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「どうする家康」、甲本雅裕が家康の身代わりとなる夏目広次を熱演! 気持ちが入りすぎて救急車で運ばれる!?2023/05/14

「どうする家康」、甲本雅裕が家康の身代わりとなる夏目広次を熱演! 気持ちが入りすぎて救急車で運ばれる!?

 5月14日放送の大河ドラマ「どうする家康」(NHK総合ほか)第18回で、三方ヶ原にて武田軍と戦になった徳川家康(松本潤)たちは、あまりに強い武田軍を前にして逃げることしかできません。そこに現れたのは、家康に毎回名前を間違えられていた家臣の夏目広次(甲本雅裕)。彼は家康の制止を振り切って、金荼美具足(きんだみぐそく)を身に着け、家康の身代わりに。そこには、夏目の家康に対する強い思いがありました。

 今回は夏目広次を演じる甲本雅裕さんに、第18回の撮影秘話や家康を演じる松本潤さんとのエピソードを伺いました!

――大河ドラマ「新選組!」(2004年)以来、19年ぶりの大河ドラマとなりますが、久々に参加されて大河ドラマに対する思いの変化や、新たに発見されたことはありますか?

「歴史ある大河ドラマに参加できることは、光栄なことです。撮影前の段階では、舞台や映画と同じで変わりないと思っていたのですが、実際に入ってみると『おー、大河だ』と思っちゃいました(笑)。何の差もなく入ったつもりでも、重みを感じさせてもらえるのが大河ドラマです」

「どうする家康」、甲本雅裕が家康の身代わりとなる夏目広次を熱演! 気持ちが入りすぎて救急車で運ばれる!?

――甲本さんは夏目広次をご存知でしたか? また、第1回(1月8日放送)の時に家康は夏目の名前を覚えておらず、以降、何度も夏目の名前を間違えていました。それが伏線だったことはご存じだったのでしょうか。

「正直な話、夏目広次については役をいただいてから知りました。名前間違えの真相も撮影開始当初は知らなかったので、度々登場する名前間違えシーンも、最初は『どうやって面白くしよう』と考えていたんです。視聴者の皆さんの大半は、名前間違えはギャグだと思っていたかもしれませんが、僕はその本当の意味を撮影の途中で演出家から聞いたんです。その時点で完成台本はなく、台本になる前の準備稿を読ませてもらったのですが、『こんなふうになるのか』と衝撃を受けました。それを知ってからは、『ここにすべてが詰まっているんだ』と思いましたし、潤くんと会った瞬間、『読みました?』『ヤバいな』という会話になりました(笑)」

――では、第1回は笑わせにいく芝居だったということでしょうか?

「最初は笑わせることも考えましたが、何話か台本を読み進めるうちに、『名前間違いはものすごく重要なことなのかもしれないぞ』と感じて、ギャグにしてはいけないという思いに至りました。その時はまだ第18回のことを知りませんでしたが、ずっとコメディーにするのはやりにくいという思いもあり、第1回から真剣に臨んでいました」

――少し前を振り返って、第9回(3月5日放送)では、三河一向一揆後、家康から謀反の罪を「不問といたす」と言われた時の夏目の表情が涙を誘いました。あのシーンのエピソードを教えてください。

「実はこのシーンの前日に、先ほどお話した第18回の準備稿を読み、この日の朝、潤くんと第18回についての話をして撮影に入ったんです。撮影中、最初は殿(家康)の目を見られなくてシーン半ばで見たのですが、殿の目には言葉では表せない思いが宿っていて…。僕と潤くんの中には第9回の思いに加えて、別の思いも流れていた気がします。それが見ている皆さまにいい意味で伝わったならば、うれしいです」

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――一向一揆の時の夏目の心の動きについて、どう解釈されましたか?

「僕の考えでは、夏目は離反しているつもりはないんです。お守りするべきは殿であるという気持ちに変わりがないからこそ、吉良からの誘いも即座に断り、手紙もすぐに捨てます。だけど、身内が一向一揆側に多くいて、夏目にとっては究極の選択だったんです。悩んだ末に一向一揆側について…。それは言い訳でしかないので、捕らえられた時に死を覚悟していたのに、まさかまさかで許されてしまう。きっと、殿に許された瞬間から、何があっても殿をお守りするという思いが固まったんだと思います」

――そして迎えた、家康の身代わりとなる第18回。家康と夏目の最後のシーンを撮影する時に、松本さんと何か相談されたのでしょうか?

「細かい動きの相談はしないで、起きることに従った方がいいシーンになるんじゃないかと2人で話し合いました。このシーンが始まって終わるまでの間に何が起きるのかを楽しみにして臨もうと言ったのを覚えています」

「どうする家康」、甲本雅裕が家康の身代わりとなる夏目広次を熱演! 気持ちが入りすぎて救急車で運ばれる!?

――実際に撮影されていかがでしたか?

「撮影前はいろんなことを想像しましたが、シーンに入った瞬間に頭が真っ白になったんです。プランを立てて演じるシーンではないという思いが強くあったので、監督に『もしかしたら泣くかもしれないし、泣かないかもしれない。どういう動きするかも分からないけど、とりあえずやらせてくれませんか』と話した記憶があります」

――夏目はどのような思いで家康の身代わりになったと考えて演じたのでしょうか?

「身代わりになることは現代では考えられない思考や精神ではありますが、夏目にとって殿の身代わりになるという行為は、ごく自然なことだと思って臨みました。戦国時代を生きる夏目ら武将たちはどういう死に方をすべきかを考えながら生きていたと思うので、夏目にとって最高の死に方だったと思います」

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――甲本さんにとって家康はどういう存在ですか?

「三方ヶ原の戦は、家康にとって大きかったと思います。みんながいるから自分がいるんだという考え方になったのも、周りとの共存を重視し家臣に対する思いが変わったのも、夏目が亡くなった後なんじゃないかと。家康は弱い人間だからこそ見えたものがあって、最終的に天下統一ができたんだと思います」

――夏目の死で家康が変化したと。

「そうですね。それを夏目は知らないんですよね」

――撮影前には松本さんとの共演が楽しみというコメントを出されていましたが、実際に共演していかがでしたか?

「いわゆる皆さんが描いているお殿様像とは違いますが、母性をくすぐる部分があって救いたくなる感じです。僕個人としては潤くんとは何度も共演をしているのですが、実は味方を演じるのは初めてなんです。だから、役者としてはダメかもしれませんが、自分の中でもテンションがすごく上がりましたね(笑)。僕としては潤くんの味方になりたい思いが強かったこともあって、素直に殿と呼べました」

「どうする家康」、甲本雅裕が家康の身代わりとなる夏目広次を熱演! 気持ちが入りすぎて救急車で運ばれる!?

――では、撮影全般で心に残っているエピソードはありますか?

「最後の最後、夏目が果てるシーンの立ち回りの中で不注意で指を軽く負傷したんですが、その後、貧血気味になってしまい、救急車で運ばれたことです。本当に逝っちゃったみたいな(笑)。監督からは『すべてオッケーですから、(撮影のことは)気にしないで』と言われたけど、救急車の中でも撮影のことが気になって、居ても立ってもいられませんでした」

――大丈夫でしたか?

「けが自体は大したことはなかったです。気持ちが入っているシーンだったので、動揺が激しくてフラっとしちゃった部分もあったんでしょうね。人生で初めて救急車に乗ったので、自分の経験としては大きかったです」

――そんな思いをして撮影された第18回は、きっと盛り上がると思います!

「楽しみにしてもらえるのは本当にありがたいのですが、そう言われるとプレッシャーで(笑)。映像をまだ見ていないので、実は大丈夫かなと思いながら話しているんです(笑)」

――そうなんですか!? それは意外です。貴重なお話をありがとうございました!

「どうする家康」、甲本雅裕が家康の身代わりとなる夏目広次を熱演! 気持ちが入りすぎて救急車で運ばれる!?

【番組情報】

大河ドラマ「どうする家康」
NHK総合
日曜 午後8:00~8:45ほか
NHK BS4K
日曜 午後0:15~1:00ほか
NHK BSプレミアム
日曜 午後6:00~6:45

NHK担当/K・H



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