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町あかりの「ああ憧れの昭和歌謡TV」 <第3回「レッツゴーヤング(1982年10月3日放送回)>2020/11/29

町あかりの「ああ憧れの昭和歌謡TV」 <第3回「レッツゴーヤング(1982年10月3日放送回)>

 平成3年生まれのシンガー・ソングライターである私、町あかりは、昭和時代に放送されていた数多くの「音楽番組」に強い憧れを抱いています!

 そんな珠玉の昭和の音楽番組について熱く語るこちらの連載企画、第3回はNHKの音楽番組「レッツゴーヤング」をピックアップ。この番組、もちろんリアルタイムでは見ていませんが、私が中・高校生の頃(2006年頃~)にBSで再放送されていたのでよく見ていました。だから実はとても思い入れのある番組なのです。

 通称「レッツヤン」と呼ばれるこの番組は、1974~86年まで放送。それぞれの歌手が新曲を披露するのはもちろん、邦楽・洋楽のカバーやミニコントのコーナーも充実。毎回必ず番組のテーマソングを全員で歌うシーンも印象的で、“ヤング”という言葉の通り、青春のキラキラ感をたっぷり感じられる点が魅力です。また、同時期に放送されていた「ザ・ベストテン」(TBS系)や「ザ・トップテン」(日本テレビ系)とは異なり、大掛かりなセットや演出が少ないという点も個人的にはキュンとくるポイント。「豆電球がちりばめられた固定の装飾」「大量の女性バックダンサーが踊りまくる」という、いわゆる「ザ・昭和の音楽番組」と言えるようなオーソドックスなスタイルが、平成生まれからするとたまらないのです!

 今回は、見たことのなかった回「サンデーズ 涙の卒業式」(1982年10月3日放送)を見てみました。

町あかりの「ああ憧れの昭和歌謡TV」 <第3回「レッツゴーヤング(1982年10月3日放送回)>

 まずは、司会の太川陽介さんと松原みきさんによるフレッシュな進行と、おそらく10代ばかりの客席からの黄色い歓声に圧倒されます! その雰囲気から、テレビ番組というよりコンサートの収録のようにも思えてくるほど熱気ムンムンです。

 トップバッターは近藤真彦さん。自身のヒット曲「ハイティーン・ブギ」を披露する前に、当時人気のロックバンド、ジェネシスの「ペーパーレイト」(洋楽好きの私の母いわく「懐かしい! ラジオでよく流れていたよ」とのこと)を日本語訳詞で熱唱。こういったカバー企画自体の面白さももちろんあるんですが、この日本語訳された歌詞に絶妙なおかしさがあって大好きなのです(笑)。当時はみんなどういった感覚で聴いていたのかな…?

 そのほかのゲストアーティストは、前年に「ウェディング・ベル」でデビューしたコーラスグループ・シュガー、岩崎宏美さん、そして3人組の女性グループ・キャンキャン。有名無名問わないキャスティングで「こんなアーティストが出ているなんて!」と意外性があるのも、「レッツヤン」の素晴らしいところです。

 ちなみに私が今回最も感動したのは、「けんかをやめて」を披露した河合奈保子さん! 多くの方がご存じの通り、竹内まりやさんの作詞・作曲による大ヒット曲。私も今まで何度も聴いてきた曲ではありましたが、この日の奈保子ちゃんの歌唱をあらためて聴いたところ本当に絶品で大感動。強弱の付け方も巧みで、とても切ない気持ちがグッと伝わってくる、まさにレコード音源を超えてくるような表現力に脱帽です。女の子が恋愛で二股をするという、本来なら「嫌な女の子」に見えてしまうストーリーにもかかわらず、この奈保子ちゃんの歌唱を聴けば誰もが「しょうがないよね……」と同情してしまうはず(笑)。高い歌唱力を備えた奈保子ちゃんが、その真っすぐで誠実なまなざしで歌うからこそ成立する名曲なのだとあらためて感じました。

 そして、今回の最大の見どころは、サンデーズのメンバーによる卒業式と題したメドレーコーナー! サンデーズは番組に毎回登場するオリジナルグループ。新人の歌手たちで構成され、田原俊彦さん、松田聖子さんなどスターを多く輩出したことでも有名ですね。毎週多くの楽曲を歌い踊るメンバーたちの姿を見て「頑張れー!」と応援したくなるのは、例えば「Nizi Project」の奮闘を見ていた時の気持ちにも似ていたり? サンデーズのメンバーは1~2年ごとに代替わりをするので、こうして定期的に「卒業式」的なシーンがあるのですね。

 最も長く所属していた川﨑麻世さんをはじめ、堤大二郎さん、日高のり子さん、川島恵さん、新田純一さん、坂上とし恵さん、ひかる一平さんらが自身のオリジナル曲を披露。私は特に、川島さんの「ミスター不思議」、新田さんの「Hop Step 愛」、坂上さんの「き・い・てMy Love」が超大好きなのですけど、それらも含めてすべて番組がきっかけで誕生した名曲たち。そういった意味でも非常に価値の高い番組なのです。

 さらに、今回で卒業ということでみんな涙でキラキラ光る瞳……、いつもと違った表情なのがいとおしい! 卒業って学生時代ならではのものですから、当時のヤングな学生たちもそんなサンデーズの姿に強い親近感をおぼえていたのではないでしょうか。そしてまた次へとバトンがつながれるという点も、なんだか学校や部活動っぽくてすてきですよね。とにかくめちゃくちゃ「青春」を感じられる音楽番組! 令和時代にもあったらいいのになぁ。

 さて、こちらは歌謡ポップスチャンネルで12月22日に放送予定です。ぜひご覧くださいね!

スカパー!で「歌謡ポップスチャンネル」を見る!>>

【番組情報】

「レッツゴーヤング」
#7 サンデーズ 涙の卒業式(NHK放送:1982年10月3日)
歌謡ポップスチャンネル 
12月22日 午後7:00~7:45 

司会/太川陽介 松原みき 
「ハイティーン・ブギ」(近藤真彦)/「けんかをやめて」(河合奈保子)/「涙のC・Cガール」(キャンキャン)/「私・にほリカ人」(シュガー)/「暗くなるまで待って」(川﨑麻世)/「燃えてパッション」(堤大二郎) ほか

当時のアイドルたちが大勢出演した人気番組の過去の各タイトルを放送。一世を風靡した面々のフレッシュな映像を楽しめる。

【ご意見・ご感想etc.を募集中!】

町あかりの「ああ憧れの昭和歌謡TV」に関するご意見・ご感想、ご要望は下記アドレスまで。抽選で、町あかりさんのアルバムを7名様にプレゼントいたします。
machi-honoji@tokyonews.co.jp

町あかり

シンガー・ソングライター。2010年から活動を始め、作詞・作曲、編曲、執筆、イラストや衣装制作まで自身で行う。19年には、ビクターエンタテインメントからメジャー5thアルバム「あかりおねえさんのニコニコ♡へんなうた」をリリース。20年10月に、日本コロムビアから初のカバーアルバム「それゆけ!電撃流行歌」を発売。ほか、アーティストへの楽曲提供も行う。映画「男はつらいよ」と昭和歌謡曲、そして文鳥を愛する。

★公式WEBサイト:https://mcakr.com
★オフィシャルTwitter:https://twitter.com/mcakr



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