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松岡禎丞◆「アスナの心情がTVアニメの時よりも詳細に描かれていたので、彼女に対する思いは変わりました」2021/10/13

 2012年にTVアニメ化された「ソードアート・オンライン」。仮想空間にフルダイブできるようになった世界で、VRMMORPG「ソードアート・オンライン」の参加者が、ゲーム開発者の茅場晶彦(山寺宏一)から「ゲームをクリアするまで脱出不能。ゲームオーバーは現実での死を意味する」と告げられる展開は、当時のアニメファンに衝撃を与えた。そして、そのデスゲームのクリアに向かって、すさまじい強さで突き進んでいったのが、松岡禎丞が演じる主人公のキリトだ。

 これまで数度のTVアニメ化、17年には劇場アニメ化もされるなど、長く愛され続けている「ソードアート・オンライン」シリーズだが、10月30日に劇場版2作目となる「劇場版 ソードアート・オンライン -プログレッシブ- 星なき夜のアリア」が公開。本作はTVアニメ「ソードアート・オンライン」の始まりの物語をキリト視点でなく、ヒロインのアスナ(戸松遥)視点から描いたものとなる。今回、松岡に本作の魅力を語ってもらった。

――「劇場版 ソードアート・オンライン -プログレッシブ- 星なき夜のアリア」が公開されることを聞いた時は、どう思いましたか?

「僕の声優人生の中で、これだけ長く続いている作品ってないんです。ずっとキリトとしてお芝居をしてきましたし、キリトと共に歩んできて、僕もいろいろなお芝居を経験してきましたので、その蓄積量が当時の僕とは全然違うんです。なので、“今の僕が当時のキリトを全力でやってしまうと、全く違うものになってしまうのではないか。かと言って、当時のものまねでやるというのも違うだろう”という葛藤が僕の中でもありました。結果的に、当時演じていた14歳のキリトをあらためて今の自分で演じるところに落ち着いたのですが、本番が来るまでは不安の日々でした(笑)」

――昨年まではTVアニメ「ソードアート・オンライン アリシゼーション War of Underworld」が放送されていましたが、そこでユージオ役を演じられていた親友の島﨑信長さんとは、何かお話されましたか?

「信長とはレギュラー作品が一緒の時があり、その時に『映画、やるよ』と話したら、『でも、俺出ないしなぁ』と言われて、『うん…、そうだね』ってなりました(笑)。エピソード的には昔の話なのでユージオが出ないのは仕方がないのですが。それもあり、『またTVシリーズも続くかもしれないから、その時は共演できたらいいね』という話はしました」

――今回の劇場版を見て、あらためてアスナのかわいさが分かったのですが、松岡さんはいかがでしたか?

「14歳のキリトを演じていた時は僕もいっぱいいっぱいだったので、当時のアスナとの間にあった距離感を完全に忘れてしまっていました。なので、テストで戸松さんと掛け合った瞬間に、“うわっ、壁がある!”と思いました。アスナがモンスターに襲われているところを助けたので、アスナも動揺していてそれどころではなかったのかもしれないですが、“誰、あなた?”のような目つきで、その後もキリトとして話していけばいくほど寂しい気持ちになってしまって…。これまでのTVシリーズで夫婦漫才のように『キリトくん、キリトくん』と言われていたものが一気になくなってしまったので、“心の距離って、最初はこんなに遠かったのか…”と思いました。ですが、アスナの心情がTVアニメの時よりも詳細に描かれていたので、彼女に対する思いは変わりました。僕の中のアスナは、TVシリーズを通して、心も含めてすごく強いイメージがあったんです。でも、映画を見た時に、強いだけではない等身大の女の子で、彼女の弱い部分もきちんと描かれていたので、守ってあげたくなるような意識になったのは新鮮でした」

――確かに距離はあったかもしれません。

「いや、でも終始かわいかったですよ! 今回は絵のタッチも違っていたので、“やっぱりアスナってきれいなんだな”と思いました」

――アスナを演じる戸松遥さんとの掛け合いはいかがでしたか?

「僕は不安でギリギリまで悩んで現場に行ったのですが、この作品では戸松さんにとても引っ張っていただきました。アスナと掛け合ってみて、あらためてアスナの気丈さ、やせ我慢をしているところなど、こんなにも危うい人だったんだと戸松さんのお芝居から伝わってきました。やはり“戸松さんってすごい人だな”と。あと、現場を盛り上げてくださいますし」

――アスナを「ソードアート・オンライン」のゲームに誘うミトという新キャラクターも登場しましたが、松岡さんとは共演経験も多い水瀬いのりさんが演じています。何かアドバイスなどはしたのでしょうか?

「その前に全部終わってしまっていた感じでしたね。しかも、ミトとキリトは絡みが少ないので、アフレコも一緒ではなかったんです。ただ、こういった取材のタイミングで水瀬さんのお話を聞いていて、『ソードアート・オンライン』に対する思いの強さを感じました」

――ちなみに、これまでさまざまなキリトを演じてきていますが、演じている時に軸としているものはあるのでしょうか?

「結構僕は感覚でやる人間なので、それをうまく言葉では説明できないのですが、実際に演技をしてみて、声って後から勝手に出てくるものだと思っているんです。実際に次に何が起こるのか、キャラクターたちは知らないわけですが、演じている自分たちは展開を知らないとできなくなってしまう。そういったいろいろな矛盾を僕らは抱えながらお芝居をしているんです。だからこそ、役に入った時は、相手のお芝居を聞いて、その時のキリトの心情を考えながら、話せばいいといいますか…。それが一番難しいことなのかもしれないですけどね」

――以前、「本作でTVアニメの当時は技術的に足りていなかった部分を埋められた」ともおっしゃっていましたが、それは具体的にどんなところですか?

「ボス戦でディアベル(檜山修之)を助け起こすところですね。当時の自分も思ってはいたのですが、もう少し躍動感とか緊迫の度合いは付けられたのかなと。当時の自分は勢いで乗り切った感じでしたので、もう一度演じたいと思っていたところ、台本にそのセリフがあったので、“やったー!”となりました」

――でも、当時にしか出せない良さもあると言いますよね? その点はどうでしたか?

「当時も自分の全力でやっていたのですが、今の自分が見ると“未熟だったな”と思うところは多いんですよね。悔いを残したくないという気持ちでいつもやっていますし、当時にしか出せないものは絶対にあるので、それはそれで良いものなのですが。細かい粗は探すと出てきてしまいます」

――放送直後は反省点ばかりが見えてしまうと言いますが、時間がかなりたつと客観的に見られたりするという話はよく聞きます。松岡さんはどうですか?

「僕はずっと覚えているタイプといいますか、自分が出ている作品を見ると、良いところよりも悪いところを探そうとしてしまいます。ただ、“これは何も言い残すことはない、すごいものを見てしまった”と思う時もかなりまれですが、あります。粗探しをしようと思って見ていたら、物語に没頭していて“面白かった!”みたいな…」

――「劇場版 ソードアート・オンライン -プログレッシブ- 星なき夜のアリア」でもそうなるかもしれないですね! では最後に、作品を楽しみにされている方々にメッセージをお願いします。

「本作はアスナ視点ですので、これまでアニメを見てくださっていた方、原作を読まれている方にとっては当然楽しめる内容だと思っています。さらには、『ソードアート・オンライン』の名前は知っていて興味はあるけれど、どこから見ればいいのか分からないという方にこそ、見ていただきたいと思っています。アスナ視点の作品ですので、“この時キリトは何をしていたのかな?”と気になったら、ぜひTVシリーズを見ていただければと。そうやってどんどん沼にハマっていただければうれしいです(笑)」

【プロフィール】

松岡禎丞(まつおか よしつぐ)
9月17日北海道生まれ。乙女座。O型。アニメ「吸血鬼すぐ死ぬ」(TOKYO MXほか)、『テレビアニメ「鬼滅の刃」無限列車編』などに出演中。12月5日スタートの『テレビアニメ「鬼滅の刃」遊郭編』(ともにフジテレビ系)に出演。2022年1月スタートの「佐々木と宮野」にも出演予定。

【作品情報】 

「劇場版 ソードアート・オンライン -プログレッシブ- 星なき夜のアリア」
10月30日全国ロードショー
配給:アニプレックス

川原礫のライトノベルを原作に、2012年にTVアニメ化した「ソードアート・オンライン」のアインクラッド編を劇場版として再構築。次世代VRMMORPG「ソードアート・オンライン」を舞台にキリト(松岡)が活躍する物語を、ヒロイン・アスナ(戸松)視点で描く。

【プレゼント】 

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応募はコチラ→https://www.tvguide.or.jp/tvguide_enquete
(応募期間:2021年10月13日正午~10月20日午前11:59)

ハガキでの応募方法は「TVガイド」10月15日号(P98)ご覧ください。
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取材・文/塚越淳一 撮影/Marco Perboni

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