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【「A-LIFE」井口裕香SPインタビュー後編】「同じ目線で過ごしていきたい」と思えるファンとの関係性とは2023/06/26

【「A-LIFE」井口裕香SPインタビュー後編】「同じ目線で過ごしていきたい」と思えるファンとの関係性とは

 DMM TVにて独占配信中の「A-LIFE」。“Anime song・Animation・Artist=A-LIFE”をテーマに、MCの冨田明宏さん・菅原りこさんが、ゲストの声優・アニソンアーティストとしての人生をひもときながら、スタジオライブを届ける音楽番組の第4回ゲストには、声優・ラジオパーソナリティー・アーティストとして活動する井口裕香さんが登場。

 TVガイドwebでは収録直後の井口さんに実施したインタビューを前・後編にわたってお届けする。前編に続く今回は、井口さんの活動には欠かせない“ラジオでの活動”について詳しく話を伺った。その答えからは、井口さんのファンに対する“深い愛情”が伝わってきた。

【「A-LIFE」井口裕香SPインタビュー後編】「同じ目線で過ごしていきたい」と思えるファンとの関係性とは

 声優として、アーティストとして、ファンの方や周りの方のために歩み続けてきた井口さんだが、その活動の中で切っても切り離せないのはやはりラジオだろう。10年にもわたるラジオでの活動はどんな存在になっているかを聞いてみると、その答えからファンとの関係性が見えてきた。

「1人ラジオをやらせていただいているのですが、その番組は本当に切っても切り離せないというか。声優人生の中でも、アーティスト人生の中でも、私の人生の中でも、常にうそ偽りなく今の自分をさらけ出せる場所でもあり、みんなとの交流の場でもあるので、本当に大事な場所ですね」。

 今ではすっかり板についたというラジオでの活動。しかし、しゃべることに関して初めは苦手意識を持っていたこともあったと明かす。

「ラジオを聴くのが好きで、いろいろな番組聴いたりしていたし、子どもの頃は遊びで1人ラジオを録ったりしていました。それこそ10年ぐらい前に1人ラジオデビューさせていただいた時は、もうダメ出しの嵐で(笑)。とりあえずスタッフさんも『まずは好きにやらせてあげる』と自由にしゃべらせてもらいながら1本10分ぐらいのものを録って、そこから『今のこの発言はこうだったから、もう1回全部取り直そうか』みたいな、ちょっとずつ調整していったんです。それは今の甲(克裕)さんとのレコーディングでも一緒なんですけどね。『ちょっと1回走らせてみるか』みたいな(笑)、音楽活動にもつながっています。声優としても、ラジオでも、周りの人に1個ずつ教えてもらって今があるなと思います」。

【「A-LIFE」井口裕香SPインタビュー後編】「同じ目線で過ごしていきたい」と思えるファンとの関係性とは

 音楽活動同様、周りの方々と歩んできたというラジオでの活動。そんな井口さんのラジオを聴いて感じることは、“楽しそうに話す声”がとても印象的だ。

「そうなんです! 私、自由にフリートークするのがめちゃくちゃ好きなんですけど、敷かれたレールで『この通りに進んでください』というのが本当に下手くそで(笑)、それだけがこれからの課題なんです。自由にやらせてもらってきたから、『この範囲内で自由に』というのは得意なんですけど、『じゃあこの質問にはこういう答えで』みたいになると、『えっと、えっと』みたいになっちゃう(笑)。でも、フリートークはすごく好きだし、人の話を聞くのもすごく好きで。そうやって感じさせてもらえたのは、『こむちゃっとカウントダウン』(文化放送)の存在が大きいし、その時のスタッフさんと先輩の櫻井孝宏さんの力で成り立っていたので、現場で学ぶことばかりです」。

 ありのままの井口さんを受け入れてくれた『こむちゃっとカウントダウン』、パーソナリティーを担当していた期間ではリスナーからのむちゃぶりメールも多かったことでも有名だが、「確かに、むちゃぶりとかありました!」と当時のことを懐かしむ。

「誕生日企画とかは、みんなそれまで祝われ続けてきていたのに、私だけは常に試されているというか(笑)。『ラップで今の気持ちを一言』みたいな、むちゃぶり千本ノックをする感じで。でも、何をやっても受け止めてくれるスタッフさん、櫻井さんがいてくれたから全部できたと思います。いろいろな声優さんやアーティストさん、なかなかアフレコ現場ではお会いできない方たちのお話を聞くこともできて、そこで学んだことが自分のアーティスト活動に生かされていることもたくさんあるので、貴重な経験でしたね」。

【「A-LIFE」井口裕香SPインタビュー後編】「同じ目線で過ごしていきたい」と思えるファンとの関係性とは

 ファンやリスナーとの距離を縮めながら、アーティスト活動にも通じることとなったラジオでの活動。どちらの活動からも井口さんの“ファンの方への愛情”を感じ取ることができたが、昨年はファンクラブ『ゆかちンち』を開設。よりファンの方とも密につながる機会も増えたのではないだろうか。

「今はInstagramだったりTwitterだったり、SNSがすごく発達しているので、そういうところでもちろんコミュニケーションは取れるけど、ファンクラブアプリは私のことを知ってくれて好きでいてくれる、家族のような、友達のような存在です。名前も『ゆかちンち』と、おうちをイメージして付けさせてもらったんです。何げないつぶやきにも本当に温かい言葉を返してくれたり、みんなの日常や存在がすごく身近に感じられるので、とても癒やしの場です。お誕生日の人がいたらみんなで『おめでとう!』とお祝いをしたり、どんなに夜中につぶやいても、みんなが返事をしてくれたりと、本当に温かくて。私自身、アーティスト活動をさせてもらって最初に思ったことが『スーパースターになりたいわけでも、なれるわけでもない。私はクラスの友達や、近所のお姉さんみたいな近しい存在で、みんなと同じ目線で一緒に過ごしていきたい』と思って始めたので、『ゆかちンち』というファンクラブアプリはそれを体現できているのかなと思います」。

【「A-LIFE」井口裕香SPインタビュー後編】「同じ目線で過ごしていきたい」と思えるファンとの関係性とは

 長いコロナ禍を経て、最近ではライブでの声出し解禁や対面イベントの規制が緩和されている。ファンクラブで対面のイベントとしてやってみたいことを聞いてみると、「なんだろう…」と悩みながらも温かい答えが返ってきた。

「まだ機能を扱いきれていなくて、限定生配信ができるシステムとかはもっと使っていきたいですね。ファンクラブ限定だと…フリマとか?(笑)。でも、コロナ禍で対面のお渡し会やお話できる機会が最近まではあまりなかったので、みんなとゆっくりお話できることができたらいいですよね。私の現場は本当に温かい人たちばかりで、それが自慢の一つでもあるので。親戚が集まるみたいな、穏やかな感じの楽しいことができたらいいなと思います」。

 周囲の温かい人たちの支えを借りながら前に突き進んできた井口さん。感謝を忘れない姿は自ら口にした「私の現場は本当に温かい人たちばかり」という言葉にも表れている。これからもファンやスタッフの方とともに歩んでいく井口さんに、今後挑戦していきたいことを最後に聞いた。

「やっぱり、3年前にフルアルバムを出してから、コロナ禍でみんなを目の前に声出しOKのライブがまだできていないので、このミニアルバムを機にまたツアーとかができたらいいなと思いますし、ミニアルバムが出せたら次はフルアルバムが出せたらいいなと思っています。今まで制作していく中で、甲さんが常にディレクションをして、ほかの楽曲提供をしてくださるアーティストさんとはそこまでじっくりお話することもあまりなかったので、これからはもっと密にディレクションを聞きながら、いろいろな人たちと話をしながら、もっと視野の広い音楽ができたらいいなと思います」。

【「A-LIFE」井口裕香SPインタビュー後編】「同じ目線で過ごしていきたい」と思えるファンとの関係性とは

【プロフィール】

井口裕香(いぐち ゆか)
声優、ラジオパーソナリティーとして活躍する一方、2013年「劇場版とある魔術の禁書目録-エンデュミオンの奇蹟-」のイメージソング「Shining Star-☆-LOVE Letter」でソロアーティストデビュー。数々のTVアニメ作品の主題歌を担当するとともに国内外においてのライブ活動も積極的に行っている。22年よりKADOKAWAに活動を移し、シングル2枚をリリース。7月12日にミニアルバム「キミがキミでキミなんだよ」をリリース予定。

【番組情報】

「A-LIFE」
6月24日(土)午後11:00よりDMM TVにて
#04 伊東歌詞太郎、井口裕香 配信開始
https://tv.dmm.com/vod/detail/?season=cmj47cv0vh4p54x1ere9p6x0m&spot=true

【配信中】
#01 内田真礼、鈴木みのり
#02 JUNNA、Morfonica
#03 奥井雅美、Machico

取材・文/平川秋胡(テレビ朝日担当) 撮影/蓮尾美智子



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