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「Good For」土岐隼一 インタビュー2022/05/25

「Good For」土岐隼一 インタビュー

「僕の思いをできる限り、いろんな形で楽曲に込められたらと思って活動をしています」

 アニメ「東京リベンジャーズ」(2021年)の羽宮一虎や「大正オトメ御伽話」(21年)の白鳥策など、さまざまな人気キャラクターを演じている声優・土岐隼一。19年にアーティストデビューを果たして以来、3枚のシングル、1枚のミニアルバムをリリースし、今年1月にはワンマンライブを開催。着実にステップアップを重ねてきた土岐が、ついに初のフルアルバム「Good For」を5月18日にリリースした。今回は、“自分らしい”表現とともに、ファンへの思いがたっぷり込められたアルバムについて聞いた。

――今回、1stフルアルバムをリリースした経緯からお聞きできますでしょうか?

「『次に出すんだったら、フルアルバムだよね』という話は、21年11月にリリースした2ndシングル『真心に奏』の制作中からスタッフさんと話していました。『ミニアルバムは出したことがあるから、次はフルアルバムをちょっと頑張ってみようか』と」

――今回のアルバムのコンセプトは何ですか?

「コンセプトを考えた時、今までに歌った楽曲を振り返ってみたところ、どちらかというと優しい楽曲が多かったんですね。例えば、『真心に奏』は『大正オトメ御伽話』のEDテーマでもありました。つらい状況に生きながらも頑張って幸せになろうとする主人公たちに寄り添う形で、温かな幸せを前面に出しています。普段、僕は愛嬌(あいきょう)があるタイプで、かわいらしいと思っていただくことが多いんですね。それはとてもうれしいことで、決して偽りの姿ではありませんが、僕自身のすべてではないのも確かで…」

――もっと違う面も出していきたいと…

「例えば…実家が接客業をやっていることもあって、僕の元々のしゃべり方は敬語を使ったはっきりしたもの。ただ、それだと同じキャリアの声優さんやファンの方と距離が生まれてしまうように感じたことがあったんです。そこでちょっとずつ崩したしゃべり方をするうち、距離が縮まりました。一方で、今もMCをさせていただく時は、きちんとしたしゃべり方をします。丁寧なしゃべり方も崩したしゃべり方も、全部が僕。例えるなら、今までのアーティスト活動では“ちょっと崩したしゃべり方の自分”を表現することが多かったなと思ったんです。そこで、今回のアルバムでは、いい意味で今までとは違うイメージをみんなに伝えられたらと考えました。年齢的にも、アーティストデビューから約3年経ったことを考えても、いいタイミングだと思ったんです」

――リード曲の「Good For」はじめ、楽曲も歌い方も少し“大人”を感じます。

「アルバムのコンセプトとして、少し落ち着いた雰囲気の楽曲を歌えたらと思ったんです。絵に例えると、“頭身が高め”と言いますか…」

――そんな楽曲の中で、「Good For」がリード曲になった理由は何ですか?

「今回収録した12曲中、6曲が新曲です。最初にそれぞれの曲調を決めて、アーティストの方に作曲を依頼しました。リード曲はどんな曲調がいいだろうとスタッフさんと話し合った結果、ファンク系のリズムを使った曲に決定。そこで違うイメージの曲調を選んでいたら、リード曲は別の楽曲になっていたかもしれません。曲が決まってから詞を順番に制作していきました。『Good For』の歌詞を考えたのは、実は結構最後の方だったんです。『ワスレモノ』のような失恋ソング、自分のふるさとに思いを馳せる『original scenery』、ある意味攻撃的な『半端なDistance』を歌った中、『Good For』の歌詞はどうしようかなと考えていきました。その時に思い浮かんだのが、僕がパーソナリティーをしているラジオ番組にいただくお便りのことでした」

「Good For」土岐隼一 インタビュー

――文化放送でオンエア中の「土岐隼一 ラジオ“Time with You”」ですね。

「まず前提として、僕は役者の仕事では、僕自身を好きになってほしいとはあまり思っていなくて…。“このキャラクター、めっちゃすてき!”とか“嫌なヤツ!”とか、演じたキャラクターが皆さまの印象に残ってくれる。それが、僕にとっての役者業のゴールなんです。そこから僕のことを知ってほしいとは思っていないのですが、それでもEDのテロップを見て、僕のことを調べてくださる方がいます。なおかつ、応援してくださる方もいます。アーティスト活動を見てくださるのは、そういった方々です。アーティスト活動のゴールは、そんなファンの方々に、“応援していて良かった”と思っていただくことなんです」

――そういったファンの方々が、ラジオにお便りを送ってくださるということですね

「そうなんです。お便りを見ていると、“自分はどうすべきか”を考えて人生の選択をしようとしている人がすごく多いなって思うんです。SNSもたくさんあって、人からの評価を敏感に感じ取りやすい世の中になっているからこそ、選択に悩んでいる人が多い。いつもそういったお悩み相談を受け止めたいと思っているし、全力で応えたいと思いながら読んでいるんです」

――「Good For」の歌詞は、人生の選択に悩んでいるファンの方々へのメッセージなのですね。

「声優の仕事をやっている人で、“向いているからやった”という人は、そんなにいないと僕は思っているんです。やっていく中で、結果的に“向いているな”と感じた人はいると思いますが、この職業は、“やりたい!”という自分のモチベーションがすべての人がほとんど。だから、“そんなに人からの評価を気にしなくてもいいんじゃない?”って伝えたいんです。自分がいいと思ったことを何も考えずにやってみたら、意外と何とかなるかもよって。それに、周囲からの評価は、あくまで“今”の自分に対する評価。やっていくうちに自分がやれること、やらなきゃいけないことは変わっていくものですから。今まで歌った楽曲だと、『約束のOverture』は情熱的に“俺はこう生きてきたぜ”と歌うことで、みんなの背中をちょっと押すような内容でした。『真心に奏』は、一緒に寄り添って幸せを感じるような楽曲で、聴いてくださる方と同じ目線や年齢感に立っていました。ただ、今回のアルバムのコンセプトは“大人の雰囲気”ですから、『Good For』の歌詞は、ちょっとだけみんなより上の目線に立ったアドバイスになっています。僕自身、そういったアドバイスで心が軽くなった経験があったので…」

――自身の経験を楽曲に反映されているんですね。

「はい。ただ、そういったことを“感じ取ってくれ”と言うつもりは毛頭ないんですよ。本来、“こういう解釈なんです”ということは、あまり多くを語るべきじゃないとも思っています。あっ、決してこういったインタビューを受けたくないという意味ではありませんよ!」

――あまり語らずとも思いを感じてもらえれば…ということですよね。

「そうですね。例えば、僕のラジオも、皆さん、家事や運転をしながら聞いてくださっています。僕は、音楽もやっぱりそういった生活のひとつのパーツとして聴くものだと思っているんです。ただ、僕自身歌が大好きですし、発信する側としては、思いを込めたいと考えています。それはアーティスト活動をさせていただくと決まった時から変わっていなくて、一曲一曲全力で、自分の気持ちを込めて歌いたいなと。声優としてキャラクターソングを歌う時は、キャラクターの思いや生き方が歌に付随するもの。でも、アーティスト活動では、皆さん“土岐隼一の歌”が好きだから楽曲を買ってくださる。だからこそ、僕の思いをできる限り、いろんな形で楽曲に込められたらと思って活動をしています」

――ちなみに、以前、ご自身のTwitterで「約束のOverture」は青、「僕らには有ったよなぁ」は水色、「Party Jacker」は赤など、楽曲のイメージカラーも発表されていましたが…。

「あれは、僕自身のイメージでもあるのですが、ラジオ番組で『この楽曲は何色だと思いますか?』と募集した結果でもあるんです。皆さんが『この楽曲はライムグリーン』などなどお便りをくださって、色ごとの票数を考えつつ、最終的には僕が決めています。楽曲のイメージカラーは、アーティスト活動の中で、唯一ファンの皆さんと一緒に決められるもの。それも僕の中で大きな楽しみのひとつなんです。ただ、楽曲が増えてきたので、そろそろ1曲ごとのカラーをみんなで決めるのは難しいかもしれません。『ファンの皆さんとできることを新たに考えないといけないね』とスタッフさんと話しています」

――1月にはワンマンライブを開催されました。変化を感じたことは?

「ワンマンライブが終わった後、3月に『大正オトメ御伽話』のイベントがありました。そこで『真心に奏』を歌わせていただいたんです。僕にとってはパフォーマンスが過去イチ難しいなと思う曲だったのですが、めちゃめちゃ歌いやすくなっていて…。作品のイベントということでトークもしますし、衣装の袴を着ての歌唱でしたから、マネジャーさんと事前に『ヤバいんじゃないか』、『頑張ります』なんて会話をしていたんです。それなのに、無駄な力を入れることなく歌えました。そのイベントにはワンマンライブのスタッフさんたちもいらして、『クオリティーが一段上がっていた』とおっしゃっていただきました。他の方々にもそう思っていただけたということは、ワンマンライブで得たものがあったんだなと思えた出来事でした」

――アルバムタイトルは、リード曲と同じ「Good For」ですが、そこに込めた思いを教えてください。

「“Good for you.”は、『君に似合うね、いいじゃん』っていう意味らしいんです。そこで、“for you”、つまり『あなたにとって』をとっぱらって、“この12曲のどれかがあなたの生活のどこかハマりますように”というイメージでタイトルを決めました。『for』の後には、自由なものを入れて、“○○にいいじゃん!”と、それぞれに思っていただけたらうれしいです」

「Good For」土岐隼一 インタビュー

【プロフィール】

土岐隼一(とき しゅんいち)

5月7日、東京都生まれ。牡牛座。A型。アニメ「デュエル・マスターズ キングMAX」(テレビ東京系)に出演中。7月8日スタートの「ブッチギレ!」(TOKYO MXほか)、「惑星のさみだれ」(TBSほか)、7月スタートの「シュート!Goal to the Future」(TOKYO MXほか)に出演。

【作品情報】 

「Good For」土岐隼一 インタビュー

1stフルアルバム「Good For」
発売中
【初回限定盤(CD+DVD)】¥4,180 【通常盤(CD)】¥3,300 ※写真 【きゃにめ限定盤(CD+DVD)】¥5,280
PONY CANYON

軽快かつクールな「Good For」や「半端なDistance」、ゆったりしたメロディーに直木賞作家の朝井リョウによる詞を乗せた「Home」、レゲエ調を取り入れた「きっと、もっと」など粒ぞろいの12曲を収録。土岐の新たな一面が分かる1枚だ。

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④土岐隼一 特典生写真D

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⑤土岐隼一 特典生写真E

「Good For」土岐隼一 インタビュー

⑥土岐隼一 特典生写真F

「Good For」土岐隼一 インタビュー

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取材・文/仲川僚子 撮影/SHOTA SOTODATE ヘア&メーク/江口麻美(e-mu) スタイリング/村留利弘(Yolken) 衣装協力/コウズ リック クロ



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