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早乙女太一、“時代劇を継ぐ者”の矜持──「次の世代に面白さを伝えていきたい」2020/07/31

 4歳から大衆演劇の舞台で技を磨き、スピード感抜群の鮮やかな殺陣と色気のあるしなやかな動き、粋な振る舞いで時代劇に欠かせない俳優となった早乙女太一。“時代劇を継ぐ者”として時代劇専門チャンネルで放送される出演作、劇団☆新感線のゲキ×シネ「髑髏城の七人(2011年)」「蒼の乱」、さらに盗賊の世界を描いたドラマ「ふたがしら」「ふたがしら2」について、早乙女が語った。

「蒼の乱」は初めて楽しめた劇団☆新感線の作品です

──「髑髏城の七人」は、戦国末期を舞台に、自由を守るため、権力に抗う人間たちを描いた劇団☆新感線の代表作。早乙女さん演じる無界屋蘭兵衛は、小栗旬さん、森山未來さん、小池栄子さん、勝地涼さん、仲里依紗さんら豪華共演陣と共にド迫力の戦いを見せます。

「僕はこの公演中に20歳になりました。新感線の作品には、17歳の時に初めて出していただいたんですが、20歳のこの時点でまだお芝居に自信がなくて、余裕がまったくなかった。特に『髑髏城の七人』は13歳の時に大衆演劇とは違う、外のお芝居を初めて見て感激した作品だったので、こんなすごい作品でこんなすごいキャストの方々と同じ板の上に立つんだと、余計にプレッシャーを感じていました。稽古初日、蘭兵衛の冒頭のセリフ『たいがいにしねえか、てめえら!』、その一言がうまく言えなくて、演出のいのうえひでのりさんに『違う、違う』と何十回も言われ、みんなの稽古の時間を割いたことがあります。帰りの車でも練習し続けて、次の日には声がかれていました…(笑)。当時は周りを見る余裕がなくて閉じこもっていましたが、小栗さんは気にかけてくださり、たくさん話しかけてくださって、ありがたかったです」

── すらりと現れ、キレのいい戦いっぷりを見せる蘭兵衛は、とにかく美しくて強くて見ほれるほど。早乙女さんにそんな悩みがあったとはとても思えないです。一方、「蒼の乱」は、優しく強い海のような渡来の美女蒼真に天海祐希さん、中央政権に対抗した将門小次郎に松山ケンイチさん、蝦夷の王・常世王に平幹二朗さんが扮する。早乙女さんはある使命を持った帳の夜叉丸で、その献身的な戦いぶりに胸を打たれます。

「『蒼の乱』は、挑む前から『余裕を持とう』と心がけていたし、ミステリアスな剣士だけど、ちょっとふざけた場面もあって、個人的には新感線の中で初めて楽しめた作品でした。松山さんは、新感線作品への出演は初めてで、普段は物静かですが、誰よりもよく考えた上で弾けたおバカな小次郎になった。テクニックとかじゃなく、体当たりでぶつかるところがすごかったです。それから天海さんの存在は大きかったですね。こんなにお客さんに愛されて、すべてのお客さんを味方にしてしまう天海さんに僕は嫉妬して、好きにならないぞと思っていましたが(笑)…本番で僕が全速力で走り回って殺陣をして、引っ込んで30秒くらい舞台袖の椅子で休めるという時、天海さんが僕の脚をさすってくれるんですよ。僕だけじゃなく、アンサンブルの人にも『いいのいいの、あなたたちの方が大変なんだから』って、自然にそういうことができる人なんです。キュンとなりますよ(笑)。まんまと大好きになっちゃいました。平幹二朗さんには、桁違いのエネルギーを感じました。舞台への挑み方もすごく純粋で、全部をのみ込んで浄化して、さらに自分らしさを出される。平さんのお芝居を間近で見られたのは、貴重な経験でした」

「ふたがしら」でも松山ケンイチさんと僕は、とにかくよく走った(笑)

──「ふたがしら」「ふたがしら2」は、松山さん演じる暴れん坊の鬼の弁蔵と早乙女さん演じるクールな仏の宗次という正反対の盗賊2人が、兇賊一味相手に奮闘する新感覚時代劇。奇抜なやり方で敵を出し抜く2人の仕事ぶり、悪女役の菜々緒さんの入浴シーン、「~2」では大森南朋さんの怪演など、見逃せない場面も満載です。

「弁蔵と宗次は、アクセルとブレーキみたいなコンビで、『蒼の乱』の小次郎と夜叉丸に近い。現場では、僕は映像に詳しくないので、カメラの前での見せ方は松山さんに聞いて、着物のさばき方、所作は僕が伝えるという感じでした。スタッフも京都で長年時代劇の伝統を守ってきた人と別の感覚を持った人がうまく交じり合って、時代劇を受け継ぐものを作ろうという雰囲気がよかったですね。このドラマでも松山さんと僕は、とにかくよく走った(笑)。盗賊が夜走るシーンやお色気シーンなど時代劇らしい場面に、現代的でおしゃれな音楽や映像もあって、時代劇をあまり見ない人もすっと入って楽しめるシリーズだと思います」

── 早乙女さんが思う時代劇のよさ、そして、今後、演じてみたい役などがあれば教えてください。

「時代劇に描かれる義理人情って古く聞こえるのですが、シンプルな感情だし、やっぱりいいですよね。昔は便利じゃないけど、だからこそつながって生きていく。今もそれは大事だと思う。それを粋に見せられたらと思います。演じてみたい役は色々ありますが、子どもの頃、田村正和さんの舞台『乾いて候』を見て、すっと力を抜く刀さばきや斜めに決める独特のスタイルに衝撃を受け、実は『髑髏城の七人』の蘭兵衛の髪形や立ち方に取り入れてみました。田村さんが演じた『眠狂四郎』や『子連れ狼』にも憧れます。僕が先輩に教わったように、できれば僕も次の世代に時代劇の面白さを伝えていきたいですね」

【プロフィール】

早乙女太一(さおとめ たいち) 
1991年9月24日福岡生まれ。大衆演劇「劇団朱雀」二代目として4歳で初舞台を踏み、全国で舞台を行う一方で、北野武監督の映画「座頭市」(03年)出演をきっかけに一躍脚光を浴び人気を博す。劇団解散以降、舞台やドラマ、映画など活動は多岐にわたる。「~時代劇を継ぐ者~早乙女太一」と題して、時代劇専門チャンネルで4作品が放送される。

【番組情報】

ゲキ×シネ「蒼の乱」 
時代劇専門チャンネル 
8月2日 午後10:00~深夜1:00


ゲキ×シネ「髑髏城の七人(2011年)」 
時代劇専門チャンネル 
8月9日 午後10:00~深夜1:00


「ふたがしら」 
時代劇専門チャンネル 
8月5~7日 午後11:00~深夜1:00 (2話連続 7日のみ 午後11:00~深夜12:00)


「ふたがしら2」 
時代劇専門チャンネル 
8月12~14日 午後11:00~深夜1:00 (2話連続 14日のみ 午後11:00~深夜12:00)

取材・文/ペリー荻野 撮影/尾崎篤志 
ヘアメーク/奥山信次 国府田雅子 スタイリング/中瀬拓外   
衣装協力/サイト、メアグラーティア、ガラアーベント 

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