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「何曜日に生まれたの」飯豊まりえ×溝端淳平×陣内孝則が感じた、“空気感で通じ合える”現場の魅力とは2023/08/27

「何曜日に生まれたの」飯豊まりえ×溝端淳平×陣内孝則が感じた、“空気感で通じ合える”現場の魅力とは

 ABCテレビが4月から新設し、日曜午後10時の全国ネット連続ドラマ枠の第2弾として放送中のドラマ「何曜日に生まれたの」。「ラブストーリーか、ミステリーか、人間ドラマか、社会派か」――脚本家・野島伸司さんが手掛ける先の読めないオリジナル作品だ。

 コモリビト(引きこもり)となってしまった主人公・黒目すい(飯豊まりえ)のもとに届いた高校時代の同窓会の招待状をきっかけに、サッカー部の江田悠馬(井上祐貴)や雨宮純平(YU)、江田瑞貴(若月佑美)と再会する一方で、ベールに包まれた“バイク事故の真実”も見え隠れするなど見逃せない展開が続いている。

 すいの“過去”が鍵を握る中、彼女をモデルに漫画を作ろうと奮闘しているのが、すいの父親であり漫画家の黒目丈治(陣内孝則)とライトノベル作家の公文竜炎(溝端淳平)。この2人の“現代”での動きがクライマックスに向けて物語をどう動かしていくのかも見逃せない。今週は放送がお休みだが、大きな動きを見せ始める“ナンウマ”第4話に向けて、飯豊さん、溝端さん、陣内さんが本作の注目ポイントをあらためて語ってくれた。

「何曜日に生まれたの」飯豊まりえ×溝端淳平×陣内孝則が感じた、“空気感で通じ合える”現場の魅力とは

――あらためて、本作の出演が決まってから感じたことを教えてください。

飯豊 「野島さんの作品はファンの方も多く、私自身もファンなので、お話をいただいた時は純粋にうれしかったです。コロナ禍になって外に出る機会が減った方も多いと思いますし、引きこもりは現代の社会現象とも言えるかもしれません。そのような方々の背中を押せるようなドラマにもなっているのではないかと、台本を読んだ時に感じました」

溝端 「まず野島さんの脚本ということでうれしい気持ちと、生半可な覚悟ではお受けできないと思いました。自分も年齢を重ね、新たにいろいろな挑戦をしたいと思っていたのですが、まさに今回の作品はとてもチャレンジングでした。台本を読ませていただいた時は、一筋縄ではいかないような深い意味が込められていると感じました。大ベテランの野島さんもまだまだ新しい引き出しがたくさんあるんだとあらためて感激しました」

陣内 「この話をいただいてから『頑張らなきゃ』とは思っていたのですが、その時は体重が90kgぐらいあったんです。そしたらプロデューサーから『売れない漫画家(の役)なので、痩せてください』と言われて。売れていない人だから痩せているというのは偏見だと思うのですが、そう言われてから痩せなきゃいけないと思って、犬の散歩に行ったり、コンビニに行ったり、マメにそういうことをずっとやっていたら、いつの間にか12kgぐらい落ちました(笑)。今回は野島さんの作品ですし、本を読んだ時に『これは俳優と演出が試される本だな』とすごく思いました。奇想天外なお話ですし、一つ間違えるとただ滑稽なお話で終わってしまうような気がして。キャラクターに血を通わせるのは俳優の仕事であるし、演出の撮り方によってこの世界観が成立するんだと思うと、“試される脚本”だと思いました」

「何曜日に生まれたの」飯豊まりえ×溝端淳平×陣内孝則が感じた、“空気感で通じ合える”現場の魅力とは
「何曜日に生まれたの」飯豊まりえ×溝端淳平×陣内孝則が感じた、“空気感で通じ合える”現場の魅力とは

――皆さんの共演シーンで、お互いに話し合われたことは何かありますか?

陣内 「すいちゃんは引きこもりなのであまりしゃべらないんですよ。だから非常に難しいというか、声なき声を聞かなければいけないので、そこは難しいところだったかなと思います」

飯豊 「お父さんとの関係性は良好で、長年寄り添っている夫婦のような空気感があるのですが、陣内さんとは普段からお話させていただいて、安心感もありますし、その雰囲気をお芝居にも出せたらいいなと思っています」

溝端 「『お芝居でこうしていきましょう』というのではなく、空気感で通じ合えるものがある感じです」

陣内 「ただ、失敗したなと思うのは、2分の予告編映像でいきなり僕の入浴シーンが出てきたのですが、僕は今まで『必然性のない裸は嫌だ』と言っていて。そういうシーンがあるなら、ちゃんとジムに行って筋トレをしたりして体を作って臨みたかったというのは、映像を見てちょっとだけ思っていました(笑)」

「何曜日に生まれたの」飯豊まりえ×溝端淳平×陣内孝則が感じた、“空気感で通じ合える”現場の魅力とは
「何曜日に生まれたの」飯豊まりえ×溝端淳平×陣内孝則が感じた、“空気感で通じ合える”現場の魅力とは
「何曜日に生まれたの」飯豊まりえ×溝端淳平×陣内孝則が感じた、“空気感で通じ合える”現場の魅力とは

――劇中ではたくさんの個性豊かなキャラクターが出てきますが、ご自身と比べて似ていると感じるキャラクターを教えてください。

飯豊 「強いて言うなら、自分の役が似ているのかなと思います。私も人から言ってもらった言葉に影響されやすいなと感じますし、頼まれたら絶対に断れない性格でもあるので。今みたいに外に出てお仕事をする職業ではなかったら自分はどうなっていたのだろうと考えた時に、引きこもりになり得てしまうといいますか、似ている部分もあるなと感じたので、野島さんに見抜かれている気がします(笑)」

溝端 「僕も飯豊さんと同じで、自分の役が似ているのかもしれません。この公文竜炎というのは、すいを取材対象として観察しながら救おうともするけれど、作家としての熱量、好奇心によって人の心に土足で入り込んでしまう。僕も職業柄なのか、日常の中で人と接している時に『こういう時にこういう表情になるのか』とつい観察してしまうんですよね(笑)」

陣内 「野島さんって、やっぱり人を見抜く目がやっぱ鋭いというか、僕の役も今までやってきた役ではないのですが、『見抜いてるな、かなり当て書きだな』というのはすごく感じていて。今回、セリフには意外とユーモアがあって、結構笑かしている部分もあるのですが、今までだったらそういうセリフって弾けてやった方が面白いと思っていたんです。でも、今回は監督が『とにかく抑えてください。小さいお父さんを撮りたいんです。だから周りはすごく背の高い女性ばかりにしてあるんです』と言っていて。『あ、小市民であり、いつもハラハラドキドキしている父親をやるんだな』と思いましたし、(脚本を)読んでいると『あ、これ俺だな』という感じはすごくありますね。この役は自分の役だなと、確信を持っています」

「何曜日に生まれたの」飯豊まりえ×溝端淳平×陣内孝則が感じた、“空気感で通じ合える”現場の魅力とは

――野島さんの脚本には独特のセリフ回し、独特の空気感のような特徴があると思います。実際に演じられて、やりやすいと感じたこと、難しいと感じたことがあれば教えてください。

飯豊 「ト書きが少ない印象があります。なので、セリフとセリフの間の意味がとても自由で幅広いなと感じますし、セリフの言い方の意味合いは自分の解釈によって何通りでも捉えられると思うので、そこを掘る作業が多いです。あと、私の役は過呼吸になったりすることがあるのですが、その対処法として、気持ちを抑えるために公文さんから『バーン』とピストルみたいに撃ってもらうシーンがあって」

溝端 「『バーン』というセリフになるか、って思うよね(笑)」

飯豊 「そうなんです! 実際『これは、どうやって演じたらいいのだろう』と思っていたのですが、演じてみると意外と自然になっていて、不思議だなと思いました。最初は『どう演じよう』と思うことが多いのですが、全体を通してみるとすごくちゃんと出来上がっているんです」

溝端 「公文は、『なぜこの言葉を急に発したんだろう』と思うことが多いですね。言葉の意味を計算したり『このシーンはこういうシーンです』と提示することではなくて、毎日の1ページを切り取ったようなセリフがリアルだと思いました。普段お芝居をする時に『この言葉はどういう感情で言うんだろう』『ここで1回落として、あそこで上げようか』と逆算するタイプなのですが、今回はあまりそういうことを考えず、そこでやってみて生まれる化学反応を大切にしています」

「何曜日に生まれたの」飯豊まりえ×溝端淳平×陣内孝則が感じた、“空気感で通じ合える”現場の魅力とは

陣内 「私の場合は、意外と若者言葉を多用されたりしているのですが、分からなかったのは『シンジくん、いや丈治くん。逃げちゃダメ、逃げちゃダメです』と言われて、『逃げちゃダメだ、逃げちゃダメだ』というシーン。これ、『新世紀エヴァンゲリオン』のパロディーらしいんですね。でもそれが僕は分からなくて、『たまたま言い間違えて元に戻るんだろうな』と思っていたら、本番の時にパロディーだということが発覚して。みんな知っている中で演じる本人が知らなかったという変なズレがあったのですが、『俺の演じ方、間違ってる?』と聞いたら『いや、それで正解です』と言われたので、『あ、やっぱり俺って勘のいい俳優なんだな』と思いました(笑)」

飯豊 「『エヴァンゲリオンのパロディー』ということも書かないですもんね(笑)」

溝端 「たぶん、撮影の時は失礼ながら僕とシシド・カフカさんが言ったと思います。『大丈夫です、合ってます!』って(笑)」

陣内 「『エヴァンゲリオン』、実は見たことないんです…」

飯豊 「でも、『エヴァンゲリオン』というノリでやってしまうと本当に分からなくなると思います(笑)」

溝端 「そうですね。分かる人は分かるでいいし、分からなくてもいい。純粋に楽しんでいただきたいです」

【プロフィール】

飯豊まりえ(いいとよ まりえ)
1998年1月5日生まれ。千葉県出身。2012年に「世にも奇妙な物語’12春の特別編」(フジテレビ系)で女優デビューし、13年には「獣電戦隊キョウリュウジャー」(テレビ朝日系)で弥生ウルシェード/キョウリュウバイオレット役で注目を集める。22年はNHK連続テレビ小説「ちむどんどん」で大野愛を演じたほか、「オクトー~感情捜査官 心野朱梨~」(日本テレビ系)では主演を務めた。ほかにも、ドラマ「君と世界が終わる日に」シリーズ(日本テレビ系・Hulu)や、映画「岸辺露伴 ルーヴルへ行く」などに出演。


溝端淳平(みぞばた じゅんぺい)
1989年6月14日生まれ。和歌山県出身。2006年、第19回ジュノン・スーパーボーイ・コンテストでグランプリを受賞。以降、ドラマ・映画・舞台で幅広く活躍中。近年の主な出演作にNHK連続テレビ小説「スカーレット」、「天国と地獄~サイコな2人」(TBS系)、「君と世界が終わる日に」シリーズ(Hulu)など。現在放送中のNHK大河ドラマ「どうする家康」に今川氏真役で出演中。


陣内孝則(じんない たかのり)
1958年8月12日生まれ。福岡県出身。80年、ザ・ロッカーズのボーカルとしてバンドデビュー。ドラマ「ライスカレー」「愛しあってるかい!」(ともにフジテレビ系)で注目される。映画「ちょうちん」(87年)でブルーリボン賞・主演男優賞など数々の賞を受賞。主な作品は「天国に一番近い男Ⅰ・Ⅱ」(TBS系)、「菊次郎とさきⅠ・Ⅱ・Ⅲ」(テレビ朝日系)、NHK大河ドラマ「太平記」「軍師官兵衛」「麒麟がくる」、連続ドラマW「トップリーグ」「眼の壁」「フィクサー Season1」(WOWOW)、映画「河童」(94年)、「超高速!参勤交代」(2014年)、「ALIVEHOON アライブフーン」(22年)、舞台「イーストウイックの魔女たち」(07年)、「菊次郎とさき」(12年、15年)、「プリシラ」(16年、19年)など。

【番組情報】

「何曜日に生まれたの」
テレビ朝日系
日曜 午後10:00〜10:54 ※8月27日は放送休止 第4話は9月3日放送予定
※放送終了後、TVer、ABEMAで最新話を見逃し配信
※TELASAで第1話〜最新話まで全話見逃し配信中
※U-NEXTでも全話見逃し配信

配信限定スピンオフドラマ「10年前の放課後」
TVer、ABEMAで公開
「10年前の放課後~私のこと、どう思ってる?~」
8月27日 午後10:00
「10年前の放課後~拳と拳の戦い~」
9月3日 午後10:54

【プレゼント】

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【締切】2023年9月23日(土)正午

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取材・文/平川秋胡(ABCテレビ担当)



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