香取慎吾×赤楚衛二「虚ろな十字架」撮影現場に密着 重厚な現場の空気と役づくりに迫る2026/09/19 20:00

WOWOWでは9月20日に、香取慎吾主演「連続ドラマW 東野圭吾『虚ろな十字架』」(日曜午後10:00)の第3話を放送。このたび、2026年6月に行われた第3話の撮影現場から、香取と赤楚の初共演シーンの様子が公開された。
本作は、国民的作家・東野圭吾氏が14年に世に送り出し、これまでに発行部数約76万部を誇るベストセラー小説「虚ろな十字架」(光文社文庫刊)が原作。「死刑制度」という普遍的な社会テーマに真正面から挑んだ渾身(こんしん)の社会派サスペンスであり、WOWOWと東野氏とのタッグは本作で10作目となる。
WOWOWの連続ドラマ、そして東野作品に初主演となる香取が演じるのは、11年前、愛する娘を身勝手な犯人に殺されたことを機に、孤独と虚しさを抱えて日々を生きる主人公・中原道正。そんな中原と“加害者家族”として対峙(たいじ)していくキーパーソン・仁科史也役を、香取とは本作で初共演となる赤楚衛二が務めている。
娘の死から11年がたち、今度は離婚した妻・浜岡小夜子(鈴木杏)までもが突如殺されてしまった中原。中原は小夜子の不可解な死の真相を探るうちに、小夜子を殺した男・町村作造(ピエール瀧)の娘・花恵(蓮佛美沙子)の夫である史也の存在を知り、史也と小夜子の死に、何らかの関わりがあるのではないかと考えはじめる。
第3話では、史也が、義父の作造のことで、小夜子の家族に直接会って謝罪がしたいと申し出たことで、ついに中原と史也が相まみえることに。さらにその出会いをきっかけに、史也が隠していたある衝撃的な過去が明かされていく。これまでの静けさを打ち砕き、物語が怒濤(どとう)の展開を見せる。
6月中旬、朝からどんよりとした空模様が続いていたこの日の天気は、まるで主人公・中原と、物語のキーパーソンである史也の心情をそのまま映し出しているかのようだった。

この日、香取と赤楚が初めて顔を合わせる第3話を撮影することに。一足先に現場入りした赤楚は、小夜子の母・里江(原日出子)たちが集まる「被殺害者遺族の会」の会場を訪れるシーンに挑む。

赤楚の役柄が加害者側の親族ということでもあり、リハーサル前から赤楚は思い詰めたような様子。カメラ位置が決まると、監督の瀬々敬久氏と共に、廊下を歩く速さやカバンの持ち方といった細かい部分まで、しっかり確認していく。特に印象的だったのは、会場のドアを開けるカット。ドアの前で少し迷う姿や、ドアノブに手をかけてから覚悟を決めて開けるまでのほんの数秒の動きについて、時間をかけてテイクを重ねていく。その甲斐あって、緊張や不安、葛藤といった史也の複雑な気持ちが強く伝わってくる場面となった。
赤楚の撮影が終わると、原と、弁護士・山部役の田中要次、そして香取らが続々と「被殺害者遺族の会」の会場に姿を見せる。
この作品で描かれているのは、「本当のつぐないとは何なのか」という問いかけだ。加害者に代わって謝罪をする親族と、謝られても消えない被害者遺族たちの傷。刑罰や法律だけでは解決できない双方の心の痛みを、原作者の東野氏が丁寧に描いている。そのため、キャストたちも現場ではあまり言葉を交わさず、役に集中する時間を大切にしていた。

そんな中、香取は自分の席に座り、じっと目を閉じて自身の心と向き合っているようだ。一方の赤楚は会場の中を静かに歩き回りながら気持ちを作っていく。それぞれのアプローチで役に集中する姿が垣間見えた瞬間だった。香取と赤楚はこの日が初対面にも関わらず、いきなり重いシーンでの撮影はさぞ大変かと思われたが、互いを気遣うような距離感がそのまま芝居にも反映され、カメラが回っていない時間でも、まるで中原と史也がその場にいるような雰囲気が漂っていた。
ずっと緊張感が漂っていた現場が和んだのは昼の休憩時。キャストやスタッフ全員分のお弁当が香取から差し入れられ、午後の撮影に入る前にみんなから感謝の拍手が送られた。照れながら両手を広げて応える香取。ようやく素の笑みもこぼれ、温かい空気が流れていく。しかし、和やかな時間もつかの間。ここからは今まで以上に緊迫したシーンが続く。
まずは、「遺族会」のあと、史也が里江に直接謝罪をして、思わず土下座をして周囲を驚かせる場面から。その様子を少し離れた場所から黙って見つめる中原。香取は自分が写らないアングルの撮影の時でもその場を離れることがない。史也の動きをじっと見つめ、どこか違和感のある言動に対して、ときにいぶかしがったり、動揺した表情を見せたりと、セリフのないリアクションだけで中原の心情を見事に表現していく。本番でOKが出たあとも香取はしばらくその場に立ち尽くしているほど役に没頭しており、ものすごい集中力で撮影に臨んでいることが伝わってきた。

続いて、遺族たちに責められて会場から去る史也を中原が走って追いかける場面へ。追うタイミングや走るスピード感を香取は瀬々氏と確認していく。一挙手一投足が中原の心情に結び付くため、細かなやりとりがしばらく続く。
そしてついに、2人が初めて会話を交わす重要なシーンへ。中原からの“ある追及”を受けて史也の顔に大きな動揺が走るのだが、ここでの瀬々氏は中原と史也との距離感を伝えるだけで、表情などの細かい演技は香取に委ねているようだった。
真実だけを知りたい者と何かを秘めている者。2人の会話は淡々としながらも、静かな炎のように目に見えない感情が激しくぶつかり合っているようだ。この2人だけの掛け合いは、台本を読むと2ページにも満たない短いものだが、並行して描かれていくいくつかのストーリーがのちに交錯していく、伏線の源にもなっている。この先、物語には思いがけない展開が待ち受けているのだが、そこに向かっていく不穏な空気感を香取と赤楚が見事に体現した、重厚で深みのある名シーンとなった。
第3話あらすじ(9月20日放送)

離婚した浜岡小夜子(鈴木杏)が歩んできた人生を理解しようと、中原道正(香取)が小夜子殺害事件の裁判への参加を決意する一方で、仁科史也(赤楚)と花恵(蓮佛)夫婦の過去が解き明かされていく。
たった1人で遺族会を訪ね、小夜子の両親である宗一(小倉蒼蛙)や里江(原)の前で謝罪の言葉を繰り返す史也。その姿を目にした中原は、どうして義父・町村作造(ピエール瀧)が起こした事件にそこまで真摯(しんし)に向き合うのかと疑問を抱く。史也の行動が気になり始めた中原は、やがて史也と思いがけない人物との接点にたどり着くことになる。
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