土屋太鳳&永山絢斗が「優しい音楽」若松節朗監督の“ラブ演出”に苦笑!?2022/01/07
テレビ東京系で本日1月7日に放送される、新春ドラマスペシャル「優しい音楽~ティアーズ・イン・ヘヴン 天国のきみへ」(午後8:00)のオンライン記者会見が行われ、主演の土屋太鳳、共演の永山絢斗、仲村トオル、若松節朗監督が登壇し、作品見どころや撮影現場のエピソードなどを伝えた。
ドラマの原作は、本屋大賞受賞作「そして、バトンは渡された」を執筆した瀬尾まいこ氏の「優しい音楽」。脚本は、昨年同局で放送され数々の賞を受賞するなど高い評価を得た「人生最高の贈りもの」を手掛け、話題のドラマを世に放ち続ける岡田惠和氏が担当する。さらに、音楽は国内外の受賞作の作曲や音楽監督を務める稲本響氏の書き下ろしで、「Fukushima50」(2020年)で日本アカデミー賞最優秀監督賞を受賞した若松監督の演出による、ラブサスペンスとヒューマンドラマの要素を兼ね備えた“家族”と“絆”の物語をおくる。
北鎌倉の洋館に家族と住む女子大生・鈴木千波(土屋太鳳)は、ある日、江ノ電の駅で永居タケル(永山絢斗)と出会い、さまざまな事情を抱えながらタケルに接近。2人の偶然の出会いが、封印されていた運命を動かす。家族を温かく見守る千波の父・雅志役で仲村トオル、歌がうまくて料理上手、家族思いの千波の母・桂子役で安田成美が出演。さらに、タケルが勤める造船所「広木造船」の社長で、彼の父親代わりのような存在の広木克彦役を佐藤浩市が務める。過去から新たな一歩を踏み出すまでの“再生”を描いた、音楽がつなぐ、優しさあふれる“愛”と“絆”の物語だ。
会見の冒頭で、土屋は「新年に会見の場をいただき本当に感謝しております。10年前、大切な作品でお世話になったテレ東さんに、また一つ得難い大切な出会いをいただきました。今日はその感謝を込めて、いろいろなお話ができたらなと思っております。よろしくお願いいたします」と丁寧にあいさつ。
そして、昨年末の26日にクランクアップし、およそ10日ぶりの顔合わせに「そうですね…10日ぶりですよね? でも顔を拝見すると、そんなに久しぶり感はないといいますか、昨日まで撮影ご一緒してたのかなと思うような、温かい気持ちになりました」と語り、「『優しい音楽』というタイトルですけども、撮影は本当にそのまま“優しい現場”でした。監督はすごく寄り添ってくださる優しさで、絢斗さんはちょっとスパイスが効いたような優しさで(笑)、トオルさんは私がセリフで『これ大丈夫かな、ちょっと言いづらいかな』と思った時に、『言いづらさを楽しむといいんだよ』って昔教わったんだよ、ということを教えてくださったり。成美さんもすごく優しくて、とても深い優しい海のような現場でした」としみじみと振り返った。
永山は「年をまたいだというのもあって、新しい気持ちでって思ったんですけど、顔を合わせてみると、本当についこの間まで撮影してたんだなっていうことを実感してますし、本当に家族のような時間を過ごさせていただいてたんで…うれしいです」と再会を喜んだ。
仲村は「昨日の夜、完成したものを初めて見たんですけど、お年玉というものをもらえなくなって数十年経ちましたが、本当に素晴らしい贈り物を、若松監督からまたいただいてしまったなという、すごくいい時間で素晴らしい作品に参加することができて、去年の11月・12月はのんびりしようと思ったんだけど頑張ってよかったなと思いました(笑)」と笑顔で述べ、「僕は家のシーンが多かったので、ダイニングテーブルを囲んで4人とか、同じ部屋の中で4人というシーンが多かったので、すごく現場では家族感がありましたし、若松組のスタッフの皆さんにもすごいファミリー感があったんですけど、昨日作品を見て、本当に太鳳ちゃんも絢斗くんも素晴らしい。素晴らしい仕事をしていたので、今日は家族っていうよりも大げさでなく、ちょっと緊張するような尊敬する俳優さんと女優さんに会ったみたいな感覚がとても新鮮です。そして、それを引っ張り出した若松監督も、ちょっと会うとなんか緊張してしまうような感じがあります」と絶賛。
当の若松監督は「そんなに褒めてどうすんですか!(笑)」と応じ、「この舞台が鎌倉でした。それで日中は短くて夜が長いっていう時間の中で、朝どうしても早く出なきゃいけないんですよ、5時起きとか4時半起きとか。きっと俺のこと恨んでるんだろうなと思って、『なんでこんな遠いところまで来なきゃいけないんだよ』っていう心の声が、絢斗とかトオルさんとかから聞こえてくるような気がして…大変申し訳ありませんでした。ただ、あんなに美しい富士山を毎日見てられた幸せは、僕のおかげですね(笑)」と恐縮しつつコメント。
撮影にあたって“こだわったこと”について、土屋は「こだわったことといえば、『優しい音楽』っていうタイトルなので、音楽を撮る場面というのは、丁寧に撮っていただいたなと感じていて。ただピアノって持ち運べないんですよね、大きくて。なので撮影中とかも本当は練習したいんだけどできないっていう時に、母が鍵盤だけのちょっとだけ分厚い、持ち運び用のピアノを買ってくれて、車の中で弾いたりとかして。ただ今までは私自身としてピアノ弾くことがたまにはあったんですけど、役として弾くっていうのが初めてだったので、なんていうんでしょうか…アニメでいうとキャラクターが歌うとキャラソンになるじゃないですか。私は、キャラクターを演じながら演奏なので…。何を言いたかったんだろう(笑)」と一時混乱して笑いを誘い、続けて「何か…キャラ演奏的な、ちょっと難しく感じました。なのでピアノのシーンはちょっとプレッシャーがあったんですけれども、心の中ですごく大切にこだわった部分かなと思います。習ったことはないんですけど、家にピアノがあって、それを小さい頃から弾いていたので、なんとなく鍵盤の感覚はありました」と語った。
それを受け、永山は「余裕だったんじゃないですか? すごく滑らかな指でしたけど…ずるいです。僕は本番の日、夜に変な時間に寝ちゃって、2時とか3時ぐらいに起きて、練習を忘れたんで、それから朝まで一生懸命指を動かしてました。僕もフルートを今回演奏する役だったんですけど、なかなか自分の人生でフルートを持つとは思ってなかったので。すごく難しい楽器でしたけど、フルートの美しさというか、音のよさっていうのを知れたというのは、すごくいいお土産になりましたね。そんなやっぱりすぐにできるもんじゃないですよ! すっごく練習しました本当に。音を鳴らすだけで難しかったんです」と苦労を明かした。
仲村も「僕はギターを担当いたしました。多分15歳ぐらいの頃に、触って数分で才能がないなと思って。それ以来な感じでしたけどたぶん…いやぁ、今までごく一部のミュージシャンの方々に対して、『チャラチャラしやがって』みたいな感情を持ったことが全くなかったわけではないんですけど、これからは全ギタリストの方を尊敬しようと思うぐらい、きっと皆さん本当に努力と練習に費やした時間で、指先が切れてしまったりみたいなことで、あのレベルに行っているんだろうなというのを、すっごく低いところからすごく高いところを見上げて、思い知ったような感覚でした」と反省を込めて語った。
その話を聞いて、若松監督は「もう本当に頭が下がります。苦労をした先に、こんなに素晴らしい音楽を奏でてくれるのかなぁと。俳優さんってすごいなぁと思いましたね。…これぐらいですかね、トオルさん!」と仲村に振ると、仲村は「もう十分です(笑)」と破顔した。
続けて、若松監督が「太鳳ちゃんがピアノの話をしましたけど、土屋太鳳さんが弾くピアノだから、あえて美術に世界三大ピアノのうちの一つ、ドイツのピアノを用意しまして。舞台になってる場所が山の中腹にあるもんで、ここにピアノを持ち上げるのが大変なんですよ。350kgあるんです。太鳳さんが弾いたお借りしたピアノは700~1000万円ぐらい。太鳳ちゃん、途中でなんか『ねこふんじゃった』を練習してましたね。あれ1000万ぐらいするピアノなんですね、一応ね(笑)。建物はまた旧帝国ホテルと同じような建物で、狭くてなかなか搬入できないんですよ。それで10人がかりで窓をはずして入れ込んだんですよ。それぐらいちょっと苦労しました」と、高級なピアノの設置の様子を伝えた。
その話を聞いて、土屋は「あのピアノはすごく響いて…ただ者じゃありませんでした! 値段はもちろんすごいですけど、やっぱり響きが違うんですよね。ピアノが好きだからピアノ見つけるといろんなところで触ったりするんですけど、本物を触らせていただいていたので、伝わったらいいですよね」と期待を込めた。
2役を演じる永山は「わりと対比した役だったのかなっていう印象はあるんですけど。ご褒美のような気持ちでもう1役の方はやらせていただきました」と役づくりに触れ、衣装に関しても自身のものを提案。「やっぱり想像することしかできないんですけど、どういうものを着ているのかなっていうのを思った時に、衣装合わせの際にそれを持っていって、提案させてもらったっていう形ですね。監督も乗っていただいて」と話した。
今作が久しぶりのラブストーリー作品となる若松監督は「すごく燃えました、今度のラブストーリーは。江ノ電のホームから始まるんですけど、僕なりにちょっと半年ぐらい韓国ドラマを研究したっていったら、ちょっとおこがましいですけど、こうやって“ラブ”を作っていくんだっていうのを少し学ばさせてもらったことを、現場で絢斗くんと太鳳ちゃんに『こんな感じでやってください』というふうに言ってるんですけど、いつもいつも笑われっぱなしでしたね。『おやじ、何言ってんだよ』みたいな感じでしたね、2人とも」と明かすと、土屋は「本当にすごく提案をいろいろしてくださって、削る作業は簡単だけど、提案する作業ってすごく大変だなと、現場に行って思うんです。私の性格がちょっとガサツだからか、監督のロマンチックさをやろうと思うと照れてしまって、笑ってしまうという…。でもただただ監督がやってくださるお芝居がかわいくて笑ってました(笑)」と笑顔で返し、「でも本当にすてきな提案で、最初に恥ずかしいって思いながら照れてやらせていただいてたんですけども、自分の中で落としていくと『人ってそうだよな』って。人に大切なものを提案してくださった…削っちゃいけない場所だな、忘れちゃいけないことだなって…監督思っていました!」と真剣にフォローした。
さらに、参考にした韓国ドラマについて、若松監督が「『愛の不時着』でまずハマって、ソン・ヘギョっていう女優さんが僕は大好きなんですね。あと『太陽の末裔』とか『海街チャチャチャ』とか…絢斗、全然興味がないような顔してるよね(笑)」と永山に振ると、永山は「いやいやコピーして帰ってペーストします。でも監督の、タケルが過去を千波に吐露するシーンで横になるっていうのがあったじゃないですか。僕は少し『?』だったんですけど、それはそれですごく自分の中で落ちたところもありますし、やっていく中でどんどん揉んでいくと、さらによさが分かってきて、終わった時には『すごくいいシーンになったな』と思って。そういうあまり自分の中での発想にないことを監督が提案してくださるので、面白かったですね、最後まで」と称えた。
また、印象的なシーンや好きなシーンを、土屋は「坂のシーンがあって、『ここまで送ってしまうと、今度は僕が君を送りたくなっちゃうよ』っていうようなセリフがあるんですけど、そこは何かすごく心が温かくなるというか。タケルくん、すてきだなと思いました」と述べ、永山が「たくさんあるんですけど…。ちょっと細かすぎるんですけど、冒頭の家族のシーンで『いただきます』って言った後に、千波ちゃんがおかずをチェックするんですね。あのシーンがすごくよかったです。冒頭も冒頭でチェックしてるんです。どういうプランで食べようかって。すごくかわいらしいシーンでした。あれは素なのかな?」と土屋に尋ねると、土屋は「演技です(笑)。でも気持ちの流れはあまり切らないように監督も撮ってくださるので、たぶん、私も入ってるんでしょうね。でもなかなかこういうふうに具体的に…ちょっとやっぱり(永山は)変わってらっしゃるっていうか。スパイスの効いたコメントくださるので…すてきだなと思います」と答えた。
仲村は「全編好きで全部のシーンと言いたいところなんですけど、台本を最初に読んだ時から、何度読んでも涙がこぼれてしまうシーンがあって。それは安田成美さん演じるお母さんが、学費を払いに行くというシーンがあるんです。ちょっとだけ自分も逆のような状況で大学生活を送っていたせいもあるのかもしれないんですけど、もう本当に何か感動してしまうというか、親の気持ちというものがものすごくにじみ出ていて素晴らしいなと思いました」と語った。
若松監督は「一言一言、全部大切なセリフなんですけれども、このドラマを見ていただくいただける視聴者の皆さん、もしくは今ちょっと生きることに困ってる人たちに対して、タケルがすごくいいセリフを言ってるんですね。『自分が生きてることで喜んでくれる人がいる。初めて言われた。そういうふうに言われたことがとてもうれしい』っていうことをタケルが言ってるんですけども、そこの言葉がとても大切だし、こういうシーンを見てくださればいいなと、ぜひそういうところを見てほしいなと思います」と見どころをアピール。
最後に、土屋は「今という時代は、日常の中にいつも悲しさであったりとか、苦しさっていうものが隠れている時代だと思います。コロナ禍や災害で人知れず心に傷を負ったままの方が多くいらっしゃると思うんですね。そういう時代だからこそ、人の絆の温かさ、音楽の力とともに一緒に感じていただけたらなと思います。今日はありがとうございました」と会見を締めくくった。
なお、本作の放送終了後には、TVer、Paraviで見逃し配信もされる。
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