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「西田二郎のたし算」第29回 AI時代にハッとさせるアイデアの本質 “脱クオリティー”が生む「味」2026/10/23 17:00

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「西田二郎のたし算」第29回 AI時代にハッとさせるアイデアの本質 “脱クオリティー”が生む「味」

 人気テレビ番組を長年けん引し、現在は枠にとらわれないコンテンツ作りの最前線を走る“伝説のテレビマン”西田二郎。彼がエンタメ業界の裏側や、これからの時代を生き抜くヒントを独自の目線で熱く語る不定期連載「西田二郎のたし算」!  今回は、AIが台頭する時代における「アイデアの作り方」について語る。

 どうも、西田二郎です。

 昔から、よく聞かれることがあります。

「アイデアって、どこから出てくるんですか?」

「企画って、どうやって作るんですか?」

「スターの私服」とか、いろんな企画が当たったこともあって、ヒットメーカーみたいに言われることもあるんですが、ヒットしようがしまいが、いろんなことを考えて、企画を出すわけですよね。

 そんな企画をどんな形で出すか……。

 基本はアイデアって人をハッとさせるもの。漫画でいうと、頭の上で電球がピカッと光る、あれです。「あ、ひらめいた!」。自分がひらめくこともそうですけど、受け手の人が「あ、そういえばその手があったか!」と思うもの。それがアイデアやと思うんです。

 そのために必要なのは、何か。

 今、はやっているものをトレースしても、誰もハッとせえへん。「まあ、そんなんあるな」で終わりです。雰囲気は出るけど、それはアイデアじゃない。

 アイデアは、ありそうで、なかったこと。これが重要です。

 全くないようなこと、例えば、100年前の人に「ロケットで月に行きます」と話したところで、誰もハッとしません。それもアイデアにはならない。

 みんなの今の現状の中で、「なるほど、その手があったか」と思わせる。そのために大切なのは、今という自分の座標軸をしっかり知っておくこと。そこを踏んどくことやと思います。

 ここで、今の時代です。

 AIが出てきたがゆえに、ハッとするものが、なくなってきてるんちゃうかなと思うんです。AIが出してくるものに、みんながもう、そもそもハッとしちゃう。生成AIの画像を見ても、「うわ、すげえの出たな」。まとめるのも、うまいことまとめてくる。

 AIは、僕らが今生きている情報の中で、ほんのちょっとハッとさせることに、めちゃくちゃ長けているんやろうと思います。

 だから、ハッとするアイデアは出しにくい。または「AIに出してもらったらええやん」となるのかもしれません。

 でも、AIがある時代だからこそ、AIには出せない、ハッとするアイデアもあるんちゃうかな。

 その本質は、脱クオリティーです。

 AIは、クオリティーを上げるために、みんな使いすぎていると思います。自分よりもできる、自分ではできないことがやれる。その連続の中にAIの活用があるとするなら、今の時代はやっぱり、クオリティーを求めないところで、人をハッとさせる。

 昔でいうと、蛭子能収さんのヘタウマな漫画にみんな、ハッとしたと思うんです。下手や言うてるんやけど、なんか味がある。

 そう、今の時代は、味の時代なんじゃないかなと思う、今日この頃です。皆さんも、ちょっとヘタでもええから、自分の味を足してみてください。きっと、人をハッとさせる何かが生まれると思います。

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【プロフィール】
西田二郎(にしだ じろう)

1965年生まれ。1989年に読売テレビ入社。「11PM」のディレクターを経て、「ダウンタウンDX」のプロデューサーに。2015年に営業局へ異動し、新規事業などを担当。現在は静岡放送(SBS)のCCIO(チーフコンテンツイノベーションオフィサー)、一般社団法人未来のテレビを考える会の代表理事を務めるほか、2026年6月、株式会社エビリーの最高クリエイティブ責任者(CCO)に就任。

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