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「誘拐の日」深澤辰哉が初の弁護士役で挑む新境地とは「新たな表現の仕方を見つけた」2025/07/09 19:00

「誘拐の日」深澤辰哉が初の弁護士役で挑む新境地とは「新たな表現の仕方を見つけた」

 毎週火曜夜9時から放送中のドラマ「誘拐の日」(テレビ朝日系)は、奇妙な疑似親子バディの逃亡劇を描く怒涛(どとう)の“巻き込まれ型”ヒューマンミステリー。心優しきマヌケな誘拐犯・新庄政宗(斎藤工)と記憶喪失の天才少女・七瀬凛(永尾柚乃)が、次々と襲いかかる危機を乗り越えながら、身に覚えのない殺人事件の謎に挑む。

 そんな本作で深澤辰哉さん(Snow Man)が演じるのは、凛の亡き父親が院長を務めていた「栄進記念病院」の顧問弁護士・山崎忠。常に冷静沈着で淡々としており、腹の内が見えないキャラクターだ。初の弁護士役、そして本作への出演を通して、新たな表現の仕方に出合ったという深澤さん。山崎を作り上げていく中での裏話、主演の斎藤さんとのほほ笑ましいエピソードなどを教えてくれた。

――弁護士・山崎を演じる上で、“姿勢”を意識されているとお聞きしました。

「普段の僕は猫背で、背筋をピッと伸ばしていることが苦手なんです。もちろんお芝居をする時は背筋を伸ばしていますが、イコール自分としては少し無理をしているということ。なので、自然に見えない瞬間があり、つい作り込んでしまう自分がいたんです。その中で、今回監督から『今まで自分がしたことのないお芝居の仕方でやろう』と声を掛けていただき、まずはどうしたらナチュラルにひと言ひと言を発信できるだろうかと考えて。結果、クランクイン前から日常的に背筋を意識するようにしたのと、整体にもたくさん通い、体を整えることから始めました。その効果もあり、今は以前よりもリラックスしてお芝居ができるようになった気がしています」

――実際に山崎を演じて、その手応えは感じていますか?

「今のところ注意はされていないので、自然にできているのかなと思っています。ただ、山崎を演じている時はいいのですが、深澤に戻るとどうしても猫背になってしまうんです…(笑)。僕、毎日家を出る瞬間にスイッチを入れるのですが、Snow Manとしてのお仕事の日なのか、山崎を演じる日なのか、そこで姿勢が切り替わる感覚もあります」

――これまでお仕事と撮影が同じ日になったこともあるのでは?

「はい。これまで一度だけ朝の情報番組に出演した後にドラマの撮影がある日があって、その日は結構苦労しました。というのも、朝の情報番組に山崎のモードで行ってしまったんです(笑)。もちろん、皆さんにいい朝をお届けしようと全力でやらせていただいたのですが、少しだけ自分の中では不完全燃焼な感じで…。深澤といえば猫背なのにと(笑)」

――深澤さんの出演発表時、眼鏡をかけたビジュアルがファンの方の間で「新鮮」「カッコいい」と大きな話題を呼びました。山崎のビジュアルはどのように考えられたのでしょうか?

「原作小説が以前韓国で実写ドラマ化されていて、クランクイン前にその作品を見たんです。その中で、弁護士役の方が眼鏡をかけてらっしゃって。僕は普段ぽわぽわしているといいますか、ふざけていることが多い人なので(笑)、相反するクールでシュッとした雰囲気を身なりでも表現するにはどうしたら…と考えた時に、その方の姿が思い浮かんだんです。眼鏡を取り入れることで、一つお仕事ができる印象を持っていただけるかなと。しかも、ただ眼鏡をかけているわけではなく、“まさか”という感じで、今後かなり重要なアイテムにもなっていきます」

「誘拐の日」深澤辰哉が初の弁護士役で挑む新境地とは「新たな表現の仕方を見つけた」

――弁護士役を演じるにあたって、役作りはされたのでしょうか。

「今回初めて弁護士役を演じることになり、当初は自分が思う弁護士さん像でお芝居をしていたのですが、監督から『1回それを忘れて。弁護士という職業人としてではなく、山崎だったらどう思うかを考えてお芝居してみて』とアドバイスをいただいたんです。実はそれまで弁護士さんを意識して固めにセリフを言っていたのですが、それにすごく難しさと不安を感じていて…。さらには、共演者の方々が皆さんすごい方なので緊張もしていたのですが、監督が『これが山崎だ、と思う言い回しが正解だよ』と声を掛けてくださったことでリラックスできましたし、それ以降は演じやすくなりました」

――監督からは「今まで自分がしたことのないお芝居の仕方でやろう」というお言葉もあったとのことですが、実際に新たな挑戦や発見はありましたか?

「最近で言うと、僕としてはすごく気持ち悪い姿勢でセリフを言ってしまったシーンがあったんです。その時に“うわ、これ間違えたかな”と思ったのですが、監督は“オッケー、それ!”と。そのシーンは山崎にとってすごく大切な局面で、事前に僕の中でプランをすごく固めていったのですが、つまりそれとは違う形なんですよ。でも、自分の中で気持ちがいい姿勢でそのセリフを言っていたら、余裕が出てしまっていたはずで。本来思ってもいなかった状況で、ある種自然に演じた山崎こそが、監督が求めていた表現だったんだと思うんです。自分にとっての新たな表現の仕方を、この現場でたくさん学ばせていただいています」

――先日の会見時、皆さんとてもにぎやかで仲の良さを感じましたが、現場の雰囲気はいかがですか?

「日々とんでもない方々とお芝居をさせていただいているなと感じています。今まで僕が意識してこなかったような息遣いやセリフの間など、本当に学びが多過ぎて…。そして、作品としてはサスペンス寄りですが、撮影の合間などは皆さんラフにお話ししながら過ごされていて、すごくいい雰囲気の現場だと思います。工さんと柚乃ちゃんの2人が常に現場を温め、率先していろいろやってくださっているおかげです」

――空き時間など、皆さんとはどのようなお話をされているのでしょうか?

「僕は食にあまりこだわりがなく、ラーメン、牛タン、焼肉弁当…のようなローテーションの日もあって、それを皆さんにお話ししていたんです。そしたら、数日後に工さんから紙袋を渡されて…。工さんは健康に気を使われているのですが、“このお米は発酵玄米で、この具材は〇〇にいいんだよ”と、なんと僕に特製おにぎりを握ってきてくださったんです! お芝居ができて、カッコ良くて、色気もあって、優しくて…一体何ができないのだろうと、本当にキュンとしちゃいました。しかも、そういう心遣いを僕だけでなく皆さんにされていて、もはやいい人過ぎてムカついてきます(笑)」

――弱点を見つけるのはおそらく難しいですね(笑)。

「はい。ずっと弱点を見つけようとしているのですが1個もなくて…。先ほども工さんと一緒にいたのですが、エレベーターから降りる時に、僕が“どうぞ”と工さんに先に出ていただこうとしたら、僕の腰に手を添えて一緒に降りてくださって! それくらい常に素晴らしい方で、共演させていただけることを本当にうれしく思います」

――特製おにぎりはおいしかったですか?

「はい、写真も撮りました! どこかでぜひ上げたいのですが、工さんの許可を取らないといけないなと。健康志向だからと何か味が違うわけではなく、本当においしいおにぎりで、これだったら毎日食べ続けられるなと思いました。でも作ってくれる人が身近にいないので、工さんが持ってきてくださらない限りは健康にはなれないという…。なので、“毎回持ってきてください”とお願いしています(笑)」

――凛役の永尾さんとは以前バラエティー番組で共演されていましたが、今回ご一緒されてあらためて印象はいかがですか?

「柚乃ちゃんとは今回初めてドラマでご一緒して、天才少女の役のごとく本当に天才だなと思いました。それはお芝居はもちろん、たたずまいもそうで、現場の空気を和やかにしてくれるんです。ただ、天才ではありながら裏には絶対に努力があるはずで、僕らの見えないところでたくさん学んでお仕事をしているのだと思うと、年齢関係なくリスペクトを感じます。基本的に大人っぽいのですが、時に見せる年相応の無邪気な表情に癒やされますし、こういうお仕事をするために生まれてきたのかなとも。なので、この先が怖いですね。8歳という年齢でもう第一線で活躍されていて、数年後は一体どうなっているのだろうと。先日工さんと2人で、柚乃ちゃんに『今後何かに出る時はぜひ僕らを呼んで』とお願いしておきました(笑)」

――須之内司役の江口洋介さん方からも大きく影響を受けているとお聞きしました。

「そうなんです。本読みの時に、キャラクターとして絡みが多いというのもあり、僕の席が江口さんと長谷川(初範)さんというえげつない方々の間だったんです。いい意味で、魔のトライアングルといいますか(笑)。その時に、長谷川さんはもちろん、江口さんの息遣いがすご過ぎて…。本読みというのは座ったまま台本も手元に置いて読みながらやるのですが、江口さんはその状態でも素晴らしいセリフの言い回しをされていて、このまま撮っても放送できるんじゃないかと思うくらいだったんです。その時に“やってしまった。これはすごいところに来ちゃったな”と。でも、こんなにすごい方々に囲まれてお芝居ができる貴重な機会はほしいと思ってもいただけるものではないですし、1回1回の撮影を大切にして、いろいろなことを学びたいなと感じて。今後も楽しみながら、吸収しながら、1回1回全力で頑張っていきたいです」

「誘拐の日」深澤辰哉が初の弁護士役で挑む新境地とは「新たな表現の仕方を見つけた」

【プロフィール】
深澤辰哉(ふかざわ たつや)

1992年5月5日生まれ。東京都出身。B型。Snow Manのメンバー。

【番組情報】
ドラマ「誘拐の日」

テレビ朝日系
火曜 午後9:00~9:54

取材・文/TVガイドWeb編集部



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