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「エール」唐沢寿明が“息子”窪田正孝を絶賛。「裕一役はある意味、彼の真骨頂」2020/06/10

「エール」唐沢寿明が“息子”窪田正孝を絶賛。「裕一役はある意味、彼の真骨頂」

 恩師の藤堂先生(森山直太朗)から依頼された福島の小学校の校歌完成披露会をきっかけに、妻・音(二階堂ふみ)と娘・華を連れて福島に帰った古山裕一(窪田正孝)。第11週・第53回(6月10日放送)の連続テレビ小説「エール」(NHK総合ほか)では、実家に帰った裕一のために、父・三郎(唐沢寿明)が懐かしい仲間たちを呼んで裕一を歓待していましたね。宴席では楽しそうにしていた三郎ですが、どうやら病気のようでかなり心配です。三郎は一体どうなるのか。演じる唐沢寿明さんから、裕一役の窪田さんへの思いや、第11週の見どころに関するコメントが届きました!

――連続テレビ小説「エール」にご出演が決まった時はどんな気持ちでしたか?

「主演の窪田正孝くんとは、ドラマでの共演をきっかけに、数年前から交流があります。ですから今回は、父親役に限らず、どんな役でもオファーがあれば出演するつもりでした。 ちょうど父子のような年の差でもありますから、いわば父親のような目線で窪田くんを見ていますしね。彼には、もっともっと活躍してもらいたい。そのために力を貸せることがあればどんどん貸していきたいと思っているんです」

「エール」唐沢寿明が“息子”窪田正孝を絶賛。「裕一役はある意味、彼の真骨頂」

――三郎はすぐに人を信じてしまって経営者としては頼りないけど、優しいお父さんというイメージがありますが、役作りで意識したことはありますか?

「実は、初めて台本を読んだ時に、パッと浮かんだ人物がいるんです。僕の知り合いで、三郎にとても雰囲気が似た人がいるんですよ。いつもニコニコしていて、場合によっては怒ってしまいそうなことも、その人だとなぜか許してしまう。なんとかその人の雰囲気が出せないかなあと思いながら、演じました」

――三郎の話す福島ことばも魅力的です。福島ことばでのセリフはいかがでしたか?

「大変ですね〜。毎回、自分でもかなり練習して撮影に臨んだのですが、お芝居を合わせるとうまくできない。ちょっと発音が違うだけで、全然違う言葉に聞こえるようで……。そういえば、先日『あさイチ』に出演する際に、冒頭で福島弁を使いたいと思って西田敏行さんにレクチャーをお願いしたんです。言いたい文面を西田さんに吹き込んでもらって、その音源を何度も何度も聞いて練習したのですが、それでも難しかったですね。もう僕は、福島弁の才能がないとしか言いようがないです(笑)」

――裕一は三郎にとって、どんな息子だと思いますか?

「小さい頃から運動が苦手で、いじめられがちな子でしたから、三郎は裕一のことをずっと心配していたんじゃないでしょうか。弟の浩二(佐久本宝)の方がしっかりしているものだから、どうしても長男である裕一に目が行きがちだったのかなと。ですから、『裕一くんには音楽の才能がある』と藤堂先生に言われた時は本当にうれしかったと思います。最終的にそれが成功するかどうかは別にして、息子の夢を応援してやろうと素直に思ったはずです。でも考えてみれば、三郎が商売下手だったということが、息子にとってプラスに働いたのかなとも思います。商売上手であれば、ずっと仕事ばかりしていて、子どものことは母親に任せっきりだったでしょう。だからこそ三郎は、店をほっぽり出してでも、裕一のことを真剣に考えられたんじゃないかな」

「エール」唐沢寿明が“息子”窪田正孝を絶賛。「裕一役はある意味、彼の真骨頂」

――第 11 週「家族のうた」では、三郎が病に冒されていることが明らかになります。

「親は子どもより先に老いていくもので、こればかりは順番ですから仕方ないですよね。ずっと生きてたら、死神博士みたいになっちゃうから(笑)。第11週は、三郎の息子たちへの思いが描かれる週でもあります。これまで、裕一ばかりをかわいがっていたように見えた三郎ですが、彼には彼なりの考えがあった。それを息子たちにきちんと伝えるんです。それが、三郎が父親として整理しておかないといけないと心に決めていたことだったんでしょうね。浩二もずいぶん救われたんじゃないでしょうか」

――第 11 週で特に印象に残っているシーンを教えてください。

「裕一と2 人きりのシーンで、『お前らのおかげでいい人生だった。ありがとうな』と告げる場面がとても印象的でしたね。人間ってやっぱり、誰かのおかげでいい人生かそうでないかが決まってくるものですよね。特に三郎は、周囲のみんなに助けられて生きてきた人。裕一だけでなく、妻のまさ(菊池桃子)や浩二や店のみんなに支えられながら生きてきた人です。演じながら『みんながいたから幸せだった』と心から思える場面でしたし、三郎のように最後に幸せだったと言える人こそが真の幸せ者なんだと思いました」

――窪田さんのことは息子のようとおっしゃっていましたが、俳優としての魅力はどんな部分だと思われますか?

「才能ある俳優だと思いますね。どの役でも、そのイメージをちゃんとつかんで、物語の世界に入っていける。作品ごとに違う印象を与えることができる俳優です。『エール』の裕一役は、ある意味、彼の真骨頂じゃないかと思いますね。俳優にとって、“強さ”は出せても、裕一のような“弱さ”ってなかなか出せないんですよ。裕一役は、彼の中にある繊細さが存分に生かされた役だと思いますね」

「エール」唐沢寿明が“息子”窪田正孝を絶賛。「裕一役はある意味、彼の真骨頂」

――収録現場での窪田さんをどのようにご覧になっていますか?

「頑張ってますよ。主役には主役なりの何かが必要なんです。覚悟も含めて、共演者やスタッフを引き込んでいかないといけない。何で引き込むかは人それぞれですけどね。現場にいると、『なんとか引っ張っていこう』という彼の座長としての心意気が伝わってきます。 彼にアドバイス? ないですよ(笑)。違う人間だし、いくら先輩でもこちらからわざわざ助言するなんてことはありません。でも、逆にじーっと僕のことを見ている気配は感じるかな。僕がスタッフたちとばか話しているのをじーっと見てる。まねしようとしているのかもね」

――唐沢さんご自身が、音楽からエールをもらったということはありますか?

「僕、家出少年だったんですよ。若い頃は、いろんな人の家を泊まり歩いていました。そんな頃によく聴いていたのが、アメリカのバンド・テイスト・オブ・ハニーによる『上を向いて歩こう』のカバー曲(「スキヤキ’81」)。底抜けに明るい坂本九さんの曲と違って、曲調がとてもしっとりしているんです。聴きながら『上を向かなきゃダメだな』と思わされたことが何度もありました。この曲にはずいぶん救われました」

――最後に、視聴者の方にメッセージをお願いします。

「このドラマは、音楽でエールを届けようとする夫婦の物語ですが、ぜひとも視聴者の皆さんの力を貸していただきたいと思います。『エール』は、皆さんの“エール”で成り立っております!(笑)。どうぞよろしくお願いいたします」

――ありがとうございました!

「エール」唐沢寿明が“息子”窪田正孝を絶賛。「裕一役はある意味、彼の真骨頂」

 第54回(6月11日放送)では、みんなの前では元気にふるまう三郎ですが、往診に来た医師がまさや裕一に伝える三郎の病状は深刻なもの。裕一は三郎に食べたいものを聞きますが、当の三郎は久々に裕一のハーモニカを聴きたいと答えます。裕一はその時何と答えるのでしょうか。唐沢さんによると、裕一ばかりかわいがっていたように見えた三郎の、浩二に対する思いも明らかになるようなので、そちらも見逃せません。

【番組情報】

連続テレビ小説「エール」 
NHK総合 月~土曜 午前8:00~8:15ほか 
NHK BSプレミアム・BS4K  月~土曜 午前7:30~7:45ほか 
※土曜は1週間の振り返り。

NHK担当 K・H



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