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ななまがり「今は『売れたい』より『優勝したい』」。「最終的に勝ちたい」ライバルの存在と、優勝にこだわる理由【ロングインタビュー後編】2023/04/26

ななまがり「今は『売れたい』より『優勝したい』」。「最終的に勝ちたい」ライバルの存在と、優勝にこだわる理由【ロングインタビュー後編】

 5月5日、6日に東京4公演、5月28日に大阪2公演の単独ライブ「ななまつり 二〇二三」を開催するななまがり。インタビュー後編では、森下直人さん、初瀬悠太さんのお二人に、昨年大きな爪痕を残した「M-1グランプリ」に対する思いや、ライバルの存在について語ってもらった。(前編はこちら:https://www.tvguide.or.jp/feature/feature-2175242

「もうホンマにあと一歩まで来てるやん」

ななまがり「今は『売れたい』より『優勝したい』」。「最終的に勝ちたい」ライバルの存在と、優勝にこだわる理由【ロングインタビュー後編】

――昨年の「ななまつり」からの1年は、どういう1年でしたか?

初瀬 「思い浮かぶのは、やっぱり賞レースのことですね。それこそ『キングオブコント』も『M-1グランプリ』も準決勝で負けちゃったんですけど、手応えはずっとあったんですよ。結果だけが出なかったなって。『M-1』に関しては、これまで散々、準々決勝で負けてきて。決勝にはいけなかったですけど、去年は準決勝まで進むことができたんです。準々決勝の壁を越えられなくて、6、7年間ずっと苦労してたんですけど、やっと壁を破ることができた。賞レース以外にも、『ななまつり』を開催してからは、日々の舞台もいい感じでやれているという感覚があります」

森下 「去年の『ななまつり』で作ったスーツで『M-1』に挑んで。今ではもう手放せないですし」

初瀬 「去年に関しては、ホンマに盛りなしで、自分としては100点やったなって。結果だけ出なかったけど、本当にいい年やったなって思えたので、今年は結果もついてくるって信じて、このいい年を続けたいなと。だからこそ、今年も『ななまつり』を開催しないと去年より下がってしまうんで」

森下 「僕もほぼ一緒ですね。“準決勝で負けた”という言葉だけ聞くとあまりいい印象じゃないかもしれないんですけど、僕としては、正直『キングオブコント』も『M-1』も手応えがあったので。そこからは天に委ねた結果、去年は選ばれなかったというか。その結果も納得いってないとかではなくて、単純に惜しかったんやろなって。なので、『もうホンマにあと一歩まで来てるやん』って思ってます。ただ、決勝いったらもう優勝せなあかんので。運もあるし、決勝となると余計何が起こるか分からないんで、万全を期すだけですね。誰だって、100%で優勝するのは無理やと思うんですよ。でも、優勝する確率を上げることはできるなって」

「大学時代、しゃべりなんてできるわけなかった2人が、ここまでよう来れたなって思います」

ななまがり「今は『売れたい』より『優勝したい』」。「最終的に勝ちたい」ライバルの存在と、優勝にこだわる理由【ロングインタビュー後編】

――ななまがりさんに対して「コントが面白い」というイメージを持っている人は多いと思いますが、「M-1」での活躍もあり、今では「漫才が面白い」という声もたくさん届いているのではないかと思います。お二人としては、コントと漫才、それぞれどんな意識で挑んでいますか。

森下 「ホンマに正直なことを言うと、僕らはずっとコントをやってきたんですよ。基本的に漫才は『M-1』の期間だけ作ってたんですけど、なんか、去年か一昨年くらいから、ちょっと意識が変わりつつあって。そんな中、去年『M-1』で準決勝いけたんで、今年はなおさら『漫才も頑張ろう』という気持ちです。テレビ番組や舞台でも『漫才でお願いします』って言ってもらえる機会が増えたんで、せっかくなので乗っかりたいなって。世間的なイメージは分からないんですけど、芸人の中では『ななまがりはコント』という認識は持ってもらえていると思うんです。目標としている『キングオブコント』で優勝できた時、プラス漫才もできるってなったら最高やなっていう感じです」

初瀬 「最近、寄席でも『漫才でお願いします』って言われたりとか。コントなら寄席のトリなんて機会ないんですけど、漫才やとたまにトリを任せてもらえたりするんですよ。そういう時、なんか感慨深かったりしますね。それこそ大学時代、しゃべりなんてできるわけなかった2人が、今や東京の劇場の寄席でトリなんて、って。結果はまだまだ出せていないですけど、ここまでよう来れたなって思います」

森下 「今年は『M-1ツアースペシャル2023』にも呼んでもらえて、1000人とか2000人のお客さんの前で漫才して、しっかりウケて。大学時代、20人の前で漫才して、1人も笑ってなかったことを考えると…。当時、同じ大学でやってたミルクボーイさんも、コントは褒めてくれたんですけど、『お前ら、漫才はおもんないな』ってはっきり言われたんですよ。『漫才向いてないな』『漫才は俺らがやるから、こっち来んなよ』って(笑)」

初瀬 「『M-1』で準々決勝までいけた時も、内海(崇)さんからはダメ出しの方が多かったんですよ。『やっぱりまだ下手くそやな』なんて言われてたんですけど、去年に関してはダメ出しはなくて。内海さんはそこで忖度(そんたく)しないし、全部言う人なので、『ダメ出しがなかったってことは、良かったって思ってくれたんかな?』って思ったり」

――昨年の敗者復活戦のテレビ放送など、「M-1」がきっかけでななまがりさんを知ったという人も多いのではないかと思います。

初瀬 「『M-1』の影響力はやっぱり大きいですね」

森下 「2016年に『キングオブコント』で決勝いけたんですけど、それからしばらくいけてなくて。その間もライブシーンでは“コントの人”という印象があったと思うんですけど、テレビでコントをさせてもらえる機会はあまりなかったんです。テレビに呼んでもらえてもネタなしとか、僕のキャラクターを見てもらうようなものが多かったので、初めて見たななまがりのネタが漫才っていう人はめっちゃ多かったかもしれないですね。最近街で声を掛けられる時も、『コントいつも見てます』って人、今思えば一人もいない(笑)。『M-1面白かったです』って言ってくれる人の方が多いなぁ」

「ラヴィット!」に出演する同期や後輩への嫉妬

ななまがり「今は『売れたい』より『優勝したい』」。「最終的に勝ちたい」ライバルの存在と、優勝にこだわる理由【ロングインタビュー後編】

――「M-1」での躍進もあり、テレビ出演が増えていますが、難しいなと思うことはありますか?

初瀬 「ありがたいことに、今のところ僕らの特性を生かした企画で呼んでいただくことが多くて、得意なことができている状態なんです。今後、例えば『スイーツ店の食リポです、そんなにボケないでください』みたいなロケが来たとしたら、今はうまくできる自信はないんですけど、それも場数踏んだらできるかなって。現状、苦手分野の仕事はまだ回ってきてないっていうイメージですね」

森下 「僕もホンマに一緒ですね。今は結構『何でもやりたいことやっていいですよ』って言っていただけることが多いので、緊張もするんですけど、楽しい時の方が多いです」

初瀬 「ありがたいです。『嫌やな、この仕事』みたいなことは今のところないですね」

――お二人のYouTubeチャンネル「ななまがりのなんでもやりますチャンネル」で更新している7分ラジオ「ななラジ」にて、念願の「ラヴィット!」(TBS系)に出演した時の思いや、同期・後輩たちが次々に出演する中での悔しさについて、森下さんがお話されていたのを聴いたのですが…。

森下 「そうなんですよ」

初瀬 「ははは!(笑)」

森下 「いや、でもね、人間そうですよ。ずっと出たいと思っているのに出演できていない番組に、同期や後輩の芸人が出まくって、しんどくなって見なくなっちゃったんですけど。なんかね、そういうのが今、めっちゃ多いんですよ。昔は飛び抜けた人って1組とか2組で、例えば後輩ですけど、霜降り明星が一気に活躍するとか。それ見て『俺らもやらな』ってなってたんですけど、今は僕らの周りの芸人は全員キャリアを積んできてるんで、そういう気持ちになる場面が本当に多くて。『ラヴィット!』に関しては、『結構みんな出てるな、じゃあ近々僕らも呼んでもらえるやろう』って思いもあった中、なかなか声が掛からなかったんです。めっちゃ細かいこと言うと、トータルテンボスさんが出演した時に、ボケで僕らの名前を出してくださったんですよ。テレフォンショッキングの友達紹介みたいな感じで、『ななまがり紹介します』って言ってくれた流れがあったのに、それでも呼ばれなくて。だから嫉妬はありましたね。単純に悔しいですし。今はでも、それをバネにできている感じです」

今は「売れたい」より「優勝したい」

ななまがり「今は『売れたい』より『優勝したい』」。「最終的に勝ちたい」ライバルの存在と、優勝にこだわる理由【ロングインタビュー後編】

――今、ライバルを挙げるなら、どなたになりますか。

初瀬 「意識しているのは、やっぱりミルクボーイさんと空気階段ですね。今は2組とも僕たちがライバルと言える立場ではないし、その2組と賞レースで戦うことはもうないんですけど、最終的に勝ちたいなという思いがあります。『ななまつり』をやってる理由も、その2組の存在がデカいですね。大学時代から一緒に過ごしていた、めちゃくちゃ近い存在が2組も優勝したことで、『絶対優勝せなあかん』って。もし今、ミルクボーイさんと空気階段が優勝してない世界だったら、もしかしたら『ななまつり』自体やってないかもしれないです」

森下 「あ~。分かる」

初瀬 「やってたとしても、ここまで『優勝せなあかん』っていう考えになってないと思います。そんなことより『売れたい』が先に来てたと思うんですけど、今は『売れたい』より『優勝したい』という思いが強いですね」

森下 「うん。分かる分かる」

初瀬 「近い存在の2組が優勝して、ミルクボーイさんから『次はお前らや』とか言われてる中、全然できてないっていう。やっぱりそれが、常々心のどこかに引っ掛かってるんですよね」

森下 「僕も、ホンマに一緒ですね。というか、さっきから初瀬と答えがずっと一緒なんです」

初瀬 「(笑)。いいように捉えると、思いは一緒です(笑)」

森下 「ホンマに一緒(笑)。でも僕は、その2組を“ライバル”って言い切っていいと思ってます。賞レースの結果としてはまだ負けてますけど、コンビとしては別に負けてないという自信があります。これをミルクボーイさんが聞いても、『何言うてんねん』とは言わないと思うんですよ。ホンマに俺らだけがまだ何も結果を残せてないんですけど、『ななまつり』でそのきっかけを作りたいですね。だから、まぁ、初瀬とは同意見です(笑)」

初瀬 「『ななまつり』をやることで、その後悔がなくなる感じはありますね。これだけ頑張った上で賞レースに挑めたら、自信につながりそうやなって。去年もそうでしたけど、自信満々で挑めたんで。『こんだけやったんやぞ、俺たち!!』って思えるんですよ」

森下 「例えば今年1年、いい結果が出なくても、『まぁ、俺らやったしな』『これ以上、どう頑張れって言うねん』ってなるんで。とにかく、悔いのないように」

初瀬 「不安がある中で挑みたくないですし。そう思うと、やっぱり『ななまつり』はいいですね(笑)」

ななまがり「今は『売れたい』より『優勝したい』」。「最終的に勝ちたい」ライバルの存在と、優勝にこだわる理由【ロングインタビュー後編】

――自分たちを追い込み、大きな挑戦を続けるお二人。そんなストイックなお二人の息抜きの方法や、癒やしの時間があれば教えてください。

初瀬 「完全ににゃんにゃんです! 奥さんですね。去年結婚させていただいたんですけど、一緒に家におって、マジでこれ以上の時間ないんちゃうかなっていうくらい、幸せなひと時なんですよ。だからプライベートに関しては、何の文句もないというか。この幸せな時間を保つために、仕事を頑張るぞという気持ちです。なんとかこの幸せをキープしたいですね。にゃんにゃんの存在が息抜きすぎるくらい(笑)」

森下 「僕はもう、ここに来て初の、初瀬と正反対の意見ですね。僕にとってのにゃんにゃんがいないので、一人寂しく、なんとか過ごさなあかんという」

初瀬 「一人か…」

森下 「なんで、サウナにめっちゃ行ったり、あとは服も好きなんで、いろんな服を買ったりしています。仕事を頑張ってるのを免罪符にどんどん服を買ってるんですけど、それが今、収入を上回るくらい使ってしまってるんですよ。税金とかも払わなきゃいけないですし、そろそろヤバいです(笑)」

――一人と言いつつも、森下さん、最近かわいがっている後輩の方がいらっしゃるそうで…?

森下 「あぁ(笑)」

初瀬 「はいはいはい(笑)」

森下 「ストレッチーズの福島(敏貴)。かわいいですね。あいつとはサウナに一緒に行ったり、箱根の温泉に日帰り旅行もして。初めてご飯に行ったのは去年の『M-1』の準決勝の合間だったんですけど、そこから1カ月で10回くらい遊びました。今まで仕事で一緒になることなんてなかったのに、たまたま仕事が一緒になったりとか、収録は別なんだけど、同じ場所にいたりってことが続いて。それで仕事の後、お互い空いてることが多くて、立て続けにめっちゃ会いました(笑)。なんかね、かわいいんですよね。あとは、ちいかわ。夜中に結構見てるんですけど、癒やしですね。ちいかわと服と福島が今の癒やしです」

ななまがり「今は『売れたい』より『優勝したい』」。「最終的に勝ちたい」ライバルの存在と、優勝にこだわる理由【ロングインタビュー後編】
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【プロフィール】

ななまがり
森下直人(1986年5月20日生まれ、神奈川県横浜市出身)と、初瀬悠太(1986年4月5日生まれ、香川県高松市出身)が大阪芸術大学の落語研究寄席の会で出会い、2008年11月に結成。14年より、活動拠点を大阪から東京に。「キングオブコント2016」ファイナリスト。「R-1ぐらんぷり2020」ファイナリスト(森下)。昨年は「キングオブコント2022」、「M-1グランプリ2022」で準決勝進出。5月5日、6日の2日間、東京・北沢タウンホールと、5月28日、大阪・心斎橋パルコ SPACE14にて、単独ライブ「ななまつり 二〇二三」を開催する。

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【締切】2023年5月22日(月)正午

【注意事項】

※ご当選者さまの住所、転居先不明・長期不在などにより賞品をお届けできない場合には、当選を無効とさせていただきます。
※当選で獲得された権利・賞品を第三者へ譲渡、または換金することはできません。
※賞品をオークションに出品する等の転売行為は禁止致します。また転売を目的としたご応募もご遠慮ください。これらの行為(転売を試みる行為を含みます)が発覚した場合、当選を取り消させていただくことがございます。賞品の転売により何らかのトラブルが発生した場合、当社は一切その責任を負いませんので、予めご了承ください。
※抽選、抽選結果に関するお問い合わせにはお答えできませんので予めご了承ください。

取材・文/宮下毬菜 撮影/尾崎篤志



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