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注目の20歳、神尾楓珠インタビュー 終始一貫、言葉に迷いなく「常にからっぽな状態でいたい」2019/10/18

注目の20歳、神尾楓珠インタビュー 終始一貫、言葉に迷いなく「常にからっぽな状態でいたい」

――今、神尾さんの心を占めているものは何ですか?

「仕事です。仕事のために生きているみたいなもんですからね」

──日々のモチベーションはどういうところにあるんですか?

「仕事です。仕事がなかったら僕は死んでます。仕事しかないですね」

 神尾楓珠さん、20歳。ドラマ「左ききのエレン」(MBS/TBSドラマイズム)で主演を務めることを機にインタビューをさせていただいたのですが、インタビューが終わった後、しばらくの間なんとも言えない不思議な感覚を経験しました。インタビュー本編への前置きが長くなってしまうのですが、読んでいただけると幸いです。

 取材に向けて、大胆かつ繊細な演技で印象を残したドラマ「恋のツキ」(テレビ東京ほか)や、一気に知名度を上げた「3年A組 -今から皆さんは、人質です-」(日本テレビ系)、上流階級の名家に仕える使用人を演じた映画「うちの執事が言うことには」といった作品をきっかけに掲載されたインタビュー記事を十数本拝読したのですが、印象的だったのがインタビュー記事の中で一貫している「仕事が楽しい」「仕事にしか興味がない」という発言。

注目の20歳、神尾楓珠インタビュー 終始一貫、言葉に迷いなく「常にからっぽな状態でいたい」

 寡黙そうでミステリアスなビジュアルも相まって「20歳で、このブレなさはどこから来るのだろう」という思いを抱く一方、筆者の頭の隅にずっととどまっていたのは、神尾さんが生徒役を演じた「都立水商!~令和~」(MBS/TBSドラマイズム)における取材で、教師役を演じた竜星涼さん、松井玲奈さんが「(生徒の中での)ムードメーカーは神尾くん」と口をそろえて話していたことや、「3年A組」でクラスの盛り上げ役だったという話。そこからさらに過去の出演作品やインタビュー記事を見てみるものの、あまり人物像を捉えることができないまま、取材当日を迎えました。

 約20分間、話し手1人、聞き手1人の状態で質問をさせていただき、たくさんお話を伺ったのですが、やはり印象的だったのは冒頭のような「仕事」に対する真っすぐな思い。それでいて、こんなに話が一貫しながらもまったく人物像を捉えられない、つかんだと思ったら離れていく…。そんな不思議な感覚に覆われていました。言葉や態度でここまで強い芯を見せられたにもかかわらず、「神尾楓珠さんってどんな人?」と聞かれても、今は答えを出すことができそうにありません。

 ほとんどの質問に即答で答えてくださったり、淡々としながらも笑い声は絶えなかったり。前置きがとても長くなってしまったのですが、なるべく言葉や雰囲気をそのままに、本作で“凡才”のデザイナー・朝倉光一を演じる神尾さんのインタビューをお届けします。

感情がすぐ表に出る猪突猛進な役を演じ「普段自分がどうとかはあまり関係ない」

注目の20歳、神尾楓珠インタビュー 終始一貫、言葉に迷いなく「常にからっぽな状態でいたい」

──本作では、高校時代に出会った天才画家・山岸エレン(池田エライザ)の存在が光一の中で大きくなり、デザイナーになるまで、そしてなってからも、原動力となっていく描写が印象的です。神尾さんにとって、原動力になっている存在はありますか?

「同世代でいうと、萩原利久の存在がすごくでかくて。一番仲がいいんですけど、たぶん、一番お互い意識し合ってますね。『3A(3年A組)』でもずっとお互いを意識しながらやってたし、『3A』が終わってからも、たぶんお互い(が出演している)作品を見てると思います。連絡も頻繁に取り合ってますね」

──萩原さんの存在は、ライバルか仲間かでいうとどちらになりますか?

「どっちもです。親友だし、ライバルだし、みたいな」

──(取材はMBSのある東京・赤坂で行われ)赤坂のカレー屋さんに2人で行かれていましたよね。

「行きました(笑)。最近全然会えてないんです。忙しくて…」

──萩原さんとは、どういうところで意気投合したのですか?

「それは仕事に対する熱量だけだと思います。ほかのことで、気が合うことがないんですよ。趣味も全然違いますし」

──2人でいる時はどんな話をするんですか?

「全然大したことないです。3分経てば忘れるくらいの話です(笑)」

注目の20歳、神尾楓珠インタビュー 終始一貫、言葉に迷いなく「常にからっぽな状態でいたい」

──「3年A組」「都立水商」と、高校のクラスを舞台に同世代が集まる作品で存在感を発揮されましたが、本作では広告代理店に勤務するデザイナー役です。役作りで意識したことはありますか?

「光一は社会人ではあるんですけど、“THE社会人”って感じでもないんですよね。広告代理店のデザイナーという部分については、(原作者の)かっぴーさんが元々デザイナーだったということもあって、原作を読めば結構リアルに描かれていたんですよ。なのでデザイナーのことに関しては、(情報源は)原作だけですね。原作を見て理解して、演技に臨んでいます」

──演じていて、難しい部分はどのようなところですか?

「光一は感情の起伏がすごく激しいんです。感情がすぐ表に出るタイプなので、そのへんの調節が難しいです」

──神尾さん自身は、あまり感情を出されないタイプなのかなと感じます。

「普段、僕は出ないです。でも、役と自分は別物という考えなので、普段自分がどうとかはあまり関係なくて。ただ、その…全体のバランスとして見た時に、感情が出るにも割合というか、感情の強さがあるじゃないですか。それが全部一辺倒になっちゃうと面白くないので、そのへんの調整が難しいなと思います」

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