「もう1度夫婦になりますか?」森迫永依×前田公輝、夫婦役で初共演「人間って白黒つけられない」【前編】2026/07/06 12:00

日本テレビ系で7月6日スタートの連続ドラマ「もう1度夫婦になりますか?~カモフラージュ夫婦~」(月曜深夜0:24、初回は深夜0:34)で、ダブル主演を務める森迫永依と前田公輝。本作は、原作・六葉雅氏、作画・上原ひびき氏による漫画「カモフラージュ夫婦」をドラマ化、不倫という裏切りをきっかけに壊れた夫婦が、それぞれ自分自身と向き合い、再び人生を動かしていく姿を描く“不倫サスペンス×ラブ×ヒューマン”だ。
森迫が演じるのは、「普通に幸せな結婚生活を送りたい」と願い、夫を支えるために家庭に入った妻・笹嶋愛子。前田は、表向きは優しく誠実で仕事もできる一方、家庭内では愛子を利用していた夫・笹嶋誠一に扮(ふん)する。初共演ながら、裏切りから始まる夫婦の複雑な関係性に向き合う2人に、前後編でインタビュー。前編では、作品の印象や役柄への思いに加え、愛子と誠一の関係をどう受け止めたのかに迫る。
“裏切り”の先に描かれる、それぞれの再生

――まず、企画を聞いた時、また原作・脚本を読んだ時の率直な感想をお聞かせください。
森迫 「私はもともと原作を知っていたので、まさかの実写化、しかも私が愛子役で、不倫される側を演じるんだということにすごく驚きました。読んでいてかなり衝撃的でしたし、『どうやって実写化するんだろう』『実写化した時に、私はどう演じればいいんだろう』と、ドキドキ半分、未知へのワクワク半分という感覚でした」
前田 「僕はこのドラマのお話をいただいてから原作を読んでみたのですが、原作に愛子が苦しみを感じると水の音とともにその傷ついた心が表現される描写があったんです。今回、ドラマの台本にもそれがト書きにあって、そういう感覚って確かにあるよなと共感しながら読みました。最後まで読み終えたとき、慣れ親しんだ環境に甘んじず、感謝の気持ちを持って、愛の大切さをあらためて考えていきたいと気付かせてくれる作品だと強く感じました」

――それぞれが演じる愛子と誠一を、どのような人物として捉えていますか。
森迫 「愛子は一見、優しくて人当たりのいい女性なんですけど、内側にはしっかりとした芯を持っている人。“強い女性”という言葉はよく聞きますが、そうあり続けるのは簡単なことではないですよね。つらい時に、自分を奮い立たせるのはなかなか難しい。でも愛子は、どんな状況でも自分を見失わず、ぶれずに立っていられる。とても勇気のある女性だと感じました。演じる上では、原作や脚本を読んだ時に私自身が受け取った感情を大切にしながら、その思いを視聴者の皆さんにも届けられたらと思っています」
前田 「誠一は、本当に弱い人だと思います。弱いからこそ強く出て、愛子を征服しようとしてしまう。そして自分が家庭をコントロールしていると勘違いしているような男性なんです。でも本当は、愛子にひかれている部分も実はある。ただ、好きになる相手を間違えたことで、その人の価値観を自分の価値観として捉えてしまい、愛子に強く当たってしまう。物語の後半では、誠一が本来持っていた真っすぐさや純粋さを取り戻し、愛子に対して真摯(しんし)に向き合っていくところに全身全霊を尽くして演じたいと思っています」
――お互いの役柄については、どう受け止めていますか。
森迫 「誠一は率直に言うと、ひどすぎるというか、ありえないですよね(笑)」
前田 「ありえないですよね。困っちゃいますよね(笑)」
森迫 「でも、物語が進んでいくにつれて、本当の誠一さんだったり、『だから愛子もこの人を一度は愛したんだな』と思えたりするんです。もちろん憎らしいところもあるけれど、愛すべきところも持っている。それが人間らしいというか。2人が取った選択には、最終的に納得できたので、見てくださる方にも納得していただけるように演じていきたいです」
前田 「僕はもう、愛子に共感する部分が大きくて。結婚して、生涯を共にするという決意をして、妻として真っ当に過ごしていただけなのに……誠一が盛大な裏切りをしたことで、憎しみに変わってしまうのは当然だと受け止めています。脚本を読んでいて、自分が演じる誠一の気持ちとして読まなければいけない場面でも、どうしても愛子に心が寄り添ってしまうところがありました。そこが今回、一番難しい部分です。誠一の役の気持ちをトレースする以前に、客観的にこのドラマを見た時に、愛子が6年間必死に愛していたことが伝わる描写がいくつもあって。愛子のように、相手を思いながらも自分を見失わず、必要なところでちゃんと線を引ける人になれることが、僕にとっては憧れなのかもしれません」
――演じる時には、その愛子への共感を一度忘れることになりますよね。
前田 「そうなんです。そんな愛子を、これでもかというくらい苦しめないといけないので。今までは、どちらかというと不倫される側の役や傷つく側の役の方が多かったんですけど、今回は逆に傷つける方なんです。これまでの役で傷ついてきた分だけ、そのエネルギーを逆に傷つける方へ持っていけたらいいなと思いながら、とにかくまずは愛子への共感を忘れることを心がけて現場に行こうと思っています」

――誠一は序盤、かなり強烈な行動も見せる人物ですが、愛子から見て「それでも憎みきれない」ところは、どこにあるのでしょうか。
森迫 「まだ見えていない部分もありますが、台本を読んでいる限りでは、弱さがちゃんと見えるところです。その弱さを隠したいからこその強がりじゃないですけど、そういうものも愛子は見てきたんだろうなと思います。最後の晩餐(ばんさん)のような場面なのに、いきなり『ここがおいしい』『あれがおいしい』と言い出したりして」
前田 「煮え切らない男ですよ(笑)」
森迫 「そういう煮え切らない感じが、ちょっとかわいいとか、憎めないなと思わせてくれるのかなと思います」
初共演で夫婦役 信頼を深める2人

――お二人は今回が初共演ですが、お互いの印象はいかがですか。
森迫 「かなり話しやすいです。まだお会いして数回ですが、お芝居に対する考え方も含めて、信頼できる方だなと感じました。普通に優しいですし、安心してお仕事ができる方なので、ありがたいです」
前田 「一度、軽く本読みをさせていただいた時に、森迫さんが演じる愛子がとてもすてきでした。森迫さんのお人柄を知るより先に、まず愛子を通して森迫さんを知ることができたんです。最初から誠一として愛せる存在でいてくださいました。これからの撮影が本当に楽しみです」

――今日お話しされている様子を見ていると、お互いへの信頼感も少しずつ生まれているように感じます。前田さんは森迫さんご自身に、愛子にも通じるような愛らしさや魅力を感じる部分はありますか。
前田 「ありますね。笑顔もすてきですし、頭の回転が速い方なんだろうなと感じました。今回、愛子は回想も多いので、現場では監督さんから『ここの感情をもう少しマイルドに』『ここは少し含みを持たせて』といった細かな調整を求められることもあると思うんです。ある程度、自分たちで計算しておいた方が、現場では足し算や引き算、パーセンテージの調整に集中できる。森迫さんは、全体がとてもよく見えていらっしゃる感覚があります。あとは、動じないところですかね。常に堂々とされている感じが印象的でした」
――森迫さんは、前田さんが誠一を演じると聞いた時、どのように感じましたか。
森迫 「お相手役が前田さんだと伺った時に、しっくりきたんです。もちろん前田さんご本人が、ということではなくて、誠一は言い方を選ばずに言えば“クズ”な一面もある人物じゃないですか。そういう嫌な部分や、狂気をはらむような部分を、前田さんなら説得力を持って演じられるんだろうなと思いました。監督からも、そういう役どころを楽しんでやられる方だと伺っていて。一方で、実際にお会いしてみると、ものすごく優しいですし、お芝居に対する姿勢も尊敬できます。安心して、信頼してご一緒できる感じがするので、怖い誠一さんも想像できるし、かわいらしい誠一さんも想像させてくださる。前田さんご自身の人柄を知れたことで、愛子の気持ちに近づける気がします」
――誠一はひどいことをする人物ではありますが、それだけでは片づけられない部分も描かれていくんですね。
森迫 「結末に触れることはできないんですけど、愛子と誠一さんが取った選択を、共感とまではいかなくても『そういう選択もあるよね』と思っていただけたらいいなと思います。不倫をして最低な人だけど、こういう面もあるんだな、とか。人間って白黒つけられないことがいっぱいありますし、いい人にも悪いところがあったり、悪い人が優しい面を持っていないわけでもないと思うんです。そういう複雑な人間の面を、『確かに』と思っていただけたらいいですし、見てくださった方たちが2人の選択を応援してくれるように思っていただければ、役者としてはうれしいです」
前田 「家庭って、いつも当たり前にあるものだと感じてしまいがちですよね。でも、この物語は衝撃的な2人から始まるので、最終的には2人にしか感じられない幸せにたどり着くのかもしれません。家庭を顧みて、そこに見逃していた愛を捉えていただけたらいいなと感じています」

夫婦として、そして一人の人間として、愛子と誠一がどのような選択へたどり着くのか。後編では、作品のキーワードでもある“普通に幸せな結婚生活”を入り口に、2人自身の結婚観や、現場で見つけた意外な共通点、日々のリフレッシュ方法にも迫る。
【プロフィール】
森迫永依(もりさこ えい)
1997年9月11日生まれ。千葉県出身。2006年の実写版「ちびまる子ちゃん」(フジテレビ系)で主人公・まる子役を演じ注目を集める。以降、ドラマ「アンサンブル」(日本テレビ系/25年)、夜ドラ「替え玉ブラヴォー」(NHK総合/26年)、虎に翼スピンオフ「山田轟法律事務所」(NHK総合ほか/26年)などに出演。
前田公輝(まえだ ごうき)
1991年4月3日生まれ。神奈川県出身。6歳より子役として活躍し、2008年の映画「ひぐらしのなく頃に」で映画初主演を果たす。16年から参加した「HiGH&LOW」シリーズの轟洋介役で人気を集め、連続テレビ小説「ちむどんどん」(NHK総合ほか/22年)などに出演。近年は「完全不倫-隠す美学、暴く覚悟-」「おいしい離婚届けます」(ともに日本テレビ系/25年)で主演を務める。7月2日スタートのドラマ「親愛なる夫へ~完璧な妻の嘘~」(日本テレビ系=読売テレビ制作)には加藤悟役で出演。また、9月4日に映画「ホーム スイート ホーム」の公開が控えている。
【番組情報】
「もう1度夫婦になりますか?~カモフラージュ夫婦~」
7月6日スタート
日本テレビ系
月曜 深夜0:24~0:54
※初回は深夜0:34~1:04
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取材・文/斉藤和美 撮影/蓮尾美智子
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