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増田昇太(s**t kingz NOPPO)☆「ボイスⅡ」で衝撃の再登場! 役作りの過程に迫る2021/09/15

増田昇太(s**t kingz NOPPO)☆「ボイスⅡ」で衝撃の再登場! 役作りの過程に迫る

 ハイクオリティーなパフォーマンスで、音楽番組に出演するたびSNSをにぎわわせるダンスパフォーマンスグループ、s**t kingz。芝居を交えたダンスショーなども行う彼らは、最近本格的に俳優業にも進出。

 今クールでは、NOPPOこと増田昇太が「ボイスⅡ 110緊急指令室」(日本テレビ系)に俳優として出演し、話題を呼んだ。演じたのは、樋口彰吾(唐沢寿明)の跡を継いだ緊急出動班2代目班長で、橘ひかり(真木よう子)の恋人でもある重藤雄二。物語のキーとなる重要人物である。俳優経験はほぼないという増田だが、いったいどのようにキャラクターにアプローチしていったのか――。そのストイックな役作りの過程に迫る。

――増田さん演じる重藤雄二は頼れる班長として登場し、第1話のラストで焼死したかと思いきや、後に実は生きていたことが判明。復讐(ふくしゅう)に燃える男としてまた別の顔を見せます。とても難しい役どころだったと思いますが、役作りはどのようにされたのですか?

「最初に台本を読んで、漠然としたキャラクターを思い描きました。唐沢寿明さん演じる樋口に憧れている男なので、いかにも“漢”というどっしりした雰囲気かなと。演技の経験がほぼなかったので、何度も何度も台本を読んで、周りのスタッフさんたちとも相談しながら役を作っていきました。自分が思い描く重藤を、自分のフィルターを通してやってみると少し優しくなってしまうと思い。かと言って、あまりやりすぎてもわざとらしくなってしまうので、自分の想像と普段の自分の間ぐらいで役作りをしながら練習していきました」

――しゃべり方からして、もう普段のNOPPOさんとは違っていて驚きました。

「特に初回が一番大切だなと自分でも思っていたので、最初の撮影に入るまで1週間ぐらいは、しゃべり方をはじめ、歩き方もマインドもすべて重藤でいようと思いながら過ごしていましたね。毎晩走って、重藤だったらこう走るんじゃないかと考えたり。いろんな想像を積み重ねながら役作りをしていきました」

――ご自身のお芝居を撮影して、見直しながら練習したりもされたとか。

「はい。俳優業としては経験がほぼゼロなので、ダンサーとしての強みも生かそう、俯瞰でしっかり自分を見ようと思い、ビデオで自分の芝居を撮って見直すということもやりました。画角や寄り引きの具合で表情の見え方が変わってきたりもするので、ちゃんと自分の中の重藤像とマッチさせられるよう、撮影したものをチェックして。燃やされるシーンの練習では、家で筋トレ用のゴムチューブを高いところに巻いて、縛られている様子を再現しながら練習しました」

増田昇太(s**t kingz NOPPO)☆「ボイスⅡ」で衝撃の再登場! 役作りの過程に迫る

――いきなりハードなシーンがあって大変でしたね。

「頼れる班長として登場して、途中にはプロポーズのシーンがあったりしつつ、最後には燃やされるという…(笑)。幅広くいろんな場面を演じさせてもらいましたが、役者としてはいろんな経験をその1話の中でやらせてもらって幸せだなと思いました。普段はおっとりした人間なので、新しい自分に出会えたような感覚がありますね」

――そして、第8話では感情を爆発させるようなシーンもあり、また別の苦労があったかと思います。

「そうですね。第1話では仲間に信頼されるような…危険な目に遭っても、“最後まで諦めない”という気持ちを持った人物だというポジティブな伝わり方ができたらと思って気持ちを入れながら演じていましたけど、第8話では俗にいう“闇堕ち”みたいになって(笑)。あんなに冷静でどっしりした人物が殺人を犯すなんてよっぽどのこと。そこに至るまでどう心を持っていけばいいのかということは、とても悩みました。だから、とにかく想像を重ねましたね。母親が前に亡くなっているという設定なので、ずっと妹と2人で暮らしていたんだろうなとか、2人の間にはこんな思い出があったんだろうなとか。そうすると、そんな大事な存在が急に亡くなってしまって、それが実は殺されていたとなると、自分の中では抑えられない憎しみや苦しみが湧いてくるだろうなと、自然に考えられるようになりました。やっぱりきれいごとは言っていられなくて、自分も死ぬ気で何かしないと前に進めないだろうなと。そう考えると、妹の無念を晴らす重藤の気持ちと、妹自身の気持ちにもなっている自分がいて。犯人と対峙(たいじ)する場面では、それを全部相手に当てるつもりでいきました。動物的アプローチをすると声や瞬発力もグッと上がるというのをお芝居の本で学んだので、トラやヒョウ、ライオンに成り切るというのを家でも練習して。本番でも動物的な本能むき出しな状態になって相手に全部ぶつけられたなと思いました。心情的には、第8話はめちゃめちゃつらかったですね…。でも、演技のお仕事を始めたばかりの立場としてはすごくフレッシュな状態で、めちゃめちゃ楽しくもありました。つら楽しい感じです(笑)」
 

増田昇太(s**t kingz NOPPO)☆「ボイスⅡ」で衝撃の再登場! 役作りの過程に迫る

――身体的アプローチで役に近づいていったとのことですが、ダンスをやっていることがお芝居に役立つことはありましたか?

「アクションのシーンでは役に立ったのですが、それよりもダンサーの癖で困ることが多かったですね。座り方や歩き方でも、ダンサーならではの身のこなしのよさがあだとなってしまう部分が結構あって(笑)、そこは今も課題だなと思っています」

――そして、今回は“白塗りの男”こと久遠京介(安藤政信)の舞の振り付けもされました。登場人物に振りを付けるとなると、増田さんご自身もその役に成り切る必要があったのではないかと思いますが…。

「前もって安藤さんに振りや構想をお渡ししないといけなかったので、スケジュール的には重藤の役作りをする前にまず久遠から入りました(笑)。監督から得る情報をもとに、自分の中で『ここに執着しているんだったら、過去にはこういうことが起きていたのかな』というようにストーリーを勝手に作っていって。作っていく上で、単なる“振り付け”にならないように、その時の感情をしっかり心から体に発せられるようにっていうことだけは気を付けていました」

――安藤さんにはどのような指導を?

「体重移動の仕方や、こういうシルエットが美しく見えるとか、そういうことはお伝えしたんですけど、具体的に『こういうポーズで』とかそういった指導はほぼしなかったです。安藤さんの心の中のワードをきっかけに、『お母さんをイメージしてください。それってあったかいですか?』など、お話をして。久遠の過去やトラウマや思い出を引き出して、それを形にしていく、というような感じでした。『そういうイメージで手を上に挙げてください。ああ、そういう感じ。指先ちょっとカタいですね』とか、徐々に言葉を重ねて、その言葉から生まれる体の動きを固めていきました」

増田昇太(s**t kingz NOPPO)☆「ボイスⅡ」で衝撃の再登場! 役作りの過程に迫る

――本当にお二人の呼吸が大事というか。

「安藤さんの心の中に舞があるので、僕はそれを明確にしていく役割でしたね。安藤さんも写真を撮ったりするので、その場その場の画に対してのセンスがずば抜けていらっしゃるんですよ。この間も舞の撮影があったんですけど、カメラの位置に合わせて、舞の緩急や動きを僕が言う前に変えてらっしゃって。『前にNOPPOがレッスンで言ってたから、ちょっとやってみた』っておっしゃっていましたけど、すごいなと思いました。もうダンサーですよね(笑)。安藤さんと出会えて良かったです。本物中の本物――本物というのも恐縮なぐらい真の俳優さんと一緒に、自分のフィールドである舞と芝居とを混ぜたお仕事ができて、めちゃくちゃすてきな経験ができました」
 

――そして、9月16日からはs**t kingzの久々の有観客ライブ「s**t kingz Dance Live 2021〜ダンスが好きなただの変人〜」が上演されますね。こちらの見どころを教えてください。

「『ダンスが好きなただの変人』というサブタイトルですが、“変わった人たち”でもあり(笑)、“変える人たち”でもあるのかなと。見る方に何か受け取ってもらえるライブになっているんじゃないかなと個人的には思っています。僕らも、ダンスというものが将来どうなるか全然見えない時代から、ダンスを信じて続けてきた。そこから派生していろんな扉を開けていろんな道が生まれて、自分たちのポジションがどんどん増えていったんです。それは“好き”っていう衝動があったからこそできたこと。今回のライブでも、『好きっていいな』と思える演出が中盤にあって。“格好いい”、“面白い”、“楽しい”はもちろんのこと、そういうメッセージも感じていただけるんじゃないかと思います」

――s**t kingzさんが開いた道というのは確実にありますよね。「ミュージックステーション」に歌なしのアーティストとして出演するという快挙で話題になったり、いろんな方面に常に刺激を与え続けていらっしゃるんじゃないかと思います。

「自粛期間があって、有観客でライブができない状況になったことがきっかけで、曲を作って映像でみんなに伝えようというプロジェクトが始まって。いろんなアーティストさんに賛同してもらえないとできないプロジェクトだったので、そういうところでつながりの大事さを感じます。そして、こういう状況の中で生まれたエンターテインメントの形で音楽番組に出られるというのは、すごくうれしいことで。僕らがこういう新たな試みをしたことによって、若いダンサーたちも可能性を感じてくれたらいいなと思います。新しい風を吹かせたいと常に考えて活動していますので、これからも期待していただけたらうれしいです」

増田昇太(s**t kingz NOPPO)☆「ボイスⅡ」で衝撃の再登場! 役作りの過程に迫る

【プロフィール】

増田昇太(ますだ しょうた)

1986年8月19日、神奈川生まれ。獅子座。A型。パフォーマンスチーム s**t kingzのメンバー。「天才てれびくん hello,」(NHK Eテレ)に出演中のほか、イラストレーターとしても活躍。9月16日~「s**t kingz Dance Live 2021〜ダンスが好きなただの変人」が横浜関内ホール 大ホールから開幕となる。8月30日には見るダンス映像シングルと称しダンス映像作品「えがお! Feat.PES」をリリースし、「CDTV ライブ!ライブ!」(TBS系)や「うたコン」(NHK総合)などにも出演。

【作品情報】

増田昇太(s**t kingz NOPPO)☆「ボイスⅡ」で衝撃の再登場! 役作りの過程に迫る

「ボイスⅡ 110緊急指令室」
9月18日(土)
日本テレビ系
土曜 午後10:00~10:54

“声”を手掛かりに事件を解決するタイムリミットサスペンスの第2シリーズ。久遠(安藤)と内通して石川透(増田貴久)を殺害した片桐(中川大輔)に銃を向けた樋口(唐沢)だったが、久遠の目的が自分に引き金を引かせることだと気付き…。

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(応募期間:2021年9月15日正午~9月22日午前11:59)

ハガキでの応募方法は「TVガイド」」9月24日号(P98)をご覧ください。
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取材・文/高瀬純 撮影/須田卓馬



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