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大泉洋、「鎌倉殿の13人」源頼朝への思いを語る。「大変な人を演じる覚悟はあった」2022/06/29

大泉洋/パブリックビューイベント:みんなで見よう!「鎌倉殿の13人」大泉洋スペシャルトーク&「北海道道」公開収録

 NHK総合ほかで放送中の大河ドラマ「鎌倉殿の13人」(日曜午後8:00ほか)に出演する大泉洋が、北海道・恵庭市民会館で6月26日に行われたパブリックビューイベント「みんなで見よう!『鎌倉殿の13人』大泉洋スペシャルトーク&『北海道道』公開収録」に登壇した。大泉は得意のぼやき全開で会場を大いに盛り上げつつ、新境地となった源頼朝役への思いや撮影秘話を明かした。

大泉洋/パブリックビューイベント:みんなで見よう!「鎌倉殿の13人」大泉洋スペシャルトーク&「北海道道」公開収録

 三谷幸喜が脚本を担当、小栗旬が北条義時を演じる本ドラマは、平安末期から鎌倉前期を舞台に、野心とは無縁な若者・義時が、いかに武家の頂点に上り詰めるかを描くもの。大泉は、義時の姉・北条政子(小池栄子)を妻とし、鎌倉幕府初代将軍となった頼朝役を務めた。6月26日放送・第25回では、死の恐怖に取りつかれた頼朝が心の平安を取り戻した矢先、異変を感じて落馬するラストで幕を閉じた。

 イベントには全国から約4000通の応募があり、抽選で選ばれた約400人が参加。頼朝の落馬という緊迫した展開を見届け、静まり返った会場の空気は、大泉の登場で一転ヒートアップ。来場者と共にリアルタイムで放送を見た大泉は「切なかったなー!」と感想をもらし、「どうでした?」と問いかけると、会場からは大きな拍手が沸いた。

 続いて大泉は、大河ドラマ好きで知られるNHKの小田切千アナウンサーに「今回の大河、面白くないですか? 私は客観的に好き」と詰め寄り、爆笑をさらった。そして、演出を担う吉田照幸の名を挙げ、「力量がすごい! 木曽義仲(青木崇高)を討つシーンや巻狩の回も面白かった」と絶賛した。

大泉洋/パブリックビューイベント:みんなで見よう!「鎌倉殿の13人」大泉洋スペシャルトーク&「北海道道」公開収録

 インターネットでは「全部大泉のせい」のキーワードが話題になるなど、反響の大きい頼朝像について問われ、「三谷さんは当て書きしかできない方なので、私が演じたことでできているのは確か。私でなければ、もっと格好よかったでしょう」と説明。女装して逃走した第1回を「どう考えても、着物を取られたら終わりなのに、台本のト書きに『うっすら化粧をしている』とある。あれも、私でなければ書いてなかったのでは」と推測し、「頼朝が家臣に『ちょっといいかな』と声を掛けたり、『あ、そう』と言うのも、絶対おかしい。でも、台本に書かれているなら言うしかない」と早速ぼやいた。

大泉洋/パブリックビューイベント:みんなで見よう!「鎌倉殿の13人」大泉洋スペシャルトーク&「北海道道」公開収録

 家臣や身内に非情な処断を下す役どころについて、「上総広常(佐藤浩市)を粛清した時から頼朝は覚悟を決めた。自分の兵がいない頼朝にとって、坂東武者は顔色をうかがいつつ、命令を聞かせなければならない相手。どこかで自分の存在感を示すしかなかったのでは」と振り返り、「自分が求められたのは血筋が理由だったから、兄弟も信用しきれなかった悲しい人ではある。信用できる人間が少ない中で判断しなければならなかった」と真剣な表情で語った。

 「好感度がどこまで下がるか心配した」と心境を明かした大泉は、同時期に出演したフジテレビ系の“月9”ドラマに触れ、「偶然でしたが月9は優しい役だったので、日曜に好感度が下がっても月曜に挽回できるという計画があった。ところが、大泉に腹が立つから月9を見ない人が出て困りました! そもそも見てもらわないとだめだったので…」と、会場を笑いの渦に巻き込んだ。

大泉洋/パブリックビューイベント:みんなで見よう!「鎌倉殿の13人」大泉洋スペシャルトーク&「北海道道」公開収録

 脚本家の三谷に対しては「もちろん私を面白く描いてくれますが、どこかでとんでもなく悪いことをしている役にすることが多い」と分析しつつ、「こんなに厳しい決断をする役はしたことがなかったけれど、私の新しい引き出しを開けようとしてくれた。ありがたい役でした」と感謝の思いを口にした。そんな三谷とのエピソードでは、自身の誕生日に「主人公・義時の夢枕に立つシーンをプレゼントします」というメールが届いたことを紹介。気になる内容は「後白河法皇(西田敏行)と一緒に小さくなって歌い踊る」という驚きのイメージで、「あの人はふざけています!」と即座に断ったことを明かすなど、強い信頼感が伺えた。

 また、頼朝の乳母である比企尼を演じた草笛光子との撮影裏話も紹介。弟・源範頼(迫田孝也)の嘆願で対面する第24回では、台本にないビンタを草笛から提案されたことを明かし、「『三谷さんから頼朝をビンタする役と聞いているので、ここでビンタしたい』と言われて困惑したが、こんなにすごいシーンになるのかと驚きました」と話し、「(前回の三谷脚本による大河ドラマ)『真田丸』のばば様でもある草笛さんとの再共演はとてもうれしかった」と笑顔を見せた。

 さらに、頼朝の従者・安達盛長役の野添義弘を「大好き」と話し、「盛長は頼朝が心を開いた数少ない男。第25回のラストシーンが2人きりだったことがうれしく、『感無量ですね』と話しながら撮影に臨みました」と感慨深げに振り返った。

 今後の展開について「どう考えても、頼朝はそんなに長くは出ません(笑)。今まではよかったんですよ、“大泉のせい”だったんだから。いなくなったら大変ですよ、僕のせいにできませんから!」とユーモラスに語り、会場を盛り上げた。

大泉洋/パブリックビューイベント:みんなで見よう!「鎌倉殿の13人」大泉洋スペシャルトーク&「北海道道」公開収録

 トークショーの後、大泉が取材に応じた。

── 3回目の大河ドラマ、三谷幸喜作品は2回目となり、向き合い方に変化はありましたか?

「源頼朝について勉強すると、教科書に載っていない厳しい決断をたくさん下した人と知り、大変な人を演じるだなという覚悟は今回ありました。前半はコミカルな雰囲気で、初期の撮影ではスタッフに冗談交じりで『面白いシーンしかやっていないけど大丈夫?』なんて声を掛けたこともありましたが、第15回以降は『たまには面白いシーンをくれ!』と話すほど重たいシーンが続きました。どちらも演じさせていただき、素晴らしい役に出会わせてもらえたと思っています」

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── サイコパスのような一面を持つ頼朝像を演じて苦労された点はありますか?

「見る方によっては、サイコパスのように思う方もいたと思うけれど、演じる上で僕はやっぱり頼朝を愛していたし、頼朝の行動理由を自分なりに考えていく作業ではありました。皆さんが思うほど、僕は頼朝を嫌えない。彼には彼の正義があり、坂東武者に担ぎ上げられている中でやらなければならないことがたくさんあった。そして一つでも油断すれば、自分が殺されるかもしれない立場にあり、より慎重な人でもありました。彼なりの愛情や正義を常に考えて演じるのは確かに大変でした」

── なかなか本音を明かさない頼朝ですが、実際は義時に対してどんな思いを抱いていたと思いますか?

「頼朝は人を見る目はあったと思うし、そうじゃないと生きていけなかった。自分のそばに置いておく人間が誰なのかを瞬時に気付く力を持っていて、義時に初めて会った時から、彼の慎重さ、野心がない点などにひかれたのではないでしょうか。どうしても演じる小栗旬くんと重なるところもあり、頼朝にとって義時は、信じ、思わず大事な話をしてしまう存在だったと思います」

大泉洋/パブリックビューイベント:みんなで見よう!「鎌倉殿の13人」大泉洋スペシャルトーク&「北海道道」公開収録

── 「ここが大河だ!」と実感される点がございましたら教えてください。

「スケールの大きさですね。1年間1人の人が演じる点、映画のようなセットを次々と立てる点、豪華俳優陣と共演する点などどれを取ってもそうです。頼朝の最期が近づいた第25回は、縁ある方々とのシーンが多くて幸せでした」

── 最終盤に向け、見どころを教えてください。

「大河ドラマは退場すると台本をいただけないので、今後の見どころについては正直ほぼ語れません(笑)。ただ、来週は出ます。来週も大変面白いです。残り少ない私の登場シーンを、あまり多くはない頼朝ファンの皆さんに、お見逃しないようにと伝えたいです。もちろん、頼朝がいなくなってからがドラマの本番といってもいい。小栗くんの話を聞くと、頼朝がいなくなってからの鎌倉はさらに厳しいそうです。『頼朝さんは、ちょっと死ぬのが早すぎた』と言ってました、あんなに『早く死ね』と言っていたのに(笑)。頼朝がいなくなった後、どうなっちゃうんだろうなという思いです」

── 最後に、故郷・北海道の皆さんへメッセージをお願いします。

「20代の頃から応援してくださっているので、どんな仕事をしても北海道の皆さんの目線を気にしています。皆さんの応援を糧に頑張っています。これからも喜んでもらえる、誇らしく思ってもらえる仕事を続けていきたい。『鎌倉殿の13人』の登場は少ないですが、どんどん面白くなっていくので、ぜひ見ていただきたいです」

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