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【「A-LIFE」井口裕香SPインタビュー前編】10年続けてきた中でやっと見つけた“自分らしさ”、誰かのために動く原動力に迫る2023/06/25

【「A-LIFE」井口裕香SPインタビュー前編】10年続けてきた中でやっと見つけた“自分らしさ”、誰かのために動く原動力に迫る

 DMM TVにて独占配信中の「A-LIFE」。“Anime song・Animation・Artist=A-LIFE”をテーマに、MCの冨田明宏さん・菅原りこさんが、思い出の曲と最新曲からゲストの声優・アニソンアーティストとしての人生をひもとくとともに、思い入れの深い楽曲&最新楽曲のスタジオライブを届ける音楽番組だ。

 これまで内田真礼さんやJUNNAさん、Machicoさんなど多彩なゲストを迎えてきた「A-LIFE」だが、6月24日より第4回の配信がスタートした。ゲストは伊東歌詞太郎さん、そして声優・ラジオパーソナリティー・アーティストとして活動する井口裕香さん。声優として数多くの作品に出演しながら、歌手活動10周年を迎えた井口さんが抱える思いは、ファンの期待を高めるだけでなく、番組の注目ポイントにもなるだろう。

 今回、TVガイドwebでは収録直後の井口さんを直撃。そのインタビューを前・後編の2回にわたってお届けする。前編となるここでは、10周年を迎えた音楽活動について、ライブパートで披露した楽曲への思いとともに振り返ってもらった。

【「A-LIFE」井口裕香SPインタビュー前編】10年続けてきた中でやっと見つけた“自分らしさ”、誰かのために動く原動力に迫る

 収録を終えた井口さんを直撃すると、穏やかな表情で迎えてくれた。長い収録と伺っていたが、感想を聞くと「楽しかった!」と充実した時間を過ごした様子がうかがえた。

「たくさんしゃべらせていただきました。アーティスト活動についても、声優活動についても、こんなに掘り下げていただくことはあまりなかったので、『一体どうなっちまうんだ!?』という気持ちで、今もワクワクでいっぱいです。1人3曲歌って、トークパートも盛りだくさんで、すごく貴重だなと感じつつ、『時間泥棒がいる!』と思ってしまいました(笑)」。

 アーティスト人生を楽曲とともに振り返りながら、時には関係者のサプライズコメントが登場することも見どころの一つとなっている「A-LIFE」。井口さんのもとにも、“うれしいサプライズ”があったようだ。

「お世話になっている渡辺翔さんのコメントや、ディレクターの甲克裕さんからのお手紙も、今までもらうことがなかなかなかったのですごくうれしかったですし、びっくりしました。特に、甲さんはずっと支えてくださっていたけど、多くを語らない方なので。この現場にも来てくれていたのに、トークパートを撮る前に『じゃあ、次があるので』と帰っていかれたんです(笑)。でも、『あ、こういうことか』と後で合点が行くサプライズでした。きっと恥ずかしくて帰っていったんでしょうね(笑)」。

【「A-LIFE」井口裕香SPインタビュー前編】10年続けてきた中でやっと見つけた“自分らしさ”、誰かのために動く原動力に迫る

 声優として約20年、アーティストとしては約10年活動してきた井口さん。その年数について「不思議な感じですね」とこれまでの日々を懐かしむ様子を見せる。

「特に、アーティスト活動に関しては分からないことだらけの中で始まってずっと手探りでやってきたけど、10年たってやっと井口裕香としての表現みたいなものが見つけられた気がするんですね。最近のアーティスト活動されている声優さんたちはそれをパッとできてしまうと思うので、『みんなすごいな』と思うのですが、やっと私もみんなと同じところに並べたのかもしれないです。この10年はあっという間でしたが、確実に歩んできた道があって、自分なりに積み重ねてきたものがちゃんとあって。自分1人の10年ではなく、出会えた人たちとの10年、みんなと作ってきた10年だとも思っています」。

 アーティスト活動については手探りでやってきたというと、着実に積み上げていく中にターニングポイントがあったのではないのだろうか。そう思い、ここまでの活動での自身の一番大きな変化について聞いてみた。

「セカンドシングルで渡辺翔さんの曲に出合えたり、『Grow Slowly』という曲に出合えたり、セカンドシングルの次の制作のタイミングで甲さんに出会えたり、いろいろなポイントはあるのですが、10年たってあらためて思うのは『自分のために歌わない』こと。聞いてくれる人がいて、作ってくれる人がいて、みんなで1曲が出来上がるし、アニメも見てくれる人がいて、作ってくれる人がいて、一つの作品も出来上がる。誰かのために、聞いてくれる人のために、みんなのために、という“気持ちを届ける先の焦点”が、この10年でよりしっかりできたのではないかと思います。始めたての頃は、もちろんみんなに届けたいけどその射程距離が短いというか(笑)、『届けー!』って一心不乱に打っていたのが、今はより届けたい人に言葉を発するようなことを意識できるようになったのかなと思います」。

【「A-LIFE」井口裕香SPインタビュー前編】10年続けてきた中でやっと見つけた“自分らしさ”、誰かのために動く原動力に迫る

 “誰かのために”、その心を大切にアーティストとしても歩んできた井口さんだが、番組のライブパートで歌唱した3曲にも強い思い入れがありそうだ。それぞれどんなことを感じているのか。まずは、井口さんの代表曲とも呼べる「Grow Slowly」(グロスロ)。自身も声優として参加した「とある科学の超電磁砲S」の主題歌にもなっている。

「『Grow Slowly』はやっぱりライブでも定番の曲で、正直グロスロを超える曲はないんじゃないかというぐらい本当に盛り上がる曲で(笑)、私自身も大好きな曲です。この曲をきっかけに、アーティスト・井口裕香を知ってくれた人たちも多いと思うので、私の音楽活動の中でも切っても切り離せない大事な曲ですし、リリースしてから時間がたった今でも歌っている私の背中を押し続けてくれるというか。すごく温かくて、どんな時の自分にも寄り添ってくれて、『渡辺翔さんってすごいな』と思い知らされる曲です。今の目標は『打倒グロスロ』です!(笑)」。

 続く2曲目は、昨年放送されたTVアニメ「異世界おじさん」(AT-Xほか)のエンディングテーマにもなった「一番星ソノリティ」。“新感覚の異世界コメディー”を彩ったこの楽曲にも強い思い入れがあるのだと井口さんは語る。

「レーベル移籍をしてから一発目の楽曲で、アーティスト活動の中でも大事なターニングポイントの1曲かなと思っています。『異世界おじさん』というタイトルから度肝を抜かれる面白い作品の中で、『一番星ソノリティ』は作品を癒やしで終わらせてくれるような、そんなギャップを楽しんでもらえると思います。登場しているヒロインたちの気持ちをつづっている温かい曲にもなっていて、私自身も大好きなのですが、ヒロインの心も歌いながら、これからあらためてスタートしていく私の心も表現してくれていて。ダブルでリンクしている曲で、歌っていて勇気づけられるなと今日あらためて思いました。昨年リリースしたのですが、配信イベントなどいろいろなところで歌わせていただいて、これから声出しOKのライブでみんなと一緒に歌って、グロスロのように大きく成長していけたらいいなと思います」。

 そしてラストは新曲「GYOZA」。キャッチーなタイトルなだけに、タイトルだけを聞いた時「どんな楽曲なのか?」と感じたことを打ち明けると、井口さん本人も『そうですよね!』と笑顔を見せる。

「私自身ギョーザが大好きで、今回のミニアルバムで今の井口裕香らしさをどう表現しようかとなった時に、好きなものについて 1個表現してみようとなったんです。『GYOZA』は食べ物のことも歌っていながら、聞いてくれているファンのみんなのことも歌っているという意味を込めた歌詞で、『やっぱり君じゃなきゃ』というところをギョーザに例えて書いていただきました。すごく遊び心満載で、レコーディングも楽しかったです。今日はレコーディングぶりの歌唱だったので、どうなることかと思っていたのですが、楽しかったです! 歌っていてもすごく気分が上がるんですよ。これがライブとかだとより盛り上がって楽しくなるんだろうなと思うので、早くみんなの前で歌ってみたいなという気持ちも強いです」。

【「A-LIFE」井口裕香SPインタビュー前編】10年続けてきた中でやっと見つけた“自分らしさ”、誰かのために動く原動力に迫る

 井口さんの愛があふれた「GYOZA」、その楽曲が収録されているミニアルバム「キミがキミでキミなんだよ」がいよいよ7月12日に発売される。どんなアルバムになっているのだろうか。

「等身大の、今の井口裕香の気持ちをギュッと詰め込んだアルバムになっていると思います。ポップな曲からちょっとしっとりした曲まで、今の私が表現できる、いろいろな表情を楽しんでいただける1枚になっていると思います」。

 「今の私が表現できる」という言葉からも強い自信も感じ取れたが、そんな自信作ともいえるミニアルバムの制作期間はどんな期間だったのか。続けて聞いてみると、こんな答えが返ってきた。

「切ない楽曲が1個あって、その曲は経験したことはないけど甘酸っぱくなるような歌詞が個人的に好きで。そういうのも、きっとデビュー当時とはまた違う表現や歌い方ができるといいなと思っていろいろチャレンジしたので、昔から井口裕香を知っている方は歌声を聞き比べてみてほしいですし、最近知ってくれた方は声優の井口裕香とはまた違った表情を楽しんでいただけるんじゃないかなと思います」。

【「A-LIFE」井口裕香SPインタビュー前編】10年続けてきた中でやっと見つけた“自分らしさ”、誰かのために動く原動力に迫る

 後編では、井口さんの活動には欠かせない“ラジオパーソナリティー”について詳しく伺った。苦手意識があったという1人しゃべりが、今ではフリートークが大好きになるまでのその変化に迫る。

【プロフィール】

井口裕香(いぐち ゆか)
声優、ラジオパーソナリティーとして活躍する一方、2013年「劇場版とある魔術の禁書目録-エンデュミオンの奇蹟-」のイメージソング「Shining Star-☆-LOVE Letter」でソロアーティストデビュー。数々のTVアニメ作品の主題歌を担当するとともに国内外においてのライブ活動も積極的に行っている。22年よりKADOKAWAに活動を移し、シングル2枚をリリース。7月12日にミニアルバム「キミがキミでキミなんだよ」をリリース予定。

【番組情報】

「A-LIFE」
6月24日(土)午後11:00よりDMM TVにて
#04 伊東歌詞太郎、井口裕香 配信開始
https://tv.dmm.com/vod/detail/?season=cmj47cv0vh4p54x1ere9p6x0m&spot=true

【配信中】
#01 内田真礼、鈴木みのり
#02 JUNNA、Morfonica
#03 奥井雅美、Machico

取材・文/平川秋胡(テレビ朝日担当) 撮影/蓮尾美智子



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