「豊臣兄弟!」で寧々役・浜辺美波が語る秀吉(池松壮亮)への愛情「一番の味方でいてあげたい」2026/04/11 12:00

現在放送中の大河ドラマ「豊臣兄弟!」(NHK総合 日曜午後8:00ほか)で、豊臣秀吉(藤吉郎/池松壮亮)の正妻・寧々を演じる浜辺美波にインタビュー。
仲野太賀が主演を務める大河ドラマ第65作で描くのは、強い絆で天下統一という偉業を成し遂げた豊臣兄弟の物語。「秀長が長生きしていれば豊臣家の天下は安泰だった」とまで言わしめた天下一の補佐役・秀長(小一郎/仲野)の目線で戦国時代をダイナミックに描く波乱万丈のエンターテインメントだ。脚本は連続テレビ小説「おちょやん」(NHK総合ほか)や「半沢直樹」(TBS系)などで知られる八津弘幸さんが手がけている。
4月5日放送の第13回では、織田信長(小栗旬)の命により小一郎が慶(吉岡里帆)を妻に迎えるエピソードが展開。慶が何かをたくらんでいるのではと察した寧々が藤吉郎と共に乗り込んでいくシーンでは、真剣な内容でありながらコミカルな夫婦の掛け合いが話題を呼んだ。浜辺は「『お前さまと2人で戦った気がします』というセリフが大好き」と明かし、池松の現場での姿勢に深い敬意を寄せた。慶の登場で新たな家族の形が動き出す中、寧々の変化と変わらぬ愛情、そして撮影現場での舞台裏を語ってくれた。

――放送も第13回を迎えましたが、寧々を演じ始めた頃と今とで、人物への向き合い方に変化はありましたか。
「年齢的には10年少しくらいしかたっていないと思うのですが、秀吉や家族への愛が徐々に深まっていると感じています。今作では寧々自身の母との共演シーンよりも、秀吉の家族とのシーンの方が多くて、一緒にいる時間も長いので、自分の母と変わらないくらいの存在感です。それ以上に秀吉のお母さまのなか(坂井真紀)、姉のとも(宮澤エマ)、妹のあさひ(倉沢杏菜)のことを大切に思っていて、絆が深まっている実感があります。一方で変わらない部分としては、秀吉がどれだけ出世していっても、そばで見守って一番の味方でいてあげたいという気持ちがあって、それはむしろ以前より強くなっているのかなと感じています」

――藤吉郎との2人のシーンは毎回楽しく拝見しています。池松さんから刺激を受けることも多いのではないでしょうか。
「秀吉を演じていらっしゃる時の池松さんと、普段の池松さん、その両方から刺激をいただいています。演じている時はまったく雰囲気が違って、発声から生き生きとした秀吉ならではのパワーがあって。その目の奥に天下が見えてしまうような力があり、魅力的な人物だなと実感します」
――その秀吉像は、どのように作られていると感じますか。
「シーンを成立させるためにどんな動きが必要か、どのような方向性のお芝居がいいのかという視点に加えて、他のシーンとの対比や、物語の流れの中で今が何話目なのかといったところまで踏まえて考えていらっしゃるんです。例えば、このシーンはこことの対比で作られているから距離を近くした方がいいとか、動きの大きさはこれくらいがいいのではないかといった具体的な提案もされていて。その姿を間近で拝見して、広い視野で作品づくりに取り組まれている方だと感じました。お忙しい中でも多くの方と丁寧に話し合い、すべてのシーンに全力で臨まれている姿は心から尊敬します」

――第13回では慶が本格的に登場しました。直(白石聖)を失った小一郎のもとに嫁いでくる慶に対して、寧々としては、どのような思いがありましたか。
「最初は、やはり心の中に直への思いが強く残っていて。慶が直に取って代わるわけではないけれど、直のことを忘れないでいてほしいという気持ちが小一郎さんに対してあったからこそ、慶さんに少し厳しい態度をとってしまったのかなと思います。慶さんにまつわる悪いうわさもあって警戒してしまい、すぐには受け入れられなかった。ただ、その気持ちを言葉にしてしまうと前に進めないという葛藤も寧々にはあるのだろうなと受け止めています」

――そんななか、寧々が藤吉郎と共に慶のもとに乗り込んでいくシーンも印象的でした。真剣な場面でありながら、どこかコミカルな夫婦の掛け合いも光っていましたね。
「今作では池松さんがヒントをくださってからシーンに挑むことが多くて。今回も『初めて一緒に戦うシーンだからね』とおっしゃって、コミカルなやりとりの中にも“初めて一緒に戦う”という感覚を大切にしながら調整してくださいました。私自身も『初めてお前さまと2人で戦った気がします』というセリフが大好きで、寧々はきっと、すごくうれしかったんじゃないかなと思っています。女性は支える側に回ることの多い時代に、同じ立場で、同じ方向を向いて挑んだという経験は、寧々にとっても強く残るものだと思いますし、こうした積み重ねが夫婦の絆を作っていくんだろうなと感じられるシーンでした」
――改めて、寧々から見た秀吉の魅力はどのように感じていますか。
「まずは唯一無二だなと思います。生きていく生命力のようなものがすごくある方で、人がなぜか秀吉のことを憎めなくて、いつの間にかとりこになってしまう。気付いたら手のひらで転がされているような、魅力的な人物だなと思います。寧々も聡明な人ではあると思うのですが、それよりも一枚上手で。秀吉は、もしかしたらどこかで分かってやっているんじゃないかなと感じています」
――浜辺さんご自身として“推しの武将”はやはり秀吉ですか?
「そうですね。私はもう秀吉しか見えていないので、撮影でもお会いするのは秀吉と小一郎、あとは甚助(前原瑞樹)くらいなんですけれど。やっぱり一番そばにいる存在なので、目を見た瞬間にいろいろな感情が生まれるというか、その感覚が特別なんです。自然と引き込まれてしまう魅力がある方だと思います」

――第10回の秀吉と寧々の耳かきのシーンは、印象的でした。
「脚本ではもともと、秀吉に寧々が耳かきをする設定だったのですが、池松さんと監督の話し合いで、逆の方が新鮮でいいのではないかということになり、私が下に寝転がる形になりました。実際に完成したシーンを見るとかなり新鮮ですし、2人の関係性がよく表れているなと思います。それまで、この夫婦は少し不機嫌なやりとりが続いていたこともあって、ああいう仲むつまじい様子が見られるのはいいなと思いました」
――寧々とまつ(菅井友香)の関係も、本作ならではのユニークな描かれ方ですよね。
「けんかするほど仲がいい寧々とまつという関係性が新鮮で、楽しんでいただけたらうれしいです。コミカルな掛け合いではあるのですが、根底ではお互いを嫌っているわけではないところが、張り合いがあって面白いなと感じています。菅井さんとは初めての共演ですが、とてもかわいらしい方だなという印象があります。ただ、寧々としては、前田利家(大東駿介)とまつが子だくさんで仲のいい夫婦というのがうらやましくて。そばにいると、少しねたましく思ってしまう部分もあるのかなと捉えています」
――これまでのシーンで、特に心に残っているものを教えてください。
「直が体調を崩した時のシーンです。直とは主従関係で、掛け合うことがあまりなかった分、あの場面で寧々自身、こんなにも強い愛情を抱いていたんだと気付く瞬間でもありました。あれほど強くて頼りがいのあった直が倒れてしまった時の悲しみは、視聴者の方と同じように、寧々の中にも深くあったのではないかと思います。菅井さんとのシーンでいうと、御前試合で応援する場面が心に残っています。柵越しに、直接言葉をかけるのではなく、どこかけん制し合うような距離感があって。それが、少しずつ関係が近づいていく、友情の始まりのように感じられました」

――藤吉郎と小一郎の兄弟の絆は、寧々の目にはどう映っていますか。
「本当に深いところで結ばれている2人だなと感じます。寧々としても、この2人の絆には入り込めない部分があって。これほど支え合い、信頼し合っている兄弟というのは素晴らしいですし、どこかうらやましさもあります。池松さんもおっしゃっていたのですが、この時代は兄弟であっても争うことが珍しくない中で、これほどの信頼関係があるのは特別なことだと。その関係性を見ていると、自然と応援したくなりますし、もはや嫉妬するのもおこがましいくらい仲がいいんです。私の中ではもう殿堂入りで、小一郎は嫉妬の対象からは外れています(笑)」

――座長・仲野さんの現場での姿についてもお聞かせください。
「素晴らしい座長だなと感じています。こういう方が大河ドラマの主演を務められるんだろうなと思わせてくれる存在です。お芝居はもちろんですが、現場での振る舞いや作品への姿勢がとても誠実で、なおかつ高い熱量を持っていて。その熱を惜しまず周りに向けてくださるところが印象的です。ご本人は穏やかで優しい笑顔の方なので、その空気感に支えられて、現場全体が前に進んでいるように感じます。冷静に作品を見つめながら、さまざまな視点で考えていらっしゃる方なんだろうなと思っていて、頭の中をのぞいてみたくなる存在です」
――撮影を通じて、ご自身の中で変化や学びはありましたか。
「まずは、小一郎と藤吉郎を演じていらっしゃるお二人から大きな刺激を受けています。広い視点で冷静に、誠実に作品と向き合いながらも、しっかりと熱量を持っていらっしゃる。その姿を間近で拝見して、日々学ぶことばかりです」
――今作の撮影リズムの中で、意識されていることは?
「豊臣兄弟の家族や女性陣は撮影の間が空くこともあって、これまでの作品のように役に入り続けるのではなく、他の仕事と並行しながら、短い時間でいかにスイッチを入れて現場になじむかという点は、自分にとって大きな変化でした。久しぶりに現場に行くと、少し声を出すだけでも緊張してしまい、気持ちが追いつかないこともありましたが、最近は少しずつそのリズムにも慣れてきました。とはいえ、現場に行くたびに大きなセットが組まれていて、その都度驚くこともあります。そうした環境の変化も受け止めながら、その場で寧々としてどうあるべきかを柔軟に表現していけたらと思っています」
――本作では、連続テレビ小説「らんまん」(NHK総合ほか)で共演した宮澤エマさん、大東駿介さん、前原瑞樹さんも出演されています。長くご一緒した皆さんがいる現場の雰囲気について教えてください。
「久しぶりに現場に入った時に、長くご一緒したメンバーがいるとホッとしますし、自然と心がほぐれていきます。家族など距離の近い役柄でご一緒させていただいているということもあって、相談もしやすく、関係性を深めていく上でも演じやすい環境だと感じています。長時間の撮影が続くと、どうしても現場が静かになる瞬間もあると思うのですが、皆さんがいることで空気が明るくなって、自然と会話が生まれていくんです。『らんまん』でご一緒した皆さんが、初めてご一緒する方との間をつないでくださることも多くて、現場全体で大きな輪ができていく。その存在に助けられています」
――中でもムードメーカーのような存在を挙げるなら?
「前原さんですね。どこにいても笑い声が聞こえてくるんです。メーク中でも着替えている時でも声が聞こえてくるので、『ああ、今日はいるんだな』と朝から安心します。前原さんを中心に会話が広がっていくことが多くて、最近あった出来事や季節の話題など、たわいもない話をみんなで共有しています。気付けば前原さんの近況はだいたい知っている、というくらい(笑)。コミュニケーション能力が非常に高くて、小栗さんとも積極的に話されていて。その姿を見ていると、もしかしたら現代の秀吉なのかもしれないなと思うくらい、懐に入る力のある方だなと感じています」

――現場の温かい雰囲気も伝わってきますが、改めて、作品の中で寧々がどのような存在として映ってほしいと考えていますか。
「自分に与えられた役を、真摯(しんし)に、真っすぐ、誠実に演じていきたいという思いがあります。それが視聴者の皆さんにどのように届くかはまだ分からないのですが、1年間を通して見ていただく作品だからこそ、この家族ごと応援していただけるような存在でありたいです。寧々は、さまざまな意味で広く知られている人物であり、大きなことを成し遂げた女性でもあるので、その名に恥じないよう、責任を持って最後まで演じきりたいと思っています」
【プロフィール】
浜辺美波(はまべ みなみ)
2000年8月29日生まれ。石川県出身。11年「東宝シンデレラ」オーディションニュージェネレーション賞を受賞しデビュー。主な出演作にドラマ「あの日見た花の名前を僕達はまだ知らない。」(15年/フジテレビ系)、「賭ケグルイ」シリーズ、「ドクターホワイト」(22年/フジテレビ系)、連続テレビ小説「らんまん」(23年/NHK総合ほか)、映画「君の膵臓をたべたい」(17年)、「シン・仮面ライダー」(23年)、「ゴジラ-1.0」(23年)などがある。
【番組情報】
大河ドラマ「豊臣兄弟!」
NHK総合
日曜 午後8:00~8:45ほか
NHK BSプレミアム4K
日曜 午後0:15~1:00ほか
NHK BS・NHK BSプレミアム4K
日曜 午後6:00~6:45
取材・文/斉藤和美
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