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「病院の治しかた」医療ドラマ乱立の中、小泉孝太郎が明かした思い 「この作品は成功するんじゃないかなという自信はありましたね」2020/03/06

──高嶋さん、悪役のイメージが強いですもんね(笑)。

「そうそうそう! あの事務長、絶対裏切るよって(笑)。でも、今回は最後までめちゃくちゃいい人ですから! 高嶋さんとは今までもさまざまな作品で共演させていただいていますけど、今回は熱量が違いましたね。『孝太郎ちゃん、今回の役うれしいよ!!』って(笑)。『倉嶋もいい人だし、好青年な孝太郎ちゃんとタッグが組める…俺、正直10年ぶりに、事務所で社長とマネジャーみんなでいい役が来たって、ガッツポーズしたんだよ』と話してくださったんですよ」

──めちゃくちゃ喜ばれているじゃないですか!

「記者会見の日にも真っ先に寄ってきてくださって。『1話を見て、こんなにいいんだと驚いた。これは間違いなく、孝太郎ちゃんの代表作になる』と言っていただきました。また、撮影最後のクランクアップの時にも、高嶋さんは自分のシーンの撮影が終わったのに待っていてくださったんです。夜中に熱いメールもいただいたんですよ。『孝太郎ちゃんの代表作となる作品をラストカットまで見届けられて、バレないようにしていたけど、僕、最後は涙が出たんだ。小泉孝太郎さんというすてきな役者さんの代表作でバディを組むことができて、高嶋政伸として幸せです』と…感激しました」

「病院の治しかた」医療ドラマ乱立の中、小泉孝太郎が明かした思い 「この作品は成功するんじゃないかなという自信はありましたね」

──これ以上ない褒め言葉ですね。

「いい作品というのは、人との縁が大事なんだとあらためて感じました。高嶋さんはもちろん、共演者の方やスタッフの方…やっぱりチームとして素晴らしかったですよね。撮影現場の雰囲気がいいと、映像や芝居にもそのリズムや流れみたいなものが出てくるんだなと。現場はめちゃくちゃ巻きましたから! ドラマの展開も早いけど、現場の展開も早い(笑)」

──そんな中、院長室での高嶋さんとのシーンは撮影が大変だと言われていましたよね。

「大変でしたね。医療用語や経営者としてのセリフが多かったので」

──覚える時のコツなどはあるのでしょうか?

「人それぞれだと思うんですけど、高嶋さんはすごかったですね! 最初の時点で1~7話までのセリフを全部覚えているんですよ。驚がくでしたね(笑)。僕が現場で2~3話のセリフをブツブツ言っていると『孝太郎ちゃんどこやってるの?』『あ、2話のここです』『じゃあ、ちょっとやろうか』と台本がないのに付き合ってくれるんですよ! そういうタイプの方もいるんだなと…まぁ、高嶋さんクラスの方はめったにいらっしゃらないと思うんですけど(笑)。僕は事前に8割くらい覚えて、あとは現場で調整しながら覚えます。実際にやらせていただいて、高嶋さんがこう来ると僕のリズムが悪くなるから、監督に『セリフの順番を入れ替えてもいいですか?』と相談したり。でも、高嶋さんは逆に『その方法は絶対できない』と言われていましたね。僕も高嶋さんのやり方はできないので、人によって覚え方はさまざまだと思います」

──苦労するポイントも違うんですね。

「今回は本当に専門用語がすごくて。院長室でのシーンを1日中朝から晩まで2話撮って、3話撮って、4話撮って…というやり方だったので、最初は苦しかったですよ。役のキャラクターの方向性や、高嶋さんとの掛け合いのリズムはこれでいいのかなど、いろいろ考えながらやっていたので、久々に1シーンでNGを10連発出しちゃいました。今までだとできた感覚ができなかったり、セリフが出てこなかったりして『あぁ、いかん! これ太刀打ちできない! 家に帰ってもっと頑張らなきゃ』って(笑)」

「病院の治しかた」医療ドラマ乱立の中、小泉孝太郎が明かした思い 「この作品は成功するんじゃないかなという自信はありましたね」

──大変さが伝わってきます。

「専門用語を覚える作業をもっとしなきゃということで、普段以上にギアを入れましたね。僕は大体、家で寝る直前に台本を見て次の日現場に向かうんですけど、今回は夕方など早めに帰れた時もセリフを覚えていました。具体的には、テレビ、ラジオ、音楽などの雑音が流れている中で覚える作業をします。そうすると、いろんな気になることがあっても、その状況の中で覚えたセリフは抜けにくいんですよね。僕は元々そういうことが得意なんです。学生の時に電車の中で英単語帳を覚えるのが早かったとか、あんな感覚。でも、そういった受験勉強レベルの覚え方でやらないといけないくらい、本当にきつかったですね(笑)」

──修平役を演じるのは気が抜けなかったんですね。

「唯一、奥さんの志保(小西真奈美)とのシーンくらいかな。ホッとするのは(笑)」

──志保とのシーンは見ている方も癒やされます(笑)。それでは最後に、今後、有原総合病院が、そして修平たちがどうなっていくのか…最終回へ向けての見どころを教えてください!

「まずは、あらためてこの病院存続の危機が本当にあった話ということですよね。ずっと修平が大事にしていた、患者さんや地域のためにという医師としての根幹があるからこそ、有原総合病院は絶対につぶせないし、なくせない。でも、ビジネスとしても成り立たせないといけない。だから、苦渋の決断を迫られる。そこで彼は、病院存続のためにどのような決断をするのか。そして、盟友である倉嶋は、どうアドバイスしてくれるのかが最大の見どころだと思います。病院がなくなるかもしれない危機の時の、男2人の友情。この作品で、僕自身、どんな組織も1人のリーダーみたいなカリスマがいたら、名参謀っているんだなと感じたんです。修平がカリスマ医師だとしたら、倉嶋は名参謀なわけですよ。倉嶋がいなかったら、修平は絶対つぶれていたと思う(笑)」

「病院の治しかた」医療ドラマ乱立の中、小泉孝太郎が明かした思い 「この作品は成功するんじゃないかなという自信はありましたね」

──“暴走特急”ですからね(笑)。倉嶋はもちろんですが、悦子さん(兵藤悦子・浅田美代子)や米田副頭取(米田正光・中村雅俊)にも支えてもらって、最後にはまさかのあの人も駆けつけてくれますもんね。

「今回、生きていく上で大切なこととして僕もあらためて痛感したんですけど、一生懸命生きていると助けてくれる人が必ず現れるんだなと。だから、視聴者の方も、有原修平という1人の医師としての生きざまを他人事じゃなく見ていただけるとうれしいです。終わりはしますけど、ものすごく爽やかですてきな余韻が残る終わり方なので。終わったけど終わっていないような…僕もまだ続いている感じがしますし。実際に相澤先生ご本人と打ち上げの時にお会いしたら、『これまだ“病院の治しかた2”をやろうと思えばありますから!!』と言っていただいたんです。『今度はがん治療のための機械がまたね…』といろいろ説明してくださいました。『まだ戦いがあったんですね!』と。でも、あのセリフの量は苦しいなって(笑)」

──終わらないですね、戦いが。ぜひシーズン2を見たいです!

「でも、そうなってくれるような終わり方なんじゃないかな。あらためて、実際に僕が演じた修平と、高嶋さん演じる倉嶋という事務長の2人がいて、そしてこの病院が今もあるんだということを知っていただきたいです。視聴者の皆さん誰もが患者になる可能性があるので、この作品が“病院”という存在を意識する一つのきっかけになったらいいなと思います」

「病院の治しかた」医療ドラマ乱立の中、小泉孝太郎が明かした思い 「この作品は成功するんじゃないかなという自信はありましたね」

【プロフィール】

小泉孝太郎(こいずみ こうたろう)
1978年7月10日生まれ。神奈川県出身。 ドラマ「グッドワイフ」(TBS系)、「警視庁ゼロ係~生活安全課なんでも相談室~」シリーズ(テレビ東京系)、「真犯人」(WOWOW)、「ブラックペアン」(TBS系)、映画「踊る大捜査線」シリーズ、「瀬戸内海賊物語」、バラエティー「モニタリング」(TBS系)、「よじごじDays」(金曜MC/テレビ東京)などに出演し、多方面で活躍。また、4月からドラマ「ハケンの品格」(日本テレビ系)に出演。

【番組情報】

ドラマBiz「病院の治しかた~ドクター有原の挑戦~」
テレビ東京系 
月曜 午後10:00~10:54
BSテレ東 
金曜 午後9:00~9:54

取材・文/鬼木優華(テレビ東京担当) 
撮影/蓮尾美智子

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