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細田佳央太「史料に書いていない感情を作り上げました」――大河ドラマ「どうする家康」インタビュー2023/06/18

細田佳央太「史料に書いていない感情を作り上げました」――大河ドラマ「どうする家康」インタビュー

 大河ドラマ「どうする家康」(NHK総合ほか)で、徳川家康(松本潤)とその妻の瀬名(有村架純)の息子・松平信康を演じている細田佳央太さん。第23回(6月18日放送)では、瀬名が武田の使者・千代(古川琴音)と密会していると知った五徳(久保史緒里)が父である織田信長(岡田准一)に密告。家康の家臣たちも瀬名の隠し事に気付き始めます。一方、長篠・設楽原の戦い以来、心のバランスを失い「いつまで戦えばよいのですか…」と涙を流していた信康に、瀬名は秘めてきた考え、ある“はかりごと”を打ち明けます。いよいよ築山事件に向けて動き始めた瀬名と信康に、ハラハラしている方も多いのではないでしょうか。

 今回は、信康を演じた細田さんにインタビュー! 2回に分けてお送りする前編では、信康の人物像や第23回の心情、家康役の松本さんや瀬名役の有村さんなど共演者の皆さんとのエピソードを伺いました!

――キャスト発表の際に、大河ドラマに出ることが一つの目標だったとおっしゃっていましたが、いつから目標にしていたのですか?

「明確な目標にしたのは、『ドラゴン桜』(TBS系)というドラマに出演させてもらった2年前ぐらいですね。初めての大河で大きな役をいただけたうれしさや、ありがたさはとてもあります」

――念願がかなった初の大河ドラマの撮影はどのように挑まれましたか?

「どの現場も、ベースは変わらないように挑んでいるつもりです。大河ドラマだから特に意識したとか、いつも以上にスイッチを入れることはしなかったんですけれど、大河ドラマは歴史あるドラマで、ファンがいることも事実としてあると思うんです。この作品は、歴代の大河ドラマの中でもちょっと変わった作風やタッチだと思うので、それを受け入れてもらえるきっかけの一つになれたらと思っていました」

――現場に入って発見や驚いたことはありましたか?

「全部ですよ。例えば、カツラを先に着けてから衣装に着替えるので、前開きの服じゃなきゃいけないとか。自分で脱ぎ着しやすい服や靴を持ってきてほしいと言われたり。どんなにささいなことでも驚きの連続でしたね」

――撮影のスケール的な部分ではいかがでしたか?

「セットの中は、小学生の頃に行った資料館ぐらい忠実に作られているんです。今回、新たな試みとしてLEDウォールを使っていることもあって、すごく奇麗なんですよね。本当に写真を撮りたいくらい、臨場感がありました」

細田佳央太「史料に書いていない感情を作り上げました」――大河ドラマ「どうする家康」インタビュー

――初めての時代劇で着物を着た感想や、刀を使った芝居の感想を教えていただきたいです。

「衣装を着ることで役のスイッチが入って落ち着く感覚があって、それは今回も変わらないです。刀については、剣道をやっていて持ち慣れていたので、特に違和感はなかったです。ただ、和服が似合っていると言っていただけて、浮いていないんだなと思って安心はしましたね」

――よろいはいかがでしたか?

「戦のシーンでよろいを着けた時は、物理的な重さをすごく感じましたね。動ける範囲がだいぶ狭まってくるので難しかったです」

――優し過ぎるが故に壊れてしまう繊細な役の信康を演じる上で、苦労した点などありましたら教えてください。

「役として死ぬことが初めてだったので、すごく怖かったです。死ぬのは“役”であって僕自身ではないんですけど、信康のことが好きだし、人ごとにできなくて、ずっと『死にたくない。死にたくない』って思っていたんです。そこを脱却するのが大変でした。役作りにおいては所作の練習があって、リハーサルでは監督と細かい部分を詰めたり、動きを確認する時間があったので苦労はなかったです。それよりも、信康としてどう覚悟を背負うタイミングを作るのかという大変さがすごくありましたね」

――細田さんは役に入ってしまうタイプですか?

「ここまで入ったのは初めてです」

細田佳央太「史料に書いていない感情を作り上げました」――大河ドラマ「どうする家康」インタビュー

――そうなんですね。史料で信康はあまり良くない書かれ方をしていますが、今作では“優し過ぎて壊れてしまった”と説得力のある背景を持って表現されています。ドラマの中の信康という人物について、どういうふうに捉えていましたか?

「信康を演じる上でいろいろ調べて、今までの大河ドラマや時代劇に出てきた信康は、史実に準じたような悪い評判がたくさんある男の子だったことを知りました。今回の大河は要素は残っているけれど今までと全然違うような、優し過ぎるが故に、ちょっと弱さを併せ持った信康になっています。史料には、“何が起きたのか”“どういうことがあったのか”は書かれているんですけど、どういう感情だったかまでは書いていないんですよ。信康の精神が平常だったのか荒れていたのかまで書いていない以上、親との対立や、僧を切った時に信康がどういう状況だったのかを想像するのは自由ですよね」

――はい。

「古沢良太さんが書く脚本は、信康の感情の流れがすごく明確に見えるので、僕はそれに納得してお芝居をしました。信康が脚本のようであってほしいと思うようになって、優しく書かれていることに対して違和感はなかったです。史実にとらわれ過ぎないように、自分が思う信康や、台本に書かれている信康として演じようという思いがありました」

細田佳央太「史料に書いていない感情を作り上げました」――大河ドラマ「どうする家康」インタビュー

――共演者の方々とのエピソードも教えてください! 父・家康役の松本さんと共演してみていかがでしたか?

「松本さんはすごく最前線で作品のことを考えていらっしゃる方だと感じました。作品のプロデュース方法や宣伝の仕方などを、プロデューサーさんと打ち合わせをする役者さんは見たことがなかったので。もちろんお芝居でも、主演という立場として、全体の士気を高めたり、引っ張ってくださったりしつつ、お芝居以外のところでも戦ってくださる方だったのでびっくりもしましたが、格好よかったです」

細田佳央太「史料に書いていない感情を作り上げました」――大河ドラマ「どうする家康」インタビュー

――母・瀬名役の有村さんとは何かお話をされましたか?

「有村さんに関しては、現場でたくさんお話できたわけではないのですが、役への考え方や芝居への感性が似ているかもしれないと言っていただいて。僕は、信康のことを人ごとにできなかったんです。好きなゲームや1人カラオケなどの趣味を楽しんでいる時にも、どうしても信康が頭にちらついてリフレッシュし切れない時があったんですよ。そういうことを話した時に、有村さんも頭の片隅に役がいるような経験があったとおっしゃっていて。近い感性を持っているかもしれないと言っていただいたことがすごくうれしかったです」

――そうなんですね。

細田佳央太「史料に書いていない感情を作り上げました」――大河ドラマ「どうする家康」インタビュー

「信康は、父・家康から武将や上司としての在り方を、母・瀬名からは人としてどう成長するかを教わった。そして、僕は松本さんから一つの座長の形を、有村さんからは考え方やお芝居への向き合い方を教わりました。僕自身が信康のように、お二人から別々のものを学ばせていただいたことがすごく印象に残っていて、本当にお二人には感謝しかないです」

――第23回で、瀬名から“はかりごと”を聞く信康はどういう心境だったと思いますか?

「僧を切り殺した後だったこともあり、劇中では一番精神的に落ちていた時期なんじゃないかなと思います。殺したくて殺しているわけじゃないですし。戦は二の次で、まず『なんとか人をあやめないようなやり方はないか』と考えていたんじゃないでしょうか。本当に心の優しい、普通の男の子だからこそ“強くなるために人をあやめるしかない”という環境にのまれているんだなと思いました」

細田佳央太「史料に書いていない感情を作り上げました」――大河ドラマ「どうする家康」インタビュー

――はかりごとを聞いて何を思ったんでしょうか。

「驚いたと思いますよ。母上が、裏で千代たちを招いて動いていたことすらも知らなかったでしょうし。家康と一緒で、瀬名は、はかりごとをする方じゃないというふうに見ていたと思います。ただ、信康からしたら、お父さんもお母さんも大好きなことに変わりはないんですよね。瀬名の人としての賢さが、信康に受け継がれていると思うんです。だからこそ、ちゃんとお母さんの話を聞くことができたし。その時は、驚いたけれど否定はなかったと思うんですよね」

――信長の娘であり、信康の正室として幼い頃から一緒に過ごしてきた五徳との関係性はどのように作っていきましたか? 久保さんと役についてお話しましたか?

「信康は五徳のことを間違いなく大好きだったと思うんですよ。五徳も同じだったと思います。むしろ、『ドラマで描かれているくらい史実でも仲が良いといいね』と久保さんとも現場で話していたんです」

細田佳央太「史料に書いていない感情を作り上げました」――大河ドラマ「どうする家康」インタビュー

――家族とのお芝居はいかがでしたか?

「楽しかったですよ。明るいシーンがあまりないからなんとも言えないんですけど。それこそ、第21回(6月4日放送)の亀ちゃん(當真あみ)が長篠の奥平信昌(白洲迅)の所に嫁ぐ場面で、『どうする⁉ 聞いていないよ』と家族みんなで話し合っているところなど、家族の中でほっこりできるシーンは特に楽しかったですね。仲良しだからこそ、今後に向けてどうなっていくのかが、この物語の見どころです」

――歴史ファンや大河ドラマファンは、信康の行く末は分かって見ています。このような歴史ものを演じる点で一番難しいと感じたのはどんなことだったんでしょうか。

「実際に生きた人を演じることが初めてだったんです。何をして、どんな終わり方だったのかが残っている以上、ちゃんと史実に見合うような振る舞いでなければいけないなと思いました。家康と瀬名の子として生まれて、あんなにすてきな両親に育てられた以上は、しっかりしてなきゃいけないし、もっともっと、どっしりしていて、深みがあってもよかったのかなって、今になって思うこともあります」

――細田さんと同世代の皆さまに向けてメッセージはありますか?

「今回、初めて大河を見る方にも楽しんでもらえたらいいなと思います。時代が違えば考え方も常識も変わってくるので、『ドラマの中の人たちは強かったんだから、あなたたちも強くなりなさいよ』みたいな押し付けはないです。でも、大河を見たことで、教科書に載らない人たちがいたことは覚えていてもらいたいですね。誰かが欠けていても江戸幕府は開かれなかったかもしれないので」

――最後に視聴者の皆さまにメッセージをお願いします!

「今、見ている方々にも十分伝わっているかと思うんですが、瀬名と信康の不穏な空気が徐々に出てきたので、この後の展開を見逃してほしくないです。あとは、見ている方々も史実にとらわれ過ぎてほしくないという思いがあります。史料には感情までは書かれていないので、僕らが作り上げたものを『まあそういうことも、あったかもね』くらいのテンションで見ていただけたらうれしいです」

――ありがとうございました!

細田佳央太「史料に書いていない感情を作り上げました」――大河ドラマ「どうする家康」インタビュー

 細田さんへのインタビュー後編は第25回放送後(7月2日)公開予定です!

【プロフィール】

細田 佳央太(ほそだ かなた)
2001年12月12日生まれ。東京都出身。4歳から活動を始める。19年、1000人越えの応募者の中から抜てきされ、映画「町田くんの世界」にて主演。同作で、おおさかシネマフェスティバル2020 新人男優賞、第29回 日本映画批評家大賞新人男優賞(南俊子賞)を受賞。ドラマ「ドラゴン桜」(21年/TBS系)などドラマや映画で活躍中。8月には初の有観客舞台「メルセデス・アイス MERCEDES ICE」が控えている。

【番組情報】

大河ドラマ「どうする家康」
NHK総合
日曜 午後8:00~8:45ほか
NHK BS4K
日曜 午後0:15~1:00ほか
NHK BSプレミアム
日曜 午後6:00~6:45

NHK担当/Kizuka



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