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スターチャンネル「GO!GO!私のサンダーバード」短期連載/笠井信輔2021/12/09

GO!GO!私のサンダーバード/第1回 笠井信輔

 スーパーマリオネーションの技術を駆使し大ヒットした特撮番組「サンダーバード」の55周年プロジェクトが進行中。本作の魅力を著名人が語るインタビュー連載がスタートです!

スターチャンネル「サンダーバード55周年プロジェクト」×デジタルTVガイド

1 ◆発進シーンでの時間のかけ方が画期的!

 僕は本放送の時の記憶はなくて、再放送でハマりました。メカの発進シーンに時間をかけるところが画期的で、ひたすらカッコよかった。同じシーンの使い回しってマイナスイメージもあるけど、「サンダーバード」は発進シーンを細部まで徹底的に作り込んで撮影し、そこに音楽をつけて何度も繰り返して使った。それが子どもたちの心をつかんだ。大変な発明でしたね。あんな魅せ方は、「サンダーバード」以前にはなかった。50年以上前にあれを考えたことがすごいし、その後の特撮、アニメ作品の原点、原形になっている。あの時代に子どもだった自分はなんて幸せだったのかと思いますね。すべての人に自慢できる(笑)。

2 ◆頭脳派のブレインズと長男のスコットが好き

GO!GO!私のサンダーバード・第1回/ブレインズ&スコット

 キャラクターではブレインズが好きでした、いろいろ蘊蓄(うんちく)を語るところが。トレーシー兄弟の中では長男のスコット。みんなに命令を出すところがいいですね。僕は3人兄弟の長男で、ごっこ遊びではスコット役だったから、弟たちに命令を出していました(笑)。メカで好きなのはサンダーバード2号。でも僕はスコット役なので、ごっこで乗るのは必然的に1号になる。忸怩(じくじ)たる思いでしたね。スコットが2号担当だったらなんの問題もなかった。そう思っていた長男はたくさんいたはずです(笑)。

3 ◆大人になったら違う見方で楽しめる

GO!GO!私のサンダーバード・第1回/「ニューヨークの恐怖」

 好きなエピソードは「ニューヨークの恐怖」。子どもの頃はメカに夢中でしたが、大人になってからは登場するテレビのリポーターしか見ていない(笑)。自分と同じ職業ですから。昔はいい印象がなかったけど、見返すと立派なプロだと感じる。成長してから違う見方で楽しめるのも、作品の質の高さゆえでしょう。「大ワニの襲撃」も好き。本物のワニが演技をしているように見えるのがすごい。あとはやっぱり第1話「SOS原子旅客機」。別格の完成度ですね。

GO!GO!私のサンダーバード・第1回/「大ワニの襲撃」

4 ◆海外作品だからこその魅力と託せた夢

 劇中では建物やインフラの老朽化から災害が起こったり、問題を隠ぺいしたことで危機を招くパターンが多いんです。今の日本で問題になっているようなことを、50年以上前にテーマにしていたのもお見事でした。あと、海外作品だったことも大きな魅力でしたね。国際救助隊は大富豪の私設団体ですが、たとえば「ウルトラセブン」のウルトラ警備隊がキリヤマ隊長の私財で運営されているという設定だったら、「そんな金持ちいるわけない」と冷めたと思う。でも、世界の大富豪は今以上に別次元のイメージがあって、国際救助隊はあり得るかもと感じられた。海外の作品だからこそ、僕らは夢を託すことができたんです。

5 ◆GOだけでいいという精神が素晴らしい

 1月に公開される新作映画のタイトルは「サンダーバード55/GOGO」ですけど、すごく本質をついている。「サンダーバード」には帰還シーンがないから。厳密にはあったけど基本的に発進シーンの逆回しだし、救助メカがどう回収されるかもほぼ描かれなかった。あえて切り捨てたんですよ、GOだけでいい、行って救助すればそれでいいんだって。実に潔い。「GOGO」は過去に制作された音声ドラマにスーパーマリオネーションの手法で映像をつけたものですが、技術を受け継いでいた、あるいは復活させた事実と、当時の手法で撮影した心意気に感動します。この映画を見ないという方とはお友達になれないな(笑)。

GO!GO!私のサンダーバード・第1回/キャラクター紹介

【プロフィール】

笠井信輔(かさい しんすけ)
1963年4月12日生まれ。東京都出身。牡羊座。A型。87年にフジテレビにアナウンサーとして入社し、情報、バラエティー番組などで活躍。現在はフリーアナウンサーとして活動中。

【作品情報】

日本語劇場版 サンダーバード55/GOGO

「日本語劇場版 サンダーバード55/GOGO」 
2022年1月7日公開・1月8日オンライン上映開始

日本放送開始55周年を祝して発足された「サンダーバード55周年プロジェクト」の目玉企画として公開。本国イギリスのファンのクラウドファンディングによって制作された3話のエピソードを日本公開用に1本の作品とした特別版で、樋口真嗣氏が構成を担当する。3話のエピソードは、当時制作された音声ドラマに映像をつけたもので、オリジナルの手法を再現し撮影された。

製作:イギリス 配給:東北新社/STAR CHANNEL MOVIES

取材&文/佐藤新 撮影/尾崎篤志



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