「西田二郎のたし算」第25回 静岡には「ツッコミ」がない? 和やかな空気が生む新しい笑いのカタチ2026/09/25 17:00

数々のヒット番組を世に送り出してきた“伝説のテレビマン”西田二郎。現在はテレビ局の枠を越え、地方発のコンテンツ作りやYouTubeのデータ分析など、多岐にわたるエンタメの最前線で「新たなたくらみ」を仕掛け続けている。そんな西田が、業界の裏側や自身のキャリア、そしてこれからのメディアの面白さを熱く語る不定期連載「西田二郎のたし算」! 今回は、「静岡独自の和やかな笑いの文化」について語る。
どうも、西田二郎です。
僕は今、静岡放送(SBS)でCCIOとしてコンテンツ作りのお手伝いをさせてもらって、1年半くらいになります。静岡に通って、いろいろなやりとりをしたり、地元の皆さんの文化に触れたりする中で、ふと気付いたことがあるんです。
それは、「静岡には『ツッコミ』がないんじゃないか」ってことです。
もちろん、全くないってわけじゃないですよ。でもね、関西には「ボケ」と「ツッコミ」っていう文化がはっきりあるじゃないですか。誰かがボケたら、すかさず「なんでやねん!」ってツッコむ。そうやって笑いの幅を広げていく。そのスタイルが結果的に、テレビを通じて全国に浸透していったわけです。
でも静岡は、県民性なんですかね。あまり「人にツッコもう」ってして笑いを生む習慣がないような気がするんです。
こないだ、とあるイベントに登壇したときのことなんですけど。やりとりの中で、誰かがボケみたいなことを言ったんです。関西やったら絶対誰かが鋭いツッコミを入れて、ドッカン! と笑いが起きるような場面ですよ。
でも静岡では、ボケて、そのまま場がフワーッと和やかになるんです。「以上!」みたいな(笑)。強いボケで爆笑をもぎ取るっていうよりは、ボケてそのままクスッと笑いになる。なんというか、みんなが笑ってその空気を共有していること自体が、ツッコミの代わりになっているような、そんな感じなんですよね。
地域によっていろんなコミュニケーションの文化がありますけど、この「静岡にはツッコミがないんちゃうか」って話を地元の人たちにしたときもね、めちゃくちゃ面白かったんです。
関西やったら「そんなわけあるかい!」とか「ウソやろ!」って、ここでもまたツッコミが入るはずじゃないですか。でも静岡の皆さんは、それを聞いてニコニコして、やっぱり場が和やかになったんですよ(笑)。
関西の、丁々発止のやりとりで作っていく笑いももちろん面白い。でも、静岡のこの、ボケをフワッと包み込んでみんなで和むような笑いも、なんかすごくいいなって思うんです。
テレビのバラエティーって、どうしても分かりやすいボケと鋭いツッコミで構成されがちですけど、この静岡の和やかな空気感みたいなものを生かしたコンテンツができたら、また新しいエンタメの形になるんちゃうかなって、そんなことを考えながら、日々静岡でたくらんでおります。
【プロフィール】
西田二郎(にしだ じろう)
1965年生まれ。1989年に読売テレビ入社。「11PM」のディレクターを経て、「ダウンタウンDX」のプロデューサーに。2015年に営業局へ異動し、新規事業などを担当。現在は静岡放送(SBS)のCCIO(チーフコンテンツイノベーションオフィサー)、一般社団法人未来のテレビを考える会の代表理事を務めるほか、2026年6月、株式会社エビリーの最高クリエイティブ責任者(CCO)に就任。
キーワード
この記事をシェアする















