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斉藤壮馬◆「演じる時は、今、アキラがどう感じているのかをシンプルに考えています」2021/01/20

斉藤壮馬◆「演じる時は、今、アキラがどう感じているのかをシンプルに考えています」

 2014年、自分を変えたいと思っている普通の高校生・夏目アキラは、交通事故に遭う。目が覚めた時には、2030年。アキラは脳だけの状態となり、未知の兵器「EX-ARM」No.00となっていた。アキラは戸惑いながらも、「EX-ARM」を巡る戦いに巻き込まれていく…。

 そんなエピソードで幕を開ける人気SFバトルアクション漫画「EX-ARM エクスアーム」が、アニメ化され絶賛放送中。体を失いながらも、困った人は放っておけず誰よりも熱く人間らしい心を持つ主人公のアキラを演じるのは、斉藤壮馬だ。斉藤から見たアキラという少年、そして作品の魅力とは? また、本作にちなんで語られた、斉藤が今欲しい“機械”とは? 

――原作を最初に読んでの感想をお聞かせください。

「オーディションを受けさせていただく時にまず拝読しました。SFであり、バトルものであり、非常に壮大な世界観の作品。残酷な描写やお色気シーンなど、いろんな方向の攻めた表現があって、刺激的かつ面白いなと感じました。同時に、原作は長い作品なので、“これをどうテレビシリーズに落とし込むのかな”とも思いました。アニメの脚本では、アクションシーンのト書きがすごく細かい! なので、ダイナミックにバトルシーンが楽しめると思いますね。原作にもTVアニメにも、それぞれ魅力がある作品です」

――演じていらっしゃる夏目アキラはどんな少年でしょうか?

「アキラは、物語冒頭ではわりとごく普通の高校生というか、何か一歩を踏み出したいと思っているものの、なかなか踏み出せずにいる男の子。そこから一歩踏み出したことによって、大きな運命の流れの中に放り込まれていきます。複雑な思考をする人というより、目の前に困っている人がいたら、考えるよりも先に助けてあげる人。僕から見ると、実はアキラは、早い段階で一歩踏み出せていると思います。アキラは自分のことを普通の高校生だと思っているけれど、彼にとっての“普通”は、僕や他人から見ると普通ではない、“特別”なものなのかなという気もします」

――アキラは人間の体を失い、脳だけの状態で未知の兵器「EX-ARM」になります。すさまじいハッキング能力を発揮し、さまざまなデバイスに接続して戦いますが、お芝居で気を付けている部分はありますか?

「本当に、アキラはすさまじい能力を持っていますよね。衛星も動かしてしまいますし…。アキラの能力は、いわば高性能なコンピューターのようなもの。ただ、本人が『自分は人間だ』と言っているように、彼の自己認識では、自分自身は普通の人間。脳だけの状態になっている事実を徐々に理解はしていくんですが…。なので、各デバイスに接続している状態だからといって、何かを特別変えることはありません。演じる時は、今、アキラがどう感じているのかをシンプルに考えています。特に、アニメは展開がスピーディー。アキラがずっと事態に戸惑い続けていることができない作りになっています。なので、その時々のアキラの気持ちを大事にしようと思って演じています。ただ、アルマというアンドロイドと意識を接続して戦うシーンがあって…」

――体はアルマだけれど、中身はアキラというシーンですよね。つまり、アキラのセリフをアルマ役の鬼頭明里さんがしゃべるという…。

「“アキラとアルマがシンクロしたシーンをどう表現するのかな?”と思っていたら、『アキラの心の声とシンクロさせます』と伺って…。“これは相当大変なアフレコになるだろうな”と思いました。特に序盤は、アルマとアキラのシンクロシーンが多いんです。アフレコは、先に僕がアキラを演じて、アルマ役の鬼頭さんがそれを聞きながら合わせてくれるという形。最初は、“大きく演じることによって、鬼頭さんが合わせやすくなるのかな”と思っていました。ただ、序盤の何話かを演じてみた感覚で、“合わせやすいようにしてあげようということこそが雑念なのでは…”と考えるようになったんです。だから、“あとは頼む”って気持ちで(笑)。そうしたら、鬼頭さんがバッチリ合わせてくださったので、それはすごくうれしかったです。本当にプロの技を見せてくれていますね!」

斉藤壮馬◆「演じる時は、今、アキラがどう感じているのかをシンプルに考えています」

――アルマのキャラクターも面白いですよね。

「原作漫画をお読みの方はご存知だと思いますが、この先、アルマのパーソナリティーにも重大な転換点が訪れます。アンドロイドは作られた段階ですごく精巧なものではあるはずだけれど、アルマにはダイナミックな変化があります。そこがすごく面白いですよね。機械は変化しないというわけではなくて、アンドロイドであるがゆえに、変化したり成長したりしていける。そこがすごく魅力的だなと思います」

――TVアニメの「EX-ARM エクスアーム」で、気に入っているエピソードはありますか?

「僕は5話(2月7日放送)のラブコメっぽい回がすごく好きなんです。アキラが目を覚ますと、普通の高校生に戻っていて、美波は同級生になっていて…という、アキラの意識が作り出した仮想空間を描くエピソード。どのキャラクターもかわいいのが印象的です。カッコいいバトルシーンをメインに据え、緊迫した戦いが続く作品ですが、僕はそんなさりげないユーモアやギャグシーンもすごく面白いと思っているんです」

――劇中で高度なハッキング能力を発揮するアキラですが、生身の人間の頃は機械嫌いでした。斉藤さんは、機械はお好きですか?

「僕は見た目が複雑に入り組んでいるものが好きなので、機械も好きですね」

――今欲しい家電などの“機械”はありますか?

「たまたま見かけたレコードプレーヤーがすごく欲しいです。スーツケースみたいな形で、カパッと開けるとレコードプレーヤーとスピーカーが内蔵されているミニマムな作り。しかも8000円ぐらい! 僕自身、レコード集めはしていないのですが、叔父がすごくレコードが好きで、以前、レコードプレーヤーを譲ってもらう話があったんです。でも、当時は六畳一間のような部屋に住んでいたので、さすがに置けなくて…。最近、レコードを探すアナログな楽しみに興味が出てきました。僕自身はCD世代ですが、ショップへ行って、ジャケットやバンド名でどんな音楽なのかを想像しながら買い、聴いてみて、すごく良かったり、ガッカリしたりした原体験が影響しているかもしれません。コレクター欲が高まっているんです!」

――斉藤さんは本や漫画もお好きですが、SFバトルアクションである「EX-ARM エクスアーム」ご覧になって、“他にももっとこういう作品が見たい!”と思っていらっしゃる視聴者の方々に向けてお薦めの作品はありますか?

「今まで触れてきたバトルものだと、王道ですが『幽☆遊☆白書』や『HUNTER×HUNTER』、『BLEACH』や『鋼の錬金術師』あたりが好きなのですが、もうちょっと違う路線でいくと、和久井健さんの『セキセイインコ』がお薦めです。主人公の少年が失った記憶の謎を鍵に展開されるサスペンスストーリーなのですが、かなり独特の雰囲気があって、好きな方はたまらないと思います。あとは、今ふと思い出したのですが、寺島優さん、藤原カムイさんの『雷火』もとてもお薦めです。藤原さんの美麗な絵で紡がれる、3世紀ごろの倭国を舞台にした伝奇バトル漫画です」

――それでは最後に、ファンの方へメッセージをお願いします!

「作品の軸となるのは、“かつて東京で何が起こったのか?”、“アキラは本当にそこに関与しているのか?”という二つの謎。アニメは原作とはまた別の見応えがあるストーリーになっていると思います。視聴者の方は、アキラ視点で物語を見ていただくことになると思いますので、アキラの感情に共感しつつ、ストーリーを考察して、楽しんでいただけたらうれしいです。そして、原作には数々の名バトルシーンがありますが、普段はあまり使われることがない手法で映像化しています。アニメーションの映像よりも先に、まず、アクターさんがアニメと同じ動きをしてくださった映像が作られているんです。アフレコ時は、それを見てお芝居をしました。素晴らしい映像になっていると思うので、バトルシーンにもぜひ注目していただきたいですね!」

斉藤壮馬◆「演じる時は、今、アキラがどう感じているのかをシンプルに考えています」

【プロフィール】

斉藤壮馬(さいとう そうま)
4月22日、山梨県生まれ。牡牛座。B型。アニメ、「スケートリーディング☆スターズ」「たとえばラストダンジョン前の村の少年が序盤の街で暮らすような物語」(ともにTOKYO MXほか)などに出演中。2ndフルアルバム「in bloom」が発売中。

【作品情報】 

斉藤壮馬◆「演じる時は、今、アキラがどう感じているのかをシンプルに考えています」

「EX-ARM エクスアーム」
1月24日
TOKYO MXほか
日曜 深夜1:05~1:35

未知の兵器「EX-ARM」が犯罪に多用されるようになった2030年の東京を舞台に、トラックにひかれて「EX-ARM」No.00となったアキラ(斉藤)の戦いを描く。自爆テロ事件の解決に挑んだアキラら警視庁エクスアーム対策課が次に果たすべきミッションとは!?

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取材・文/仲川僚子 撮影/JOKEI ヘア&メーク/紀本静香



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