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神谷浩史◆「潤は本当に信用に足りうる役者の1人です」 福山潤◆「神谷さん、難しいところだらけでしたよね」2021/08/18

神谷浩史◆「潤は本当に信用に足りうる役者の1人です」 福山潤◆「神谷さん、難しいところだらけでしたよね」

 放送中のアニメ「天官賜福」(TOKYO MXほか)は、天界・人間界・鬼界の三界が存在する古代中国を舞台にしたダークファンタジー。中国で大ヒットしたアニメの日本語吹替版だ。

 人間から神になったものの2度も天界から追放された仙楽国の太子・謝憐が、800年ぶりに神になり、人間界でコツコツと功徳を集める中で出会った少年・三郎と関係を築いていく。そんな本作が、ホームドラマチャンネルで9月に一挙放送! そこで、謝憐を演じる神谷浩史、三郎を演じる福山潤に、吹き替えで苦労した点や作品の見どころを聞いた。

――「天官賜福」に出演が決まった時の感想を教えてください。

神谷 「中国で非常に人気の作品だということで、しかも主人公の声を任せていただけるということだったので、すごくありがたかったですね」

福山 「僕も同じように、最近中国のアニメのレベルがとにかくすごいっていうのを聞いていて、ハイクオリティーの動画に声をあてられるということに対する期待感がすごくて。そして何よりも、実際、今中国で作られている作品を肌で感じられるということに興味があったので、すごくワクワクしていましたね」

――演じられたキャラクターの印象はいかがですか?

神谷 「謝憐は、一言で言うと天然の人たらしだなという感じですね。彼は神様ですが、元々人間だったがゆえなのか、彼の性格なのか、全知全能ではないんですよね。全知全能の神様の声をやってくださいと言われたら、『いやいや、それは僕には無理ですよ』ってなってしまうけれど、謝憐はとても人間っぽい。僕の感性でちゃんと感じ取れるというか、音として表現できる範囲の中にいてくれる人だなという印象がありました」

福山 「三郎は、『謝憐に対してとにかく親愛の情と尊敬の念をもって接する、少年のような感じでやってほしい』というディレクションをいただいて。収録に入る前はいろいろ不安要素もあったんですけど、憧れのお兄さんのそばにいる少年のような印象、というところが出発点になっています」

――演じるにあたって難しかった点はありますか?

福山 「神谷さん、難しいところだらけでしたよね」

神谷 「(笑)。難しいですよ。技術的なことを言うと、フルカラーで完全に絵が出来上がっている映像に対して、原音の中国語のニュアンスを聞きながら声をあてていくという作業なので、明確に、『ここは絵にあててください。ここは中国語の音にあててください』というものが、一つのセリフに対してさまざまに入り組んでいるんですよね。台本上にあることがすべてじゃなくて、台本と映像に対して自分なりにさまざまなアプローチをしていくことで完成していくと考えたので、“ここは絵で…、ここは音で…”と、完全に脳トレみたいになっていて(笑)。原音のニュアンスから外れず、なおかつ日本語として成立するようにして、絵にもちゃんと合わせていかなくてはいけない。絵の表情と、日本語のニュアンスが合致するような形でアプローチしていかなくてはいけないという点では、二重三重に考えなくてはいけないことがあって、そこは大変なところではありましたね。あとは、とにかく固有名詞の複雑さ!」

福山 「それもありますよね!! 目で見ると日本語としての漢字の読み方が頭に浮かびます。そこの変換に最初は戸惑いましたね」

神谷 「だから、目で見た瞬間に中国語読みでの脳の変換を瞬時に行わなくてはいけなくて、そういった点でも結構苦労しましたよね。あと、僕は説明セリフも多いので、そこは工夫させていただきました」

福山 「言葉のニュアンスを補完することへの苦労はありましたが、三郎のお芝居に関して言えば、アプローチは一方通行に近いんですよね。思ってることを言う、情報を伝える、そして謝憐に対して行動するというところに何も疑問がないんです」

――「言葉のニュアンスを補完することの苦労」というのは、中国アニメならではでしょうか?

福山 「日本のものだから、中国のものだからというよりは、この作品の主軸をどこに置いているかに関係するのかなと感じましたね。世界観の中にある“人が神になるという仕組み”などは、われわれ日本人にとってなじみが薄いのですが、作品で重要視されているのは、どちらかというと謝憐と三郎が共にいる時間であったり、一つの出来事にいくまでの道中の時間であったり、関係性であったりという、過程の時間。それを大切に描いているのかなという印象があったので、そこの部分での見え方の違いかなと、話数を重ねて感じました」

――ちなみに、キャラクターの声を作る時は、共演者とのバランスも意識されますか?

福山 「そうですね。アニメーションはキャラクターの見た目が描かれているのでまだいいんですけど、オーディオドラマとかでは、主演の方と響き方が近い方がいたら、主演の方の声は動かさず、他の方がスピード、高低、抑揚などを別の形で似せないようにするというバランスの取り方はあります」

神谷 「似たような響きやニュアンスでしゃべる人が存在した場合は、そこを避けていくということは、役者が工夫しなくてはいけないところではあります」

――共演作が多いお二人ですが、改めて本作で共演されていかがでしたか?

福山 「収録に入る前から、心配すべきことというのはいくつかあると思うんです。新番組であったら共演者とのバランスであったりとか、掛け合いとか、タイミング以外の呼吸感とか、言葉の渡し方とかはそれぞれの特徴があったりするものなので。ただ、今回はその相手が神谷さんということで、全く気にする必要がないといいますか。音声的なバランス感覚だとか、キャラクターをどのように僕が演じたとしてもバランスを取ってくれるという安心感がまずあったので、自分は作品をどのように読み解いていくべきなのかということに集中できました」

神谷 「僕も、何の不安もなかったです。潤とは、真面目な作品もそうだし、コメディー作品もそうだし、いろんな作品で共演させてもらっていて、本当に信用に足りうる役者の1人です」

――それでは最後に、本作の見どころを教えてください。

福山 「やはり、この作品の最大の魅力は映像美。タイトルバックから本編から、きれいな色彩と、人間たちと神様たち、そして鬼も含めてそれぞれのキャラクターが動いているさまが優雅です」

神谷 「この作品の一番のメインは、謝憐と三郎の関係をすごく丁寧に描いているところ。まずは普通に見てみて、素直に感じ取っていただいた上で、さらにその後、謝憐と三郎の関係に注目いただくと物語の本筋に気付けて、また違った見え方になると思うので、ぜひ2人の関係にも注目して見ていただけたら幸いです」

【プロフィール】

神谷浩史(かみや ひろし)
1月28日千葉県生まれ。水瓶座。アニメ「うらみちお兄さん」(テレビ東京ほか)、「死神坊ちゃんと黒メイド」(TOKYO MXほか)などに出演中。「Kiramune Presents Hiroshi Kamiya LIVE TOUR 2021 “Sunny Box”」の神奈川公演が9月18日・19日に開催予定。


福山潤(ふくやま じゅん)
11月26日大阪府生まれ。射手座。アニメ「新幹線変形ロボ シンカリオンZ」(テレビ東京系)、「現実主義勇者の王国再建記」(TOKYO MXほか)などに出演中。10月4日スタートの「吸血鬼すぐ死ぬ」(TOKYO MXほか)で主演、そのオープニング主題歌となる4thシングル「DIES IN NO TIME」が10月20日発売。

【作品情報】 

神谷浩史◆「潤は本当に信用に足りうる役者の1人です」 福山潤◆「神谷さん、難しいところだらけでしたよね」

「天官賜福〈吹替版〉一挙放送」
9月11日・18日
ホームドラマチャンネル
土曜 午後6:30~10:00

中国で大ヒットしたアニメの吹替版。天賦の才を持ち武神となるものの、2度も天界から追放された謝憐(神谷)。800年ぶりに神となり、下界で功徳を積む謝憐の前に、不思議な少年・三郎(福山)が現れる。9月11日に1~6話、9月18日に7~12話をCS初放送。

「天官賜福〈吹替版〉放送記念特番 神谷浩史×福山潤 独占インタビュー」
9月11日
ホームドラマチャンネル
土曜 午後10:00~10:30

「天官賜福〈吹替版〉」に出演している声優・神谷浩史と福山潤の2ショットインタビューを独占放送。作品の見どころや吹替版制作中の秘話が明らかに…。本編がさらに楽しくなるエピソードは必見!

ホームドラマチャンネル「天官賜福」公式HPはhttps://www.homedrama-ch.com/special/tgcf-anime
※神谷浩史・福山潤のサイン入りグッズなどが当たる「スカパー!加入者限定プレゼントキャンペーン」「視聴者限定プレゼントキャンペーン」も実施。詳しくは上記へアクセス!

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文/仲川僚子 撮影/和田浩 素材提供/ホームドラマチャンネル



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