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継がれる浪漫──。斎藤工×西島秀俊がエンターテインメント大作「シン・ウルトラマン」で共演2022/05/19

スペシャルインタビュー/斎藤工×西島秀俊(映画「シン・ウルトラマン」)

 絶賛公開中の話題作「シン・ウルトラマン」で、巨大不明生物による災害対策のため設立された禍威獣特設対策室専従班、通称“禍特対(カトクタイ)”の作戦立案担当官にして“ウルトラマンになる男”神永新二を演じる斎藤工と、班長・田村君男を演じる西島秀俊。この取材直前、完成した試写を見たばかりの2人に話を聞いた。

斎藤 「まだ興奮冷めやらぬままですが、いち観客として圧倒されました。撮影自体は2年半前になりますが、その後の仕上げのフェーズにおいて1秒単位のこだわりを貫かれたことへの感謝と、本来こうあるべきなんじゃないかなというポスプロ(※撮影完了後の作業)の偉大さを感じました。最先端のVFXを駆使しつつ、同じぐらいアナログな撮影スタイルで円谷プロさんの歴史をなぞりながらアップデートしていくような現場でもあったので、出演する側もみんな、映像の魔法を作っていく現場の空気にワクワクしながら時間を過ごしてきた気がします」

西島 「すさまじい才能が結集すると、こういう素晴らしい作品ができるんだ、と感じました。試写の前に樋口真嗣監督が『この混迷の時代、大人にも、子どもにも、何を伝えることができるか考えながら作りました』とおっしゃっていて、すごく感動的だったんです。僕も子どもの頃にテレビで見ていて、ウルトラマンが怪獣に勝ったのにスッキリするわけでもない、不思議な感情を抱いていた記憶があります。それは、無意識のうちに怪獣たちの悲しさだったり、物語の裏側にあるものを感じ取っていたからだと思うんです。実際、子どもはみんな怪獣が好きでしたから。現実の世界で起きている問題を作品の中に落とし込んできた黎明期の作り手の皆さんの志の高さが、日本の特撮のレベルの高さにつながっているんだなと。それが今回の『シン・ウルトラマン』にも脈脈と受け継がれているんですよね。そこへ参加できたことを光栄に思います」

 1966~67年、革新的なテレビ特撮番組として好評を博し、最高視聴率42.8%を記録した「ウルトラマン」。その前に放送されていた「ウルトラQ」から始まる“空想特撮シリーズ”は、2人にも多大な影響を与えているという。

斎藤 「うちの父は若い頃、円谷プロでアルバイトをしていて『ウルトラマンタロウ』(73~74年放送)の現場で爆破のスイッチングを担当していたんです。その影響もあって、幼い頃の僕はウルトラマンの人形だけが唯一の遊び道具でした。ウルトラマンは自分にとって理想のヒーロー像であり、想像の源です。樋口監督も少年だった頃に目を輝かせたシリーズだったそうなので、西島さんがおっしゃった樋口監督の言葉は、かつての自分にも向けているんじゃないかなという気がするんです。うちの父も『シン・ゴジラ』(2016年)に熱狂していた人間なので、今回のプロジェクトを聞いた時、自分の息子が関わること以上に“これは絶対面白いものになるぞ!”って興奮していました(笑)」

西島 「小さい頃にテレビの再放送でたぶん全シリーズ見ていますし、ウルトラマンやセブンのDVDボックスも持っていますが、今見ても面白い。今回の『シン・ウルトラマン』も当時のテレビシリーズの空気をすごく感じるんです。愛のある人たちが撮っているからオリジナルのウルトラマンに対する尊敬があるし、成田亨さんのデザイン(※成田氏の油彩画『真実と正義と美の化身』で描かれた、カラータイマーや背びれのないウルトラマン)を今の技術で忠実に再現するんだという強い意思にも納得させられます。円谷プロさんとは、過去にドラマ『怪奇大作戦 セカンドファイル』(07年)でご一緒しましたが、長い歴史と経験で積み上げてきた独特のやり方があるんですよね。すごい財産だし、それを体験できたのは素晴らしいことだと思います」

 同じ禍特対メンバーの長澤まさみ、有岡大貴、早見あかりとのチームワークも抜群だったそう。そこで非粒子物理学者・滝明久役を演じた有岡の印象を聞くと?

斎藤 「試写の後、皆さんが『有岡さん演じる滝がすごかった』と言っていました。複雑な専門用語もたくさんありますし、一番観客に向けてストーリーテリングしてくれる役柄なので、大きなものを背負って見事に走りきってくださったなと。現場でも気配りの人なので、会った瞬間から『この人を嫌いになることないだろうな』と思わせてくださる方です」

西島 「とにかく頭がいい方なので、作品全体での自分の役割がすごく見えているし、それでいてかっこつけないんですよ。この作品の前から有岡くんの名前はいろんな監督から聞いていたので、共演をとても楽しみにしていました。ご覧になっていただければ分かると思いますが、実は一番人間らしい役でもあるんです」

 新型コロナウイルスにより制作スケジュールに影響が出て公開延期となった本作。待ったかいのあるスペクタクル巨編が完成した。

西島 「制作開始からの3年間で現実の世界が大きく変わりましたが、むしろ今の方が3年前よりこの作品とリンクするところがたくさんありました。それは本当に監督たちが今の世界というものを深く考えて突き詰めた結果だと思います」

斎藤 「スタッフと出演者が全身全霊で向き合った結晶なので、子どもから大人まで広い世代の方に楽しんでいただけたらうれしいです」

【プロフィール】

斎藤工(さいとう たくみ) 
1981年8月22日、東京都生まれ。しし座。A型。主演作のNetflixシリーズ「ヒヤマケンタロウの妊娠」が配信中。秋には西島との共演作「グッバイ・クルエル・ワールド」が公開予定。監督長編最新作の映画「スイート・マイホーム」(主演:窪田正孝)が2023年公開予定。


西島秀俊(にしじま ひでとし) 
1971年3月29日、東京都生まれ。おうし座。A型。近年の主な出演作に、ドラマ「シェフは名探偵」(2021年)、「真犯人フラグ」(21~22年)、劇場版「きのう何食べた?」(21年)など。主演映画「ドライブ・マイ・カー」が第94回アカデミー賞・国際長編映画賞など数々の賞を受賞している。

【作品情報】

映画「シン・ウルトラマン」

映画「シン・ウルトラマン」 
公開中

次々と巨大不明生物【禍威獣(カイジュウ)】が現れ、その存在が日常となった日本。政府は【禍威獣特設対策室専従班】通称【禍特対(カトクタイ)】を設立。禍威獣の危機がせまる中、大気圏外から銀色の巨人が現れ…。企画・脚本を庵野秀明、監督を樋口真嗣が務める。

【プレゼント】

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取材・文/秦野邦彦 撮影/增田勝行(SIGNO) 
ヘア&メーク/赤塚修二(メーキャップルーム)[斎藤]、亀田雅[西島] 
スタイリング/三田真一(KiKi inc.)[斎藤]、カワサキタカフミ[西島]



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