「あかりサーチ、一本!」第6回 向田邦子賞の決定記者会見に出席してみた!2026/05/29 12:00

TVガイドWeb特派記者の佐藤あかりです。今回は4月21日に開かれた「第44回向田邦子賞決定発表記者会見」のリポートをお届けします。私が特派記者をやらせていただいているTVガイドWebや、もうひとつ長年連載させいただいているB.L.T.を出版している東京ニュース通信社が大切にしている社業がこの「向田邦子賞」なんです。
故・向田邦子さんは「時間ですよ」「寺内貫太郎一家」「阿修羅のごとく」などの作品を含めて約20年間で1000本以上もの作品を世に残した偉大な脚本家です。1980年にはあの直木賞も受賞されてこれからの活躍がさらに期待されていた中で、その翌年、飛行機事故により51歳の若さでその生涯を終えられました。この賞はその向田邦子さんのテレビドラマの脚本家としての偉大な功績を讃えて、現在のテレビ界の優秀な脚本家に贈られる賞として1982年に制定されたもので、脚本家に贈られる賞としてはテレビ業界初だとか。その歴史ある向田邦子賞の決定発表会見に、TVガイドWeb特派記者として出席してきました!
それではお楽しみください!
「あかりサーチ、一本!」
まずは向田邦子賞のお勉強 歴代受賞者にはトップ脚本家がズラリ!
会見リポートの前に、まずは向田邦子賞のお勉強から。この賞にはいくつかのルールがあります。まず原則として原作のないオリジナル脚本であることで、その年度の4月から3月までの1年間に放送されたドラマの中から、優れた作品を手がけたたった1人の脚本家に贈られます。そしてこの賞をもらえるのは人生で一度きり。脚本家みんなの目標であり、受賞者にとっても誇りに思える。そんな存在といえるかもしれません。そしてその選考を行うのは歴代の向田賞受賞作家の方々なのです。それでは今年の選考委員の皆さまをご紹介しましょう!
第44回向田邦子賞選考委員(受賞順、敬称略)
大森寿美男(第19回受賞)
岡田惠和(第20回受賞)
大森美香(第23回受賞)
井上由美子(第25回受賞)
坂元裕二(第26回受賞)
どうですか! まさに誰もが知っている豪華な顔ぶれ。まさにトップ脚本家の先生方が、1年をかけてじっくり脚本を読み、熱い議論を何度も何度も交わして、たった1本にまで作品を絞り込んでいくのです。その重責は想像ができません。ほかにも歴代の受賞者のリストにはそうそうたる顔ぶれがずらりと並んでいます。ぜひ東京ニュース通信社のホームページにある「向田邦子賞」のサイトにジャンプして皆さんも驚いてください。
そして今年の向田賞にノミネートされていたのがこちらの3作品です。
此元和津也
「シナントロープ」2025年10月6日~12月22日放送(テレ東系)
ふじきみつ彦
連続ドラマ小説「ばけばけ」2025年9月29日~2026年3月27日放送(NHK総合ほか)
黒岩 勉
日曜劇場「リブート」2026年1月18日~3月29日放送(TBS)
そして、もうニュースなどで皆さんご存じだと思いますが、第44回向田邦子賞に輝いたのは此元和津也さんの「シナントロープ」でした。顔バレNGということで、ハンバーガーのお面をつけた前代未聞の記者会見はかなり話題になりましたね!
ということで当日のリポートをどうぞ!
会見の場所は帝国ホテル 配布資料をしっかりチェック

はい、ここは日比谷にあるあの有名な帝国ホテルです。海外からのゲストを迎える迎賓館の役割を果たすべく1890年に開業したホテルです。向田邦子賞の決定発表はこの由緒ある場所で行われるのですね。すごい!
会見場である松の間に到着したら「TVガイド特派記者の佐藤あかりです!」とごあいさつをしてまずは取材受付。会見資料をいただいてじっくり読み込みます。まずは受賞者として此元和津也さんのお名前と「シナントロープ」の作品名が目に飛び込みます。「おおお、こうなったのか!」と驚きつつ、さらに資料を読み込みます。すると、そこには受賞者の此元先生はリモートでの登壇となることも記載されていました。これは残念!
此元先生は2010年から漫画家としての活動をスタート。脚本家デビューは2019年の「ブラック校則」(日本テレビ系、映画、Hulu)で、主な脚本作はTVアニメの「オッドタクシー」、劇場アニメ映画「ホウセンカ」などです。今も週刊ヤングジャンプで「カミキル-KAMI KILL-」の原作を連載中だそうです。週刊ですよ! これはかなりお忙しいんだろうなー。リモートになってしまうのも仕方ない。

そしてその授賞理由にはこう書かれていました。
「深夜営業でありながら、入り口は広く明るく、メニュー豊富なアイデア料理の店のような作品である。人と人が話す、それだけでドミノが倒れるように物語が飛躍していくさまは言葉の活劇であり、会話劇の理想であった。愚かなはみ出し者たちを同じ目線で、その魅力をまるごと引き受けて描いていく筆致は向田邦子賞に相応しく、ここに賞する」
とても詩的ですてき……。さすがは言葉を巧みに操る脚本家の皆さまが作られた授賞理由だと感動しました。
特別に、開始前に会見場を見学させていただきました。中央にはリモート用のテレビモニターがどんと据えられており、その左右に選考委員の皆さんの名前が書かれたネームプレートが並んでいます。残念ながら岡田惠和先生は体調不良で欠席だそうなので、今日は4名の先生が出席されるんですね。私の大好きな坂元裕二先生のネームプレートの前で記念写真も撮らせていただきました!

リハーサルの様子を見学させいただいて、会見場からは退室。お集まりのメディア記者の方々の後ろに並び直して入場の案内を待ちます。しばらくして定刻になり入場案内がスタート。ちゃっかり最前列をキープしちゃいました。時間まで質問を整理し直して念入りに準備をします。プロの記者さんたちにご迷惑をかけないように、空気を読みながら質問しないと。頑張るぞー!
記者会見がいよいよスタート まさかのハンバーガーお面!?
そしていよいよ会見がスタートしました。司会は向田邦子賞事務局のメンバーで東京ニュース通信社の武内朗さん。授賞理由の発表ののちに、リモート参加となる此元先生をお呼びします。すると画面に現れたのはドラマのモチーフとなったハンバーガーのお面をつけた方が!!! なんとも意表をついた登場にびっくりしゃっくりです! 聞けばご本人の意向で顔出しはNGだと司会からアナウンスが入りました。何とも言えずざわつく場内。これは皆さんの予想を超えた展開でした!

まずは此元先生の受賞の喜びから。
「はい。このような名誉な賞をいただきまして、光栄でございます。関わってくださったスタッフ、キャストの皆さまにも感謝をしております」。
続いて選考委員の先生からお一人ずつお祝いのコメントが続きます。その後も記者さんたちからの質問が続き、そんな中で私はドキドキ、ウズウズ、キョロキョロしながら質問のタイミングを待ちました。質問が落ち着いて記者の皆さんの手が挙がらなくなったのを確認して、勇気を出して手を挙げます。司会の武内さんに指名いただけてマイクが運ばれました。緊張するけど……特派記者、いきます!
特派記者・佐藤あかり ついに緊張の会見初質問
「TVガイドWeb特派記者の佐藤あかりです。選考委員の皆さまに質問させていただきたいのですが、皆さまが名誉ある向田邦子賞をご自身で受賞されてから、どのような変化があったのかをお聞きしたいのと、此元さんやこれから受賞される未来の受賞者にメッセージなどがあればよろしくお願いします」
うん! どうにか、噛(か)まずに言えました! 私の質問に選考委員の先生方が順にお答えくださります。これはうれしいなあ。
大森寿美男 「私の場合はなんだかわけが分からないうちにいただいてしまった部分がありまして。 特にそれから何かが変わったってこともないんですけど、こういうすてきな同業者の方と接する機会が与えられることになりまして、大変今でも光栄に思っています」
大森美香 「私はまだまだこれから頑張らなきゃって思っていた時にいただいて、大変ありがたく、それからお仕事が増えたりしましたので、きっと此元さんもこれからお忙しくなるかもしれないなって思います。そして私、こんな話していいか分からないですけど、選考会の時に先生方のお話を聞くのがいつも楽しみで、ありがたい機会をいただいたなと思っております」

井上由美子 「私はちょっと逆で 3回ぐらい候補になって落ちてきたので、とてもうれしかったのを覚えています。 何か変わったって言うことはないんですけれども、企画を立てる時に思い切ったことが少しできるようになったのかなと。たくさんの方が此元さんの作品を愛したという証明なので、それを心に留めて思い切った作品をたくさん書いていただけたらいいなと思っています」
坂元裕二 「これは向田邦子さんの名前がついている賞なんですよね。 この業界でテレビドラマの脚本を書くことに誇りを持てるのは、僕は向田さんの名前があるからだと思っています。 向田さんがテレビドラマの脚本を書いたから、自分たちも誇りを持ってやっていていいんだと多くが思っているんです。この先も向田さんという人がテレビドラマを書いていたんだっていうことを思い出したり、支えにしてもらえたらうれしいなという思いを持って、私は審査員をやっています」

緊張したけれど、皆さんとても真摯(しんし)に答えてくださりました! 挙手の感じからはこれが最後の質問になるのかなと思ったのですが、そこからさらに次々と記者たちの手が挙がっていきます。
スポーツ紙の記者さんからは「顔出しNGはこれからも続けられるのか。だとしたら7月の贈賞式もそのハンバーガー男で登壇するのですか?」という質問が。これについては「そうですね。代理の者を行かせるかもしれないですけど。まあそこは分かんないです」というまさかのお答えが。続いて「顔出しNGの理由を教えてください」という質問には「自分が脚本家だってことを友達に言っていないんですよね。なんか今さらどうにもならないので」というお答え。それを聞いた坂元さんが「友達は此元さんが何をしている人だと思っているんですか?」と質問すると、「自営業です」とのこと。このやりとりには場内が笑いに包まれます。
続いては写真撮影。ハンバーガーのお面のリモート画面とそれを囲む選考委員の先生方を記者さんたちが撮影するという実に奇妙なでシュールなスチールタイムが行われたのでした。記者会見は撮影をもって終了となりましたが、週刊TVガイドと私はそのまま会場に残って、此元先生との独占インタビューに臨みました。
「向田賞の印象としてはすごい方々が受賞していると思った」
「まさか自分が取れると思ってもみなかった」
率直な言葉を紡いでいく此元先生はとても実直な方だなと感じました。


あかりサーチ後記
私からの最後の質問は「ストレス解消法を教えてください」というものだったのですが、此元先生からのお返事は「猫と遊びます」というこれまた飾らない素直な言葉でした。伏線につぐ伏線が最終回で見事に回収されて「完璧な最終回」と絶賛されたこの作品。緻密なそのストーリーは練りに練った脚本が素晴らしかったからにほかありません。それをたった1人で設計したその手腕は、まさに向田邦子賞にふさわしいと実感できた取材でした。
今回、この取材をするにあたり、過去のいろいろな出来事を勉強させていただいたのですが、一番胸に刺さったのは選ぶ側の人こそが真剣そのものだということでした。多忙なスケジュールを抱えた先生方が毎クールその期の脚本を読み込んでから一堂に集まります。そこで議論を交わしながら1年をかけて選考を進めていくのです。
なかには、たった一度だけ作品を選ばなかった、「該当作なし」という結果になった年もあったそうです。その時は選考委員の方が涙を流しながらその決断にたどり着いたんだよと、当時TVガイド編集長を務めていた方に伺いました。
「脚本はドラマの設計図。なくては成り立たないけど、設計図に過ぎないとも言える」
「後に続く若手のためにも、この脚本家という仕事のステータスをあげておいてあげたい」
「脚本家人生においてたった一度だけしか得ることが出来ない向田邦子賞こそが価値があるのだ」
数々の胸に刺さる言葉を残しながら、選考委員の方々は毎年の選考に臨まれていたそうです。向田邦子さんという偉大な先人の名を汚さぬよう、44年間、その功績を讃えながら繋げられてきたこの最高の脚本賞は、本当に価値のあるものでした。
それでは最後に心を込めてもう一度。
「あかりサーチ、一本!」
【Information】
「あかりサーチ、一本!」のスペシャル動画が公開中です。インタビュートークに加えて、即興質問に5秒で答える「一問一本!」など見どころいっぱい。YouTube「東京ニュース通信社チャンネル」でお楽しみください。
私が特別MCとして出演した「全速力ミュージック」のイベントの模様が、6月1日~7日の間に「MUSIC B.B.JAPAN」(東京MXほか)で放送予定です。これは沖縄で開催された、次のグローバルスターを決定する8か月にも及んだオーディションのファイナルイベント。全国放送ですが、エリアごとに放送スケジュールが違うので番組HPでチェックをしてぜひご覧ください。
http://www.music-bb.com/japan/index.php
【プロフィール】
佐藤あかり(さとう あかり)

1996年2月23日大分県出身。特技は剣道(3段)。インターハイ3位、全国大会優秀選手賞受賞。渡辺正行さん率いる剣道普及番組「剣道まっしぐら!」(YouTube/2020年~放送中)にレギュラー出演中。雑誌「B.L.T.」に「日本一かわいい剣道女子」としてグラビアに登場以来、剣道タレントとして注目を浴びる。B.L.T.Webにて「あかりくらぶ」 連載中。
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