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安田顕がうつ病と闘う棋士・先崎学を好演! 表情をつくるために敢えて“しなかったこと”とは?2020/12/18

安田顕がうつ病と闘う棋士・先崎学を好演! 表情をつくるために敢えて“しなかったこと”とは?

 将棋界の最高位「九段」の棋士・先崎学さん原作の「うつ病九段」がNHK BSプレミアムでドラマ化され、12月20日に放送されます。2017年に不祥事に襲われた将棋界を救うために奔走している中、うつ病を発症した先崎さんの実話に基づいた物語で、壮絶なうつ病との闘いと再び将棋への情熱を取り戻すまでの道のりが描かれています。家族に支えられながら闘病する先崎さんを演じる安田顕さんから、作品への思いや撮影エピソードを伺いました。

――プロ棋士である先崎学さんがご自身のうつ病について書かれた作品を読まれていかがでしたか?

「先崎さんがプロの将棋棋士として、勝負の世界で生きている姿や自分自身に負けずに立ち向かっていく様子が描かれていて、心を揺さぶられました。また、先崎さんを支える家族や周囲の人々にもグッときました。ともすると重くなりがちなテーマですが、先崎さんの原作は淡々とした語り口で、文章がすっと読めましたし、客観的に書かれているのでユーモラスにも感じるところもありました。ユーモラスな中にも大事なテーマである病気に対して立ち向かっていく姿が描かれているので、そこに心が揺さぶられたんだと思います」

――勝敗が決まるまで決断し続ける将棋と、決断をしてはいけないうつ病は対極にあるものですが、撮影前はどんな印象をお持ちでしたか?

「今は将棋ブームですが、僕自身は将棋に詳しくなくて。対局中に棋士の皆さんが何を食べたのかなという興味はあるんですけどね(笑)。藤井聡太さんは普段穏やかな目をされていますが、この間、対局中の写真を見たら、髪の毛で隠れていた目が鋭い目つきで盤上をグッと見ていたんですよ。それくらい厳しい勝負の世界なんだという印象があります。一方、うつ病に対しては、軽度から重度まであり、発症する人がたくさんいらっしゃって身近に感じておかなければいけない問題だという捉え方をしておりました。原作には“朝、体が重い、動けない”と書いてあって『そこまでなるのか』と。死にたいじゃなく、死になさいという信号なんだということも知りました」

安田顕がうつ病と闘う棋士・先崎学を好演! 表情をつくるために敢えて“しなかったこと”とは?

――実際に先崎夫妻に会われたそうですが、話を聞いてどんなヒントを得ましたか?

「お二人のお話をベースにされているので、ご夫婦の思いを伺いました。自分が本当に病になることはできないので…。先崎さんから伺うだけでなく、大変デリケートな問題ですが、支えていらっしゃった奥さまが感じていたことや、どのように見ていたかを伺いました」

――それでは、先崎さんから教えてもらったことでどんなことが印象的でしたか?

「先崎さんに『何手先までも読める棋士がお互い勝敗の行方が分かっている時、どれくらいのリズムで指していくんですか』と聞いたんです。すると『負ける方よりも勝つ方が慎重です。プロは間違っちゃいけないんですよ』とおっしゃったことが印象的でしたね」

――先ほど、奥さまからも話を聞いたとおっしゃっていましたが、具体的にどんなことを聞かれたのでしょうか?

「先崎さん自身は表情がこわばっている状態だと感じているのに、奥さまから見ると、すべての筋肉が緩んでいるように見えたそうです。それは無表情ということなんでしょうが、同じ無表情でも完全に止まっているのと、すべてが緩んでしまっている状態というのは違っていて…。共通するのは“目が死んでいる”というイメージだと思うのですが、その状態は作りようがなくて難しかったです。より近い状態を作るために、コンタクトレンズを外して周りが何も見えない状態を作っていました。気分の問題なんですけどね。花火が上がって色が見えるというシーンになるまでは、コンタクトレンズを付けていなかったので、周りのスタッフさんの顔が見えなかったんです。だから、目を見てごあいさつができず、迷惑をかけることがありました(笑)」

安田顕がうつ病と闘う棋士・先崎学を好演! 表情をつくるために敢えて“しなかったこと”とは?

――妻・繭を演じる内田有紀さんと共演していかがでしたか?

「先崎と繭が語り合うシーンについて『このシーン、僕、好きなんですよ』と伝えたら『このシーンですよね』と内田さんが台本をすっと出してきたんです。そこには“山場”って書いてあって…(笑)。『いいですよね!』と盛り上がりました」

――安田さんは先崎さんの将棋のように、病気になったとしても、誰かに止められてもやりたいことはありますか?

「あるのかな~。どうでしょう? お酒は手放せないですね(笑)。今は自分の中に明確な答えを持てていないし、その時になってみないと分からないですけど、何が残るんだろうと想像はします」

――先崎さんと安田さんは同世代ですが、同世代として感じたことはありますか?

「先崎さんが僕より三つ、四つ先輩なんですけれども、同世代とは思えなかったです。見た目ではなく、話す感じや考え方、経験値、含蓄があって、年齢が上の方という印象がありました」

――今作のドラマを通して感じたことを教えてください。

「物事を真面目に真剣に捉え過ぎず、適度に適切に適当に“なんくるないさー”という気持ちをどこかで持つことが大事だなと思っています。30年くらい前に『だよね』や『まいっか』というタイトルの曲がはやって、当時は『この歌の何がいいんだ?』と思っていたんですけど、先日聞いて『ああ、いい歌だな』と(笑)。そういう気持ちを抱えた上で、物事に対して真剣に取り組んでいった方がいいのかなという気分でいます」

――今作は、これからの役者人生にも影響があったということでしょうか?

「心掛けたいんですけど、難しいんですよね。『まいっか』じゃ、済まないですから(笑)。なるべくそういう面持ちを抱えていたいなとは思います」

――最後になりますが、視聴者の方にどんなふうに見てほしいですか?

「自分の浅いキャリアの中でも印象に残る現場で、皆さんの取り組み方がすごかったんです。この作品を良いものにしたいという熱量がすごくあった現場でした。見てくださった全員に“いいね”と思っていただけなくても、1人でも2人にでも『明日頑張るか』と心に刺されば、届けばいいなと思っております」

――ありがとうございました!

あらすじ

安田顕がうつ病と闘う棋士・先崎学を好演! 表情をつくるために敢えて“しなかったこと”とは?

 2017年の夏、突然、思考停止に陥った先崎学九段(安田)。棋連連盟の広報担当として多忙を極め、さらに休む暇もなく盤面にも向かう日々を送った末、うつ病を発症したのです。担当医からは極度の集中力を強いる将棋を禁止されます。プロの囲碁棋士である妻・繭(内田)は回復を信じ、先崎を必死に支えることに。壮絶な闘病の末、先崎は再び将棋に挑むのですが、うつ病でルールを全く理解できず…。

【番組情報】

BS特集ドラマ「うつ病九段」
12月20日
NHK BSプレミアム 午後9:00~10:29

NHK担当 K・H



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