

橋本 「女性アナウンサーとして入局した実枝子は、今の時代よりも女性としての立場が弱く居場所が少ないなど葛藤の多い中で強く生きた女性で、彼女を演じられたことはすごく幸福なことでした。また、私自身も、実枝子さんにとっても、本当に心から尊敬できる和田信賢さんを一番近くで見守ることができて幸せでした。ある意味、彼の生き方を左右できるのは自分だけなんじゃないかという責任もあったりして…。それに、信賢さんの表現にも彼女は深く関わっていたので、私自身も信念を強く持って演じました」

森田剛が天才アナウンサーを熱演!「とても幸せな時間でした」――実話に基づく衝撃の史実「NHKスペシャル アナウンサーたちの戦争」

高良 「演じていて苦しかったです。館野さんは言葉の力を信じてるからこそ、自分が正しいと信じた道を進んだのだと思います。だからこそ、より言葉の怖さも感じました。自分たち俳優は書いてあることを読むことが多いのですが、そのセリフをただ読むことにすごく難しさを感じました。そして、この時代に生きたアナウンサーの方たちも、こういう結果になると分からずに、自分のやっていることを信じ、日本のことを思ってそこに書いてあることを読んでいたんです。しかし、彼らが思い描いていたはずの結末は訪れず、戦争の怖さを強く感じました。戦争を題材にすることは、もう2度とこういう過ちを犯しちゃいけないということでもあるから、すごく意義があると思います。実際、館野さん自身も悔しかっただろうし、実在された方なので、いろんな思いが出てきて演じるのが本当に大変でした」

森田剛が天才アナウンサーを熱演!「とても幸せな時間でした」――実話に基づく衝撃の史実「NHKスペシャル アナウンサーたちの戦争」

安田 「米良忠麿さんを演じました。実在される方で、もちろん子孫の方々がいらっしゃいますので、普段の役も一生懸命やらせていただいているんですけど、不思議と思いが深くなりました。今回、何より、今の日本放送協会が戦時中の日本放送協会を描いているので『これはすごいことをやられたな! 面白い企画だな』と感じました。戦争が始まっちゃったら同じことを繰り返さない、アジテート(扇動)しない自信はありますか?と聞かれた時に『あります!』と答えられる人間がどれぐらいいるんだろう?と胸に突き刺さる作品でした」

森田剛が天才アナウンサーを熱演!「とても幸せな時間でした」――実話に基づく衝撃の史実「NHKスペシャル アナウンサーたちの戦争」

――一木監督はどのようにそうそうたるメンバーを集め、作られていったのですか?

一木 「ハードなネタだったので、私自身がこの方って信じた方々に一人一人丁寧に資料を作って説明をし、ラブレターを渡しているような感覚でした。いい芝居とかそういうことより、人の生々しさが出ているか、ちゃんと生きていることが描けているかに重点を絞りました。模索することに必死で、現場では『すごいお芝居だ!』と感動している余裕はなかったです。あらためて、この素晴らしいメンバーで一緒に作品を作れて本当に幸せで、人生のピークでした」

森田剛が天才アナウンサーを熱演!「とても幸せな時間でした」――実話に基づく衝撃の史実「NHKスペシャル アナウンサーたちの戦争」

――森田さんは主演として意識されたことはありましたか?

森田 「監督が、思ったことは思いっ切りやれと言ってくださったので、怖いんですけど、思ったことをやってみようという意識でいました。それから、皆さんと関わるシーンでは思いが一緒だからこそ、余計に難しいなと感じながら演じていました」

――そんな森田さんの芝居に対してお三方はどう感じましたか?

橋本 「本読みの時から森田さんの芝居を間近で感じ、圧倒され、本当にすさまじいなと思いました。壮絶な信賢さんの姿を一番近い存在として隣で見られる幸福を日々強く感じていました。私は、この作品で演じている間にだいぶメンタルがやられてしまって、時間がたった今も癒やされない傷があって…。(涙ぐみながら)それは太平洋戦争当時、生きていた人たちのずっと何倍も何倍も弱いものだと思うんですけど、そんな中、森田さん自身が本当に本気でぶつかって、信賢さんという実在した人を演じられているその熱意を感じて、私が今受けているこの傷は間違いじゃない、逃げてはいけないなと思いながら演じていました」

森田剛が天才アナウンサーを熱演!「とても幸せな時間でした」――実話に基づく衝撃の史実「NHKスペシャル アナウンサーたちの戦争」

高良 「森田さんのすごみはいくらでも話せます。現場で常に感じてすごいなと思っていました。それが完成された作品の中でも何倍も輝いていて、やはりすごいなと。ここまでやるには自分はどうすればいいのかと突き付けられましたが、森田さんが会話する時間をくれたり、向き合ったりしてくれてとても幸せな時間でした。今もそれが続いていて、本当にありがたい経験だったと思います」

安田 「森田さんはもちろんすごいのですが、私が現場で一緒の時は、森田さんが大体酔っぱらって寝ているシーンばかりだったので、『この人、いつも寝てるな』と思って見ていました(笑)。なのに、映像で見ちゃったらたまらなくて。学徒出陣のシーンの時なんて、ぼそっと『すげえっ』て声が漏れちゃいました。しまいにはフレームから外れて! 森田さんのお芝居って、五臓六腑(ろっぷ)がべろって出てきてしまうような、内臓に突き刺さるお芝居をされるんですよ。恐らく伝わってないですよね? でもとにかくすごいんです! 特に、橋本さんが森田さんを膝枕するシーン。実枝子が諭して、最後にほっぺをポンって触るじゃないですか。あれはもう編集できないよ! 橋本さんがトラウマになるぐらい入れ込んで、心が崩壊するくらいの芝居を一木監督が見事に描かれていて、素晴らしいシーンでした」

――すべてのシーンで感情移入されていてリアリティーがすごかったのですが、特にわれを忘れてしまったシーンはありますか?

森田 「学徒出陣のシーンは、撮影の前に学徒役の方とのコミュニケーションがあったので、グッとくるものがありました。何よりこの作品は、現実に基づいているということが大きいですね。本当にあったことで、経験した人がいる話を今この時代にやって、今の若者が見たらどう感じてくれるのかという重みがありますし、考えるきっかけになればいいなとすごく思っています。あと、さっきの膝枕のシーンは監督に指示されたんですよ!」

――女性(監督)が女性に指示したってことですね!

森田 「そういうことですね。なのであそこは好きなシーンですね!」

――橋本さんはどうですか?

橋本 「私もあのシーン大好き(笑)。それと、信賢さんがプロポーズするシーン。脚本で読んだ時、本当に度肝を抜かれました。すごいことを書くなと。温かいシーンでもあるけれど、ものすごく痛切なことを描いていて、なぜかプロポーズもされるし、どこで好きになったのかも分からないまま、これが時代なのかなとも思いながら(笑)。でも、そんな中で、その当時のこの2人にしかないコミュニケーションの形が、とても愛らしくてすてきでしたね」

森田剛が天才アナウンサーを熱演!「とても幸せな時間でした」――実話に基づく衝撃の史実「NHKスペシャル アナウンサーたちの戦争」

――高良さんはいかがですか?

高良 「なかなか選びづらいです。現場では自分が主役のような気持ちでいました。ただ真っすぐブレずにいて、やり続けた結果が館野さんの戦後だと思っているので、だから、すべてのシーンです」

――安田さんはどうですか?

安田 「米良さんが『マニラの皆さん、ごきげんようです』とアナウンスして、随分鼻にかけた声だなって思ったんですけど…。その後、脱出しようと同僚たちに声をかけた時に、窓をたたいたら本当に窓がパリンと割れてしまいまして…。まだリハーサルなのにどうしよう、どうしよう、ごめんなさいって。結構歴史ある建物でしたから、動揺しちゃって。そしたら、うそか分からないですが、プロデューサーの方がバーって来て、『保険に入ってるから大丈夫です!』と。その時、本当にわれを忘れてました」

――最後に見どころをお願いします。

一木 「ストーリーは生々しく、ちゃんと残っている正式な歴史という感じではなくて、1回隠したけれどもそこからもう1回、人々が語ったことでよみがえった歴史を皆さんと共に分かち合いたいです。自分たちの時代から逆算しないで、その時その時を必死に生き抜いた彼らの迫力や熱量が伝わり、今の自分事として捉えていただけたら本当に幸いです」

森田 「監督も言われてましたけど、今の時代だから意味があると僕は信じています。ここに来る時に代々木公園を通ってきたのですが、『ここにいる人たちは、今日こういう会があることを全く知らないんだろうな』と思うと、それは幸せなことなんだろうけど、なんか悔しい気持ちもありました。だからこそより多くの人に届けたいし、見てほしいなと思っています」

橋本 「実枝子さんとして生きた中で強く思っていたのは、彼女は誰よりも言葉を信じていて、誰よりもラジオを愛していて、ラジオによって人を救えると信じていたということです。しかし、その夢の機械だと思っていたものが、悪魔の拡声器になってしまったという皮肉が、とてもとても重い史実としてありました。私自身も今こうしてしゃべっている言葉が、誰かの心に残ってしまうかもしれない。もしかしたら社会を変えてしまうかもしれない。そんな力を持っているという発信者としての恐ろしさも感じながら、翻ってその言葉を受け取る側の身として、ネットや新聞や記事やテレビで話されている言葉や情報は本当なんだろうか?と真実とうそを見極める力を計算しなければいけないとすごく重く感じました。今この作品を見る方々が、それぞれに受け取ってくだされば幸いです」

高良 「このドラマは、情報が少なかった時代に、言葉と情報に翻弄された人々を描きました。手と足を使えばいろんな情報を得られるこの時代にこのドラマが作られた意義が、少しでも伝わるといいなと思います。体力と気持ちをちょっとこの90分に使っていただいて、自分事のように見ていただけると何か少しでも変わるのかなと信じています」

安田 「一木監督もおっしゃったように、キャストや脚本家の倉光(泰子)さんの真剣さがあり、熱い思いを発している人たちが集まって、さらに監督の思いがのっかって一つになった作品だと思います。皆さんがおっしゃるように、発信することで今の時代にも通じると思いますし、本当みたいなうそっていうのは最近すごくいっぱいありますけど、この作品はうそみたいな本当で、それは最近なかなかないので、ぜひぜひ見ていただきたいです!」

 作品を見させていただいて、90分間息をするのを忘れてしまったくらい、この時代に飲み込まれました。知勇兼備の信賢さんと静かにすべてを包み込む愛を持った実枝子さんが、時代を超えて、希薄になりつつある現世に優しい風穴を空けてくれることを願います。

森田剛が天才アナウンサーを熱演!「とても幸せな時間でした」――実話に基づく衝撃の史実「NHKスペシャル アナウンサーたちの戦争」
森田剛が天才アナウンサーを熱演!「とても幸せな時間でした」――実話に基づく衝撃の史実「NHKスペシャル アナウンサーたちの戦争」

【番組情報】

「NHKスペシャル アナウンサーたちの戦争」
NHK総合
8月14日 午後10:00~11:30

NHK担当 平野純子



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