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「生きるとか死ぬとか父親とか」主演の吉田羊がのぞかせたかわいい一面!? 「相談を受けると、期待に応えなきゃ!と考えすぎて…(笑)」2021/05/21

 吉田羊さん演じるラジオパーソナリティーとして働く勝ち気な娘・蒲原トキコと、國村隼さん演じる破天荒だけど愛嬌(あいきょう)のある父・蒲原哲也の、コミカルで温かな家族の物語「生きるとか死ぬとか父親とか」(テレビ東京ほか)。原作は、“人生相談の名手”と呼ばれるジェーン・スー氏による自身の家族の思い出を描いた同名エッセーで、トキコと哲也のさりげなくも味わい深いやりとりはもちろん、スー氏のラジオ番組で好評の「お悩み相談のコーナー」も忠実に再現されるなど、見どころ満載のドラマです。

 今回は、娘のトキコを演じる吉田羊さんを直撃取材! 役を演じる上で大事にしていることや作品への思い、また、國村隼さんやご自身の家族についてのエピソードを丁寧に語っていただきました。

――台本を読んだ時に感じた作品の魅力を教えてください。

「私は、テレ東さんのドラマ24『きのう何食べた?』(テレビ東京ほか)が大好きなんですね。で、同じ枠のドラマということで相当ハードルが上がってはいたんですが、台本を読んだ時に『参りました!』となって(笑)。チャーミングな親子の、何げないけどちょっとだけ特別な日常を静かに淡々と描く中で、家族のままならなさや、期待や失望や後悔が押し付けがましくなく温度をもって迫ってきて、本当に上質なドラマだなと。絶対にトキコをやらせていただきたいなと思いました」

――そのように熱望したトキコ役を演じるにあたり、どのように役作りをされたのでしょうか?

「実は当初、スーさんの仕事ぶりをコピーしようと思ったのですが、それならご本人のラジオを聴いたり、ご著書を読めばいいことだなと思い直して。私が表現すべきは、娘から父への潜在的な思いを体現すること。つまり、憎しみには背中合わせに愛情があることを表現したいと思ったのです。というのも、反発は求愛の裏返しだというのが私の実体験で、理知的なスーさんと真反対の私がこの役を任された意味は、その部分を丁寧に演じろということかなと受け取りました。原作を拝読して私が個人的に感じた、親子として当然寄せられるはずの『甘え』の不在。それをトキコという別人格に重ねて、思いきりむさぼりさらけ出しています。視聴者の皆さまには、家族だからこその愛しくて憎らしい瞬間を、『あるある!』と笑ったりうなづいたりしながら楽しんでいただけたらと。また私自身、母を4年前に亡くしておりまして、生前にしてあげられなかったことへの後悔や、健在である父に対する思いが、スーさんの原作と重なるところもありまして。なので、トキコを演じながら、どこか自分の感情を整理するような…自分の人生を生きているような感覚になりました。そういったリアルな感情を重ねることで、作品のテーマがうそなく伝わって、ご覧になる方それぞれの家族との向き合いの手助けになればと思います」

――さまざまな思いを抱きながら演じられたんですね。トキコを演じる際に、具体的にどういった部分を意識されたのでしょうか?

「スーさんはおしゃべりが達者な方なので(笑)、まずは、よどみなくしゃべるということを意識しました。スーさん監修のラジオのシーンが毎回あるのですが、ほぼ一人語りで、とにかく呼吸をするようにセリフを言うことを最低限の目標にしていましたね。加えて、高い語彙(ごい)力から優しくて厳しい的確な言葉を選んでリスナーさんに話されている印象だったので、スーさんの思いを考えると、アドリブですらも適当なことは言えないという緊張感がありました。あとは、相談に乗りながら同時に、自分の感情も整理されていくような感覚で…。そういう気持ちよさが体験できたのは面白かったですね」

――外見に関しても、吉田さんとスーさんがそっくりと話題になっていますが、こだわられた点はありますか?

「スーさんの代名詞であるターバンと眼鏡は、マストで取り入れさせていただきました。また、衣装には、実は各人物にテーマカラーがありまして。例えば、トキコは青、富田靖子さん演じるお母さんは白で、それぞれに意味があるんですね。それが話が進んでいくにつれて、少しずつ変化をしていくという部分も見どころの一つかなと思います」

――衣装も毎回楽しみですね。

「そうですね! 実際にスーさんの写真などを参考に、みんなで話し合いながら衣装を決めたりしたので。ちなみに、スーさんが撮影現場に見学にいらっしゃった時に、私がつけているターバンを見て『私、それ持っていないから買いたいです! どこのですか?』とおっしゃって、すぐにネットで購入されていました(笑)。だから、お互い不思議な感じなんですよね。私は私でスーさんに寄せようとしているし、スーさんは蒲原トキコに寄せようとしていて」

――おそろいのターバンもあるということですね!

「そうですね。今後スーさんが、もしドラマを見て気に入って買っていただいたら、おそろいのものが増えていくのかなって(笑)。私たちはスーさんが着けていそうなものを選んでいるのですが、スーさんが『あれ、欲しい!』と思ってくれたら大成功ですね(笑)」

――お二人の服装にもあらためて注目したいです! 今回、吉田さんとダブル主演を務める蒲原哲也役の國村隼さんの印象はいかがでしょうか?

「柳のようにつかみどころのない雰囲気は、スーさんのお父様ととてもよく似ているなと思いました。國村さんご自身は関西のご出身ということで、お話には必ずオチがあるし、いつも明るくおしゃべりをしてくださる本当に楽しい方でした。現場ではいつも口笛を吹いていて、これがプロ級の腕前なんです。よく通る口笛を吹きながら現場に入っていらっしゃるんですけど…選曲がいつも暗いんですよ(笑)。嘉門タツオさんの『鼻から牛乳~』でおなじみのあのメロディーの口笛を吹いていたりするので、『お父さん、なんでその曲なんですか?』と聞くと『無意識だった』と(笑)。どうやらその曲が吹きやすいらしく、いつもそれを吹いているのが気になってましたね。童謡の『春よ来い』の曲も吹いていたんですけど、途中で私が撮影に呼ばれて最後まで聴けなかったりして(笑)。同じロケ弁を食べて長い時間を共に過ごしていると、撮影中は自然と親子みたいになっていた気がします。お互い打ち合わせもしてないのに、同じタイミングで『ふうー』とため息をついたり、ふと一緒に窓の外を見たり…無意識にシンクロする瞬間がいくつもあって、こうやって家族になっていくのかな、なんて感じました」

――第5話(5月7日放送)で動物園にいる動物の購入金額を調べてくるなど、哲也のおちゃめな一面も印象的でした。國村さんが演じる哲也のかわいさは、吉田さんから見ていかがでしたか?

「『これはモテるわ』と思いましたね(笑)。無邪気で他意がなく、人の懐にひょいっと入り込む、いわゆる『人たらし』。一方で義理堅く情に厚い面もあって、そのギャップもまた魅力的。でも自由過ぎて、人ごとならいいけれど家族だとちょいと大変かも(笑)。ちなみにスーさんのお父様にも実際にお会いしたのですが、品があって、優雅で、優しくて、ユーモアもあって…。これは、周りが放っておかないなと感じるような佇まいでいらっしゃいました。しかも、國村さんが元々お持ちの素養ばかりなので、哲也はぴったりです」

――ドラマの後半に出てくる、松岡茉優さん演じる20代のトキコと吉田さん演じる今のトキコが話をして、葛藤するシーンも見どころかと思います。

「あのシーンは元々台本にはなくて、撮影の前日に追加されたシーンなんです。監督が、若い頃のトキコと今のトキコを出会わせたい、そして若いトキコに今のトキコの背中を押してほしいということで追加されたんですよね。ファンタジックなシーンながら、お互い同じ人物を演じているので、どこか通じ合っているところがあって、リアルで。自分との闘いが目に見えるとしたら、こういう感じなのかなと思うようなシーンでしたね。松岡茉優ちゃんとは、『コウノドリ』(TBS系)以来、約4年ぶりのドラマ共演だったのですが、クレバーさに磨きがかかっていました! 彼女の他に若い時の聡明なスーさんを演じられる方はいないなと思わせる佇まいでしたし、繊細な演技に心を動かされましたね。4年の間に、彼女も数多くの現場を経験されてきて、どっしりされたというか…良い日々を過ごされているんだなと、どこか母親のような気持ちで見ていました(笑)。茉優ちゃんは一緒になるとすごく親しくしてくれるんですよね。相変わらずの人たらしっぷりは健在だなと、メロメロになっていました(笑)」

――お二人の共演シーンも必見ですね。本作の核の一つとしてラジオが上げられると思うのですが、吉田さんご自身のラジオに関する思い出はありますか?

「中学生の時に聴いていたラジオ番組ですね。ある日、その番組のロケが家の近くで行われていることに気付いて、急いでそこへ行ったらインタビューされました(笑)。その時のテーマが『最近あったうれしかったこと』で、私が当時好きな人に告白をして『いいよ』という返事をもらったことを話したのですが、インタビュアーの人は『それがどうした?』という顔をしていました(笑)。最近では、TBSラジオを聞いていることが多いですね」

――すごい体験をされていたんですね(笑)。ドラマでも、トキコが「お悩み相談のコーナー」であらゆる悩みを解決していきますが、吉田さんご自身は人生相談を受けるタイプですか? それとも人に相談をするタイプですか?

「私はする方が多いですが、私が人に相談をする時は、答えが決まっていることが多くて。大抵は、意見を求めながらも自分で出ている答えに確信を持てるかどうかを見極めるため…という感じですかね。『やっぱりこれで良かったんだ!』って」

――女性あるあるですよね!(笑)。

「ですね(笑)。赤と青で悩んでいて、『青が良いよ』とアドバイスされても、私が『赤の方が良くない?』と言うと『自分の中で決まってたんじゃん!』と言われるのはよくあります(笑)。逆に、相談をされるのは苦手なんですよね。緊張する方なので、その場で言われてパッと返せなかったりして。あと、格好つけでもあるので『相手を救わなきゃ』と感じたり、『“スパスパと返してくれるんだろうな”という期待に応えなきゃ!』などと考えすぎて、1周回って結局どの答えも違うんじゃないか…みたいなことも多いので(笑)。だから、最初に予防線を張って『話を聞くだけなら』と言うようにしています」

――それでもよければ、話を聞くよと。

「そうですね。でも、実際に相談してくる人って、そこが目的だったりすることが多いじゃないですか? 話を聞いてもらうだけでよかったり、ただ共感してほしいという場合もあると思うので、『それでもよければどうぞ』という感じです(笑)」

――もし、いきなり相談をされた場合は、吉田さんの頭の中がグワーッと働いているわけですね(笑)。

「そして、ものすごい真っ白になっていると思いますね(笑)。だから、個人的に連絡がとれる人であれば、その場では『う~ん』と濁しておいて、その後に時間をかけて考えて、メールで『こういうふうにあらためて思ったよ』と送ったりします。整理できる時間が十分にあると、苦ではないので」

――吉田さんに相談したい時は、事前に連絡しておいた方がいいですね。

「そうですね! 前もって質問案をいただければ、じっくり対応させていただけるかなと(笑)」

――貴重なお話を伺ったところで、本作では“家族”もテーマとなっていますが、印象に残っているご家族とのエピソードがあれば教えてください。

「私は、父親っ子なんですね。5人兄妹の末っ子ということもあり、父に一番かわいがられていたんです。小学生の時に父が長い出張から帰ってきて、うれしくてまとわりついていたことがあって。父が『ちょっと着替えてくるから待っててね』と自分の部屋に引っ込んだ瞬間に、母が鬼のような形相で『あんただけのお父さんじゃないのよ!』と怒ってきたんです(笑)。それくらい私の両親は、死ぬまでお互いが一番で、愛し合っていた夫婦でした。そして、母が本気で嫉妬するくらい、私も父親っ子だったなと思いますね。母が亡くなった後、兄妹で母との思い出を話していた時に、『お母さんにとってはお父さんが一番だったんだね』という結論に全員一致で行き着いたんですよ。そういう両親のもとで生まれ育ったのは幸せだったなと思いますし、今回こういう作品のお話をいただいて、父に対する思いというものも新たにしました。自分の父に対する思いを重ねて役作りをすることができたことに、本当に感謝しています」

――最後に、吉田さんにとって、家族とはどんな存在か教えていただけますか?

「私にとっては、一番大切で一番怖い人たちです。お互いに絶対見捨てない存在だからこそ、この人たちを悲しませるようなことはできない。ちゃんと胸を張れる生き方をしなくてはならないなと思わせてくれる存在です」

【プロフィール】

吉田羊(よしだ よう)
福岡県出身。みずがめ座。O型。ドラマ「HERO 第2シリーズ」(フジテレビ系)、「コウノドリ」シリーズ(TBS系)、「コールドケース 〜真実の扉〜」シリーズ(WOWOW)、「メディカルチーム レディ・ダ・ヴィンチの診断」(フジテレビ系)、「破獄」(テレビ東京系)、「2020年 五月の恋」(WOWOW)、映画「脳内ポイズンベリー」(2015年)、「嫌な女」(16年)、「ラブ×ドック」(18年)、「記憶にございません!」(19年)、舞台「子供の事情」「恋のヴェネチア狂騒曲」「風博士」などの話題作に出演。ドラマ「きれいのくに」(NHK総合)が現在放送中のほか、ドラマ「がんばれ!TEAM NACS」(WOWOW)が6月20日より放送予定。 

【番組情報】

ドラマ24「生きるとか死ぬとか父親とか」 
テレビ東京ほか
金曜 深夜0:12~0:52

取材・文/鬼木優華(テレビ東京担当) 

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