風間俊介「直球の言葉でも真意が伝わる社会にいつかなってほしい」――「初恋、ざらり」インタビュー2023/07/21

　テレビ東京系の連続ドラマ「初恋、ざらり」は、「このマンガがすごい！2023」にランクインした人気漫画が原作。SNSで話題沸騰の本作を小野花梨さんと風間俊介さんのダブル主演で送ります。

　TVガイドwebでは、岡村龍二役の風間俊介さんにお話を伺いました。

――この作品への出演が決まった際の感想をお聞かせください。

「作品の名前は知っておりまして、お話をいただいた時に原作を読ませていただきました。そして、この作品のタイトルに感銘を受けました。読み終わった後に、初恋の初々しさや温かさ、優しさというものがしっかりと伝わりながら、確かにそこにある痛みのようなもの。切りつけるような痛みではなくて、“ざらり”という言葉で表現をしているのが、タイトルの素晴らしさに表れていると原作を読んで感じました。なので、実写にした時には原作を読んだ時に感じた、手触りのざらり感や初恋の初々しさみたいなものを表現できたらと思いました」

――演じる岡村という役柄についてどういった印象をお持ちでしょうか？

「すごく優しい人だと思いました。でも、この優しさというのが時に人を傷つけてしまう。例えば、主人公である上戸有紗（小野）は知的障害のある女の子ということで、その子を気遣えば気遣うほど対等から遠ざかってしまう瞬間というのが恐らくあると思うんですね。なので、優しい人物なんですけど、その優しさが時に残酷であり、傷つける瞬間があると思うと、『優しいってなんだろう？』ということを問いかける役になるのかなと思います」

――共演経験のある小野さんがW主演のお相手ですが、久々に再会した小野さんは風間さんの目にどう映っていますか？

「お互いに役者を続けてきたからこそ今回の共演につながっていると思うと、とても感慨深いですし、素晴らしい女優さんだと思います。小野さんは演じる役柄に寄り添う女優さんで、役がどういうふうに動くかというのを考えながらも、最後は直感や体感を信じて演じている方だなと思います。昔から変わらずにそれをずっと続けているというのは、本当に努力のたまものだと思いますし、尊敬しています」

――実際に演じてみて難しかった点がございましたらお教えください。

「文章にした時や今の時代にどう捉えられるか分からないので、皆さんに委ねさせていただきたいのですが、われわれとしては言葉を選ばず、セリフをチョイスしたい瞬間があるんです。ただ、今の社会だと多くの人々がまだその言葉を受け入れてくれないのではないかということで、言葉を柔らかくしたり、ぼかしたりする瞬間というのがありました。真意をどう伝えるかという中で、直球をずらすことが工夫であり、気遣いであり、悔しさがにじむ瞬間でもありました。なので、直球の言葉だったとしても、真意が伝わる社会にいつかなったらいいなと思っています」

――視聴者の方に注目して見てほしい部分を教えてください。

「この作品の難しいところが、“ラブストーリー”なのか“ヒューマンドラマ”なのか僕には分からないんです。なので、『“ラブストーリー”として見えましたか？　“ヒューマンドラマ”として見えましたか？』というのをこの作品を見た皆さんに僕は聞きたいです。こういう作品だからこそ、視聴者の方々の感想を僕たちはどんな角度でも受け入れたいと思っています」

　これまでに数多くのドラマに出演経験を持つ風間さん。その中でも難しいテーマである本作に真摯（しんし）に向き合っているからこそ発せられる言葉に、強い説得力と重みを感じたインタビューでした。7月21日放送の第3話では、有紗と岡村は互いの気持ちを確かめ合うことができ、好きだから何でも知りたいと有紗は岡村にたくさんの質問をし、そんな純粋な有紗に岡村は胸がときめく。翌日、岡村は有紗に家の鍵と行き方を書いたメモを渡す。「居たいだけいていいから」という言葉にうれしさがこみ上げる有紗だが、岡村は時々顔に暗い影が差す有紗のことを気にかけていた…。ぜひご覧ください！