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エンドロールにまさかのこだわりが? 番組始まって以来の奇跡も。総合演出・山内健太郎と放送作家・竹村武司が2時間SPの見どころを語り尽くす――「推しといつまでも」(連載コラム 第8回)2023/07/03

エンドロールにまさかのこだわりが? 番組始まって以来の奇跡も。総合演出・山内健太郎と放送作家・竹村武司が2時間SPの見どころを語り尽くす――「推しといつまでも」(連載コラム 第8回)

 TBS系にて毎週月曜に放送中の「推しといつまでも」の裏話や制作秘話、見どころなどを毎回インタビュー形式でお届けする連載コラム。

 第8回はMBSの総合演出・山内健太郎さんと放送作家・竹村武司さんに、7月3日放送の「推しといつまでもSP」について見どころなどを伺いました。

――ついに2時間スペシャル放送ですが、反響があったからこそでしょうか。スペシャル放送が決定した時のお二人の心境をお聞かせください。

山内 「プレッシャーもありましたが、2時間放送だからこそできることがたくさんあるのでよいチャンスだと思い、新たな企画で番組作りをしようという気持ちになっていました」

竹村 「いつもは『推しが我が家にやってくる!』をメインで放送していますが、今回の2時間スペシャルで“推し”というキーワードをテーマに、さまざまな企画ができるなと思っていたので、それを実行できるのがうれしく思いました」

――レギュラー企画「推しが我が家にやってくる!」のほかに、「B’z名曲&神ライブSP」と「推しの企業・ファミリーマートに感謝の逆クレーム!」が加わった3部で構成されていますが、新企画のB’z特集はB’z推しの山内さんが企画されたのでしょうか。

山内 「神曲特集という企画が6月から開始しました。2時間スペシャルではどなたにお願いしようかという中の1組がB’zでした。ほとんど露出のないアーティストなのでまさか成立するとは夢にも思っていませんでした」

――竹村さんはどう思われましたか。

竹村 「この番組が始まるきっかけがB’zの離島ライブ映像でした。私も山内さんもそのライブを元にこの番組を起草したので、B’zで始まりB’zに帰ってきたという感覚です。あとは、山内さんがB’z推しというのは痛いほど分かっていたので『よかったね』という母のような気持ちです」

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――では新企画「推しの企業・ファミリーマートに感謝の逆クレーム!」が生まれた経緯は何だったのでしょうか。

竹村 「推しの対象は人になりがちですが、物でも概念でもなんでもありですよね。そのうちの一つということで企業になりました。この企業をたまらなく好きなんだという人もいらっしゃると思うので」

――どういった内容なのでしょうか。

竹村 「個人が大きな組織に対して意見を言う時は、徒党を組んで、プラカードを掲げてデモ行進するというスタイルが主流ですが、あの手段は変えずに、意見する内容をポジティブに変えられないかという企画です。プラカードの文言もシュプレヒコールの言葉も、すべて企業に対する褒め言葉や感謝の気持ちになっています。『おいしすぎるんですけど!』みたいな」

――新企画をやってみていかがでしたか。

山内 「この芸能人はなんとなく知っているけれど、『実はこんなところがあるのか』という気づきができるのがこの番組です。例えば今回のB’zですと、なんとなくハードな音楽で派手なライブで…ぐらいまではみんな知っているのですが、実際にふたを開けてみると『こんなに体を張って頑張っているのか、こんな人間性にみんな引きつけられるのか』ということが分かるようになっています。ライブ会場でインタビューを取り、そこで出てきた言葉は「人柄が好き、謙虚さが好き」というのが多く、ランキングに入りました。私がB’zファンなので意外なところをより知ってほしいという気持ちはあるにせよ、意外なところが出せたのはファンの思いがあるからですよね。これからも誰かが誰かを思っていることを番組にしていきたいです」

竹村 「B’zのお二人が謙虚というイメージを持っていなかったので、『こんなにファン思いなんだ』とうれしい気づきがありました。この番組は、ファンでなくともその人のことを好きになってしまうという魔力があると思います。B’zに限らず、なんとなく名前とヒット曲を知っているけれど、深いところまでは知らないという方ほど意外な発見があると思うので、あらゆるスターの良いところを片っ端から紹介していきたい気持ちです」

――そして「推しが我が家にやってくる!」は、推されゲストがオリンピックの金メダリストである水谷隼さんです。見どころやマル秘エピソードなどをお聞かせください。

山内 「今回は放送されないので裏話になりますが、ファンの男の子の卓球スクールで、何十人もの仲間があるおもてなしをしてくれるんです。おもてなしの最後に水谷さんが、『せっかくだから一緒に卓球しよう!』と全員とラリーを打つということがあり、皆さんものすごく喜んでいました。水谷さんの感謝の気持ちが大きかったからこそのお返しで、とてもすてきな交流になっており感動しました。あと、今回は沖縄での撮影だったのですが、天気がずっと土砂降りで残念でした(笑)」

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――さらに今回はすごい後日談があるとか。

山内 「番組始まって以来のおもてなし後日談が付いてくるのですが、まるで漫画のような展開が起きました」

竹村 「すごかったですね。番組を作っているとたまにこういう奇跡あるんだなと。そこがつながるか?というような奇跡が起きました」

山内 「水谷さんがファンの男の子に、試合でピンチの時のアドバイスをしました。その後日、まさにその状況になり…という流れです。水谷さんがファンの男の子の人生によい影響を与えてくれたのかもしれないというエピソードになっています。ファンの男の子も推しである水谷さんの思いを真摯(しんし)に受け止めた結果かなと思いました。ぜひ、この奇跡をご覧いただければと思います」

――そんなVTRを見たスタジオの皆さんの反応はいかがでしたか。

山内 「感動の中の突然の驚きの出来事に『こういうことが起きるんだ』と言葉を失っていました。そしてスタジオでも水谷さんが、『卓球をやっていてよかった』とおっしゃってくれました。これはとても大きな一言だと思っています。引退してもなお、そういう気持ちになってくださったのは、推してくれている男の子の気持ちが伝わったということですから」

竹村 「山内さんが挙げたもの以外でしたら、ファンの男の子の家がとても格好いいです(笑)。今回の沖縄のご自宅がとてもすてきでしたので、そこも見どころになっています」

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――番組のエンドロールに、竹村さんが発案されたちょっとしたこだわりがあるそうですね。

山内 「エンドロールの最初に構成担当の名前(本番組なら竹村さん)を入れるのですが、推してくれたファンの方のお名前を入れているんです」

竹村 「本番組のおもてなしは、推してくれるファンの方々が一生懸命に推しのことを思って考えた案です。制作サイドからアドバイス程度はしますが、テレビ向けにしてほしいなど具体的な指示は出しません。だから構成のところに自分の名前が最初に入るのは違うかなと。実際におもてなしを考えているのはファンの方々なので、私の名前よりもファン方々のお名前を入れさせていただいております。あと、そういうことをすると、私が何となく格好よく映るかなっていうのもあります(笑)」

山内 「格好よかったな~。あの時の会議の竹村さん(笑)」

竹村 「優しさにあふれている番組だと思っているので、細かいところにも気を使った方がこの番組の得になるかなと(笑)。でも主役は本当にファンの方々です。エンドロールに記載するお名前は、構成だけでなく美術にも入れさせていただいています」

山内 「飾り付けをしてくださったご家族のお名前は、美術のところに入れさせていただいています。竹村さんがこの案を会議で出した時、スタッフ全員が満場一致で賛成しました。エンドロールに名前が載るというのはわれわれもうれしいことなので、ファンの皆さんはより特別に思ってもらえていると思います」

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――ブラックマヨネーズ・小杉竜一さんとHey! Say! JUMP・有岡大貴さんの裏話があるということですが。

山内 「B’zの曲で『Calling』という楽曲があるのですが、小杉さんが『Calling小噺』と名付けた、有岡さんによる見事なショートトークが出てきます。Hey! Say! JUMPの八乙女光さんもB’zの大ファンということで、有岡さんと八乙女さんの思い出の曲が『Calling』という話です。この『Calling小噺』でスタジオのみんなが盛り上がりました。今後、どこかでこの映像をお届けする予定です」

――貴重なお話をありがとうございました。最後に見どころやメッセージがありましたらお願いします。

山内 「自分のSNSで告知をした時に、B’zファンの方から『ありがとうございます』や『おめでとうございます』などのメッセージをたくさんいただいて恐縮しています。今回、B’zファンとしての自分と、番組の総合演出としての自分が同時に存在するので変な感じがありました。B’z特集ではVTRやテロップも私が作り、スタッフみんなにプレビューしてもらいました。みんなが『懐かしい』『この曲が好きです』『ここをもっと見たい』という意見を取り入れつつ、B’zファンの視点でも濃い映像が盛りだくさんの特集になったと思います。さまざまな映像をこれだけの尺で出せること自体がかなり珍しいことだと思うので、多くの方に見ていただきたいですし、今回は夜の9:00からの放送ですので、これをきっかけに番組を知る人が増えてくれたらうれしいです。推し企業のファミリーマート企画も幸せな気持ちになれると思います。私もファミマのフラッペをリピートするようになってしまいました(笑)。この2時間でB’zと水谷さんとファミマのことを知ることができる番組になっていると思うので、どうぞお楽しみください」

竹村 「2時間スペシャルでも相変わらず“好きと感謝”があふれている番組です。過去の回で松下由樹さんがスタジオでおっしゃっていた、『恋愛は好きって言いにくいけれど、推しははっきりと好きって伝えられるからすてき』という言葉がかなり印象的で、まさにこの番組を象徴する言葉だなと思っています。今回も『B’zを一生推します!』『水谷さんを尊敬してる!』『ファミマが大好きだ!』と、好きなものを大きな声で『好き!』と言う人がたくさん出てきます。『好き』と伝えようとする時に周りの反応などを考えてしまいがちですが、“好きと感謝”をはっきりと伝えることはとても素晴らしいことですので、この番組を見てぜひ周りに『好き』と『ありがとう』を伝えてみてください。そうすれば、よりよい世の中になるのではないかなと思います」

――奇跡のエピソードやエンドロールのこだわりなど幅広くお答えいただきありがとうございました2時間スペシャルの放送、楽しみにしています!

エンドロールにまさかのこだわりが? 番組始まって以来の奇跡も。総合演出・山内健太郎と放送作家・竹村武司が2時間SPの見どころを語り尽くす――「推しといつまでも」(連載コラム 第8回)

【プロフィール】

山内健太郎(やまうち けんたろう)
毎日放送のプロデューサー・ディレクター。30年以上の推しはB’z。「今、おもてなしをするならツアー中の稲葉(浩志)さんに加湿器と常温の飲み物と鶏鍋を、松本(孝弘)さんにお酒を用意し、ハマられているという盆栽にまつわるおもてなしをしたいです」。


竹村武司(たけむら たけし)
放送作家。推しはイッセー尾形。「人生で初めて見に行ったお笑いライブがイッセー尾形さんで、DVD映像はほぼ所持しております。2年前のライブにも足を運びました。おもてなしをするとしたら、自身がイッセー尾形さんになりきって一人芝居を披露します!」。

【番組情報】

「推しといつまでもSP」
TBS系
7月3日 午後9:00~10:57
※TBS放送後、TVerにて1週間無料見逃し配信!

取材・文/TBS担当 山本恵代



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