「京都人の密かな愉しみ」第3弾「Rouge 継承」穂志もえか「共通点は知識欲があるところ」2026/01/10

NHK BSプレミアム・BS4Kでは 2026年1月4日より、プレミアムドラマ「京都人の密かな愉しみ Rouge 継承」(日曜午後10:00、全9話)がスタートした。
2015年1月の初回放送以来、京都人の持つ独自の価値観や美意識をドラマとドキュメンタリーで描いてきた「京都人の密かな愉しみ」は、22年5月の「Blue 修業中 門出の桜」(第2シリーズ)をもって庭師、料理人など修業中の若者たちの巣立ちとともに大団円を迎えた。その第3シリーズとなる「Rouge 継承」で、穂志もえかが、主人公・三上洛(みやこ)役に抜てきされた。

物語の舞台は、再び240年の伝統を誇る京都屈指の老舗和菓子屋・久楽屋春信。常盤貴子が演じる“京都人の中の京都人”三上(沢藤)三八子がパリに去ってから8年。はるばるパリから京都の地に舞い降りた洛(三八子の義理の娘)に大きな使命が託される。外の人間にはうかがい知れないほど複雑で面倒くさい町のおきてで成り立っている京都。何百年も続く長く重い伝統、季節ごとに移ろう衣食住のしきたり、一筋縄ではいかないプライド高き京都人たち…。洛は、三八子とともにその“使命”とどう格闘していくのか!?
この度、京都人のディープな世界に浸って絶賛撮影中の穂志が取材に応じ、撮影秘話や作品の見どころを語った。
――洛を演じた感想からお聞かせください。

「彼女は哲学を専攻しているのですが、私も哲学に興味があったので、役作りを兼ねて哲学の本を読んでみました。これまで興味があってもなかなか触れる機会がなかったので、この機会に学ぶことができて楽しかったです。また、パリで20年間育った帰国子女という設定のため、『中身はフランス人』という人物像をどう表現するかに難しさを感じていました。限られた準備期間の中で、どこまでその要素を取り入れられるか不安でもありましたし、フランス語のセリフもあったので、事前に日本でフランス語の先生にも指導してもらいました。実際にパリロケもあったのですが、ちょうど夏にロンドンへ短期留学した際、若いパリジェンヌの方と知り合いになり、彼女からパリジェンヌ特有のしぐさや流行などを教えてもらったんです。その細かな所作をできる限り役に反映させていく作業も、楽しい時間でした」
――演じた洛と似ていると感じた部分は?
「知識欲があるところでしょうか。分からないことがあっても『そういうものだから』と納得しないところが私と似ていると思いました。多分、洛も、必ず理由があるはずだと思って生きているタイプなんじゃないかな」
――京都撮影を通して感じた魅力や、伝統に対する気付きや発見はありましたか?

「街を歩いていると、建物の合間から山が見えるのがすごくいいなと。その光景に『私たちは自然と共に暮らしているんだ』とナチュラルに実感させられます。四季折々の風景や、自然そのものを慈しむ心が、ここで長く住んでいたら当たり前のようにはぐくまれていく美学なんだろうなと感じました。今回の滞在で驚いたのは、どの街でも家の玄関に神社のお札が貼られていることです。商売をされている方も一般の方も、皆さんお札を掲げていて。東京でも、かつてはそうだったのかもしれませんが、今ではあまり見かけないので、信仰を大切にし、それを後世に受け継いでいこうとする姿勢がすてきだと思いました」
――作品のテーマである「継承」についてはどう感じていますか?
「長く続くお店であればあるほど、継承問題は重く当人にのしかかってくるんだろうなと感じます。この物語を通して、店を閉めるという決断がどれだけ難しいものかも考えさせられます。一方、人手不足によって伝統工芸が縮小していると耳にすると、失われていくのは惜しいなという気持ちになりますね。京都文化についても、この作品を通して少しでも多くの人に知っていただけたらと思っています。洛は和菓子屋ですが、作中には呉服屋さんなど、ほかのお店の継承問題も盛り込まれているので、これは後世に残したい素晴らしいものだという気持ちが、このドラマを通して皆さんに芽生えたらいいなと思います」
――義理のお母さん・三八子役の常盤さんと共演した印象は。

「常盤さんはとてもカジュアルな方で、私に対しても開かれたスタンスでいてくださったので、初日から緊張することなくお話をさせていただきました。京都とゆかりのある方で、とても詳しく、いろいろなお店を教えてもらいました。現場で『器を作るワークショップに行けたらいいね』と話していたのですが、まだ実現していないので、今度行けたらうれしいです。脚本に書かれている三八子のフランクな雰囲気が浸透していたこともあって、現実でも打ち解けていった感じがします」
――常盤さんをはじめ、渡辺謙さん、銀粉蝶さん、石丸幹二さんといったベテランの俳優さんに囲まれての撮影はいかがでしたか。

「皆さん大御所の俳優さんですが、そういう雰囲気を見せるわけでなく、気さくな方ばかりで、私も気を張らずに1人の人間としてお話することができ、ありがたかったです。本当に豪華なキャスティングで、現場にはいろいろな世代の方がいながらも和気あいあいとしていた印象で、私も役者としても日々刺激になりました。銀粉蝶さんが毎回違うお芝居をされるんですが、私はそれが面白くて面白くて、『何パターンあるのかな』と思っていたんですが、ご本人は『何も考えていないだけなのよ。同じことができないだけ』とおっしゃって、その場で感じたことを表現されるんですよ。動物的な感覚をお持ちなのかなと思って、見ていて楽しかったです」
――演じる洛の魅力や注目ポイントをお願いします。
「今まで特に不自由なくパリで暮らしてきたのに、継承問題に直面して、特殊な文化がある京都に行く決断をして、その問題ときちんと向き合おうとする洛の肝が座っているところが魅力的。これまで育ってきた環境を変えるって、なかなかできることじゃないのですごいことですよね。自分に与えられた使命をたおやかに受け入れることができる洛の強い気持ちを感じてもらえたらと思います」
――そんな洛から吸収したことや、成長したと感じることがあれば教えていただけますか。

「クランクアップした時にまた違う感想を抱くかもしれませんが、現時点では、連続ドラマで主演を務めるのが初めてなので、『本当に体力がいるんだな』『役者さんってすごいな』とシンプルに思っています。京都弁に加えてフランス語のセリフもあり、覚えるのが大変ですが、初主演を素晴らしいキャストの皆さんとスタッフさんたちと一緒に駆け抜けられたら、役者として一つ何かを乗り越えられる気がします。この作品の撮影が終わった時にひと皮むけてたらいいなと思ってはいます。洛は、哲学や文化人類学を学んでいるキャラクターですし、パリという多様性のある街で育っているので、彼女のように私も固定観念をなるべく持たず、自分と異なるものをもっともっと認めていたいという意識が芽生えつつあるように感じています。今は、文化や国、世界に対しても開かれた心を持てていけたらと思います。演じているうちはなかなか客観視できない部分もあるんですけれども、洛と一緒に京都のことをいろいろと知ることができたかなと思っていますし、撮影が終わってから自分が何をを感じるのかが楽しみです」
【プロフィール】
穂志もえか(ほし もえか)
千葉県出身。22年、アメリカの時代劇ドラマシリーズ「SHOGUN 将軍」に出演、脚光を浴びる。同作でクリティクス・チョイス・アワード(米放送映画批評家賞)ドラマシリーズ助演女優賞を受賞。2026年公開予定映画「Never After Dark」で主演を務める。
【番組情報】
プレミアムドラマ「京都人の密かな愉しみ Rouge 継承」
NHK BSプレミアム4K NHKBS
日曜 午後10:00~10:45
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