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YouTubeで“バズった”「メモ少年」が書籍を発売! 追いかけられ続けたロバート・秋山竜次の胸中とは?2022/06/25

インタビュー/秋山竜次(篠田直哉「ロバートの元ストーカーがテレビ局員になる。~メモ少年~」)

 再生回数が580万回を超え、今もなおどんどん広がっているYouTube動画「【ロバート秋山】元ストーカーがテレビ局員に。職権濫用で番組に呼ばれる」(https://youtu.be/sOqCuGZbnhI)。ロバートを追いかけ続け、最終的にテレビ局に就職した通称“メモ少年”がどれだけヤバかったかをつまびらかにする、「激レアさんを連れてきた。」(テレビ朝日系)のパロディー風動画だ。この動画で、メモ少年の歴史を共に見ながら彼のヤバさを告発(!?)したのがロバートの秋山竜次。しかし彼は、実は裏側でメモ少年の成長を見守っていたのである。そんな“推しとファン”の温かい交流をつづった、メモ少年の自伝「ロバートの元ストーカーがテレビ局員になる。~メモ少年~」が発売。この本を読んだ秋山は、どんなことを感じたのだろう。そして、メモ少年にとって憧れの存在としてずっと輝き続ける秋山自身も、ライフワークと言える「クリエイターズ・ファイル Vol.4」を上梓した。

インタビュー/秋山竜次(篠田直哉「ロバートの元ストーカーがテレビ局員になる。~メモ少年~」)

── “メモ少年”の本「ロバートの元ストーカーがテレビ局員になる。~メモ少年~」が発売されると聞き、最初はどう思いましたか?

「シンプルに、『そんなわけないだろ』と思いました。本を出すことはテレビに出るよりも重いというか、いろんなことを経験した人が出せるイメージがあって。テレビは、それこそ街頭ロケのインタビューに答えるとか、意外と出るチャンスが多いんです。でも本は…、1冊を埋めなくちゃいけないので」

── 読んでみて、いかがでしたか?

「いやぁ…、めちゃくちゃ偏っていましたね。過去に交わしてきたメモ少年との会話って、基本的に出待ちの時だけなんですよ。劇場の出番が終わって車に乗るまでの数歩の間に、ちょっと話す程度。あと、うちの企画ライブは終演後にお客さんと写真を撮るので、その時にほんの少し話します。そのくらいしか彼のことを知らなかったので、少し感動しました。ただ、中身が本当に偏っていて。ロバートへの愛だけで突き進んだヤツの本なので、世の中的にどう捉えられるのか心配です(笑)」

── 本の中で、秋山さんが知らないメモ少年の一面も見られたのでは?

「そうですね。家でもロバートにすべてを費やしていたこと、入社試験でもロバートの話をしていたこと…。全ページにわたって、僕らの出てこない箇所がないんですよ(笑)。メモ少年が面白いのは、それを狙っていたわけじゃなく、純粋に好きでやってきたこと。こんな熱意で追いかけられることはなかなかないので、ロバートにとっても貴重な経験です。何年たとうが、『とんでもない少年がいたな』と記憶に残るのは間違いないですね」

── ちなみにメモ少年自身は、YouTube動画をアップするまで自分のヤバさを自覚していなかったそうです。

「一生懸命、追いかけてくれたんでしょう。だって、ずっと目が純粋でしたから。本にも出てくるエピソードで、僕らの舞台に彼を上げて『トゥトゥトゥサークル』というコントを一緒にやったことがあるんですが、完コピしていました。好きだという情熱は本当に感じましたし、芸人としてはうれしいですよね。ライブに通い詰めてくれるから、ライブの最後に『今日、何が面白かった?』と聞くと、返ってくる答えがとにかくマニアック。『アイツ、ちょっとすごいな』というのは、ロバート3人の共通認識でした」

インタビュー/秋山竜次(篠田直哉「ロバートの元ストーカーがテレビ局員になる。~メモ少年~」)

── Twitterで山本(博)さんも「メモ少年が本を出す!」とツイートしていましたが、ロバートの間でこの本の話題は出たのでしょうか?

「出たし、3人とも読みました。みんな、感慨深いんじゃないですかね。子どもの頃から見ているから、だんだん親心が出てきて。身長が伸びたな、鼻の下の毛が濃くなってきたな、彼女ができたんじゃないか…、出待ちをしている姿を一瞬見るだけで、成長が分かるようになるんですよ。そうなってくると今度は、『将来のことはちゃんと考えているのか?』と心配になってきちゃうんですよね。そんな時に出待ちで『ロバートさんと一緒に仕事がしたいんです』と彼のマジな決意を聞いたので、これは変にあしらってはいけないと思いました。1人の少年の人生を簡単に考えちゃいけないし、ちゃんとアドバイスしなきゃなと」

── そのあたりのエピソードは本にも出てきますが、とても感動的でした。結果、メモ少年は秋山さんと一緒に仕事をするという夢を実現させたわけですが、それは秋山さんが芸人として第一線で走り続けたことも大きいと思います。

「あんな少年がずっと見てくれているのに、こっちが途中で消え去るわけにはいきませんもんね。『メモ少年のために消えないようにしよう』と意識したことはないですけど(笑)、テレビでも劇場でも見られる存在でずっといられたことは、我ながらよくやっているなと思います」

── そんな秋山さんが大事にし続けている作品「クリエイターズ・ファイル」の Vol.4が発売されました。秋山さんがさまざまなキャラクターに扮(ふん)する本企画、今回も濃いクリエーターたちが勢ぞろいです。お気に入りは?

「ナイトプレイス『ドイド』のママ・矢崎すず子ですかね。著名人や政治家が昔から通い詰めている大人の社交場の、85歳の現役ママです。気に入っているところは、メークの逆ノリ。ママは年齢的に、メークがノッちゃダメなんですよ。メークさんが僕の肌に接着剤みたいなのを塗って一度肌を荒れさせ、その上からおしろいを塗りました。口紅も唇通りじゃなくて、はみ出すのがポイント。タバコを吸う時の震える感じも大事です」

インタビュー/秋山竜次(篠田直哉「ロバートの元ストーカーがテレビ局員になる。~メモ少年~」)

── たくさんのクリエーターが登場していますが、過去の人々も含めて、「この人物はスムーズに膨らんだな」と思った人はいますか?

「トータル・ファッション・アドバイザーのYOKO FUCHIGAMIは、コメントがスラスラ出てきます。どのクリエーターも台本はありませんが、YOKO FUCHIGAMIに関しては、何を聞かれても彼女として答えられます。あと、天才子役の上杉みちくんもかな。CMにも出たし、テレビ朝日で夏目三久さんと『アニマルエレジー』という番組までやっていましたから。そういう感じで、人気クリエーターをちょっと増やしていきたいですね。今注目しているのは、カリスマ双子インフルエンサーのカマタマちゃん。双子にする手段が鏡、というのがまた原始的でいいんですよね(笑)。『クリエイターズ・ファイル』は7年前に始めたんですが、年内で100人に到達します。とうとう来たな、という感じですね」

── 記念すべき100人目のクリエーターは、どんな人になりそうですか?

「今考えているのは、微生物です。顕微鏡を通して見る、みたいな。ただ微生物をやる場合、顔は映らないだろうし、秋山じゃなくてもいいだろという気がしなくもないんですけどね(笑)」

【プロフィール】

秋山竜次(あきやま りゅうじ) 
1978年8月15日生まれ。福岡県出身。しし座。B型。98年、幼なじみの馬場裕之、NSCで同期の山本博とトリオ「ロバート」を結成。「はねるのトびら」(フジテレビ系)などでブレーク。2011年、「キングオブコント」で優勝を果たす。個人でもさまざまなネタを提供し続け、上半身裸で顔のお面を変えて有名人を表現する「体モノマネ」、多様なジャンルで活躍するクリエーターに扮する「クリエイターズ・ファイル」なども人気。

【書籍情報】

「ロバートの元ストーカーがテレビ局員になる。~メモ少年~」 
篠田直哉/著 
発売日:発売中 
定価:1,760円 
発行:東京ニュース通信社 発売:講談社

お笑いトリオ・ロバートの追っかけで、ライブのたびにその内容をメモしていたことから秋山竜次に“メモ少年”と命名された篠田直哉氏。学生時代のすべてをロバートに費やし、「一緒に仕事がしたい」という目標のもと勉学に励み、見事メ~テレに就職。ロバートの番組制作をするに至る。幼少期は引っ込み思案だった少年が“推し”に出会い、変わり、正攻法で近づいていく狂気と愛の15年をまとめた1冊。


「クリエイターズ・ファイル Vol.04」 
秋山竜次/著 
発売日:発売中 
定価:1,650円 
発行:ヨシモトブックス 発売:株式会社ワニブックス

秋山竜次がさまざまなクリエーターに扮する大人気企画をまとめた単行本第4弾。本作にはフードソルジャーのサタン小松田や、カリスマ双子インフルエンサーのカマタマちゃん、はたまた世界一クリエティブな大型犬のロルフくんなど人外のクリエーターまで、計27組が登場している。本企画から生まれたキャラクターのクリエーティブなグッズも多数発売中。

撮影/石垣星児 取材・文/篠崎美緒



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