Feature 特集

57歳のあの人を直撃!! テレビの世界に生きる人・石橋貴明2019/08/07

57歳のあの人を直撃!! テレビの世界に生きる人・石橋貴明

「TVガイド」57周年にちなんで、57歳の有名人に話を聞くスペシャル企画。今回、満を持してとんねるずの石橋貴明が登場! 本誌の過去誌面を見てもらいつつ、当時の印象深い出来事を中心に話を聞いた。

「『TVガイド』と同い年って言うけど、俺は1961年生まれで1個上だから! こうして見ると、俺らも結構表紙になってるんだな~。懐かしいですよ」

◆365日毎日がお祭りみたいな、あの時代を経験できたのは面白かった

 本格的なデビューのきっかけは、80年の「お笑いスター誕生!!」(日本テレビ系)だが、石橋の“テレビ出演”は、小学生時代にさかのぼる。

「あの頃、テレビに出るってすごいことだったんですよ。どうやったら出られるんだと思ってね。最初に出たのは小学6年生の夏休み。当時、(旧称で)NETと言っていたテレビ朝日の『アフタヌーンショー』です。ちょうど(ザ・)ドリフターズの加藤茶さんの『ちょっとだけよ』が大人気で、夏休みに番組で“加藤茶さん大会”をやると知って、局に電話したらオーディションに受かって出ることに。生放送で自分がどう映ったとか、全然わけ分からなかったですね。でも、NETと書いたアルバムをもらったことは覚えています」

 69年にスタートしたザ・ドリフターズの「8時だョ!全員集合」(TBS系)は、子どもたちに絶大な人気を誇るお化け番組だった。70年代前半は、メンバーの加藤茶が名曲タブーにのせて、「ちょっとだけよ、あんたも好きねえ」とストリップショーを思わせる動きをして大人気に。ちょうど石橋がテレビ初出演を果たした73年、関東地区で視聴率50.5%(ビデオリサーチ調べ)を記録している。

 そんな中、石橋のテレビ熱は、中学生になるとさらに過熱する。

「本格的にこれ絶対出てやろうと思ったのは、中学3年生の時。『ぎんざNOW!』(TBS系)の“しろうとコメディアン道場”。友達2人と3人で出たんですけど、これが大問題になって。僕の担任が生活指導の先生で『受験生なのにこんなものに出やがって』と激怒された。やった内容が下ネタばっかりだったんですけどね(笑)。毎日『お前ら何考えてんだ』と言われるし、クラス会で『石橋くんのことはどう思うか』話し合うんですよ。先生に寄ってるやつらは『受験生なのにこんなことするのはよくないと思いまーす』なんて言うけど、俺からしたら、こいつさっきまで面白いって言ってたのに!と思って。このとき社会のひずみを見たね(笑)」

「ぎんざNOW!」は、72年から79年まで続いた生放送の素人参加の情報バラエティー。放送は平日夕方ながら、矢沢永吉が在籍したキャロル、フィンガー5、ずうとるびなどが出演して中高生に人気を博し、“しろうと~”のコーナーをきっかけに関根勤、小堺一機、竹中直人らがデビューしている。

「『ぎんざNOW!』の件は、うちの親父がすごく怒って、校長のところに乗り込んでいった。『保護者もついていたし、学校内で起こったことは学校の問題だが、一度家に帰って私服でしたことは家庭の問題である。親の管理下だ。学校教育においてそこまで言う権利はない!』って(笑)。親父は口がたったから、これで一発で収めました」

 そして、木梨憲武と出演したのが「お笑いスター誕生!!」だった。厳しい予選を経て、挑戦者が持ちネタを披露し、10週勝ち抜きのグランドチャンピオンを目指す。石橋と木梨は新沼謙治、具志堅用高、和田アキ子らのものまねなどで会場を沸かせ、注目される。審査員にはタモリ、赤塚不二夫らがいた。

「僕は一流ホテルに就職していたので、両親も僕自身もそこで働くものと思っていたんですけど、なんだか周りの大人が、君たち面白いから絶対に売れるから、チャンスは逃がしちゃいけないなんて言うわけですよ。僕はまだ18歳と何カ月くらいで、当時、とにかく車が欲しかった。俺たちの時代って18歳で免許とって車持ってないと女の子にモテない。中古のスカイライン欲しいけど、このままホテルマンの給料8万9500円では遠いかな~と思って。それと僕ら素人なのに、なぜかコマーシャルにも使ってもらったんです。それで『スカイライン、こっちのが早いかも』と…、まあ、若気の至り、怖いもの知らずでしたね。家族会議では母親に大泣きされて。親父は『大学行ったつもりで4年間やりなさい。売れなかったら、芸能バカにならずにきりをつけなさい』と。でも、その父親は僕が20歳の時に亡くなって…売れる直前でした。大学留年したと思って、あと1年だけと思っていた84年、『オールナイトフジ』(フジテレビ系)が決まって」

「オールナイトフジ」は女子大生中心のオールナイターズと共に、はやりものから料理、体験談などさまざまな話題を取り上げ、深夜帯を若者の時間にした番組だった。司会の片岡鶴太郎、とんねるずは売れっ子に、フジテレビは「夕やけニャンニャン」もスタートさせ、80年代黄金期に突入する。

「僕らは80年代、フジテレビがものすごい勢いの時にチャンスをもらった。365日毎日がお祭りみたいでした。苦労も楽しかったです。社員の人も不良ばっかり(笑)。いいのか悪いのか、あの時代を経験したのは面白かった」

57歳のあの人を直撃!! テレビの世界に生きる人・石橋貴明

 一方、「TVガイド」の表紙にもなった「時間ですよ ふたたび」(TBS系)に出演。銭湯を舞台にしたホームドラマだが、毎回、筋と関係ないギャグがあるのも名物であった。

「『時間ですよ』は本当にやりたくなかった(笑)。土日コンサートやって、『夕やけニャンニャン』もあるし、忙しくて休みなかったんですよ。撮影が(神奈川県にある)緑山スタジオって聞いた瞬間、勘弁して~と(笑)。最初は、久世(光彦)さんに乃木坂の『ステーキハマ』に呼ばれたんです。久世さんは『寺内貫太郎一家』や『ムー一族』(ともにTBS系)とかすごいドラマを作ってきた偉い人。すっごいお肉を『おいしいっすね』なんて言って、最後に抹茶アイス頼んだタイミングで『とんねるず、“時間ですよ”出てくれよ』って。こんなにおいしいもの食べさせてもらった後に、嫌です、出れませんて言えないよ(笑)。撮影が始まると、森(光子)さんとかの出番は早目に、僕らの銭湯の釜場のシーンはいっつも最後。深夜です。遊べなかったですね(笑)」

 同時期、とんねるずが司会をしてヒットした深夜のお見合い番組「ねるとん紅鯨団」(フジテレビ系)を「TVガイド」が取材した際には、石橋は「モテる男の条件」などを語っている。「そういえば『ねるとん』がスタートして3回目、『夜のヒットスタジオ』(フジテレビ系)でお会いした森進一さんから、『(森のものまねで)石橋くん、土曜日の夜にやってる男の子と女の子がお見合いしてカップルになる番組、すごく面白いね』って言われて、これは当たると(笑)」

「夜のヒットスタジオ」は、芳村真理らが司会を務め、海外スターも出演するなど、大人の歌番組として長く親しまれた。

「『夜ヒット』は伝統ある番組ですけど、僕らはふざけてるだけだもん。憲武なんか、一鉢100万円くらいする胡蝶蘭ですって芳村さんが紹介している横で花びらをパクって食っちゃった(笑)。『FNS音楽祭』では、空中につるしてあるだけで上れない階段みたいなセットを上ったり。この番組を担当したのは『夜ヒット』の名物プロデューサーで、後から『ありがとね~。盛り上げてくれて』と言われましたよ。テレ朝の音楽祭では、5~6mあるオスカー像みたいなセットを引っこ抜いた。大道具さんが『なんで抜くかな~』って嘆くんだけど、俺らはそういう人たちだと思われてるでしょ。普通にしていると『どうしたんですか』『元気ないですね』とか、やってくださいって雰囲気なんだよ。決まってることを破壊する。破壊者であることがとんねるず。それは『みなさんのおかげです』(フジテレビ系)でもほかの番組でも同じ気持ちだった」

 現在は「石橋貴明のたいむとんねる」(フジテレビ系)で、スニーカー談義からマイケル・ジャクソン、変態グルメなど多彩なテーマをゲストと共に石橋流に語り尽くす。

「この番組で、僕がやりたいことはたくさんある。すぐプロデューサーからお金がないって言われるけど(笑)。今、バラエティーって台本を印刷することがほとんどないでしょ。昔は専門の印刷屋さんもあったんですよ。お散歩、クイズ、健康もいいけど、それだけじゃね。予定調和をぶっ壊していかないと。テレビが頑張らないと。壊しがいがないよ!(笑)」

57歳のあの人を直撃!! テレビの世界に生きる人・石橋貴明

【石橋貴明と「TVガイド」の57年】

57歳のあの人を直撃!! テレビの世界に生きる人・石橋貴明

石橋が最初に表紙に登場したのは87年。その後、幾度となく表紙を飾り、ほか出演する人気番組へ「TVガイド」が密着したことも多々。そんな過去の登場一覧をちらりと見た石橋。その後の撮影時、「こんなのしてたよね」と当時のポーズを披露してくれた!

【プロフィール】

石橋貴明(いしばし たかあき)

1961年10月22日東京都生まれ。天秤座。A型。80年、木梨憲武ととんねるずを結成し、その後「とんねるずのみなさんのおかげです/した」など、さまざまな番組で活躍。DVD「とんねるずのみなさんのおかげでBOX コンプライアンス」が発売中。

【番組情報】 

「石橋貴明のたいむとんねる」
フジテレビ系 
月曜 午後11:00~11:40

多岐にわたるテーマについて、その道に精通したゲストと共に、石橋貴明が語り尽くす。最近では、千鳥らとのボウリング企画や、髙嶋政宏が紹介する“変態グルメ”など、スタジオを飛び出し繰り広げられる企画も話題に。

取材・文/ペリー荻野 撮影/島田香



この記事をシェアする


Copyright © TV Guide. All rights reserved.