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「僕らのミクロな終末」瀬戸利樹と中田圭祐がお互いを勇気づけた“ある夜”――「東京ではできないようなことをやっていました」2023/01/29

「僕らのミクロな終末」瀬戸利樹と中田圭祐がお互いを勇気づけた“ある夜”――「東京ではできないようなことをやっていました」

 ABCテレビで今夜からスタートするBLドラマ「僕らのミクロな終末」。丸木戸マキさん原作の終末ラブストーリーを、大ヒット作「ポルノグラファー」シリーズ(2018年、19年/フジテレビ)の制作陣が再集結し、実写化。地球滅亡まで残りわずかの中で再会した、不器用ながらいとおしい男たちの姿を色濃く描きます。

 物語は、巨大隕石が地球に落下し、滅亡まで残り10日のところから始まります。生きがいのない日々を送る主人公・仁科真澄は、かつて自分を深く傷つけた男・日下部律と再会。特別な関係にあったものの、律に裏切られ見捨てられたことで「2度と会わない」と決めていた真澄は、この再会で少しずつ心が揺れ動いていくことに。そして、律は再会した真澄に“ある提案”を持ちかけます。「死体の処理を手伝ってほしい」――果たして、地球最期の日に2人はどうなってしまうのか。

 そんな期待が高まるドラマでは、主人公・真澄を瀬戸利樹さん、真澄を翻弄(ほんろう)する性に奔放な律を中田圭祐さんが演じます。放送目前となったここでは、瀬戸さんと中田さんのインタビューをお届け。体当たりで挑んだという撮影の裏側から、大変なロケを乗り切った2人のエピソードを語っていただきました。

「僕らのミクロな終末」瀬戸利樹と中田圭祐がお互いを勇気づけた“ある夜”――「東京ではできないようなことをやっていました」

――まず、脚本を読まれた時の感想を教えてください。

瀬戸 「三木(康一郎)監督の作品を少し予習させていただいて、『こういう世界観でやっていけばいいのかな』と、自分の中での想像を膨らませながら(脚本を)読み進めていたんですけど、ドラマでは一つ一つのシーンが長めというか、映画を撮っているような感覚に陥るんだろうなと想像しながら読んでいました。自分の中では、『僕は結構受け芝居が多くなるな』と感じていたので、『ここは自分の中でたっぷりと時間を取りたい』など、そういうものをうまく監督にプレゼンできるように下準備はしたつもりです」

中田 「次の展開が毎話毎話気になるというか、読み進めながら自分もどこか没入していて、あっという間に読み終わっていました。その中で律を演じるとなって、律は若い頃がまぁまぁクズなところがありつつ(笑)、漫画でもすごく格好いいから『こんな格好いいことできるかな…』みたいな不安もありながらも、ドキドキしながら読んでいましたね。三木監督とは一度ドラマでご一緒させていただいたことがあるんですけど、その時はオリジナルストーリーだったので、漫画原作だとどれぐらい要素として入れてくるのかなと思っていたら、何日か現場でやっていくとそこまでではなくて。原作リスペクトはもちろんあると思うのですが、喜怒哀楽がいろいろとあるので、そこを楽しめたらいいというか、この世界にどれだけ入れるかという感じでした」

――お二人が演じる仁科真澄、日下部律についてどう感じていますか?

瀬戸 「真澄は等身大というか、誰しもが経験するかもしれない寄り添いやすいキャラクターだなとすごく思いました。僕自身もやりきったというか、官能的なシーンも含めて今回はすごく挑戦的な作品で、やるからには後悔なくすてきな作品にしたいと思ったので、そこに至っては悔いはないですね。早く見てほしい気持ちでいっぱいです」

中田 「僕もやりきったというか、できることをすべてぶつけている作品です。すてきなスタッフ・キャストとみんなで作り上げていった、本当に楽しい1カ月でしたね。演じるにあたって、翻弄するところであったり、律の独特の色っぽさや艶めいた一つの所作、そういうのは現場で監督とも話を詰めて頑張りました。僕も早く見ていただけたらうれしいなという気持ちです」

「僕らのミクロな終末」瀬戸利樹と中田圭祐がお互いを勇気づけた“ある夜”――「東京ではできないようなことをやっていました」

――お二人は映画「シグナル100」(2020年)でも一度共演されていますよね。その時はガッツリと絡むシーンはあったのでしょうか?

中田 「あの時は本当にちょっとだけでした」

瀬戸 「最後らへんに僕が殺しました(笑)」

中田 「普通に殺されました(笑)」

瀬戸 「でも、それぐらいあまり絡みもなくて、地方で泊まり込みではあったけど、仲良くしていたグループも別で。だから、この『僕らのミクロな終末』で一緒になるとなって『あ、同い年だ』ってなったんです」

中田 「『そういえばそうだった』みたいなね(笑)。3、4年ぐらいぶりだったので」

――今回の共演を知った時は率直にどう感じましたか?

中田 「『あ、利樹か』っていう感じでした(笑)」

瀬戸 「同じだな(笑)」

中田 「僕はこういう作品も初めてだったので、それも踏まえて『おお、利樹か』というのはありましたね。どうなるんだろうと思っていたので、もう身を委ねようと(笑)」

瀬戸 「なんでだよ(笑)」

中田 「でも、もっとしっかりしていると思ったら、意外とふにゃふにゃでした(笑)」

瀬戸 「お互いふにゃふにゃなんだよね(笑)。圭祐って見た目が結構クールっぽいじゃないですか。でも僕より全然ふにゃふにゃで(笑)。お互いにふにゃふにゃだとまずいと思って、『これは俺が…もうちょっとしっかりしないと!』と思っていました」

「僕らのミクロな終末」瀬戸利樹と中田圭祐がお互いを勇気づけた“ある夜”――「東京ではできないようなことをやっていました」

――今回共演して、お互いの印象も変わりましたか?

中田 「変わりました。利樹がこういう感じの人だったんだとすごく知ることができました」

瀬戸 「(中田が)すごく人間っぽいなと思いましたね。同い年だったから、すぐ打ち解けられました」

中田 「まぁ、(クランクインして)3日目には裸で抱き合ってますから(笑)」

――撮影を通して、お二人の関係性も以前より密になったということも?

中田 「もう全然違うと思いますね。初日だったらこんなにベタベタしていないです。2人でいろいろと乗り越えてきた感があって」

瀬戸 「そうだね。なんというか、“戦友”みたいな感じです」

「僕らのミクロな終末」瀬戸利樹と中田圭祐がお互いを勇気づけた“ある夜”――「東京ではできないようなことをやっていました」

――ドラマでは真澄と律の関係の変化が鍵になってくると思いますが、現場でお互いにかわいいと感じたところ、もしくは格好いいと感じたところを教えてください。

瀬戸 「僕は、すごく目がすてきだなと思っていましたね。魅惑の目といいますか、吸い込まれるような目をしていたので、見つめ合うシーンでもすごく自然に見とれてしまいました。それによって、僕の受けた芝居っていうのは圭祐の目によって変えられていると思うので、ありがたかったです」

中田 「(ボソッと)うれしいですね…ありがとうございます」

瀬戸 「なんやねん、そのよそよそしい感じ(笑)」

中田 「利樹もかわいいんですよね。普段は空いている時間にちょろちょろ動いていたりするんですけど、お芝居になると、本当に優しい目をするので。利樹が潤んでいる時は、僕も目からもらえるお芝居がたくさんあったな、そういうところもよかったなと思います。あとは、すごく視野が広くて、一人一人を見ているイメージがあります。ちゃんと周りを見られて堂々としているので。オフは結構ふにゃふにゃしているからイメージがない方も多いのかもしれないですけど、オンの時はすごく格好いい。それをずっと間近で見ていたから、いいギャップだなと思います」

瀬戸 「なんというか、自分と違うタイプだなと思いました。僕は結構、切り替えをパッとするタイプなんですけど、圭祐はどちらかというと流れを持ってくるタイプなので。それに僕が合わせるというのは、役通りだったなと」

中田 「うまくケアしてくれたこともたくさんあったので本当に助かりましたし、格好いいなと近くで思っていました」

「僕らのミクロな終末」瀬戸利樹と中田圭祐がお互いを勇気づけた“ある夜”――「東京ではできないようなことをやっていました」

――すでにクランクアップしていると伺いましたが、撮影初日のことは覚えていますか?

瀬戸 「めちゃくちゃ覚えています。初日から泣かなきゃいけなくて(笑)」

中田 「大変だったよね」

瀬戸 「第5話ぐらいで、湘南の海での大事なシーンの一つからクランクインだったんです。いきなりヘビーなシーンから始まって、3日目には絡みがあったりと、最初から結構エンジン全開で始まりました(笑)」

――撮影を終えてみると、タフな撮影だったなと感じることも?

中田 「でも、最初の10日間ぐらいで若い時のやりとりはほぼ撮っていたので、その後はぬれ場みたいな撮影もそんなになかったんです」

瀬戸 「僕はつらいとかはなかったかな。今までの作品より一層、世界観にすごく没頭できたかなと。ほぼオール浜松ロケで泊まり込みでやっていたのもあるかもしれないです」

「僕らのミクロな終末」瀬戸利樹と中田圭祐がお互いを勇気づけた“ある夜”――「東京ではできないようなことをやっていました」

――印象に残っているシーン、お気に入りのシーンを教えてください。

中田 「いくつかある中で、律は真澄といろいろあってから現代で再会して、最初は嫌かもしれないけど、徐々にお互いのことを分かっていくところが『人間関係で時間を空けることって意外と大事なのかな』と。(再会するまでの)間があってこそ、2人の関係を修復しつつ、今がどう変化するかだと思うので。最後に、律が真澄に『あの時のことも含めて、ごめんね』と言うシーンがあるんですけど、真澄のことを思い続けた上でのシーンだったのかなと思います」

瀬戸 「唯一、“律からの吐露”っていうシーンなんだよね」

中田 「うん。クールでそういう姿を今まで見せてこなかったからこそ、律の中ではすごく熱いところだったので、自分のシーンにはなりますけど、思い出深いシーンですね」

瀬戸 「真澄がすごく汚い言葉を使って律のことを侮辱したり、馬乗りになるシーンがあるんですけど、撮影の中でも終盤でやったそのシーンは自分の中で真澄という役がなじんできていたので、『こうしよう、ああしよう』というよりは、自分の気持ちに正直にぶつかっていったシーンでした。カット数もほぼなく、長回しで撮ったので臨場感もあり、自分の中でもすごく楽しみにしているシーンなので注目してほしいですね」

――官能的なシーンも見どころになると思いますが、撮影で意識したことはありますか?

瀬戸 「1回目のそういうシーンが撮影入って3日目にあったので(笑)、そのおかげで何も恥ずかしいものがなくなったよね」

中田 「一皮むけたというかね」

瀬戸 「そうそう。裸の付き合いではないですけど、そのおかげで没頭できたし、2人の関係性も出来上がったと思います。圭祐が演じる律から来たものを受け止めるのに必死だったというか(笑)。映像的に地上波ではもしかしたらギリギリかもしれないですけど、監督と圭祐と事前に動きを細かくすり合わせられたので、表情で魅せることを頑張りました」

中田 「やっぱり奇麗なものであると思うし、それをおちゃらけることでもないので、演じている時は『真澄が好きだ』という気持ちを大事にしていました。あとは、そういったシーンを見せなきゃいけない作業が難しくもあり、僕たちが二人三脚で真剣に向き合ったから撮れた画なのかなと思っています」

瀬戸 「自分たちの動きが大きすぎると、カメラが揺れてしまったり表情がぶれすぎてしまうので、そこをいかに動いているように見せて、なるべく顔をぶらさないようにするかというのはすごく難しかったです」

中田 「ちゃんと画にしていかなきゃいけないことはすごく勉強にもなりましたし、難しいことでもありながら、やりがいはすごくありましたね」

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