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スターチャンネル「GO!GO!私のサンダーバード」短期連載/市川紗椰2021/12/15

スターチャンネル「GO!GO!私のサンダーバード」短期連載/市川紗椰

 鉄道やアニメなど、好きなものについて深く掘り下げ、知識も豊富な市川紗椰さん。「サンダーバード」現役世代とは違う新鮮な目線で、「サンダーバード」の良さを語ってくれました。

スターチャンネル「サンダーバード55周年プロジェクト」×デジタルTVガイド

1 ◆好きな作品に影響を与えた「サンダーバード」

 「サンダーバード」は、私が好きな「スター・ウォーズ」などの作り手に影響を与えた作品であることは知っていて、いつかきちんと見てみたいと思っていました。今回、日本語劇場版「サンダーバード55/GOGO」を構成する樋口真嗣さんにお話をうかがう機会をいただいたこともあって全話拝見しましたが、まず人形そのものが魅力的でした。左右非対称だったり、リアルを目指していないからこその妙な人間らしさに引き込まれました。メカの発進のシーンの手間のかけ方なども驚かされる描写や演出が多かったです。特に爆発。今では使えない薬品を使っているので、煙が真っ黒で燃え方もエゲツない。怖いくらいでした。

2 ◆原語版は発音も違うんです

 好きなキャラクターはパーカーです。ぺネロープもすてきですね。2人が活躍する回はスパイものっぽいお話が多いし、1960年代のポップなイギリス像がうかがえて楽しいです。それから原語版だと分かるんですが、パーカーはなまりがあって、上流階級のペネロープの発音と明らかに違う。同じイギリス人でも対極的で、アメリカ育ちとしてはとても興味を引かれました。あとはブレインズ。科学がカッコいいと思っているので、ああいう技術者キャラが好きなんです。

GO!GO!私のサンダーバード/パーカー&レディ・ペネロープ

3 ◆時代とともに解釈が変わるストーリー

 パーカーはもとは金庫破りで、たまに悪い表情をのぞかせる。ペネロープも「情報員MI·5」(第17話)で、怪しい表情やセクシーな表情を見せていました。人形の顔は変わっていないのに、シーンによって違って見えるのがすごいですよね。「情報員MI·5」はエピソード全般も好きで、男が水中を潜って船に近づく冒頭のシーンから引き込まれました。「ニューヨークの恐怖」(第4話)も好きです。エンパイアステートビルを動かそうとするお話ですが、リアルタイムで見た人と、9・11を経てから見た人では感じ方が違うと思います。名作と呼ばれるものは、時代とともに解釈が変わる力がありますが、そういう意味でも印象深いです

4 ◆メカは2号! 懸垂式のモノレールも

 メカではサンダーバード2号が好きです。今まで見てきたSF作品の中で、「サンダーバード」は一番個々のメカの役割分担がはっきりしていて、そこが魅力的でした。それぞれの特徴を生かした作戦も面白いし、2号が作戦に合わせてコンテナを入れ替えて救助メカを運ぶところは、単純にワクワクしました。「ペネロープの危機」(第3話)に出てくる懸垂式モノレールにも目を引かれました。カッコいいし、現代の目線で見ると違った感慨もあります。懸垂式は、今では世界に4路線しかないので。

GO!GO!私のサンダーバード/「サンダーバード[HD完全版]」

5 ◆制限があって生まれた工夫が楽しい

 キャラに寄ったカットとか、カメラ割りが面白いんですが、人形を自然に歩かせるのが難しくて、足元を映さないようにした結果、生まれたものだそうです。メカをじっくり魅せているのも、尺を稼ぐ必要があったから。新しく公開される「55/GOGO」も、黒煙とか爆発とか、昔の再現が難しいものもある中、CGに頼らず、工夫して撮影したそうです。新作を含め、「サンダーバード」をこれからご覧になる方は、そういう制限があるからこそ生まれる工夫や革新に注目するのも楽しいんじゃないかな、と。

GO!GO!私のサンダーバード/「サンダーバード[HD完全版]」

★「サンダーバード」の衣装

GO!GO!私のサンダーバード/レディ・ペネロープ

 ファッションも見どころの一つ。「ぺネロープはおしゃれですよね。60年代の最先端のファッションだと思います。細かい柄やストライプの衣装にも感心します。普通の布で作ったら大きくなりすぎるけど、きちんと人形に合わせた大きさになっているんです」(市川)

GO!GO!私のサンダーバード/ミンミン・キラノ
GO!GO!私のサンダーバード/ザ・フッド

【プロフィール】

市川紗椰(いちかわ さや) 
1987年2月14日生まれ。愛知県出身。みずがめ座。A型。数々の雑誌でモデルとして活躍の雑誌でモデルとして活躍中。多趣味なことでも知られ、教養・知識番組などにも多く出演中。

【番組情報】

日本語劇場版「サンダーバード55/GOGO」公開記念特番【Side-A】【Side-B】

スターチャンネル1 
12月18日 午後2:15~2:45ほか【Side-A】/午後10:45~11:15ほか【Side-B】 ※無料放送  
スターチャンネル3 
12月21日 午後7:15~7:45ほか【Side-A】 ※無料放送  
スターチャンネル3 
12月22日 午後6:50~7:20ほか【Side-B】 ※無料放送

「サンダーバード55/GOGO」の公開記念特番を。樋口真嗣氏に番組案内人の市川紗椰がインタビューするほか、キャスト陣の対談などを。


樋口真嗣監督が選ぶ!サンダーバード エピソードBEST3【日本語吹替版】 
スターチャンネル1 
12月25日 午後3:30~7:00 ※一部無料放送

日本語劇場版「サンダーバード55/GOGO」の構成を手がける映画監督の樋口氏がセレクトしたベストエピソード3話を放送。市川も挙げている「ニューヨークの恐怖」と「情報員MI.5」と「すばらしいクリスマスプレゼント」を。樋口氏による解説コメントも放送。


GO!GO!私のサンダーバード/シン・コンプリート・サンダーバード【HDリマスター版】

シン・コンプリート・サンダーバード【HDリマスター版】
スターチャンネル1 
2022年1月30日 午後9:00~10:45 

1985年に庵野秀明氏がプロとして初めて構成・編集に関わった「サンダーバード」本編のダイジェスト版を、修復とHDリマスターを施して新生させた作品を独占放送。庵野氏によると「アナログ編集時代に膨大な時間と手間を掛けて何とか形にした」「個人的に不本意な音響状態のまま発売されたもの」だが、それを最新技術を用いて「当時描いていたものにできる限り近づけたバージョンアップ版として形にするつもり」とのこと。期待大だ。

【作品情報】

日本語劇場版 サンダーバード55/GOGO

「日本語劇場版 サンダーバード55/GOGO」 
2022年1月7日公開・1月8日オンライン上映開始

日本放送開始55周年を祝して公開。本放送当時に制作された音声ドラマに、オリジナルの撮影手法で映像化した三つの新作エピソードを、樋口氏が日本公開用に1本の映画として構成した。3話ともペネロープとパーカーが物語に大きく関わる。満島ひかりがペネロープ、井上和彦がパーカーの声を担当、大塚芳忠(ジェフ役)、森川智之(スコット役)、日野聡(バージル役)ほかも出演。

製作:イギリス 配給:東北新社/STAR CHANNEL MOVIES

取材・文/佐藤新 撮影/尾崎篤志



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