及川光博「イグナイト -法の無法者-」“カメレオン”桐石拓磨役で見せる七変化の魅力と役の妙2025/06/06 06:00

間宮祥太朗が主演を務めるTBS系で放送中の連続ドラマ「イグナイト -法の無法者-」(金曜午後10:00)は、訴訟社会化が進む日本と飽和状態にある弁護士界のリアルを描いた、これまでのリーガルドラマとは一線を画す完全オリジナルのダークリーガル・エンターテインメント。
今回は、ピース法律事務所に協力する弁護士・桐石拓磨を演じる及川光博にインタビュー。5月16日に放送された第5話で、カメレオンのように七変化を見せた桐石が、本日・6月6日放送の第8話では新たな一面を見せる。さまざまな顔を持つ桐石をどのように演じているのか、及川に注目ポイントを聞いた。
敵の顔して登場。カメラの奥に潜ませた真実
――普段のドラマとは違った映像の特徴がある本作ですが、映像を見た時にどんな感想を持ちましたか?
「もちろん画角にこだわりじっくり時間をかけて撮影しているので、見応えのある映像になっていると思います。フィルムで撮影したかのような画質が、この作品のハードボイルド性をより高めているのではないかと思いました」
――及川さんの元にどんな反響が届いていますか?

「友人、知人からは、『逆パターンで裏切ったね』って言われますね(笑)。私の役どころとしては、“味方のふりして実は敵だった”というパターンが過去に何度かあったんですけれども、今回はその逆。敵のように登場して、実は味方だったと。これは、気持ちよかったですね。だから初回放送まで何もしゃべらず、悪役面(づら)して生きていました」
――実は味方という役をどのように見せたいと思いましたか?
「オファーをいただいた時からワクワクしていましたね。この第1話がオンエア終了した後の皆さんの驚く顔を想像しながら。楽しんで敵側の弁護士を演じました」
――弁護士を演じる上で特に難しいなと感じることはありますか?
「初めてではないので、特にはないですね。長セリフや説明セリフが大量にあるだろうという予測はしていたし、桐石のキャラクター的にそれをよどみなくスラスラと、クールに圧迫感を持って演じるべきと理解していたので、ただただセリフを覚えて。口角筋にたたき込むみたいな意識で挑みました」
第5話は1人3役!?“カメレオン桐石”の真骨頂

――桐石の好きなところを教えてください。
「やはりごくごくたまにデレるところですよね。ツンデレキャラ設定なので、ふとした表情の変化を全国の桐石ファンには見逃さないでほしいなと思います。第1話で言いますと、山上工業の案件で勝敗が決した瞬間に、向かい側に座っている(ピース法律事務所・代表の)轟謙二郎(仲村トオル)と目を合わせるんです。その時点で、『これでいいんでしょ、うまくやってあげたんだからね!』みたいな顔をしていて。それが実は味方だったと判明するラストシーンの前だったので、加減が難しい表情演技でしたね」
――第5話は桐石のキャラクターが生きていましたよね。
「僕はこの第5話のためにこれまで俳優活動を頑張ってきたのではないかと(笑)。まあそれは過言ですけれども、第5話で1人3役を演じる気持ちで突っ走りましたね」
――カメレオンのように、いろいろな人物になる桐石を演じる中で楽しいところはどこでしょうか?
「監督と相談の上ではありますが、ヘアメークも衣装もアイデアを出し合ってチェンジしています。エンタメに振り切った方が作劇として面白いと思って。探り探りやるよりかは、思い切って“カメレオン桐石”となろうと。大変な作業でしたけれども、ワクワク楽しく演じることができました。特に“地味石”(八二分け姿)は、ほとんどコントだなというくらい振り切ってみたんです。どんな桐石であれ、ふとした瞬間に冷徹で、素の表情をちらっと見せるので、表情筋が忙しかったですね。でも本当に楽しかった」
宇崎と“バディ回”で深まる絆、信頼感の芝居

――共演者の方々について、「この瞬間、この人の芝居がすごい」「キャラクターと重なる!」と思ったエピソードがあれば教えてください。
「祥太朗ちゃんと共演するのは3回目。どの作品でも、キャラクターをしっかりと演じ分けられていて、常に感心しますね。根気というか、集中力の高い俳優だなと思います。目力が強いよね」
――特に第5話では、宇崎と桐石がタッグを組んでいましたね。
「楽しかった。第5話ってちょっとスピンオフ的な宇崎と桐石のバディものになっていて、その2人の関係性の変化にもモチベーションが上がったな。彼と芝居の呼吸を合わせていく作業も、とても有意義でした。(仲村)トオルさんに関しては、やっぱり80年代からのリスペクトと、男性としての憧れがありますね。ストイックで照れ屋さんだし。50歳を超えて、胸がキュンとするのもどうかと思うんですけど(笑)、共演できてうれしいです。トオルさんは、セッティングチェンジの時に、侍のようにじっと待っているんです。その姿がすてきで。僕はホラ、隙あらばトークしちゃうから(笑)」

――轟と桐石は信頼し合っている感じがありますよね。
「特に第8話、第9話と回を追うごとにそれぞれの過去も描かれていきますし。第8話に関しては、今まで謎に包まれていた桐石の私生活まで物語の軸となってくるので、見どころしかないです」
――弁護士・伊野尾麻里役の上白石萌歌さんはいかがですか?
「萌歌ちゃんに関しては、明るい笑顔に癒やされます。そこは伊野尾ちゃんのキャラと重なる部分があるなと思います。ハードボイルドワールドに、パステルカラーの風が吹く感じ」
――現場のムードメーカー的存在でしょうか?
「そうそう。実際、長丁場の撮影現場でも、彼女の笑い声がすると、少し息をつけるというか、気分転換にもなる。だから萌歌ちゃんには個人的に助かっています」
ドラマとステージ、二つの顔で“飽きずに生きる”
――作品にちなみ、及川さんご自身が最近「心が焚きつけられた」と感じたことはありますか?
「この作品の撮影期間中、並行して全国ツアーのステージに立っているんですけれども、先日初日を迎えまして、幕が開いた瞬間の客席の大歓声。これはもう焚(た)きつけられますよね。魂が燃える瞬間でした」
――長年ステージに立たれていても、幕が開くたびにそう感じられますか?
「そうなんですよ。定期的にキャーキャー言われないと駄目かもしれない(笑)。撮影現場で作品と向き合い、ステージでベイベー(ファンの愛称)たちと向き合う。やりがいも生きがいも感じますね。この仕事に向いているんじゃないかな(笑)」
――ドラマとステージが並行するというのは大変ではないですか?
「スイッチが違うかな。プロデューサーもしくは監督に選ばれて作品に参加する意識と、自分が作品を作り出して表現するという意識の違いがあって。忙しいけど、飽きないんですよね。退屈しないって、エンターテインメントの根幹じゃない? それはお客さまはもちろん、自分自身も“そうあるべし”と常に思っています」
感情を揺さぶる終盤戦へ

――第8話の見どころを教えてください。
「冷徹な桐石がかなり動揺するんですよ。今までずっと隠してきたプライベートを『イグナイト』メンバーに知られてしまうというところがポイントです。これまでの彼のキャラクターが大きく覆るようなギャップがある、かわいい男だなと思います。第1話からは想像できないほどの桐石の素顔に注目!」
――最後に視聴者の皆さんにメッセージをお願いします。
「桐石にしろ、轟にしろ、今までどのような過去があって、ピース法律事務所がどのように誕生したのか。そういった隠されてきた部分が明らかになっていく。そして最終決戦になだれ込んでいきます。ここからの展開は、きっと視聴者の皆さんの感情を大きく揺さぶることと思います。第8話はもちろん、第9話の過去編にも要注目ですね。第1話につながるエピソードゼロとなっていますので、あらゆる謎が解ける注目回だと思います。ぜひお楽しみに。みんなありがとう、チャオ☆」
第5話で見せた多面的な“カメレオン桐石”と、第8話で描かれる桐石の意外な素顔。敵か味方かという図式を超えて、揺れ動く感情と秘められた過去が浮かび上がる。演じる及川が語る“焚きつけられる瞬間”は、そのまま桐石というキャラクターの情熱にも通じている。物語はついに最終章へ――その展開は見逃せない!
【番組情報】
イグナイト -法の無法者-
TBS系 毎週金曜
午後10:00~午後10:54
文/TVガイドWeb編集部
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