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世界的ダンサー・仲万美、「ドリームズ・オン・ファイア」で映画初主演 「それぞれの夢に少しでも火がつけば」2021/04/25

 ダンサーを夢見る少女が現実という壁に直面しながらも奮闘する姿を描く映画「ドリームズ・オン・ファイア」が、5月15日より公開される。主人公・ユメを演じるのは、ダンスアーティストであり女優やモデルとしても活躍する仲万美。加藤ミリヤや椎名林檎、マドンナなど数々のアーティストのバックダンサーを務めた彼女が、夢と現実のはざまでもがきながらも踊り続ける少女を熱演する。さらに、髙嶋政宏ら名優陣、そして麿赤兒、黒田育世をはじめ世界中で活躍するダンサーも出演し、これまでにない表現方法がつめこまれた“アーバンダンスムービー”に仕上がっている話題作だ。

 そんな本作について、主演の仲に思いを聞いた。

――映画初主演とのことですが、オファーを受けた時の感想は?

「単純にうれしかったです。監督のフィル(・メッキー)と初めて会った時に『僕、映画監督やってるんだ』って派手な名刺を渡されまして。それから数カ月後に再会して『脚本ができたからぜひ読んでほしい、万美に絶対主演をやってほしい』と言われました。いざ読んでみたら、『これは自分しかできないな』と。実際に演じてみても、同じことを思いましたね。なので、撮影中は緊張とかもありませんでした。フィルが真っ正面からオファーをくれたのが自信になりました」

――最初から監督の中で決まっていたのですね!

「僕しかいなかったのだろうなと思います。監督はリアルが好きなので、他にも劇中に登場する元セクシー女優役の子が本当にセクシー女優の方だったりして、フェイクがないんです。みんな本物なので面白かったですね」

――役作りについては、監督とどのような相談をされましたか?

「『万美だったらどうする? どう思う?』って、僕の意見を尊重してくれるので、伸び伸びと演じることができたと思います。『ここはこうだと思う』と伝えると『じゃあこうしよう』というような、信頼された上で任されている感覚がありました」

――仲さんが演じられるユメとは、どんな人物なのでしょうか。

「貪欲で真っすぐすぎる人物ですね。田舎で育ったから、東京の闇を知らないというか。なじめないこともあるんですけど、そこに頑張ってしがみついて、全部ダンスのために動いていきます。逆に頑固と言えば頑固なのかな…強い子だなと思いました」

――麿赤兒さん演じる祖父たち家族から強く反対されても家を出て行きますもんね。

「無知だからこそできることですよね。それは強みだと思います。僕はときに諦めてしまうこともあるんですけど、ユメちゃんは何回も立ち上がるから尊敬です。自分にはない部分があると思いました」

――仲さんの中で、“自分しか演じられない”と思いつつ、ご自身とは違う個性の持ち主といった認識でしょうか?

「そうですね。唯一の共通点はダンスが好きなことです。ユメは劇中で、『ダンス辞めるくらいなら死んだ方がマシ』と断言していますが、僕にはその感覚はないです。死なずにダンスしたいので(笑)。でも、そのダンスに対する思いに関しては、純粋にお芝居にはめるだけなので、役作りは一切しませんでした」

――例えば、ユメが髙嶋さん演じるキャバクラのオーナーに出会うシーンをはじめ、全体的に自然体のお芝居が印象的でした。実際の仲さんのオーラとの違いに驚きです(笑)。

「本当ですか? あのシーンは、髙嶋さんのアドリブだったんですよ! なので、素のリアクションがあのお芝居に出ています。いきなり本番でハグをされて、それを監督が気に入ったみたいで(笑)」

――劇中にはダンスシーンも登場しますよね。ダンスにもユメの心情の変化は表れているのでしょうか?

「田舎から出てきたころの彼女は、手振りのダンスみたいな流行のものをYouTubeで覚えようとするんですよね。でも、そういった手振りのダンスとは全然違うジャンルでめちゃくちゃ上手な人がいるという現実を知って…。物語を通していろんなものを得た彼女は、ラストで手振りではない踊りをするんです。実は、本来の仲万美のスタイルもそうなんですよ。伸び伸びと踊るんです」

――振り付けはご自身で考えられたのですか?

「最初と最後のシーンは前もって自分で振りを作ったんですが、あとのシーンは全部フリーです。本番で音がかかってから自由にやりました。その時に抱いている感情を体で表現するってすごく楽しいんですよね!」

――即興ですか!

「縛られるのが嫌いな性格なので、自由に踊るのが好きなんです。あまり振りは作らないのが自分の流儀というか…基本フリースタイルですね」

――ダンサーになろうと決意した瞬間のようなものはあるのですか?

「実は、ないんですよ。気づいたらなっていました。昔から、ただただダンスが好きというだけで続けてきたので、いつの間にかマドンナや椎名林檎さんのバックにつく目まぐるしい日々になった印象です(笑)」

――すごいですね! ユメを支える親友・雫ちゃん(山下雫)との関係も描かれていますが、ご自身にもそんな存在はいらっしゃいますか?

「15、6歳の時にユニットを組んでいた相方がいて、その人がすごく支えになってくれました。雫ちゃんみたいに言葉を掛けてくれる存在というわけではないんですが、ただそばにいて踊ってくれました。今も仲が良く親友です。椎名林檎さんからオファーをいただいて、2人で一緒にツアーに帯同させていただいたこともあります。なので、2人のシーンには共感できましたね」

――では最後に、見どころを教えてください。

「皆さんが想像している以上に、いろんなダンスの世界が描かれています。自分でも見たことがないものもあったので、刺激になりました。ダンスを知らない方からしたら全部が新しいと思うんですが、それが美しくて見応えがあり、楽しいと思います。 “夢に向かって走ればいつかかなう”なんてこの世にはないですが、ユメみたいに挫折したり転んだりしたとしても、どの道を選んだとしても正解だと思うんです。見てくれる方たちが、自分の好きなことを嫌いにならずに自分のペースでゆっくりと好きなだけやって、それぞれが持つ夢に少しでも火がついたらいいなと思いますね」

――ありがとうございました!

【プロフィール】

仲万美(なか ばんび)
1992年6月15日生まれ。熊本県出身。ふたご座。5歳からダンスを始め、20年以上のキャリアを持つ。これまで加藤ミリヤやBoAなどのバックダンサーを務め、2015年にはマドンナのバックダンサーとしてワールドツアーを約1年半同行。14~16年、19年には「NHK紅白歌合戦」において椎名林檎アーティストダンサーを務めたほか、16年リオデジャネイロオリンピックの閉会式における、日本のプレゼンテーション「SEE YOU IN TOKYO」にも参加するなど、世界的にも活躍。19年1月に映画「チワワちゃん」で女優デビューを果たし、舞台「ROCK OPERA『R&J』」では、ヒロイン・ジュリエット役に抜てきされる。

【作品情報】

映画「ドリームズ・オン・ファイア」
5月15日(土)より、シアター・イメージフォーラムほか全国順次公開。

取材・文/藤田真由香 撮影/尾崎篤志



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